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【物流・医療・建設業向け】2024年問題パーフェクトガイド
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May 02, 2024
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【物流・医療・建設業向け】2024年問題パーフェクトガイド
2024年問題の基本情報や、業界別の「時間外労働上限規制」への対応方針についてまとめました。
freee
May 02, 2024
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2024年問題 パーフェクトガイド 2024 絶対にミスしないための 完全解説ブック 働き方改革を学ぶ入口! 物流・医療・建設業の不安に応える! 物流・医療・建設業の働き方改革関連法
INDEX ※ 本資料は2023年1月10日時点の情報をもとに作成しています 2024年問題とは 働き方改革の概要 03 05 36協定について 建設・運送・医師の「時間外労働上限規制」解説 1
2 08 2 罰則について 建設業 改正前 改正後 対応のキモ チェックポイント 物流・運送業(トラックドライバー) 改善基準告示の改正 拘束時間と休息期間 改善基準告示改正案①② 時間外上限規制との関係 対応のキモ チェックポイント 2024年問題とは? そもそも働き方改革とは? 日本の人口は減少し続けている 働き方改革の「三つの柱」 働き方改革のスケジュール 36協定と時間外労働の上限 法改正で36協定はこう変わった 労働時間の把握も義務化されている 先行適用された業界はどうなったか 1 1 1 2 1 7 医師 独自の上限規制 5区分の上限規制 対応のキモ チェックポイント 2 5 働き方改革対応事例 3 0 ①物流・運送業 ②建設業
9- 3 2024年問題とは? 2019年から始まった 「働き方改革」の一環で、時間外労働の上限規制が導入されました。 原則として時間外労働の上限は月45時間(1日約2時間)、年360時間とし、臨時的な特別の事情が なければこれを超えることはできない、と法律で定められました。 一方で、 「建設業・自動車運転の業務・医師及び鹿児島県・沖縄県における砂糖製造業」で は、労働環境の改善に時間がかかるとして、時間外労働の上限規制について、2024年3月31日
まで猶予が設けられました。 各業界は、様々なアクションをとり、2024年4月1日から始まった時間外労働の上限規制に 対応しなければなりません。 この一連の動きを 「2024年問題」と呼びます。 2024年問題とは
9- 4 そもそも働き方改革とは? 「働き方改革関連法案」とは、労働基準法や労働安全衛生法など各法の改正案を総称したもの です。 少子高齢化の流れに歯止めをかけ、50年後も人口1億人を維持し、誰もが活躍できる 「一億総活躍社会」を実現するため、労働各法を改正し、多様な働き方を選択可能とすること によって労働力の確保を図ることが狙いです。 働く人の置かれた個々の事情に応じ、 多様な働き方を選択できる社会を実現することで、
成長と分配の好循環を構築し、 働く人一人ひとりがより良い 将来の展望を持てるようにすることを目指す。 2024年問題とは 働く方々のニーズの多様化 少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少
9- 5 日本の人口は減少し続けている 2056年に人口が1億人を下回り、2059年には日本人の出生数が50万人を割る(49.6万人)。 15~64歳の生産年齢人口は、2070年に4,535万人予想(2020年の実績から 4割減、つまり3,000万人分の労働力が消失する見込み)。 人口減少がこのままのペ ー スで続くと、 今後の経済成長に
大きな影響を与えることは明らかです。 働き方改革の概要 総人口 1億2,615万人(1億2,340万人) 8,700万人(7,761万人) 高齢化率 28.6% 3.5人に1人 38.7% 2.6人に1人 生産年齢人口割合 59.5% (59.0%) 52.1%(49.7%) 人口に占める外国人の割合 2.2% 10.8% 出生数 87万3,000人(84万1,000人) 50万人(45万3,000人) 出生率 1.33 1.36 平均寿命 男 81.58年 女87.72年 男 85.89年 女91.94年 (注)2070年の数字は中位推計。各項目のカッコ内は日本人のみの数字。2020年の出生率は厚労省の人口勤労統計。 2020年 2070年
9- 6 働き方改革の「三つの柱」 働き方改革の概要 ①労働時間法制度の見直し(長時間労働の抑制) ・時間外労働の上限規制 ・年次有給休暇の取得義務付け ・労働時間把握の義務付け ②同一労働同一賃金(公平な賃金) ③多様で柔軟な働き方の実現
①②③の「三つの柱」で、労働生産性を向上させ、個々の従業員が多様な働き 方を選択できる労働環境作りを目指します。 そして誰もが生き生きと自分らしく働ける社会を実現し、労働力人口を保持 し、国力の低下を防ぐのが慟き方改革の目標です。
9- 7 働き方改革のスケジュール 働き方改革の概要 年次有給休暇5日の取得義務化 2019年4月より一律施行開始 フレックスタイム制度の拡充 勤務間インターバル制度の努力義務 高度プロフェッショナル制度の創設 産業医・産業保健機能の強化
時間外労働の上限規制 2019年4月 2020年4月 同一労働同一賃金 2020年4月 2021年4月 月60時間超の残業に対する割増 賃金率の引き上げ ー (2010年に施行済み) 2023年4月 働き方改革は、業種や規模ごとに一部開始時期に猶予を持たせて各施策が施行されて います。時間外労働の上限規制は、一般の業種では2019年から適用が開始されました が、建設・運送業・医師については、事業の特性などを考慮し、2023年4月まで適用が 猶予されました。 大企業の 施行開始時期 中小企業の 施行開始時期
9- 8 36協定と時間外労働の上限 36協定について 労働基準法では、労働時間の限度を 「1日8時間・1週40時間(法定労働時間)」と定めてい ます。法定労働時間を超えて働かせることは違法です。 ただし、使用者(会社)と従業員の代表の間で労使協定を締結し、所轄の労働基準監督署長 に届け出た場合、その協定で定めるところにより、時間外労働又は休日労働をさせること ができます。
労働基準法36条にこの決まりが書かれているため、「36(サブロク)協定」と呼びます。 労働時間・休日に関する原則 これを超えて労働をさせるには、 36協定の締結・届出が必要です。 法律で定められた労働時間の限度 1日8時間及び1週40時間 法律で定められた休日 毎週少なくとも1回又は4週4回以上
9- 9 法改正で36協定はこう変わった 36協定について 働き方改革による労働基準法の改正によって、法律上、36協定で定めることのできる時間 外労働の上限は、原則として「月45時間・年360時間」、そして臨時的な特別の事情が なければこれを超えることはできない、と定められました。違反した場合は、使用者に 「6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金」が課せられます。 特別条項 臨時的な特別の事情があって労使が同意する場合、原則(月45時間・年360時間)を超えて
働かせることができます。ただし、その場合でも下記の3つのルールを守らなければいけません。 ・時間外労働が年720時間以内 ・時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満 ・時間外労働と休日労働の合計について、「2か月~6か月平均」が全て1か月あたり80時間以内 ・原則の月45時間を超えて労働させることができる回数は、年6か月まで 上限規制のイメージ 改正前 改正後 上限なし (年6か月まで) 大臣告示による上限 (行政指導) ✓月45時間 ✓年360時間 (建設業については上限なし) 1年間=12か月 1年間=12か月 法律による上限 (原則) ✓月45時間 ✓年360時間 法律による上限 (特別条項/年6か月まで) ✓年720時間 ✓複数月平均80時間* ✓月100時間未満* *休日労働を含む 法定労働時間 ✓1日8時間 ✓週40時間
9- 10 労働時間の把握も義務化されている 36協定について 働き方改革による労働安全衛生法の改正で、 「労働時間の状況を客観的に把握する」 ことが、企業に新しく義務付けられています。残業代の支給対象外である「管理監督者」や 「みなし労働時間制が適用される労働者」を含む、すべての労働者が対象となっていること に注意が必要です。 適正な把握例
使用者は、労働者の労働日ごとの始業終業時刻を確認し、記録すること。 使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。 タイムカ ー ド、ICカ ー ド、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を 基礎として確認し、適正に記録すること。 労働者の自己申告により把握した労働時間が 実際の労働時間と合致しているか否かについて、 必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。 使用者は、労働者ごとに、労働日数、労働時間数、休日労働時間数、 時間外労働時間数、深夜労働時間数を適正に記入しなければならない。 (賃金台帳の適正な調製が求められている。) ✓ ✓ ✓ ✓ ✓
9- 11 先行適用された業界はどうなったか 罰則について 事例 1 2022年3月、某大手コンサルファーム(従業員数18,000人)の労務担当シニアマネージャー が、従業員に違法な時間外労働をさせたとして、法人と共に書類送検されました。 厚生労働省の精鋭集団「かとく」、が2017年以来の大物を仕留めたと話題になりました。 ※かとく:厚生労働省の「過重労働撲滅特別対策班」。2015年4月に東京労働局と大阪労働局に設置され、
ITに精通したベテランの労働基準監督官で構成されている。 嗚り物入りで始まった働き方改革に対する「効果検証」が始まっています。 法改正によって設けられた「罰則(6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金)」が どのように発動されるか、注目度が高まっています。 事例 2 2021年7月には、時間外労働の上限規制違反で全国初の送検事例が発生し、社名が公表 されました。また、年次有給休暇の5日取得義務化の違反に対する送検事例も発生してい ます。 法の履行が確保されているか、国民の目が光っているため、 国(労働局や労働基準監督署)としても積極的に動かざるを得ない状況です。 法違反に対しては大企業・中小企業にかかわらず、 摘発対象となる可能性があることを踏まえて労働させる必要があります。
建設業 建設・運送・医師の 「時間外労働上限規制」解説
9- 13 改正前 建設・運送・医師の「時間外労働上限規制」解説 もともと働き方改革の施行前は、法律による規制の代わりに「労働基準法第36条第1項の 協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(通称、時間外限度基準)」が告示され、 この基準が上限等を定めていたのですが、建設業はこの時間外限度基準による行政指導の 対象にすらなっていませんでした。 つまり、法改正前に一般企業に用いられていた「時間外限度基準」すら適用 外であった状態から、一足飛びに法律による上限規制が設けられることにな
ります。 労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長の限度等に 関する基準(時間外労働の限度に関する基準。平成10年労働省告示第154号) (適用除外) 第五条 次に掲げる事業又は業務に係る時間外労働協定については、 前二条の規定(第四号に掲げる事業又は業務に係る時間外労働協定については、 厚生労働省労働基準局長が指定する範囲に限る。)は適用しない。 ー 工作物の建設等の事業 二 自動車の運転の業務 三 新技術、新商品等の研究開発の業務 四 季節的要因等により事業活動若しくは業務量の変動が著しい事業 若しくは業務又は公益上の必要により集中的な作業が必要とされる業務として 厚生労働省労働基準局長が指定するもの 建設業
9- 14 改正後 建設・運送・医師の「時間外労働上限規制」解説 「災害の復旧・復興の事業」を除き、上限規制がすべて適用されます。 災害の復旧・復興の事業に関しては、時間外労働と休日労働の合計について、 「月100時 間未満/複数月平均80時間以内」とする規制は適用されません。 上限規制のイメージ 改正前
改正後 上限なし (年6か月まで) 大臣告示による上限 (行政指導) ✓月45時間 ✓年360時間 (建設業について上限なし) 1年間=12か月 1年間=12か月 法律による上限 (原則) ✓月45時間 ✓年360時間 法律による上限 (特別条項/年6か月まで) ✓年720時間 ✓複数月平均80時間* ✓月100時間未満* *休日労働を含む 法定労働時間 ✓1日8時間 ✓週40時間 つまり基本的には一般の他業種と変わらない!! 建設業
9- 15 対応のキモ 建設・運送・医師の「時間外労働上限規制」解説 現場が複数になることも多いので、リアルタイムで把握できるよう、クラウド型の 勤怠管理システムを導入することがおススメです。 まずは自社の労働者の労働時間が どのくらいになっているのか現状を把握する。 労働時間の定義は法律上では書かれていないため、厚生労働省の「労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(通称、労働時間ガイドライン)」な
どを参考にします。たとえば移動時間は通常、労働時間には該当しませんが、いったん事 業場に立ち寄って工具や材料を車に積んでから現場に向かう場合などは、その移動時間は 労働時間にあたると考えられます。また作業前の準備体操や指示による待機時間(手待ち時 間)、参加が義務付けられている研修の受講時間も労働時間に該当します。 あいまいになりがちな「労働時間」をしっかり定義する。 建設業の最大の問題は人材不足といわれています。時間外労働の上限規制適用が猶予され ていたのも、この事情ゆえですが、もはや待ったはききません。人材確保・育成のために も、上記取り組みを早急に進める必要があります。 所定労働時間の見直しや、 週休2日制の導入、年次有給休暇の取得促進に取り組む。 建設業現場に対する労働基準監督署の監督業務(調査)は、毎年、45,000件程度で推移してい ます。時間外労働上限規制の適用開始前からすでに、労働時間や労働条件について厳しい 指摘がなされていることを踏まえ、対策に臨む姿勢が重要です。特に現場のトップ(所長) の意識向上・教育が重要です。 建設業は「監督署調査の対象になりやすい」ことを念頭に置く。 1 2 3 4 建設業
9- 16 チェックポイント 建設・運送・医師の「時間外労働上限規制」解説 勤怠管理を正確に行うことにより、長時間労働に陥りそうな従業員を早期発見できる。 正確な勤怠管理が必要 労働時間と非労働時間の違いを見える化(ル ール作り) クラウド型勤怠管理での正確な勤怠管理 業務を可視化して、誰が何をしているか、どの業務がどこまで進んでいるか
などについて、誰でも把握しやすい環境を目指す ✓ ✓ ✓ ・残業時間の自動集計 ・勤怠の確認機能(労働時間、在社時間で後々トラブルにならない) ・長時間労働従業員がリアルタイムで把握でき、事前に対策を取りやすい ・事業所が多いところでも、リアルタイムで情報が見られる(一元化されている) クラウド型勤怠管理のメリット 建設業
物流・運送業 建設・運送・医師の 「時間外労働上限規制」解説 (トラックドライバー)
9- 18 改善基準告示の改正 運送業者は、労働基準法に加え、厚生労働省の「改善基準告示(自動車運転者の労働 時間等の改善のための基準)」を守る必要があります。拘束時間や運転時間、休息期間 について独自のルールが設けられています。 ※タクシー・ バス・ トラックの業態の違いによって基準の違いはありますが、本稿は主にトラックについて取り 上げます。
2024年4月から適用される「改善基準告示」改正案は、拘束時間が短縮され、休息期間が 延長されているのが特徴です。トラックの場合、年間拘束時間は現行の3,516時間から 3,300時間に短縮され、1か月の拘束時間は現行の293時間から284時間に短縮されました。 休息期間は、現行の「8時間以上」から、「継続11時間以上の休息期間を努力義務として、 9時間を下回らない」という規定に改められます。 改善基準告示違反に対する懲役や罰金など、直接的な罰則はありません。しかし、国土交 通省の監査や労働基準監督署の監督業務(調査)において違反が見つかった場合、行政 処分を受けることがあります。また社名公表などの可能性もあります。 建設・運送・医師の「時間外労働上限規制」解説 物流・運送業
9- 19 労働時間と休憩時間(仮眠時間を含む)の合計時間、すなわち、始業時刻から終業時刻ま での使用者に拘束されるすべての時間をいいます。 拘束時間 使用者の拘束を受けない期間、つまり、勤務と次の勤務との間にあって、休息期間の直前 の拘束時間における疲労の回復を図るとともに、睡眠時間を含む労働者の生活時間とし て、その処分が労働者の全く自由な判断に委ねられる時間をいいます。休憩時間や仮眠 時間等とは本質的に異なるものです。 休息期間
✓ ✓ 9- 拘束時間と休息期間 建設・運送・医師の「時間外労働上限規制」解説 物流・運送業 休息期間 休息期間 拘束時間 労働時間 作業時間 手持ち時間 休憩時間 (時間外労働、 休日労働を含む) (運転・整備・荷扱い等) (荷待ち等) (仮眠時間を含む) 終業 始業 終業 始業
9- 9- 改善基準告示改正案① 建設・運送・医師の「時間外労働上限規制」解説 物流・運送業 【例外】労使協定により、次のとおり延長可(12を満たす必要あり) 1年:3,400時間以内 1か月:310時間以内(年6か月まで) ①284時間超は連続3か月まで ②1か月の時間外・休日労働時間数が100時間未満となるよう努める
1年:3,300時間以内 1か月:284時間以内 【例外】宿泊を伴う長距離貨物運送の場合(※1)、16時間まで延長可(週2回まで) ※1:1週間における運行がすべて長距離貨物運送(一の運行の走行距離が450km以上の貨物運送)で、 ーの運行における休息期間が住所地以外の場所におけるものである場合 13時間以内(上限15時間、14時間超は週2回までが目安) 【例外】宿泊を伴う長距離貨物運送の場合(※1)、継続8時間以上(週2回まで) 休息期間のいずれかが9時間を下回る場合は、運行終了後に継続12時間以上の休息期間を与える 継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、9時間を下回らない 2日平均1日:9時間以内 2週平均1週:44時間以内 運転の中断時には、原則として休憩を与える(1回おおむね連続10分以上、合計30分以上) 10分未満の運転の中断は、3回以上連続しない 【例外】SA•PA等に駐停車できないことにより、やむを得ず4時間を超える場合、4時間30分まで延長可 4時間以内 ※2:予期し得ない事象とは、次の事象をいう。 ・運転中に乗務している車両が予期せず故障したこと ・運転中に予期せず乗船予定のフェリ ーが欠航したこと ・運転中に災害や事故の発生に伴い、道路が封鎖されたこと又は道路が渋滞したこと ・異常気象(警報発表時)に遭遇し、運転中に正常な運行が困難となったこと ※3:運転日報上の記録に加え、客観的な記録(公的機関のHP情報等)が必要。 予期し得ない事象への対応時間を、1日の拘束時間、運転時間(2日平均)、 連続運転時間から除くことができる(※2,3) 勤務終了後、通常どおりの休息期間(継続11時間以上を基本、9時間を下回らない)を与える 1年、1か月の 拘束時間 1日の拘束時間 1日の休息期間 運転時間 連続運転時間 予期し得ない 事象 20
9- 9- 改善基準告示改正案② 建設・運送・医師の「時間外労働上限規制」解説 ・分割休息は1回3時間以上 ・休息期間の合計は、2分割:10時間以上、3分割:12時間以上 ・3分割が連続しないよう努める ・一定期間(1か月程度)における全勤務回数の2分の1が限度 分割休息(継続9時間の休息期間を与えることが困難な場合) 【例外】設備(車両内ベッド)が(※4)の要件を満たす場合、次のとおり、拘束時間をさらに延長可
・拘束時間を24時間まで延長可(ただし、運行終了後、継続11時間以上の休息期間を与えることが必要) ・さらに、8時間以上の仮眠時間を与える場合、拘束時間を28時間まで延長可 ※4:車両内ベッドが、長さ198cm以上、かつ、幅80cm以上の連続した平面であり、かつ、 クッション材等により走行中の路面等からの衝撃が緩和されるものであること 2人乗務(自動車運転者が同時に1台の自動車に2人以上乗務する場合) 隔日勤務(業務の必要上やむを得ない場合) ・フェリー乗船時間は、原則として休息期間(減算後の休息期間は、 フェリー下船時刻から勤務終了時刻までの間の時間の2分の1を下回ってはならない) ・フェリー乗船時間が8時間を超える場合、原則としてフェリ ー下船時刻から 次の勤務が開始される フェリー 休日労働 特例 身体を伸ばして休息できる設備がある場合、 拘束時間を20時間まで延長し、休息期間を4時間まで短縮可 2暦日の拘束時間は21時間、休息期間は20時間 【例外】仮眠施設で夜間4時間以上の仮眠を与える場合、2暦日の拘束時間を24時間まで延長可(2週間に3回まで) 2週間の拘束時間は126時間(21時間×6勤務)を超えることができない 休日労働は2週間に1回を超えない、 休日労働によって拘束時間の上限を超えない 物流・運送業 21
22 時間外上限規制との関係 働き方改革により、2024年4月から自動車運転者に対し適用される時間外労働の規制は、 「年間960時間」の上限のみであり、「月100時間未満」「複数月平均80時間以内」とする 規制は適用されません。 また、時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月まで(年6回まで)とする 規制も適用されません。 上記の適用除外ルールはあくまで「自動車運転者」のみを対象としているため、運行管理者 や事務員などの運転者以外については、通常どおりの規制が適用されることに注意です。 労働基準法と改善基準告示、双方の基準を踏まえると、トラック運転者の実質的
な時間外労働の上限は、「1日6時間(長距離貨物運送の場合7時間)、1か月89時間 (労使協定締結の場合は115時間)」となります。 建設・運送・医師の「時間外労働上限規制」解説 物流・運送業
9- 23 改善基準告示が設けられているため、他業種より厳しいルールを適用されるのが 運送業です。他業種と同様、労働時間の見える化を図り、適正な労働時間管理を行う という意識醸成が欠かせません。そのためにはデジタコやドラレコにくわえ、リアル タイムで把握できるクラウド勤怠管理システムの導入が欠かせません。 労働時間を適正に把握する 1 9- 対応のキモ
建設・運送・医師の「時間外労働上限規制」解説 物流・運送業 まずは運転時間以外の時間を極力減らすことが第一。道に迷う、遠回りなどの非効率 な事態をできるだけ減らし、高速を利用するなど効率的な走行ルー トを設定しま しょう。また、長時間労働により法令順守ができていない場合、荷主が労 働基準監督署による勧告の対象となり得ることを伝え、荷主との交渉を 試みることも重要です。 待機時間や荷役時間の削減 2
9- 24 運送業では、拘束時間・運転時間・休息期間などを細かく管理する必要があるため、 人事労務担当者の作業が複雑化する傾向が強いです。また、運転者の拘束時間の内訳 が見えにくければ、不正打刻なども起こりがちです。作業効率化を図り、入カ・申請 作業などを簡略化することが、時間外労働削減の重要ポイントです。 9- チェックポイント 建設・運送・医師の「時間外労働上限規制」解説 物流・運送業
クラウド型勤怠管理で正確な勤怠管理を行う システム導入、IT化で人事労務担当者の作業効率化を図る まずは労働基準法と改善基準告示の内容をしっかり把握し、 運転時間以外の時間の削減を試みる ✓ ✓ ✓
医師 建設・運送・医師の 「時間外労働上限規制」解説
9- 26 独自の上限規制 医師については、救急医療の必要性や研修実施の観点から、長らく長時間労働が黙認さ れてきました。しかし近年、過重労働を起因とした労災事故が相次ぎ、労働環境の見直し を求める声が上がっています。また医療事故やヒヤリハット経験の発生割合は、勤務時間 が長くなるほど上昇することが分かっています。 2024年4月からは、医師についても、原則の時間外労働上限規制が適用されます(月45時 間以内・年360時間以内)。ただし、一般の業種とは異なる点があります。 医療機関において様々な医師の労働時間短縮の取り組みが行われたとしても、以下のよ
うに、やむを得ず高い上限時間を適用する医療機関があります。 その医療機関が所在する地域の医療提供体制を確保するため「B水準」 その医療機関が医師の派遣を通じてその地域の医療提供体制を確保するため「連携B水準」 技能の修得・向上を集中的に行わせるため「C-l・C-2水準」 時間外・休日労働時間が年960時間をやむを得ず超えてしまう場合には、都道府県が、 地域の医療提供体制に照らし、各医療機関の労務管理体制を確認した上で、医療機関の指定を 行うことで、その上限を年1,860時間とできる枠組みが設けられます。 建設・運送・医師の「時間外労働上限規制」解説 医師
9- 27 5区分の上限規制 ※A水準以外の各水準は、指定を受けた医療機関に所属する全ての医師に適用されるのではなく、 指定される事由となった業務やプログラム等に従事する医師にのみ適用される。所属する医師に 異なる水準を適用させるためには、医療機関はそれぞれの水準についての指定を受ける必要がある。 建設・運送・医師の「時間外労働上限規制」解説 A(一般労働者と同程度) 960時間 義務
努力義務 連携B(医師を派遣する病院) 1,860時間 (各院では960時間) 義務 B(救急医療等) 1,860時間 C-1 (臨床・専門研修) 1,860時間 C-2(高度技能の修得研修) 医療機関に適用する水準 年の上限時間 面接指導 休息時間の確保 原則は 「A水準」として月45時間、年360時間の時間外労働上限規制が適用されますが、 地域医療の確保や集中的な研修実施の観点からやむを得ず、高い上限時間を適用する医 療機関を、「B水準」「C水準」として、都道府県が指定します(特定労務管理対象機関と 呼びます)。いずれの水準においても、月100時間以上時間外勤務する場合、面接指導を 実施することが義務付けられています。 医師
9- 28 一般的に、医師は高い質の医療を追求する一方で、細かな勤怠管理を好まない方が 多い傾向にあります。しかし、労災事故などを防ぐためにも今や細かな労務管理は 欠かせません。労務に対する意識の醸成が不可欠です。 労働時間把握の意識づけ 1 9- 対応のキモ 建設・運送・医師の「時間外労働上限規制」解説
労働基準法では、常態としてほとんど労働することがなく、労働時間規制を適用しな くとも必ずしも労働者保護に欠けることのない宿直又は日直の勤務で断続的な業務 (例えば、いわゆる「寝当直」に当たるような業務)については、労働基準監督署長の 許可を受けた場合に労働時間規制を適用除外とすることを定めています(宿日直許 可)。働き方改革の全面施行に向けて、医療機関へ医師を派遣する大学医局が、宿日 直の許可を条件とする動きが出ています。 宿日直制度の許可申請 2 厚生労働省も医師の労働時間削減のため、タスクの積極的なシェア・シフトを奨励 しています。医師の配置見直しや、ICT等の活用を図りましょう。勤務間インターバ ル制度の導入も効果的です。 医療を一人の医師に背負わせない 3 医師
9- 29 医師に対する時間外労働上限規制の適用が注目されていますが、共に働くコメディカル や事務職員に対しても時間外労働上限規制が適用されていることをお忘れなく。多忙な 医師・ コメディカル ・ 医療事務その他の職員が、心身の健康を維持しながら医療に取 り組むことができるよう、労務管理に力を入れていくことがこれからの医療機関の課題 です。
9- チェックポイント 建設・運送・医師の「時間外労働上限規制」解説 医師のタスクのシェア・シフトに努める (例:医師事務作業補助業務の従事者による医療文書の作成等) システム導入、IT化で人事労務担当者の作業効率化を図る 必要な場合、宿日直許可の許可申請を行う ✓ ✓ ✓ 変形労働時間制度などを活用する ✓ 副業・兼業の制度整備 ✓ 医師
9- 30 物流・運送業 2024年問題に向けて社長をリーダーとするプロジェクトチームを結成し、解決に取り組む。 まずは労働時間の実態把握を行った。長時間労働になりがちなドライバーをピックアップ し、走行ルー トや運転方法の見直しを指示。 並行して弁護士事務所に依頼し、労務管理問題の調査を実施。労使協定や就業規則の不 備を是正した。 燃料価格の高騰や高速料金の値上を踏まえ、荷主との価格交渉を実施。労働時間の改善が
行われない場合は、「荷主が厳しい勧告を受ける制度」について伝え、交渉を進めた。 アナログ集計をやめ、クラウド型勤怠管理を導入。リアルタイムで労働時間が把握できる ようになり不正打刻もなくなった。 働き方改革対応事例 1 運送業 (従業員約70名)
31 建設業 自己申告による管理からクラウド型システムによる勤怠管理へ移行。労働時間が「見える 化」し、時間外労働が月平均30時間から月平均20時間に減少した。 若年層の人員確保を図るため、完全週休2日制を導入。ハロ ー ワ ークの求人票でも、年次 有給休暇の取得奨励などワ ークライフバランスの実現に取り組んでいることをアピール
した結果、応募人数が増加した。 管理部門においてフレックスタイム制度を導入。繁閑に応じて、自ら業務をコントロ ール できるようにした。 タブレット端末やIT機器を積極的に活用し、どこでも仕事ができる環境を整備し、生産性 を向上させた。 働き方改革対応事例 2 建設業 (従業員約20名)
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