$30 off During Our Annual Pro Sale. View Details »

マイクロサービスアーキテクチャのトレードオフとコンポーネント増加について〜Yahoo!ニュース〜

 マイクロサービスアーキテクチャのトレードオフとコンポーネント増加について〜Yahoo!ニュース〜

2025年12月1日に開催された「LINEヤフー Developer Meetup #1 in Tokyo 紀尾井町LT忘年会2025」での発表資料です。

More Decks by LINEヤフーTech (LY Corporation Tech)

Other Decks in Technology

Transcript

  1. 全社視点とニュース視点 • 全社視点 ◦ トップページ, 天気, ニュース... と巨大なドメインの中に「ニュース」がある。 • ニュース視点

    ◦ さらにその中にサブドメインと、それに対応するチームが存在 ▪ フロント: NewsWeb、NewsApp ▪ サブドメイン: コメント、エキスパート、トピックス、記事・媒体等 • 規模感 ◦ Yahoo!ニュース領域だけで 100以上のデプロイ単位(コンポーネント) が存在。 ※例外的にWebのみサブドメインを管掌する各チームが共同開発している
  2. 現状の構造のメリット • 認知コストの低減 ◦ 各チームはドメインに従った領域(システムと責務)を管掌するため、 担当範囲に集中できる。 • 意思決定のスピード ◦ ステークホルダーが明確(コメントならコメントユーザー等)なため、

    コミュニケーションや優先順位付けの負担が減る。 • 施策実行の速度 ◦ 必要な職能がチーム内に揃っているため、立案から実施までがスムーズ。 • 挑戦のしやすさ ◦ チームごとに自由度が高く、領域ごとの改善が進みやすい。
  3. 現状の構造のデメリット • 全体最適の難しさ ◦ ニュース全体での優先順位に基づいた施策実施が難しい(チームごとに事情や忙しさが異なる)。 ◦ チーム毎の管掌領域があるため、稼働状況関係なくどのチームがやるか決まったり、決まらなかったり。 • 人員数変化に弱い ◦

    チーム機能維持に最低人数が必要となり、人員変化への弾力性が弱い。一方で機能が増えても新チームを簡 単には作れない。 • サイロ化しやすい ◦ 隣のチームが「別組織」のような感覚になりやすい。独自の文化・マネジメントスタイルにより、チーム間 異動の学習コストが高い。 • 全体視点を持ちづらい ◦ メンバーにとって「管掌システム=世界」になりやすく、ニュース全体を意識できる人が育ちづらい。
  4. なぜ増えたのか(要因分析) 現状のMSAの状態を踏まえると、単に「分けすぎた」のではなく、歴史的・構造的な理由がありそう。 • 過去の開発スタイルの名残 ◦ 新規施策を「プロジェクト」として切り出し、新規システムとして開発する文化があった。 • 既存機能への当てはまりにくさ ◦ 既に機能単位でシステムが細分化されているため、既存の機能に当てはまらない新機能は「新規デプ

    ロイ単位」として増やすしか選択肢がない。 • 「中心となる部分」の不在 ◦ 「ニュースバックエンド」と呼べるコアシステムが存在しないため、機能を増やすときに分けざるを 得ない。 • リスク回避としての分割 ◦ 「障害時の影響範囲を限定的にできる」というメリットが、分割することへの抵抗感を下げている。