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理学療法教育におけるリメディアル教育の実践と初年次教育の展開
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kimikazu
June 02, 2013
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理学療法教育におけるリメディアル教育の実践と初年次教育の展開
kimikazu
June 02, 2013
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Transcript
理学療法教育におけるリメディアル 教育の実践と初年次教育の展開 2013.6.2 14:00-14:20 自由研究II・部会10・初年次教育(2) ◦杉森 公一(金沢大学 大学教育開発・支援センター、 金城大学非常勤講師) 山本
拓哉(金城大学 医療健康学部 非会員) 木林 勉(金城大学 医療健康学部 非会員)
本報告の流れ 1. はじめに 2. 金城大学におけるリメディアル教育と初年次 教育の位置づけ 3. リメディアル教育「生物」と医学基礎系科目の 接続 4.
入学者分析と高大接続に向けた取り組み 2
1.はじめに 3
金城大学 (石川県白山市) • 学部編成 – 医療健康学部 理学療法学科・作業療法学科(新設) – 社会福祉学部 社会福祉学科
4専攻 – 系列校: 短期大学部3学科、遊学館高等学校 • 建学理念「医療・福祉のリーダー的存在の育成」 • 報告者の担当科目・業務(H19~H24) – リメディアル教育「生物、化学」 – 情報処理演習I・II(情報科学、プレゼンテーション) – 基礎演習I・II(初年次導入教育) – 理学療法統計学 – FD研修・授業アンケート・初年次教育の企画調査 4
入学(前)から卒業(後)まで 5 入学者受け入れの方針(Admission Policy) 教育課程編成・実施の方針(Curriculum Policy) 学位授与の方針(Diploma
Policy) 学生支援・就職支援の方針(Backup Policy) CP AP DP 入試(入口)の質保証 授業アンケート 成績基準の厳格化 BP オフィスアワー 卒業(出口)の質保証 キャップ制、GPA 国家試験 就職試 験 初年次教育 教育の質保証 BP’ 学生との意見交換会 公開授業 実習 卒業論文 FD研修会 入学前教育 一般・専門教育 認証評価 卒後教育
初年次教育を取り巻く領域 初年次導入教育 ・リメディアル教育 学修支援 高大接続 – 個別的:学生一人ひ とりの特性を理解す る –
組織的:教職員1人 の能力・資源には限 りがある 6 出典:濱名篤、日本の学士課程教育にお ける初年次教育の位置づけと効果、大学 教育学会誌 29(1)、2007
2.金城大学におけるリメディアル教育 と初年次教育の位置づけ 7
リメディアル教育 • リメディアル教育(高校生物、高校化学の補習) – 高校までの積み残した理数系の知識と技能 • 学習習慣(予復習)の確立 • ノートテイクのスキルの向上 –
入学時に生物学プレースメントテスト • 入学前課題(教科書指定、高校生物に対応する問題集) – 双方向性とミニッツペーパー • 授業評価と小テストによる形成的評価 – 中間テスト・期末テストのフィードバック 8
入学時生物学テストと 高校履修科目、基礎学力との相関 9 0 10 20 30 40 50 60
70 80 90 理科基礎等のみ 地学I/II 化学/物理I 化学/物理II 生物I 生物II 全体 R² = 0.2001 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 基礎学力テスト(数・英・理[物・化・ 生]選択) 入学時生物学テスト 生物学テスト―基礎学力テストの相関 • 理科の 履修状況 (H24) • 基礎学力 〔英数理〕
日本語能力との相関 10 平均(基礎学力), 46.0 69.0 78.8 85.6 87.8 26.5 31.6
38.4 42.8 47.7 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1 2 3 4 5 6 7 生物学テスト(4/2) 日本語プレ(1:中1,2:中2,3:中3,4:高1,5:高2, 6:高3, 7:全体) 日本語プレースメントテスト結果と生物学テスト得点分布 • レディネス(診断的評価)… 生物学の学びは、言語能力(日本語IRTを使用)や 他の基礎的学力(英数理)と結びついている 入試情報と紐づけた分析(学部レベルIR)
形成的評価を学生主体の授業へ活用 学生参加型授業 コメント・質問を書かせる/フィードバック、理解度確認 クリッカー、授業最初/最後に小テスト/ミニレポートなど 各種の共同学習を取り入れた授業 協調学習/協同学習 各種の学習形態を取り入れた授業 課題解決学習/課題探究学習/問題解決学習/問題発見学習 PBLを取り入れた授業 Problem-
/Project- Based Learning 11
クリッカーの活用 • 準備学習(予習)の確認 • 教師の問いかけ(発問)と応答(意見表明) • 授業の理解度確認 • 授業アンケートの機能(教員の熱意、授業の質と量を 問う)
– 生命科学(H23,H24理学1年) 確実な知識の習得 – 教養ゼミI(H23社福1年) 身近な例から生命現象を考える – オープンキャンパス・ミニ講座(H23 7/31) 興味関心の掘起し – 学外講座での使用例(H24) 一般市民向けにも活用可能 – 高校生との交流授業(H24) 高校生向けにも活用可能
ミニッツペーパー+小テスト • 机間巡視による対話や、クリッカー課題と併用 • 形成的な学習評価を測る:東海大方式 • 毎回の授業評価(ひとりFD活動)+ビデオ撮影 13
評価 • H23 • H24 14 R² = 0.0052 R²
= 0.2498 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 テスト成績(点) 自己評価(%) 入学時(n=94) 期末テスト(n=77) 線形 (入学時(n=94)) 線形 (期末テスト(n=77)) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1 1(自己評価) 2 3 3(自己評価) H23 H24
初年次導入教育 • 修学担当(アカデミック・アドバイザー教員)による 「基礎演習(スタディ・スキルズ科目)」 – グループワークによる時間外学習への誘導 – OSCE(客観的臨床能力試験)の入門として – 文献抄読、プレゼンテーションなど
– 学習相談:個別面談や助言 – 他教科との連携、成績推移の把握 – 学習意欲・キャリア観の醸成 →課題:修学担当1人あたりの学生数の比率(1:30) 15
3.リメディアル教育「生物」と 医学基礎系科目、初年次教育との 接続 16
学修支援 大学の日常での観察からヒントを得る • 大学入試 • 入学式 • 新入生合宿研修 • 昼休み
• 放課後 • 期末試験 読む・書く作業する姿、交友関係や普段の様子、 教室外での過ごし方から見えてくること データを超えた、教員の「見立て」・支援が必要17
• 1、2年生のグループ指導・ゼミ化 (1教員:1学年6~7名) • 月に1回のグループ面談(例:オフィスアワー利用など)で、 1か月ごとの到達目標・学習成果を確認 • 教員間で主要科目の成績情報共有 1年生:解剖学、生理学 2年生:検査測定論・実習
3年生:疾患別理学療法学実習 初年次教育の充実 成績・人間関係不良・悩み、モチベーション低下学生の 早期発見、相談、対応 18
修学担当の少人数化 19 1年 2年 3年 4年 1 2 3 4
5 6 7 8 9 学年担任3人 (基礎演習担当) 学年担任3人 (見学実習担当) 学年担任3人 (評価実習担当) 学年担任3人 (臨床実習担当) 教員12人を各グループに配置(1,2年:就学担当、3年:ゼミ) 10 11 12 教員の担任制
4.入学者分析と高大接続に向けた 取り組み 20
気づき • 学習能力・リメディアル教育の限界 – 理数系の能力の欠如 – 日本語能力と基礎学力の相関 • 学生生活・学習習慣・動機づけ –
休み時間に孤立する学生 – 講義への消極的参加、学習習慣と動機づけの不足 小中高(初等・中等教育段階)から大学初年次へ 学びの連続性が失われている 21
高大接続 • 遊学館高校(併設の高等学校)との連携 – 金城大学コース・医療健康クラス対象 – 交流授業(高1~3)の実施 – 「医療生物」など高校授業との連携、成績の共有 22
系列高校との連絡相談体制 • 高校での定期テスト・成績の提供 – 自己評価シートにて、学習習慣を振り返る – 高校~大学の6年間で学びのステップを上る • 「金城大学コース」選択時の大学教員による説明 –
学ぶ内容を、専門家の言葉によって知る • 交流授業の系統化 – 各学年の段階に応じた内容を、大学での体験型「交流授 業」に系統的に配置し、高校での学びへ生かす 23
自己到達度をアドバイスに活用 • 交流授業の機会に自己評価表を通した個人面談 • 高校での学びを、大学での学びへつなげる 24 自己評価表 (交流授業) 記載日 平成
年 月 日 氏名 到達目標(2年終了時) 到達目標(高校卒業時) 到達目標(大学卒業時) •満足できていることや反省すべきこと、およびこれらを一層発展させる方法や改善方法 を具体的に記載してください。
まとめに代えて 25
実践と展望 • 学習能力 – 理数系の能力の欠如 (入学前教育・リメディアル) – 日本語能力と基礎学力の相関 (学部レベルIR) •
学生生活 – 休み時間に孤立する学生 (修学担当の学修支援) – 講義への消極的参加 (+アクティブ・ラーニング) • 高大接続 – 学習習慣・キャリア観の醸成を図る(交流授業の改善) 小中高から大学への学びの連関(リンケージ)を 繋げる大学教育開発へ、取組の輪を拡げていく 26
駆り立てたもの、生まれたもの • 「学生」の発見、「学生」を主語にした教育活動 • 教職協働(教務、学生、入試広報、企画、経理、 総務、法人本部、学部教員にわたる大学人の力) • FD研修のミドル~マクロ化 • H24私立大学教育研究活性化事業採択
全フロアのラーニングコモンズ化、クリッカー400台 アクティブラーニング教室から学びが立ち上がる • IRの全学実施が開始・認証評価の体制整備 • 教員意識の変化=自分の教育哲学の再発見 27
引用文献 • 中井俊樹・上西浩司(2012)「大学の教務Q&A」、玉川大学 出版部 • 濱名篤(2007)「日本の学士課程教育における初年次教育の 位置づけと効果—初年次教育・導入教育・リメディアル教育・キ ャリア教育—」、大学教育学会誌、29(1)、36-41 • 日本リメディアル教育学会(2012)「大学における学習支援への
挑戦 リメディアル教育の現状と課題」、ナカニシヤ出版 • 谷川裕稔ほか(2012)「学士力を支える学習支援の方法論」、 ナカニシヤ出版 • 新井正義・遠山紘司(2005)「大学におけるリメディアル教育」、 大学教育学会誌、27(2)、107-110 • 杉森公一(2012)「私立大学におけるリメディアル教育の現状と 課題(上)(下)」、週刊教育資料、1219・1221 28