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オフィスビルを監視しよう:フィジカル×デジタルにまたがるSLI/SLO設計と運用の難しさ / ...

オフィスビルを監視しよう:フィジカル×デジタルにまたがるSLI/SLO設計と運用の難しさ / Monitoring Office Buildings: The Challenge of Physical-Digital SLI/SLO Design & Operation

登壇者名:三河内 拓也
登壇したイベントタイトル:SRE NEXT 2025
登壇したイベントのURL:https://sre-next.dev/2025/

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Transcript

  1. Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. オフィスビルを監視しよう: フィジカル×デジタルにまたがるSLI/SLO設計と運用の難しさ

    株式会社ビットキー 三河内 拓也 2025.07.11 ※スライド内に登場する会社名・サービス名・製品名などは、それぞれの企業の商 標または登録商標です。無断での内容の改変・加工はご遠慮ください。
  2. 10 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. 様々な物理的な要因で解錠信号(Bluetooth通信)が

    届きづらい時がある... ・距離が遠い ・中継機器の置き場所が悪い ・遮蔽物が分厚い、電波を通しづらい素材 etc
  3. 11 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. Client側のデバイス観点でも

    考慮しないといけないポイントがある... BLE ・顔認証端末の電源が落ちていてる ・ビル制御盤と疎通出来ていない etc
  4. 12 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. 掲示されたポスターのQRコードが認証画面に映り込み、

    延々に解錠失敗が記録される お客様のオフィスに掲示された ポスターのQRコード
  5. 16 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. 今回例に上げたモヤみは

    ”フィジカル”と”デジタル”に またがるサービスがゆえに起こり 得るものです
  6. 17 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. “デジタル”だけで完結しない分、

    SLI/SLOをどう定義し、どう運用 するかには、定説にはない独自の 工夫が求められます
  7. 18 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. 今回はビルを監視するという

    SLI/SLOにおいて、定説にはない Tipsを紹介していきます
  8. 19 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. ビットキーにデータアナリストとしてジョイン。

    入社初年度から、プロダクト品質の可視化を担当。 この時、サービスレベルというプラクティスと出会う 自己紹介 三河内 拓也 Takuya Mikouchi 2017 2020 データコンサル企業でデータアナリストとしてのキャ リアをスタート。様々な業界のデータ活用プロジェク トに従事 2025 現在もSREチームと共にサービスレベルの計測と運用 を推進
  9. 20 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. Outline

    1. ビルモニタリングにおいて定義したSLI 2. ビルモニタリングで得られた5つのTips 1. CUJ(Critical User Journey)は普遍である 2. モノも含めたSLI設計の難しさ:前提となる「モノ」の監視は見落としがち 3. DatadogでのID単位のSLO監視は、SLOベースのMonitorではなくMetricベースのMonitorで実現 4. 「SLOを毀損したら、初手SREまたは開発チームが動く」は本当に正解か? 5. CS(いわゆる顧客対応チームのこと)を巻き込んだSLO運用のポイント 3. まとめ
  10. 21 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. 1.

    ビルモニタリングにおいて定義したSLI
  11. 23 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. プロダクトはhomehubとworkhubの2つ。

    本日お話しするworkhubは、働く空間にまつわる体験のDXを実現 1. ビルモニタリングにおいて定義したSLI フレキシブル オフィス オフィス テナント テンポラリーユー ス ビル(オーナー) ワーカー 不動産管理会社 マンション オーナー 管理組合 デベロッパー 居住者 暮らしサービス デリバリー会社 対象カスタマー/ユーザー

  12. 24 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. workhubの機能群

    1. ビルモニタリングにおいて定義したSLI 共通 会員向け検索予約 契約‧会員管理 決済エンジン 請求‧⼊⾦管理 スマートロック 受付 顔認証 スマートロッカー 混雑判定 スマートロック 受付 顔認証 制御盤連携 会議室予約 位置検知 スマートロッカー 混雑判定 BACNet連携 座席予約 稼働率レポート マルチテナント エレベーター ビル総合受付 会員向け検索予約 契約‧会員管理 決済エンジン 請求‧⼊⾦管理 スマートロック 受付 顔認証 制御盤連携 会議室予約 位置検知 スマートロッカー 混雑判定 BACNet連携 座席予約 稼働率レポート マルチテナント エレベーター ビル総合受付 個室ブース運営 パブリックアカウント 地図で検索 ⽬的で検索 正式提供開始 フレキシブルオフィス オフィステナント テンポラリーユース ビル(オーナー) さらなる 拡張 さらなる 拡張
  13. 25 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. ビルに導入する場合によく提供している機能

    1. ビルモニタリングにおいて定義したSLI 共通 会員向け検索予約 契約‧会員管理 決済エンジン 請求‧⼊⾦管理 スマートロック 受付 顔認証 スマートロッカー 混雑判定 スマートロック 受付 顔認証 制御盤連携 会議室予約 位置検知 スマートロッカー 混雑判定 BACNet連携 座席予約 稼働率レポート マルチテナント エレベーター ビル総合受付 会員向け検索予約 契約‧会員管理 決済エンジン 請求‧⼊⾦管理 スマートロック 受付 顔認証 制御盤連携 会議室予約 位置検知 スマートロッカー 混雑判定 BACNet連携 座席予約 稼働率レポート マルチテナント エレベーター ビル総合受付 個室ブース運営 パブリックアカウント 地図で検索 ⽬的で検索 正式提供開始 フレキシブルオフィス オフィステナント テンポラリーユース ビル(オーナー) さらなる 拡張 さらなる 拡張
  14. 26 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. 1.

    ビルモニタリングにおいて定義したSLI 多様な機能群から、SLIとして定義したい体験・機能を整理 今回は、フラッパーゲート 及び ビル共用部→テナント専有部への顔・QR認証による出入りを選定 「テナント専有部」への出入り フラッパーゲートなど 「ビルエントランス」の出入り 業務開始
  15. 27 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. 選定した体験フローをベースに、顔認証成功率/QR認証成功率の2つのSLIを定義

    1. ビルモニタリングにおいて定義したSLI 顔認証成功率 認証後、カギまたは扉が開いた回数/ 認証端末に顔をかざした回数 QR認証成功率 認証後、カギまたは扉が開いた回数/ 認証端末にQRをかざした回数 ※補足:出入りの体験の気持ちよさとして、認証→ 解施錠にかかった時間もSLIとして計測してます。 が、単純化のため本発表では割愛しています 「テナント専有部」への出入り フラッパーゲートなど 「ビルエントランス」の出入り 業務開始
  16. 29 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. 2.

    ビルモニタリングで得られた5つのTips
  17. 30 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. 本題に行く前に、、、このTipsで伝えたいこと

    2. ビルモニタリングで得られた5つのTips 【To SREの皆さん】 サービス特性に応じてSLI/SLOの設計や運用はチューニングの余地があるのでは? 【To フィジカル×デジタルなサービスに従事するSREの皆さん】 難しさはあるが、工夫次第でSLI/SLOの運用は可能
  18. 31 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. Tips1

    CUJ(Critical User Journey)は普遍である 設計
  19. 32 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. ビルモニタリングの課題:多様な機能が内包され、どの機能も重要かつ監視しがいがあり、監視指標の

    選定が難しい 1. CUJ(Critical User Journey)は普遍である 共通 会員向け検索予約 契約‧会員管理 決済エンジン 請求‧⼊⾦管理 スマートロック 受付 顔認証 スマートロッカー 混雑判定 スマートロック 受付 顔認証 制御盤連携 会議室予約 位置検知 スマートロッカー 混雑判定 BACNet連携 座席予約 稼働率レポート マルチテナント エレベーター ビル総合受付 会員向け検索予約 契約‧会員管理 決済エンジン 請求‧⼊⾦管理 スマートロック 受付 顔認証 制御盤連携 会議室予約 位置検知 スマートロッカー 混雑判定 BACNet連携 座席予約 稼働率レポート マルチテナント エレベーター ビル総合受付 個室ブース運営 パブリックアカウント 地図で検索 ⽬的で検索 正式提供開始 フレキシブルオフィス オフィステナント テンポラリーユース ビル(オーナー) さらなる 拡張 さらなる 拡張
  20. 33 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. 解決策:CUJ(Critical

    User Journey)を整理すること。開発者視点では監視すべき体験の目線合わせが ができる。そして、それは自然とユーザのコア体験の信頼性の定義となるというメリットを持つ 1. CUJ(Critical User Journey)は普遍である 「テナント専有部」への出入り フラッパーゲートなど 「ビルエントランス」の出入り 業務開始
  21. 34 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. ユーザー⇔システムの詳細なフロー図を整理することで、フィジカル特有の誤動作や例外を洗い出し、

    より堅牢なSLIの定義 や ログ設計が可能になる 1. CUJ(Critical User Journey)は普遍である ログ設計・実装→計測へ ユーザの目的は達成できてないが、 あえて成功にしたい動作もリストアップ 詳細フロー ※登壇用に簡略化しています 誤動作や例外を考慮したより堅牢なSLIの算出式
  22. 35 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. Tips1のまとめ

    1. CUJ(Critical User Journey)は普遍である CUJを整理することで、目線の揃った監視指標を定義できる これは”フィジカル”と”デジタル”にまたがるサービスにおいても普遍 更に詳細な体験と処理のフローを整理することで、より堅牢なSLIを定義できる ”デジタル”だけで完結するサービスでも、多様な機能を内包していたり、 外部システムとの連携が絡むなど、複雑性の高いシステムの場合などでは有用
  23. 36 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. モノも含めたSLI設計の難しさ:

    前提となる「モノ」の監視は見落としがち 設計 Tips2
  24. 37 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. 今回定義したCUJとSLI(再掲)

    2. モノも含めたSLI設計の難しさ:前提となる「モノ」の監視は見落としがち 顔認証成功率 認証後、カギまたは扉が開いた回数/ 認証端末に顔をかざした回数 QR認証成功率 認証後、カギまたは扉が開いた回数/ 認証端末にQRをかざした回数 「テナント専有部」への出入り フラッパーゲートなど 「ビルエントランス」の出入り 業務開始
  25. 38 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. iPadの電源が落ちている

    このSLIは実は見落としがあり、そもそも顔・QRを端末にかざせなくなる状況が考慮されていない アプリが落ちている ビル制御システムと疎通できてない ためメンテナンスモードに 2. モノも含めたSLI設計の難しさ:前提となる「モノ」の監視は見落としがち
  26. 39 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. iPadの電源が落ちている

    ユーザ体験を考えた時に、体験の前提となる「モノ」の状態の監視が必要になってくる アプリが落ちている ビル制御システムと疎通できてない ためメンテナンスモードに 2. モノも含めたSLI設計の難しさ:前提となる「モノ」の監視は見落としがち
  27. 40 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. 弊社では、物理デバイスの死活監視、物理デバイス間の連携に関するSLIを定めて監視している

    死活監視 SLI:ビル制御システムとの疎通率 2. モノも含めたSLI設計の難しさ:前提となる「モノ」の監視は見落としがち iPadの電源が落ちている アプリが落ちている ビル制御システムと疎通できてない ためメンテナンスモードに
  28. 41 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. モノを監視するSLIはclient側からbackendに一定間隔でheartbeatを飛ばし続けることで実現

    2. モノも含めたSLI設計の難しさ:前提となる「モノ」の監視は見落としがち Cloud Run Pub/Sub heartbeat
  29. 42 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. Tips2のまとめ

    “フィジカル”がまたがるサービスにおいては、モノが動いているか?といった、 体験の前提となる状況が満たされているかも、サービスレベルを定義できると良い 上記は体験のサービスレベルとは分けて定義・計測するとシンプル 2. モノも含めたSLI設計の難しさ:前提となる「モノ」の監視は見落としがち
  30. 43 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. Tips3

    DatadogでのID単位のSLO監視は、SLOベースのMonitor ではなくMetricベースのMonitorで実現 計測 ツール
  31. 44 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. 前提:弊社が利用しているDatadogにはSLOsというサービスが存在しており、SLI/SLOの設定と

    Monitor(アラート)設定を行うことができる 3. DatadogでのID単位のSLO監視は、SLOベースのMonitorではなくMetricベースのMonitorで実現 Datadog公式ドキュメントより
  32. 45 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. 前提:ビルモニタリングの特性

    3. DatadogでのID単位のSLO監視は、SLOベースのMonitorではなくMetricベースのMonitorで実現 SLIの低下要因
  33. 46 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. 前提:ビルモニタリングの特性

    3. DatadogでのID単位のSLO監視は、SLOベースのMonitorではなくMetricベースのMonitorで実現 機能単位やシステム全体でSLIが下 がることは稀 SLIの低下要因 ビルモニタリングの特性
  34. 47 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. 前提:ビルモニタリングの特性

    3. DatadogでのID単位のSLO監視は、SLOベースのMonitorではなくMetricベースのMonitorで実現 機能単位やシステム全体でSLIが下 がることは稀 ↓ ビルや出入り口の単位で成功率が下 がったり、元々低かったりする傾向 がある SLIの低下要因 ビルモニタリングの特性
  35. 48 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. 前提:ビルモニタリングの特性

    3. DatadogでのID単位のSLO監視は、SLOベースのMonitorではなくMetricベースのMonitorで実現 機能単位やシステム全体でSLIが下 がることは稀 ↓ ビルや出入り口の単位で成功率が下 がったり、元々低かったりする傾向 がある ↓ ビルという単位でSLOを割った際に アラートを設定したい SLIの低下要因 ビルモニタリングの特性
  36. 49 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. SLOsの導線で設定したMonitorでは、指標全体の監視はできるが、ID単位(Group単位)のアラート通知

    が設定できなかった(2025 H1時点 登壇者調べ) 3. DatadogでのID単位のSLO監視は、SLOベースのMonitorではなくMetricベースのMonitorで実現 Datadog公式ドキュメントより
  37. 50 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. MetricベースのMonitorを採用し、ビルID単位でのSLO監視を実現し対処

    3. DatadogでのID単位のSLO監視は、SLOベースのMonitorではなくMetricベースのMonitorで実現 Monitors > New Monitor > Metricを選択 Aggregation > Multi Alert設定をすることでID(Group) 単位でのアラート設定が可能
  38. 51 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. ハマりポイント:7日間レンジのSLIを計測した際に、Metricの計測タイミングの仕様?に影響されて、

    意図した計算結果に中々ならなかった... 3. DatadogでのID単位のSLO監視は、SLOベースのMonitorではなくMetricベースのMonitorで実現 - Monitorを用いた代替運用の紹介:moving_rollback, with lookback, Evaluation Details などの設定 今回は試行錯誤の結果、moving_rollup関数を設定 / 過去10分間の平均値で評価 / 「as rate」を採用し計測を安定化
  39. 52 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. Tips3のまとめ

    3. DatadogでのID単位のSLO監視は、SLOベースのMonitorではなくMetricベースのMonitorで実現 ID単位でSLOを監視したい場合は、MetricベースのMonitorを使おう (SLOsベースでもできるようにしてほしいけど・・・) Datadog Monitorの仕組みを理解して意図通りの計測するとより堅牢なSLIになる
  40. 53 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. Tips4

    「SLOを毀損したら、初手SREまたは開発チームが動く」 は本当に正解か? 運用 組織
  41. 54 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. ビルモニタリングの特性(運用編)

    4. 「SLOを毀損したら、初手SREまたは開発チームが動く」は本当に正解か? SLIの低下要因
  42. 55 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. ビルモニタリングの特性(運用編)

    4. 「SLOを毀損したら、初手SREまたは開発チームが動く」は本当に正解か? ①どのトビラでSLIが下がっている か把握し、使われ方や設置環境を思 い出す SLIの低下要因 SLIが下がったときの調査
  43. 56 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. ビルモニタリングの特性(運用編)

    4. 「SLOを毀損したら、初手SREまたは開発チームが動く」は本当に正解か? ①どのトビラでSLIが下がっている か把握し、使われ方や設置環境を思 い出す ↓ ②現地環境を直接確認 or お客様に 確認後、改善アクションを実施 認証成功率の低下要因 SLIが下がったときの調査
  44. 57 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. ビルモニタリングの特性(運用編)

    4. 「SLOを毀損したら、初手SREまたは開発チームが動く」は本当に正解か? ①どのトビラでSLIが下がっている か把握し、使われ方や設置環境を思 い出す ↓ ②現地環境を直接確認 or お客様に 確認後、改善アクションを実施 🗣 調査者「現地行って電波強度を測定してきま す!」 ※もちろん施工時に検査するが、それでも調整が入ることがある 🗣 調査者「実は計画停電だったので問題ないやつ でした」 🗣 調査者「なんかQRコードがずっと映り込んで たりしませんか?」 ※流石にログを改善したので今は失敗扱いされないが、過去何度かあったケース 認証成功率の低下要因 SLIが下がったときの調査
  45. 58 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. ビルモニタリングの特性(運用編)

    4. 「SLOを毀損したら、初手SREまたは開発チームが動く」は本当に正解か? 認証成功率の低下要因 SLIが下がったときの調査 初手の調査内容はフィジカル側に寄る ①どのトビラでSLIが下がっている か把握し、使われ方や設置環境を思 い出す ↓ ②現地環境を直接確認 or お客様に 確認後、改善アクションを実施 🗣 調査者「現地行って電波強度を測定してきま す!」 ※もちろん施工時に検査するが、それでも調整が入ることがある 🗣 調査者「実は計画停電だったので問題ないやつ でした」 🗣 調査者「なんかQRコードがずっと映り込んで たりしませんか?」 ※流石にログを改善したので今は失敗扱いされないが、過去何度かあったケース
  46. 59 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. ビルモニタリングの特性(運用編)

    4. 「SLOを毀損したら、初手SREまたは開発チームが動く」は本当に正解か? 認証成功率の低下要因 これらは初手 開発者が調査するのが効率的だろうか? ①どのトビラでSLIが下がっている か把握し、使われ方や設置環境を思 い出す ↓ ②現地環境を直接確認 or お客様に 確認後、改善アクションを実施 🗣 調査者「現地行って電波強度を測定してきま す!」 ※もちろん施工時に検査するが、それでも調整が入ることがある 🗣 調査者「実は計画停電だったので問題ないやつ でした」 🗣 調査者「なんかQRコードがずっと映り込んで たりしませんか?」 ※流石にログを改善したので今は失敗扱いされないが、過去何度かあったケース SLIが下がったときの調査
  47. 60 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. ビルモニタリングの特性(運用編)

    4. 「SLOを毀損したら、初手SREまたは開発チームが動く」は本当に正解か? 認証成功率の低下要因 SLIが下がったときの調査 NOですよね ①どのトビラでSLIが下がっている か把握し、使われ方や設置環境を思 い出す ↓ ②現地環境を直接確認 or お客様に 確認後、改善アクションを実施 🗣 調査者「現地行って電波強度を測定してきま す!」 ※もちろん施工時に検査するが、それでも調整が入ることがある 🗣 調査者「実は計画停電だったので問題ないやつ でした」 🗣 調査者「なんかQRコードがずっと映り込んで たりしませんか?」 ※流石にログを改善したので今は失敗扱いされないが、過去何度かあったケース
  48. 62 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. Tips4のまとめ

    4. 「SLOを毀損したら、初手SREまたは開発チームが動く」は本当に正解か? ※補足①:一方でObservabilityの向上 や ドメイン知識獲得のための工夫 を突き詰めるという方向性もアリだと思う ※補足②:もちろんビットキーにも、APIのエラー率など開発者やSREが主導して対応するSLOも多々ある ビルモニタリングの例のように、サービスやプロダクトの特性によっては、 初手の調査対応の適任者が開発者やSREではないケースがありそう そういった場合、柔軟にSLOの運用フローを再構築するのも選択肢として取りうる
  49. 63 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. Tips5

    CSを巻き込んだSLO運用のポイント ツール 運用 組織
  50. 64 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. 弊社の”ビルモニタリング”においてはCSが初手の調査対応を担っている。

    このフローには、いくつか定着のための工夫ポイントがあるため紹介していく 5. CSを巻き込んだSLO運用のポイント
  51. 65 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. 工夫ポイント①:経験上、運用の定着には既存の業務に寄り添うことが肝要。

    CSも含むインシデント対応に活用されていたWaroomとSlackを中心としたアーキテクチャを採用 5. CSを巻き込んだSLO運用のポイント
  52. 68 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. 工夫ポイント③:ダッシュボードでは、見る人の認知負荷を考慮しSummary

    > Transition > Detailと いうレイアウトを意識 5. CSを巻き込んだSLO運用のポイント
  53. 69 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. 工夫ポイント③:ダッシュボードでは、見る人の認知負荷を考慮しSummary

    > Transition > Detailと いうレイアウトを意識 5. CSを巻き込んだSLO運用のポイント Summary (ぱっと見たい情報) Title Filter Transition (時系列の分析軸) Detail (その他の分析軸) 構成 ビルモニタリングダッシュボード(イメージ) ※Datadogはカードに時系列グラフを 重ねられるので、それで表現 ログ一覧や補 足的な時系列 情報を可視化
  54. 70 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. Tips5のまとめ

    5. CSを巻き込んだSLO運用のポイント 運用の定着には、その主体となる人の既存の業務フローに寄り添うことが肝要 (Waroom × Slackを中心としたアーキテクチャ) 開発者が慣れているツールを運用に使う場合、 どう使ってほしいかをガイドしてあげることが定着を助ける (Waroom Runbook機能、Datadogダッシュボードの統一的なレイアウト)
  55. 72 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. 1

    CUJは普遍か? CUJはフィジカル領域が絡むサービスでも有用でした。特に複雑なサービスにおいては普遍と思われます 2 SLIは体験の計測のみで十分か? フィジカル領域が絡むサービスの場合、必要に応じて前提となる「モノ」や「状態」も監視しましょう 3 DatadogでのSLOの監視はDatadog SLOsを用いればよいか? 現状はビル単位のようなID単位でアラートを通知したい場合は、Datadog Monitorを使う必要があります 4 「SLOを毀損したら、初手SREまたは開発チームが動く」は本当に正解か? サービスの特性に応じて、柔軟にSLO運用フローを構築するのも選択肢として取りうるのではと考えてます 5 SLO運用が定着するには? 最後に次のスライド以降で語ろうと思います... Conclusion
  56. 73 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. “SLOは単なるデータである

    ” * オライリー・ジャパン「 SLO サービスレベル目標」 の P15 より参照 Conclusion:SLO運用が定着するには?
  57. 74 Copyright © 2025 Bitkey Inc. All right reserved. “データ”(≒SLI/SLO)を作る際は、ユーザの動きや取り巻く状況に

    ディープダイブして、より有意義なデータを作りましょう ”データ”の定着という観点では、 “活用者”中心の運用設計やツール選定をすることを突き詰めましょう Conclusion:SLO運用が定着するには?