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Phoenix LiveViewをプロダクション利用してみた所感

Phoenix LiveViewをプロダクション利用してみた所感

mokichi

May 18, 2022
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  1. LiveViewの特徴 • (ほぼ)JSを書かずにElixirだけでSPAを開発できる ◦ フロントエンドとバックエンドがデータをやりとりするための APIを何本も作らなくていい (つまりAPIドキュメントも作らなくていい) • すべてのクライアントとWebSocketでつながっている ◦

    状態をサーバに保持し、状態の更新をクライアントに反映させている ◦ ブラウザのCookieやLocalStorageのことを気にしなくていい ◦ サーバの負荷は当然増えるが、昨今はリソース調達が容易なためさほど大きな問題ではない
  2. LiveViewの良かったところ • JSをほとんど書かず、ElixirだけでSPAを開発 ◦ APIを大量に作る必要がなかった ◦ フロントエンド/バックエンドを分業していなかったが、 LiveViewだけ触ればいいため コンテキストスイッチは少なかった(ように思う) ◦

    業務で利用するサービスで、 JSゴリゴリみたいな要件がなかったというのもある • ReactやVue.jsといった人気ライブラリと似た開発体験 ◦ 宣言的な記述、コンポーネント分割 ◦ CSSに関する仕組みはないが、 Tailwind CSSを導入することでスタイリングの収拾が つかなくなるようなことはなかった ◦ CSSフレームワークを使わないのであれば、ほぼ Tailwind CSS一択な予感
  3. LiveViewのハマりどころ • JSのライブラリと違ってサーバサイドで状態を持つため、ステートフルなシ ステムになって扱いが難しくなる ◦ データを更新しようとしたらすでに DBから削除されていた、みたいなことが起こる ◦ LiveViewが保持しているデータをそのままビジネスロジックに渡すのではなく、 APIを叩くときのよ

    うにDBから再取得するようにしたほうが安心できる • ファイルアップロード周りのエコシステムが充実しておらず、自前実装が多 くなる(LiveViewだけの問題ではない) ◦ バリデーションやDB・外部ストレージとの連携など、他言語だと当たり前にライブラリがあるような ものの開発があまり盛り上がっていない ◦ 自前で実装すると、どうしてもバグや考慮漏れが発生しやすくなる
  4. どんなときにLiveViewを選ぶのが良いか • 地図やグラフ、3DCGといった、JSのライブラリを使わないと実現が難しい ような機能が少ない場合 ◦ Hooksという機能を使えばJSとLiveViewを連携できるようになるが、そればかりになるなら JSで SPA作ったほうがいい(APIやWebSocketサーバはPhoenixで作れるよ!) ◦ ツール系のサービスや管理画面の開発とかだとすごく向いてそう

    • Webアプリのみ提供する場合 ◦ スマホアプリを提供するなら APIを作って共通利用したほうがいい • 利用者の通信環境がそこそこ良いことが保証される場合 ◦ WebSocketでつなぎっぱなしになるため、通信環境が貧弱だとまともに利用できなくなる
  5. 適材適所とエコシステムの充実 • 何にでも言えるが、LiveViewにも向き不向きがあるため、 技術やチーム、サービスの特性を考慮して技術選定しよう ◦ 当然ながら銀の弾丸ではないが、使える範囲は思っている以上に広いと思う ◦ 採用実績を地道に作っていけば、次第に使われるようになっていくはず ... •

    QiitaやZenn等への投稿やライブラリの開発でエコシステムを充実 させ、Elixir界隈を盛り上げよう ◦ 特に、ファイルアップロード系のライブラリは個人的に作ってみたい • そもそもLiveViewはまだバージョン1にも達していない(伸びしろ!)