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感染症の数理モデル13
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Daisuke Yoneoka
April 11, 2025
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感染症の数理モデル13
Daisuke Yoneoka
April 11, 2025
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Transcript
感染症の数理 セミナー(13) April 11, 2025 @NIID 国立感染症研究所 第12室長 米岡 大輔
目次 1. 感染症のコンパートメントモデル 2. 基本再生産数 3. 最終流行規模 4. R実装 5.
人口の異質性とSIR 6. 再生産方程式とエボラ vs インフル 7. R 0 の推定方法(流行初期) 8. 内的増殖率の検定 9. Effective distance 10. 分岐過程 (Branching process) 11. 大規模流行確率と水際対策 12. Backcalculation 13. 致死率の計算 14. (シンプルな)ワクチン接種の自然史と流行条件 15. ワクチン接種VEの推定 16. 従属性現象における因果推論 17. ワクチン接種戦略について 本書の内容をカバーします。 具体的なコードなどは右の本 詳細なプログラムなどは https://github.com/objornstad/epimdr/tree/ master/rcode (結構間違ってる。。。) 2/48
はじめに 本セミナーシリーズは数理重めです。 簡単な微分/積分、線形代数が出てきます。 なるべく平易に解説しますが、完全に数学アレルギーの方はここ で終わられることをおすすめします。 セミナー終了時にはある程度次のパンデミックに向けて、 (ある程度) 数理モデリングができるようになることを目標としてます。 自由参加なので、もし無理そうならお気軽に休んでください。 3/20
ワクチン接種の集団への効果推定 • 従属性現象:個人への効果 ≠ 集団への効果(両者の関係はめっちゃ非線形かもね ) • さて現実的な設定で考えましょう、JIHSですしね。 82 新型インフルが流行した。
1.どれくらいワクチンを生産すればいいか? 2.ワクチン接種は何回すべきか?1 or 2回? 3.ワクチン接種はどういった人から始めるか? 4.流行途中にワクチン接種を開始する場合、そ れにより、どういう効果がでるのか? 推定するなら早くしろ でなければ帰れ 制約条件 1. ワクチン製造のキャパシティには限界(年5000万人分程度)がある 2. 他のワクチンは今もつくっている 注:あくまでイメージ 新世紀エヴァンゲリオンより抜粋
まずは情報収集です • 必要な疫学データは以下 • あとは、潜伏期間や世代時間の分布型なども必要 83 次世代行列 R ij は個体群jの一人が生み出した個体群iの2
次感染者数の平均値 i, j = 1は20歳未満、2は20歳以上 ←横のRはこのKのスペクトル半径(=最大固 有値) これはどうやって取るのか? → 1つは血清疫学調査。全感染者のうち何%が報告されたかもわかる
(再掲)ワクチン接種者の感染史 • 感染してから死亡 or 回復まで 84 ワクチン未接種者 ワクチン接種者 たいてい、 AとCがよく質問され
るよね。 感受性の減弱効果 感染性の減弱効果 症状発現確率の減弱効果 感染期間の短縮効果 注意:発症しても死亡したり重 症化したりする確率が減弱する 効果も含む
ワクチンを幾つ製造すればいいのか? 数理的な最適化問題 制限のなかで、生産量をどう配分すれ総死亡数を最小化できるか? 今、季節性感染症sと新興感染症pがあり、以下のSIRに従う γは平均世代時間(2.6日とする) の逆数: 2.6 = 1/γ 感染力λ
k (k = s or p)は以下 (q k はkのワクチン接種率) 85
• q k を動かすことでSIRをシミュレーションし、Iを生成することで以下 を得る(致命割合は0.01%と想定、その他のパラメータは既知) 86 横軸は
ワクチンの回数 • 1回でもしOKなら(2回に比べて)倍の人口をカバーできる 数理的問題:1回 vs 2回の集団レベルでの効果を比較 87 これは2回接種の効果とする。1回の場合は これのf倍 (f≤1)
つまり、1回接種だと 感受性の減弱効果はfα s 感染性の減弱効果はfα i fがどれくらいかは血清疫学調査などで見積 もっておく
定式化:fとRの関係 • 2回接種によってp% (p≤50)の人がワクチン接種 → 1回接種だと2p%の人がワクチン接種 88 2回接種 1回接種 ワクチン未接種者と接種者の次世代行列
スペクトル半径(再生産数)は スペクトル半径(再生産数)は
接種回数と再生産の関係 • 2回接種割合p=0.3で固定した場合 • f≥0.44であれば1回接種のほうが再生産数が小さく抑えられる • つまり、1回接種によるワクチン効能の相対的効果がf≥44%なら、2回接種を して石橋を叩くよりも、1回接種を実施することにより2倍の接種対象者にワク チンを接種したほうが流行規模が小さく抑えられる 89
ワクチンの優先度 • (インフルだとして) 基礎疾患の多い高齢者に優先的に打つべき? • 流行の中心である若年層に打つべき? 90 最初の年齢別次世代行列 R ij
は個体群jの一人が生み出した個体群iの2次感染者数の平均値 i, j = 1は20歳未満、2は20歳以上 クロネッカー積は、固有値に関し ては可換なので、逆でもいいよ ↑この行列の要素をR ij 個体群iの最終規模z i これはclosed formな解ではなく、数値計算で解を計算する これは、ワクチン接種と非 接種者の間の次世代行列
誰に優先的にワクチン接種すればいいの? • 全人口の10%を接種できる状況を想定し、未成年の致命割合は 0.001%、 成人の致命割合は 0.01% 91 成人のワクチン未接種者の死亡 がほとんど。 でも、未成年へのワクチン接種
を優先すると、極端に減少する 基礎疾患を持つ高齢者ではなく、(二次感染の頻 度の高い)若年層へのワクチン接種を優先すべき