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なぜ社内新規事業の場作りは難しいのか?企業文化とプログラム設計の両面から考える

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January 28, 2026

 なぜ社内新規事業の場作りは難しいのか?企業文化とプログラム設計の両面から考える

▼イベント概要
新規事業 LEADERS 2026 produced by Biz/Zine
https://event.shoeisha.jp/bizzday/20260123

▼登壇者
株式会社Muture
執行役員 中村紘也

---Mutureについて---
▼X
https://twitter.com/MutureCorp
▼📕 note
https://note.com/muture
▼🏠 muture.jp
https://muture.jp
▼🎧 Podcast
https://open.spotify.com/show/7kloXRiYzRzcQqGPktakbf?si=3e9989396abb4da5

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Transcript

  1. 自己紹介 © Muture Corp. All Rights Reserved. 株式会社Muture 執行役員 経営企画・コーポレート・事業開発

    中村紘也 2015~ 株式会社丸井グループ ・PB 接客販売業務 2017~ 株式会社丸井グループ ・スタートアップ共創投資部門立ち上げ ・新規事業立ち上げ 2022~ 株式会社Muture ・創業 出典:流通ニュース # 大企業とスタートアップとの共創 # 大企業での事業開発 # 大企業の変革 2
  2. © Muture Corp. All Rights Reserved. 小売とフィンテックをベースに、企業価値(利益としあわせの拡大)をステー クホルダーのみなさまと共に、長い目で積みあげる「共創経営」にチャレンジ する丸井グループ。欠かすことのできないアプローチとして、デジタル人材の 採用や育成に情熱を燃やすなか、デザインの力で企業変革に挑むグッドパッチ

    と出会ったことから、ジョイントベンチャー・Muture が生まれました。 バックグラウンドや価値観が異なるメンバーがバトンをあずかり、丸井 グループのDX 基盤となる事業や組織づくりに奮闘しています。大企業の 組織変革を通じ、社会に心地の良い風を吹かす。大きな挑戦ではありま すが、楽しんだ先に広がる世界がきっとあると信じ、口笛を吹きながら 大きな夢に向かっています。 3
  3. 私たちについて © Muture Corp. All Rights Reserved. 丸井グループにおける全社DX の実践知を起点に 企業文化・風土に根ざした日本の大企業の変革支援をしています

    丸井グループ のプロダクト 開発の伴走者 丸井グループ 全社DX パートナー 日本の大企業 の組織変革パートナー 設立時 設立2~3 年目 現在のMuture 4
  4. 結論:表層と深層を行き来する場づくり © Muture Corp. All Rights Reserved. 新規事業創出の場作りは難しい。ベストプラクティスを導入したとしても深層とFit していない可能性がある 企業文化や場を取り巻く構造・位置付けなどを総合的に捉え、地道に場の改善を重ねて、場の質を上げていく

    ソフト (主に人に関すること) ハード (主に仕組みに関すること) 企業文化: 規範・価値観・思考 新規事業創出の 場(仕組み、運営) やる気・スキル・経験 表層 深層 場の位置付け 場の後の構造設計 Case1 :建設系企業 Case2 :小売系企業 6
  5. 本日の流れ © Muture Corp. All Rights Reserved. 01 02 03

    Case ①:建設系企業での新規事業検討分科会 深層のソフト(文化)とフィットしていない Case ②:小売系企業での新規事業コンテスト 深層のハード(位置付け・構造)とフィットしていない まとめ:表層と深層を行き来する事業創出の場作り 7
  6. Case ①:建設系企業での事業創出分科会 © Muture Corp. All Rights Reserved. 大手建設系企業での顧客起点の企業文化づくりの一環としてボトムアップの新規事業検討の分科会 業種:

    規模: 背景 プログラム概要 結果 建設系 社員数千名 創業:50~100 年 拠点:日本全国 ・顧客起点の企業文化づくり ・最新サービスやAI も活用  課題発見〜事業創出を促進 ・各部署からメンバーが選抜 ・定石通り、まずは課題分析から ・ボトムアップでアイデア検討 (時間確保を公式に) 9
  7. Case Study ①:結果 © Muture Corp. All Rights Reserved. 3ヶ月分科会を実施したところ、活動の見通しが立たず

    業種: 規模: 背景 プログラム概要 結果 建設系 社員数千名 創業:50~100 年 拠点:日本全国 ・各部署からメンバーが選抜 ・定石通り、まずは課題分析から ・ボトムアップでアイデア検討 (時間確保を公式に) ・検討が進まず3ヶ月で失速 ・参加者の参加頻度・検討度合い  もばらばらで、見通しが立たず 10 ・顧客起点の企業文化づくり ・最新サービスやAI も活用  課題発見〜事業創出を促進
  8. Case Study ①:企業らしさ © Muture Corp. All Rights Reserved. 設計

    調達 建築 維持管理 企業の強みは、計画通りにアウトプットを出すこと・専門領域における高い専門性の研鑽 業 務 の 流 れ 計画・手順に従い 質の高いアウトプットを出せる 担当業務における 高い専門性を持ち・磨き続ける その企業らしさ 12
  9. Case Study ①:企業らしさと新規事業創出との相性 © Muture Corp. All Rights Reserved. 事業(対顧客・市場)で培ってきた成功の歴史・コミュニケーションの蓄積

    一方で... 計画・手順に従い 質の高いアウトプットを出せる 担当業務における 高い専門性を保有・磨き続ける アウトプットが定まらず 計画・手順も行ったり来たりは不得意 自身が役に立てるかわからない 領域への越境には躊躇する 日常での強み 新規事業創出の場では 日常業務で発揮されている強みは、新規事業を創出しようとした際には発揮されず 13
  10. 企業文化とは © Muture Corp. All Rights Reserved. 表層 個別の企業の「らしさ」は、目に見えるものだけではなく、目に見えない無意識下にも潜む 参考:エドガー

    H. シャイン「3 段階の文化レベル」 目に見える業務プロセス・組織構造 VMV 、戦略、目標 無意識の規範、価値観、感情 人工物 価値 基本的仮定 深層 14
  11. Case Study ①:課題の整理 © Muture Corp. All Rights Reserved. 企業文化:

    規範・価値観・思考 日常の事業プロセス・成功の歴史の影響から形成される 企業文化(暗黙の規範・価値観・思考の癖)と新規事業創出の場がフィットしていない 新規事業創出の場 (仕組み、運営) やる気・スキル・経験 表層 深層 ソフト (主に人に関すること) ハード (主に仕組みに関すること) 場の位置付け 場の後の構造設計 15
  12. © Muture Corp. All Rights Reserved. 目に見えない企業文化を踏まえた改善:社員インタビュー/運営での仮設検証 社員インタビュー を通じた仮説発見 運営を通じた

    仮設検証 社員インタビューから成功の歴史・コミュニケーションの思考・価値観を紐解きつつ 実際の分科会の定例の場で仮説を検証することで、フィットする方法を築き上げていく 計画 実行 分析 仮説 計画 ・運営の設計 ・検証テーマ ・成功の歴史 ・パターン/特性 ・プロパー社員 ・幹部 ・強み/らしさ ・逸脱パターン ・短:運営のあり方 ・中:全体方針 実行 ・招集/運営 ・アンケート回収 振り返り ・学習内容の整理 ・参加者の実態確認 次テーマ選定 ・次の改善テーマ ・全体方針へのFB 16
  13. © Muture Corp. All Rights Reserved. 目に見えない企業文化を踏まえた改善:具体例 社員インタビュー を通じた仮説発見 運営を通じた

    仮設検証 どのような環境だと参加者の動機づけが喚起されるかを どんなに小さいことでも実際の運営で試してみながら改善を重ねていく 計画 実行 分析 仮説 計画 ・運営の設計 ・検証テーマ ・成功の歴史 ・パターン/特性 ・プロパー社員 ・幹部 ・強み/らしさ ・逸脱パターン ・短:運営のあり方 ・中:全体方針 実行 ・招集/運営 ・アンケート回収 振り返り ・学習内容の整理 ・参加者の実態確認 次テーマ選定 ・次の改善テーマ ・全体方針へのFB 参考例 社員インタビューから「具体の ものに触れる」とモチベーション が喚起されるのでは?と仮説発見 プログラムの場で検証 企画検討を進めるよりも、 試しに作ることを推奨 試しに作る技術がある人の検討は 推進。技術有無・ツール選定へと 事務局の改善テーマは前進 17
  14. 自社のタイプを客観的に捉える © Muture Corp. All Rights Reserved. 厳格な規則のもとで 安定性と効率性を追求する (例:官公庁・インフラ系)

    厳格なプロセスと管理の下で 革新的な製品開発を推進する (例:IT 企業、R&D 部門) 自由な相互作用の中で 徹底的な顧客探索と 新しいプロダクトを追求する (例:スタートアップ) チームワークを通じて 既存業務の効率化と 継続的なカイゼンを重視 (例:日本の製造業) VHSB モデル:企業特性について「組織原理」と「戦略発想」で4タイプに分類 自社の戦略志向と組織特性について捉える上で示唆的 グループダイナミクス:価値・情報 共有、相互作用による意思決定 ビュロクラティック・ダイナミク ス:階層・ルールによる意思決定 オペレーション 志向:効率 プロダクト 志向:価値 組織原理 戦略 発想 出典『日米企業の経営比較』 V 型 H 型 B 型 S 型 Case ①の建設系企業はB 型 の特徴が強く出ている プログラムの場で求めているのは 能動・自由に実験=V 型 B 型が強い会社でV 型の場を作る上で 日常の業務とどう変えるか? という視点で設計・運営ができる 18 参考例
  15. Case Study ①:ポイント © Muture Corp. All Rights Reserved. 1

    2 企業文化とFit しない事業創出プログラムは継続が難しい =当たり前としている規範や思考の癖と真逆なことを求めている可能性がある 無意識化の規範や思考の癖を明らかにしていくために、 社員にインタビューをする・運営の場を検証の場とする地道な取り組みが必要 19
  16. Case Study ②:小売系企業での新規事業開発コンテスト © Muture Corp. All Rights Reserved. 小売系企業でのDX

    を兼ねた事業創出コンテスト 業種: 規模: 背景 プログラム概要 結果 小売系 社員数千名 創業:50~100 年 拠点:日本全国 ・デジタルを活用した  イノベーション創出が目的 ・どの部署の社員も自主応募可能 ・企画から試作品まで社員が実施 ・最終アウトプットまでに、  外部メンターが伴走 ・優勝後は業務の最大50% が確保 ・毎年40 チームほどが自主応募 ・選抜チームがアウトプット  まで完結できた ・オペレーションではなく  創造性を発揮する人材育成 21
  17. Case Study ②:優勝後に起きたこと © Muture Corp. All Rights Reserved. 自分たちが顧客

    大会でも評価 「いけるはず」 世に出してみたが 刺さる顧客が不在 ← もあるので まずは開発を進める 開発ではなく サービス価値へ 向き合う時間が少 提案者である自分たち で進めていける権限 困った時に 自分たちだけで 悶々と... 業務時間も確保し、ビジネス検討を進めたものの。顧客像が曖昧なまま進んでしまった 想定 現実 22
  18. Case Study ②:文化との相性は◎ © Muture Corp. All Rights Reserved. Case

    ①の時と異なり、新規事業の検討と文化の相性は良さそうに見える 表層 参考:エドガー H. シャイン「3 段階の文化レベル」 自らの意思で参加可能なコンテスト・学びの機会 革新への姿勢・自主応募の文化・失敗の歓迎 歴史のなかで↑ を当たり前とした価値観醸成 (参加者数は多く・オーディエンスも熱量) 人工物 価値 基本的仮定 深層 23
  19. Case Study ②:課題は直線的な業務フローとの乖離 © Muture Corp. All Rights Reserved. 企画

    承認 決裁 実行 企画 優勝 開発 結果 大企業における当たり前とされる業務フローと、求められたデジタルでのプロダクト作りとの乖離 日 常 の 業 務 コ ン テ ス ト 顧客の課題は? 解決できるか? 仮説検証 実現できるか? ビジネスは? 直線的な業務フロー 行ったり来たりのデジタルプロダクト作り 24
  20. Case Study ②:課題は初めてのことに対する体制・ガイド不足 © Muture Corp. All Rights Reserved. コンテスト後の体制・位置付けが自主に寄りすぎたことで迷子となってしまった

    優勝チームで 公式に進めることができる ビジネス化のプロセスは チームで進められる ※ 定期報告はあり 判断は?決裁は? (学習の速度の停滞) 初めてだけどどう進める? (プロセス迷子で不安) 環境 結果 25
  21. Case Study ②:課題の整理 © Muture Corp. All Rights Reserved. 場の位置付け(普段と異なる仕事の進め方を求めること)と場の後の体制や進め方が

    フィットしていなかった 企業文化: 規範・価値観・思考 新規事業創出の 場(仕組み、運営) やる気・スキル・経験 表層 深層 場の位置付け 場の後の構造設計 ソフト (主に人に関すること) ハード (主に仕組みに関すること) 26
  22. Case Study ②:仮設検証をアイデア創出から始める改善 © Muture Corp. All Rights Reserved. アイデア創出の段階から仮設検証を回し続ける+体制としての支援を明確に

    アイデア創出 デジタルコンテスト 他テーマコンテスト 市場実験 市場投入 プロジェクト化 事業会社へ (改善/スケール支援) 新規事業創出の流れ 事業化 準備室 仮説検証 仮説検証 仮説検証 27
  23. Case Study ②:定例の場を活かした地道な改善 © Muture Corp. All Rights Reserved. 事務局と参加者の双方に対してMuture

    が伴走 各回の間で課題の吸い上げと改善案を企画し、場の質を上げるための施策を実行へ アイデア 集中検討 DAY 事務局 コンテスト参加者 第1 回 第2 回 アイデア 集中検討 DAY 伴走 振り返り with Muture with Muture 参加者 1on1 課題 の抽出 改善案 改善 実行 次回までの間の期間 次回までの間の期間 伴走 振り返り 参加者 1on1 課題 の抽出 改善案 28
  24. Case Study ②:市場実験回数の推移 © Muture Corp. All Rights Reserved. コンテスト中

    コンテスト 優勝後1年目 コンテスト 優勝後2年目 合計 22 年度 0 0 3 3 23 年度 0 2 3 5 24 年度 2 9 - 11 コンテスト中から仮設検証を開始。コンテスト優勝後も止まらない仮説検証を実現 市場実験回数 定義 指標 仮説を検証するための実験手順と 検証項目が対になっており、得たい 学びについて事前に明確化した状態 で実際のお客様を対象に行った実験 の総数 UX リサーチ実施回数 本番リリース回数 29 with Muture with Muture
  25. Case Study ②:ポイント © Muture Corp. All Rights Reserved. 1

    2 事業創出プログラムの位置付け・構造がFit していないと成果につながらない =日常業務と異なり何を重視する場なのか、場の後の設計も含めた全体像の整理が必要 「市場実験回数」をプロセスKPI に、アイデア創出の場から仮説検証を回し始める =回し始めるためにも各回の間の期間の過ごし方を大事に。課題を抽出し改善を実施 30
  26. 結論:表層と深層を行き来する場づくり © Muture Corp. All Rights Reserved. 新規事業創出の場作りは難しい。ベストプラクティスを導入したとしても深層とFit していない可能性がある 企業文化や場を取り巻く構造・位置付けなどを総合的に捉え、地道に場の改善を重ねて、場の質を上げていく

    ソフト (主に人に関すること) ハード (主に仕組みに関すること) 企業文化: 規範・価値観・思考 新規事業創出の 場(仕組み、運営) やる気・スキル・経験 表層 深層 場の位置付け 場の後の構造設計 Case1 :建設系企業 Case2 :小売系企業 32
  27. なぜベストプラクティスを入れてもうまくいかないのか © Muture Corp. All Rights Reserved. 企業文化: 規範・価値観・思考 新規事業創出の

    場(仕組み、運営) やる気・スキル・経験 表層 場の位置付け 場の後の構造設計 ベストプラクティスはその企業固有の深層がある。だから、そのままはうまくいかない 深層 ベストプラクティス 企業ごとに異なる世界 ソフト (主に人に関すること) ハード (主に仕組みに関すること) 33
  28. 最後に © Muture Corp. All Rights Reserved. 事業創出の「場」作りは難しい ベストプラクティスやフレームワークがそのまま適用できるとは限らない なぜなら深層がFit

    していないかもしれないから 経営↔︎ 幹部↔︎ 現場を行き来して、深層を踏まえたグランドデザインを描く 地道に「場」の改善を積み重ねて、実行の質を高める これを推進できるのは企業内部にいる事務局だけです 34
  29. Muture とは © Muture Corp. All Rights Reserved. Muture 事務局

    新規事業の場 35 Muture は、企業変革のパートナーとして 深層(企業文化・歴史)を捉え、新規事業創出の伴走をしています 事業(対顧客・市場)で培ってきた成功の歴史・コミュニケーションの蓄積 企業の歴史 文化の理解 実行支援 運営支援
  30. ご案内 © Muture Corp. All Rights Reserved. アンケートはこちら 本日の資料を配布します! 36

    もっと生々しい 苦労話を聞きたい 場づくり・事務局運営で どんな打ち手を試しているか もっと知りたい 気軽にご連絡ください! (Muture サイトから問い合わせOK )