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SANU Regenerative Action Report 2026

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March 17, 2026

SANU Regenerative Action Report 2026

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March 17, 2026
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  1. SANUは、 人と自然が共生する社会の実現を目指す ライフスタイルブランドです。 「Live with nature. / 自然と共に生きる。 」 を

    ブランドコンセプトに掲げ、 国内最大級のシェア別荘サービス 「SANU 2nd Home」 を運営しています。 “自然の中のもうひとつの家”を通して、 都市と自然を軽やかに行き来する、 新たなライフスタイルを提案しています。 “自然の中の もうひとつの家” Regenerative Action Report 2026 02
  2. 2025年は、 地球環境問題への取り組みに大 きな逆風が吹いた年だった。 SANU にとって も難しい一年だった。 事業成長を通じた社会 へのインパクトの最大化のために、 日夜全身 全霊を傾ける。

    それと同時に、 事業成長に伴 い発生する自然に対する負の影響に目を向け なければならない。 「SANUが広がるほど地球が豊かになる」 「リジェネラティ ブ ・ カンパニー」 創業の時に掲げた言葉がのしかかり、 葛藤 の中で一年を過ごした。 社内からは 「SANU は事業成長を優先して、 リジェネラティ ブな活 動が十分に行われていないのではないか」 や 「事業の成長や上場をゴールにしてはいけな い」 といった迷いや批判的な声も聞こえるよう になった。 このことは 「SANUに関わる一人ひと りがリ ジェネラティ ブな事業を成立させることに本気 で向き合っている証拠」 である。 一方で、 順調 に成長する事業と、 ありたい姿のバランスが 常にベストであるとも限らないことも事実だ。 そん な 折、 2025 年 11月に Patagonia が 『Work in Progress Report 2025』 を 発 行 した。 53年の歴史を持つアウ ト ドア ・ ブランドが 「進行途中」 と題したインパク トレポー トに書か れていた内容は私を勇気づけるには十分なも のだった。 そこには、 Patagoniaという先駆者 が抱えている矛盾についての客観的なデータ と、 赤裸々な想いが書かれていた。 それを読んだ時、 葛藤を抱えていることこ そが私たちSANUの存在意義なのではない かと思えた。 葛藤がなくなることはない。 抱え たまま、 できることを一つずつ積み重ねていく のみである。 私たちには 「自分が受け取った 以上のものを贈りたい」 という純粋な願いが ある。 それこそがSANUを創業した本間貴裕 と私、 福島弦が、 そして社員たちがともに持つ ものだ。 CEO 福島弦からのメ ッセージ 自分が 受け取った以上の ものを贈りたい Regenerative Action Report 2026 03
  3. 2026年はSANUの社員が150人を超え、 SANU 2nd Home が全国40拠点に広がり、 サービス開始から5年目を迎える一年 になる。 改めて自分たちが登る山を見定めていく。 そして、 一

    歩ずつ自分たちの足でその山を登ることに誇りを持つために、 SANUのコーポレー ト ミ ッションをアップデー ト した。 「Nature for all. 」 自然と共に生きる喜びをあらゆる人へ届け、 地球の美しさを明日へ繋ぐ。 自然にまつわるイシューは、 その重 要性に反していつも政治や経済、 その時代のイデオロギーに翻 弄されてきた。 「エコ」 に類するキーワー ドが流行っては消えていく。 も っ と本質的かつ普遍的な変化をどのように生み出せばいいのか。 答えは私自身の人生の中にあった。 北海道の自然の中で野山を走り回り育った。 母が見つけてき てくれた 「知床青少年キャンプ」 。 知床半島を縦断しながらの冒 険は、 いつでも私の自然の原体験となっている。 育ててもらった、 だから恩返しがしたい。 それが私の自然観である。 幼少期 ・ 青年 期を過ごした思い入れがある故郷に貢献したいと思う感覚を持 つ人は多いだろう。 この気持ちは、 そうしたものに近いのだ。 急激に都市化が進み、 私たちの日常における自然との距離は 少しずつ広がっている。 もしかすると、 私たちやその子どもたち の世代は、 おじいちゃんやおばあちゃんが田舎にいて、 夏休み にその家に行き、 日本の自然との関わりを原体験と して持つ最後 の世代になるのではないかと思う。 全ては、 関わることから始まる。 関わることで、 初めて好きに なるこ とができる。 だからこそ、 私たちSANUは、 今日よりも明日、 明日よりも明後日に一人でも多くの人を自然の中に連れていく。 そして 「for all」 という言葉は、 今を生きる私たちだけでなく、 こ れからを生きる未来の世代、 この地球を構成する人間でないも のたちへと、 ひらかれている。 人間という生き物には 「美しさに心を満たす」 という特殊な感 性が宿っている。 美しさには、 自然が持つはかなさに対する敬 愛や、 脅威に対する畏怖の念が含まれる。 自分たちを育ててく れた日本の自然の原風景が汚れ、 廃れてしまったら心が痛い。 そ う感じる人は多いだろう。 SANUが矛盾を抱えた存在であることは認めなければなら ない。 それでも一人でも多くの人を自然の中に連れて行き、 好き になってもらう。 この事業を広げるために、 自然に一定の負荷が かかることも避けられない。 事業成長と同時に、 地球に対する負 荷を減らしていく ことの難しさを受け止めた上で、 リジェネラティ ブな活動をどのように展開できるだろうか。 取り組みの優先順 位づけ、 数量的な目標設定、 ガバナンスの設計、 そして日々のア クション、 そうしたものを積み重ねていく必要がある。 葛藤の中で最後に私たちを支えるものは何か ? それは 「自分 が受け取った以上のものを贈りたい」 という純粋な願いだ。 自然 を壊しながら、 自然を活用した事業をひらきなおって展開するこ とが、 最もダサい。 そんな自分たちは受け入れられない。 だから こそ、 SANUはリジェネラティ ブ ・ カンパニーを名乗り、 終わりな き葛藤を抱えて前に進もう と思う。 SANU CEO 福島 弦 Regenerative Action Report 2026 04
  4. このレポートは企業や団体が事業活動を通じて社 会や環境に与えた具体的な影響を、 定量的なデー タや事例と ともに報告する、 いわゆる 「インパク トレ ポー ト」

    とは少し違うものです。 SANUは自然を愛するメンバーが揃っているからこ そ、 自社の 「事業の成長」 と 「自然との共生」 を両立 できているのか、 批判的な視点を持たざるを得ませ んでした。 事業が拡大する中で同時に拡大していく 自然への影響。 掲げたビジョンと私たちの実態はつ り合いが取れているのか。 取れていないとしたらそ れは今後どのようにつり合いを取っていくのか。 そ の模索を目的に本レポー トの制作は始まりました。 結果としてわかったのは、 私たち自身が狭い意味で 「リジェネラティ ブ」 という言葉に囚われていたとい うこと。 そして自分たちの事業や組織の成長にあわ せて言葉の定義を押し広げ、 自分たちらしくその意 味を確立していく必要があるということ。 「SANUが広がるほど地球が豊かになる」 とても難易度の高いこの宣言をもう一歩現実のもの に近づけるために、 「軌跡 ・ 対話 ・ 指針」 3つのキーワー ドでSANUのこれまでと、 これからを紐解きます。 SANUの営みは、 本当に自然を豊かに するのか ? Regenerative Action Report 2026 06
  5. 軌跡 Chapter 1 • 過去2年間の取り組みと成果 ............ Chapter 2 対話 •

    思考を広げる実践者との対話 ............ Chapter 3 指針 • これからSANUが目指すこと ............ 3 ͭ ͷ ࢹ ఺ Ͱ ߟ ͑ Δ 会社の変化 事業の成長 環境 ・ 社会への取り組み 寄稿 ・ 曽我昌史 10 15 22 34 35 43 48 49 52 新しいインパク トモデルと今後の指標 4つの成長レバー 5つの重要課題 独立研究者 ・ 森田真生とのダイアローグ •消えゆく子どもの自然体験と、 その社会的影響 • 多様なスケールから、 人と自然の関係性をどのようにとらえ直せるか ? 寄稿 ・ 曽我昌史 •経験の消失スパイラルから脱却するには——SANUの挑戦から考える Regenerative Action Report 2026 07
  6. ݐ ங ͷ ઃ ܭ ɾ ੡ ଄ ɾ ӡ

    Ӧ ͷ ਨ ௚ ౷ ߹ ମ ੍ Λ ߏ ங SUMMARY 組織の厚みが増して、 新たなフ ェ ーズへ 事業やバリューチェーンの拡大に伴い、 社 員数は150人を超えました。 多様な専門性 を持った人材の集結と、 経験豊富な新執行 役員の就任により、 組織としての厚みを増 しています。 最初期の建築モデル 「BEE」 を手がけるな ど、 創業時から共に歩んできた設計 ・ 施工 パー トナー、 株式会社ADXと経営を統合し ました。 設計 ・ 製造 ・ 運営の垂直統合体制 をつく り、 セカンドホームを量産 ・ 運用する 次のフェーズへと進みはじめています。 社会や環境などの公益にコミ ッ トする企業 に与えられる国際認証 「B Corp」 も取得。 第三者機関による客観的な視点も取り入 れながら、 ガバナンスを構築してきました。 Regenerative Action Report 2026 11 Chapter 1
  7. はじめて 『Regenerative Action Report』 を発行した2024年時点の社員は40名程 度。 それが2026年3月の現時点では約150 名と、 3倍以上に増えま した。

    バ リ ュ ーチェ ー ンの拡大に伴い、 多様なバッ クグラウンド、 専門性を持つメンバーが 「自然を愛する」 というひとつの共通項で集結しています。 大きな変化は、 2025年9月に井上恭輔 ・ 石 川桂太の2名が新執行役員に就任したこ と。 テクノ ロジーと顧客体験を横断する井 上、 経営とグロース領域で実績を重ねた 石川の異なるバックグラウンドを持つ2名 が加わるこ とで、 組織の厚みが増しま した。 さらに 「リジェネラティ ブ推進室」 などの専 門部署があることもSANUの大きな特徴 の一つ。 「SANUが広がるほど地球が豊 かになる」 という長期的な理想像に向け て、 経営陣や各部署と議論を重ね、 リジェ ネラティ ブな取り組みを推進しています。 仲間が3倍に 多様な専門性を持った 人材が集結 Regenerative Action Report 2026 12 Chapter 1
  8. 設計 ・ 製造 ・ 運営の 垂直統合体制を構築 自然共生型建築を 手がけるADXと経営統合 *΢ο υσβΠ

    ϯ৆2022 ʪ࠷༏ल৆ ɾ ؀ڥେਉ৆ʫ ɾ iF DESIGN AWARD 2024ͳͲ ADXは自然共生型の木造モジュール建築を手が けており、 SANU 創業期から 「BEE」 や 「MOSS」 で協業してきた設計 ・ 施工一体型の建築パー トナー です。 環境配慮型のデザインや国産材の活用に強 みを持ち、 国内外のデザイン賞*でも高い評価を 受けています。 「森と生きる。 」 というフィ ロソフィ ーを掲げ、 森の価 値を次世代へ引き継ぐための実践を重ねるADX の姿勢は、 SANUが掲げる 「Live with nature. / 自然と共に生きる。 」 というブランドコンセプトとも 深く共鳴しており、 両者の思想的親和性が経営統 合の重要な背景となっています。 統合を通じて、 SANUは設計 ・ 製造 ・ 運営の全工程 をテクノロジーとデジタルマネジメントで一貫して 担う垂直統合型の体制を構築します。 これにより、 建築業界の分業構造を再定義して“住宅をプロダ ク ト として量産 ・ 運用する”新たな供給モデルを実 装し、 次なるフェーズへの土台ができました。 ADX 安齋好太郎 SANU 福島弦 Regenerative Action Report 2026 13 Chapter 1
  9. 世界的にも珍しい、 不動産領域での取得 SANUは、 2024年2月にB Corp認証*を取得しま した。 不動産領域での取得は世界的にみても珍し く、 大きな挑戦となりました。 あらゆるステークホ

    ルダーにと っての便益を大切にするB Corpの考え 方はSANUの理念に合致しており、 自分たちが正 しい道を進んでいるかを確認するための羅針盤に なりうると考えました。 認証取得に向けた準備から取得が完了するまで、 およそ 1年半程度。 SANUのサステナビリティ推進 やそのためのガバナンスが、 B Corpの仕組みによ る網羅的な審査が入り、 改善を進められたこ とによっ て客観的な事実を伴ったものとなりました。 *B Corp ʢBίʔϙϨʔγϣ ϯʣ ͸ɺ ؀ڥ΍ࣾձʹ഑ྀͨ͠ެӹੑͷߴ͍ࣄۀΛߦ͍ͬͯΔ اۀʹରͯ͠ɺ ถࠃͷඇӦརஂମͰ͋ΔB Lab͕༩͑Δࠃࡍతͳຽؒೝূ੍౓ɻ ʮBʯ ͸ ʮBenefit ʢརӹʣ ʯ Λҙຯ͠ɺ ୯ʹاۀͷརӹ௥ٻ͚ͩͰͳ͘ɺ ࣾձ΍؀ڥɺ ैۀһɺ ސ ٬ͱ͍ͬͨ͢΂ͯͷεςʔΫϗϧμʔʹର͢Δརӹ΋ಉ࣌ʹ௥ٻ͢Δ͜ ͱΛاۀʹٻΊͯ ͍Δɻ ౰ೝূ੍౓ͷಛ௃͸ɺ ಛఆͷ঎඼΍αʔ Ϗεɺ ΦϖϨʔγ ϣ ϯ౳ʹ͍ͭͯͰ͸ͳ͘ ɺ ʮا ۀશମʯ ͷࣾձత ɾ ؀ڥతύϑΥʔϚϯεɺ ಁ໌ੑɺ ੹೚આ໌Λݫ֨ͳج४ͰධՁ͢Δͱ ͍͏఺ʹ͋Δɻ ग़య ɿ https://www.bcorporation.net/en-us/find-a-b-corp/company/sanu-inc/Λ΋ ͱʹࣗࣾʹͯՃ޻ 国際認証 「B Corp」 の取得 82.6 82.6 ɿ SANU είΞ 80 ɿ ೝূऔಘʹඞཁͳج४είΞ 50.9 ɿ ҰൠతͳاۀͷฏۉείΞ ʢதԝ஋ʣ #ΠϯύΫ τ ɾ είΞ ૯߹݁Ռ Regenerative Action Report 2026 14 Chapter 1
  10. 確かな事業基盤を生み出した 独自のビジネスモデル ࣄ ۀ ։ ࢝ 3 ೥ Ͱ ೔

    ຊ ࠷ େ ڃ ͷ γ ỻ Ξ ผ ૳ α ồ Ϗ ε ΁ SUMMARY SANU 2nd Homeは、 大きな資金投下と 開発期間を要する不動産事業の特性を持 ちながら、 サービスローンチから3年で日本 最大級のシェア別荘サービスへと急成長を 遂げました。 実現の要因は、 3つです。 規 格型建築の採用により設計 ・ 施工期間の短 縮化と複数拠点の同時開発を可能にした こと。 統一規格建築× ソフトウェアを駆使し た無人運営の組み合わせにより安定的な サービス基盤を当初から構築できたこと。 そしてなによりも、 顧客ニーズが非常に強 く、 拠点開発を進めるほどネッ トワーク効果 と顧客のベネフィ ッ トが高まるという好循 環の中で事業展開を推進。 結果と して会社 も早期に利益計上するに至り、 強固な事業 基盤を構築するこ とができました。 Regenerative Action Report 2026 16 Chapter 1
  11. ๺ ւ ಓ ͔ Β Ԅ ඒ େ ౡ ·

    Ͱ この2年間で拠点数は15から35、 室数は78から231と 大幅に増加しました。 SANUにとって代表的なエリア とも言える八ヶ岳や軽井沢などに複数の拠点を展開す るとともに、 館山や伊豆といった海沿いで拠点運営を 開始したことはこの2年間での大きな変化でした。 同 時に、 北は北海道のニセコから、 南は鹿児島の奄美大 島まで、 日本の多様な気候 ・ 自然環境のエリアへと拠点 を展開したこともポイントです。 新たなエリアに展開する上では、 多様な自然環境に対 応した工夫が求められます。 例えば、 ニセコでは積雪 による荷重を踏まえた建築の構造 ・ 設計を細かく調整。 奄美では、 台風の多い環境であることから通常使用し ている木製サッシではなく、 風圧性能を優先しアルミ サッシを採用するなど、 その土地の自然環境に合わせ て細かな改善を重ねてきました。 35 拠点 231 室 ࠃ ಺ ࠷ େ ڃ ͷ ڌ ఺ ن ໛ ΁ * *SANUࣗࣾௐ΂ɻ 2026೥தʹ40ڌ఺Ҏ্ʹͳΔ͜ ͱ ΋౿·͑ɺ γΣΞผ૳ΧςΰϦʹ͓͍ͯࠃ಺࠷େڃͷڌ఺਺ͱͳΔݟࠐΈɻ Regenerative Action Report 2026 17 Chapter 1
  12. 建物から過ごし方を選ぶ SANU の理念に共感する設計パートナーとの協 業によって、 新たな建築モデルが4つ誕生しまし た。 森の中と海辺を歩くのでは気分が異なるよう に、 空間は過ごし方に大きく影響を与えるもの。 SANU

    2nd Homeでは、 自然との多様な関わり 方を提供したいと考えて、 建築のあり方もアップ デー トを重ねています。 リ ビングとバルコニーが一体となることで、 暮らし と自然がシームレスに繋がるMOSS。 豊かな森 や海のそばで、 木々や波の音に耳を傾ける時間 に浸るRAY。 亜熱帯の気候に寄り添い、 風と光を 取り込むARC。 室内の異なる高さや視線から、 周 囲の自然とのつながりを体感できるHIKE。 新モデルに加えて、 遊休別荘など既存の建物の 魅力を引き出す 「Selection Series」 も、 この2年 間で7室から17室に増加。 特に、 2025年8月に開 業したFERN 八ヶ岳は、 SANUの自社建築チーム、 SANU ARCHITECTSが設計を手がける初めて の拠点となりました。 潤いに満ちた森に寄り添う ように佇む建物の中には、 国内外の職人による照 明や地元作家のアートが置かれるなど、 感性が刺 激される空間となっています。 新たな 建築モデルへの 挑戦 MOSS ARC HIKE RAY ˔ADX ˔KEIJI ASHIZAWA DESIGN ˔SUEP . ˔Puddle Regenerative Action Report 2026 18 Chapter 1
  13. 一泊の体験から建物の所有まで 成長を後押しした要因は、 サービスラインナップの多角化にあります。 事業を行 う中でユーザーのニーズが明確になり、 ラインナップごとの特徴を際立たせること ができました。 2021年サブスクリプションプランから始まり、 2023年には法人向けの 「for

    Business」 、 さらに2024年に共同所有型の 「Co-Owners」 、 2025年に1棟所有 型の 「Owners」 を開始しました。 同年、 1泊から手軽に滞在を楽しめる 「Stay」 をスタ ー ト。 2026年からはサブスク リ プシ ョ ンプランを 「Weekday」 へ変更しま した。 複数のラインナップを展開することで、 ライフスタイルに合わせて自然の中での暮 らし方を選択できる状態をつく りながら、 収益構造の安定化を実現しています。 サー ビス ライ ンナッ プの 多角化 2025~ ധ୯Ґ 2023.4~ αϒεϦϓγϣ ϯ ʢ๏ਓʣ 2025.2~ ౩ॴ༗ܕ 2021.11~ αϒεϦϓγϣ ϯ ݸਓ 2024.2~ ڞಉॴ༗ܕ Regenerative Action Report 2026 19 Chapter 1
  14. ラインナップの多様化に より裾野が拡大 SANU 2nd Home のユニークユーザーは、 2026年1月時点で2万人*となり、 この2年で 約6倍に伸びています。 拠点数が増加したことに加えて、

    サービスラ インナップの多角化により、 気軽に滞在を楽 しみたい方から資産として所有していきたい 方まで、 SANU 2nd Homeのユーザーになっ ていただく間口が広がったことが背景にあり ます。 ユーザーの年齢層も、 20代~70代まで 幅広く分布しています。 * 2026೥1݄࣮੷ ɿ ֤αʔϏεϓϥϯͷϢʔβʔΞΧ΢ϯ τ਺ͷ߹ܭ ユニークユーザーが を突破 20,000 人 人 0 5,000 2026 2025 2024 2022 2021 10,000 15,000 20,000 Regenerative Action Report 2026 20 Chapter 1
  15. 資金面 ・ 事業連携面における強力な支援により、 SANU の事業拡大は着実に進んでいます。 日本を代表する大 手 VC*¹ ・ CVC*²

    からの出資に加えて、 都市銀行から地 方銀行まで幅広い金融機関からの融資も事業拡大を力 強く後押ししています。 2025年3月には 「リジェネラティ ブ」 の概念を経営の中核に位置付けている点が評価され、 ス タートアップ最大級となるサステナビリティ ローン19.5億 円の組成にも成功しました。 同年5月には、 SANU が目指すライフスタイルを社会に 実装するための共創基盤 「SANU Lifestyle Partners」 をパートナー企業と共に立ち上げました。 各社のテーマ に応じて、 顧客基盤の共有 ・ サービスの相互連携 ・ 拠点の 共同開発という3つの軸を中心に段階的な実行計画を策 定し、 「都市と自然を行き来する暮らし」 を新たな時代の スタンダー ド とすべく、 社会実装に取り組んでいます。 SANUのビジョンに共鳴する 多様なパー トナーによる力強い支援 ͳ͓ɺ ຊߏ૝ʹઌཱͪɺ LEXUSͱSANU͸2023೥ΑΓɺ ϞϏϦςΟ ͱॅ·͍Λ࿈ܞͤͨ͞ΧʔϘϯ χϡʔ τ ϥϧͳࣾձͷ࣮ݱΛ໨ࢦ͠ɺ ਓͱ ࣗવ͕ڞੜ͢ΔࣾձΛஙͨ͘ΊͷϥΠ ϑελΠϧڞ૑ύʔ τφʔͱ ͯ͠ڠۀ͍ͯ͠·͢ɻ ͜Ε·ͰʹSANU 2nd Homeશڌ఺ͰͷEVॆిثઃஔࢧԉ΍ɺ LEXUS BEV*3Φʔφʔ޲͚ಛผ॓ധϓϥϯͷఏڙ͍ͯ͠·͕͢ɺ ࠓޙ͸ɺ ৽ͨͳ։ۀ༧ఆڌ఺ ʹͯɺ LEXUS BEVͰͷҠಈͱSANU 2nd HomeͰͷ଺ࡏΛֻ͚߹Θͤͨ஍Ҭମݧύοέʔδ ͷݕ౼Λ͍ͯ͠·͢ɻ ͜ΕΒ͸ ʮLEXUS Electrified Program*4ʯ ͱ࿈ಈ͠ɺ ࣗવͱ౎ࢢΛߦ͖དྷ ͢Δ৽͍͠ϥΠ ϑελΠϧͷࣾձ࣮૷Λ໨ࢦ͢औΓ૊ΈͰ͢ɻ *1 VC ʢVenture Capitalʣ ɿ ελʔ τΞο ϓ΁ͷ౤ࢿΛઐۀͱ͢Δ౤ࢿձࣾ *2 CVC ʢCorporate Venture Capitalʣ ɿ ࣄۀձ͕ࣾࣗࣾઓུͷҰ؀ͱ ͯ͠ઃཱͨ͠౤ࢿ෦໳ *3 BEV ʢBattery Electric Vehicleʣ ɿ όοςϦ ʔࣜిؾࣗಈं *4 LEXUS Electrified Program ɿ ిಈԽʹΑΔΫϧϚͷਐԽͱڞʹɺ LEXUSͳΒͰ͸ͷ্࣭ͳ ମݧͰϥΠ ϑελΠϧΛ๛͔ʹ͢ΔͨΊͷLEXUS BEVΦʔφʔ޲͚ͷઐ༻ϓϩάϥϜ 事業成長を支える財務 ・ 共創基盤 Lifestyle Partners Regenerative Action Report 2026 21 Chapter 1
  16. 一度立ち止ま り、 向き合うべき課題を再考する 5 ͭ ͷ ॏ ཁ ՝ ୊

    ớ Ϛ ς Ϧ Ξ Ϧ ς ỹ Ờͷ ઃ ఆ SUMMARY 急速な事業拡大に成功しましたが、 それに伴って 環境に与える影響は増え続けています。 環境負 荷を下げていくために、 設計、 建築、 運営の各方 面で継続的な改善を進めていますが、 十分とは言 えません。 長期的な理想である 「SANU が広がるほど地球 が豊かになる」 ことを目指す上で今の進め方が本 当に適切か。 迷いや葛藤を抱えながら、 SANUが リジェネラティ ブ ・ カンパニーとして評価を受けて きた理由の1つ、 「Forests for Futureプログラム」 の一部である植樹活動の休止を決定しました。 そして、 本当に注力すべきことを見定めるための 議論の末に、 5つの重要課題 (マテリアリティ) を 設定しました。 Regenerative Action Report 2026 23 Chapter 1
  17. 2025年の5月、 SANUがリ ジェネラティ ブ ・ カンパニー として評価を受けてきた目玉的な取り組みである、 Forests for Futureプログラムの植樹活動を休止

    する議論が社内で起きました。 創業時から、 日本の森の活用と再生を同時進行す ることで、 カーボンネガティ ブを目指すという考えの もと、 この活動を継続。 BEE に使用する木材生産 元である、 岩手県の釜石地方森林組合と協業し、 同 組合の管理地内でSANU社員による植樹や、 その 後の管理を実施してきました。 一方で、 活動を進める中で生じた 「日本の林業が抱 える課題に対して、 SANU が正しく介入できてい るのか」 という迷い。 そして 「カーボンだけでなく、 SANUが広がるほど地球が豊かになることを目指 して総合的に考え直すべきでは ? 」 という慎重な議 論を重ね、 植樹活動を休止*するこ とを決めました。 * طʹ২थͨ͠බ໦ͷҡ࣋؅ཧͷࢧԉ͸ࠓޙ΋ܧଓ Forests for Future プログラムの休止 一度立ち止まって、 考え直したい 24 Chapter 1 Regenerative Action Report 2025
  18. 5つの重要課題 の設定 Forests for Futureプログラムの休止決定と同時に向き 合った問い。 「SANUが広がるほど地球が豊かになると いう長期的な理想像に向けて、 今取り組むべき重要な課 題は何か

    ? 」 これに答えを出すために、 リジェネラティ ブ 推進室が中心となり、 社内外を巻き込んで議論を進めま した。 長期的な理想像と社会課題を俯瞰しながら、 取り組むべ き課題を幅広く リストアップ。 全社員へのアンケートや、 パートナー企業、 株主へのヒアリングを通して複数の角 度から意見を集めた上で、 経営陣と4回にわたるディ スカッ ションを重ねました。 リス トアップした課題を、 リスク と機会の大きさで絞り込み、 さらに 「自社にとっての重要性」 と 「ステークホルダー ・ 環 境 ・ 社会にとっての重要性」 の二軸で評価。 その結果、 こ れからSANUが取り組むべき5つの重要課題として集約 したものがマテリアリティ*です。 課題ごとの目標設定、 マイルストーン、 主要なアクションなどの詳細について は4章で後述します。 *ϚςϦΞϦςΟ ɿ اۀ͕࣋ଓతͳ੒௕ͱ௕ظతͳاۀՁ஋޲্Λ໨ࢦ্͢Ͱɺ ࣄۀΛ௨ͯ͡༏ઌ తʹऔΓ૊Ή΂͖ ʮॏཁ՝୊ʯ ͷ͜ ͱɻ ୯ͳΔࣾձߩݙͰ͸ͳ͘ɺ ࣗࣾͷܦӦઓུͱࣾձ՝୊Λ݁ͼ ͚ͭɺ ͔ܽͤͳ͍ཁૉͱ ͯ͠ಛఆ͞Εͨ՝୊Λࢦ͢ɻ SANUͰ͸ɺ ʮࣾձ ɾ ؀ڥ͕اۀʹ༩͑ΔӨڹʯ ͱ ʮاۀ͕ࣾձ ɾ ؀ڥʹ༩͑ΔӨڹʯ ͷ૒ํ޲Ͱಛఆ͢ΔμϒϧϚςϦΞϦςΟ ͷΞϓϩʔνΛ࠾༻ɻ (マテ リアリ ティ ) 長期的な理想像と 社会課題の交点 ҰਓͰ΋ଟ͘ͷਓ ʹͻΒ͔Εͨɺ ৺஍Α͍ࣗવͷ଺ࡏ 4"/6ʹͱͬͯͷॏཁੑ ε ς ồ Ϋ ϗ ϧ μ ồ ɾ ؀ ڥ ɾ ࣾ ձ ʹ ͱ ỳ ͯ ͷ ॏ ཁ ੑ ஍Ҭͱ ͱ΋ʹඳ͘ɺ ๛͔͞ͷ॥؀ ؀ڥෛՙΛݮΒ͠ɺ ະདྷʹͭͳ͙ݐங ࣗવͷ๛͔͞Λ कΓҭͯΔɺ ੜ෺ଟ༷ੑ΁ͷ഑ྀ ࣗવࡂ֐ʹڧ͍ɺ ϨδϦΤϯτͳ ଺ࡏͷఏڙ Regenerative Action Report 2026 25 Chapter 1
  19. 事業拡大と連動して増える環境負荷 *1 ຊϖʔδͰใࠂ͍ͯ͠Δͷ͸ɺ SANU 2nd Home ͷڌ఺ ʢͱݐஙʣ ʹ͓͚ΔԹࣨޮՌΨεഉग़ྔͱҰ࣍ΤωϧΪʔফඅྔɻ ຊࣾΦϑ

    Ο ε͸আ͘ɻ *2 ݪ୯Ґʹ͍ͭͯ͸ɺ ֤݄ʹ͓͍ͯՔಇͷ͋ͬͨڌ఺ͷഉग़ྔ߹ܭΛɺ Քಇͷ͋ͬͨڌ఺ͷͷԆচ໘ੵ߹ܭͰ҈෼ͨ͠ՃॏฏۉΛٻΊɺ 12ϲ݄෼Λ߹ܭͨ͠΋ͷɻ *3 ΤϯϘσΟ ʔ υΧʔϘϯ ɿ ݐங෺ͷϥΠ ϑαΠ Ϋϧͷ͏ͪɺ ӡӦஈ֊Ҏ֎Ͱഉग़͞ΕΔԹࣨޮՌΨεͷ૯শɻ ۩ମతʹ͸ɺ ݪࡐྉͷ࠾۷ɺ ༌ૹɺ ੡଄ɺ ݐઃɺ ͦͯ͠࠷ऴతͳղମ ɾ ഇغʹ͍ͨΔ·Ͱͷ֤޻ఔͰഉग़͞ΕΔCO2Λࢦ͢ɻ ද಺ͷ਺஋ ͷࢉఆํ๏ʹ͍ͭͯ͸ɺ ʮ؀ڥ഑ྀܕ॓ധࢪઃʹ͓͚ΔLCAͷ༧ଌͱݕূɹୈҰใɹ໦଄ݐஙͷEmbodied Cabonܭࢉɺ ٶԼཅɺ 2025೥౓೔ຊݐஙֶձେձ ʢ۝भʣ ʯ Λࢀরɻ *4 Net-zero buildings: Where do we stand ?(2021, WBCSD and ARUPʣ ಺৘ใΛࢀߟʹɺ ࣗࣾʹͯܭࢉɻ WBCSD ʢWorld Business Council for Sustainable Developmentɺ ࣋ଓՄೳͳ։ൃͷͨΊͷੈքϏδωεධٞձʣ ͸ɺ ࣋ଓՄ ೳͳࣾձ΁ͷҠߦΛՃ଎ͤ͞ΔͨΊʹɺ ੈքΛ୅ද͢ΔاۀͷCEO͕ͨͪ཰͍Δάϩʔόϧͳஂମɻ 温室効果ガス排出量 (建築由来) 一次エネルギー消費量 測定可能な主要項目の推移1*1 拠点の運営におけるCO2排出量 (スコープ1、 2) は下表の 通りです。 再生可能エネルギー使用を進めているほか、 MOSSではオール電化を採用しているため、 排出量は比 較的抑えられています。 ただ、 開業直後の拠点で契約切り 替えが困難な場合、 非再エネ電力を一時的に利用しており、 スコープ2排出量の増加抑制が課題となっています。 主な排出源 2023 2024 2025 スコープ1 (t-CO2) Ψεɺ ౮༉ 65.2 128 207 スコープ2 (t-CO2) ిؾ 75.7 95.5 348 スコープ1+2 140.9 224 555 原単位 (kg-CO2/m2 ・ 年) *2 41.0 30.2 47.3 私たちは、 CO2排出量だけでなく、 純粋なエネルギー使用 量を減らす必要があると考え、 モニタ リ ングを進めています。 エネルギー消費量は特に冬期の寒冷地において高くなる 傾向にあり、 まずは使用状況の詳細な分析をしながら、 対 策を検討しています。 2023 2024 2025 エネルギー消費量 (GJ) 4,977 9,146 7,265 エネルギー消費量原単位 (MJ/m2 ・ 年) 1,415 1,368 1,491 建築プロダク トごとのエンボディ ードカーボン*3 を下表に 示します。 既往文献を参考にすると、 2050年カーボンニュー トラルに向けた2030年の目標値は、 26kgCO2/㎡年程度 です*4。 大部分の木造建築では概ね達成できていますが、 BEEは鉄骨土台や杭の影響で上回っています。 BEE MOSS SKY RAY エンボディ ー ドカーボン (kg-CO2/m2 ・ 年) 30.1 19.2 21.9 25.7 木材使用による CO2固定量 (kg-CO2/m2 ・ 年) 17.3 13.7 11.8 13.6 Regenerative Action Report 2026 26 Chapter 1
  20. 事業拡大と連動して増える環境負荷 測定可能な主要項目の推移2 水使用量 廃棄物発生量* 井戸水を使用している一部の拠点を除いて、 ほぼ全ての拠点で上水道 を利用しています。 一室の1日あたりの使用量は2025年には約690リ ッ トルとなりました。

    東京都の資料*によると、 家庭で一人が1日に使う水 の量は、 平均221リ ッ トル。 稼働率や、 SANU 2nd Homeに宿泊する人 数などを踏まえると、 この値よりも使用量は高いようです。 2022 2023 2024 2025 合計 (KL) 2,482 7,454 19,142 36,733 原単位 (L/一 室 ・ 日) 468 501 596 694 ˎ ग़య ɿ ౦ژ౎ਫಓہ ʮ΋ ͬ ͱ஌Γ͍ͨਫಓͷ͜ ͱʯ 滞在によって発生するゴミ、 維持 ・ 管理 ・ 清掃等から発生するゴミなど、 日々廃棄物が発生します。 現在、 半数以上の拠点では廃棄物の発生量 を契約業者の協力のもと把握しています。 2024年からは可燃ゴミ削減 に向けて、 実験的に八ヶ岳2ndにコンポストを設置し、 生ゴミの堆肥化 運用を開始しました。 他拠点への展開も検討中です。 2022 2023 2024 2025 一般廃棄物 合計 (t) 2.5 4.9 30.6 78.6 ˎ ܖ໿ۀऀ͔Βഇغ෺ൃੜྔͷ৘ใఏڙ͕͋ͬͨ16ڌ఺ʹ͍ͭͯूܭΛߦͬͨ΋ͷ Regenerative Action Report 2026 27 Chapter 1
  21. SANUでは、 全ての建築でZEB Ready*¹相当の省エネル ギー水準にしていく ことを目指しており、 現在、 SKY、 RAY、 ARCでこの水準に基づくBELS*²の評価と認証の取得を 進めてきました。

    奄美大島1stのARCでは、 株式会社モノクロームの屋根と 一体化したソーラーパネルによって創エネにもチャレンジ することで、 Net ZEB*³水準を達成。 これまでの建築モデ ルの中では最も高い水準を達成することができています。 なお、 エネルギー消費量を削減するためには、 ハードの設 計だけでなく ソフトの運営面での工夫も欠かせません。 拠 点の多くは寒冷地にあり、 冬期のエネルギー使用量が多く なりがちです。 そこで、 ユーザーが不在にしている時間帯 の温度を自動調整したり、 適温での滞在を案内するなどの 対策を効果検証しながら実装を進めていく予定です。 *1 ZEB Ready ɿ ࠶ੜՄೳΤωϧΪʔΛআ͍ͨҰ࣍ΤωϧΪʔফඅྔΛɺ ج४஋͔Β50%Ҏ্࡟ ݮͨ͠ݐ෺ɻ *2 BELS :Building-housing Energy-efficiency Labeling Systemɻ Ұൠࣾஂ๏ਓॅ୐ੑೳධ Ձ ɾ දࣔڠձ͕ӡ༻͢Δɺ ݐங෺ͷলΤωੑೳΛධՁ ɾ ೝఆ͢Δެతͳ੍౓ɻ *3 Net ZEB ɿ ೥ؒͷҰ࣍ΤωϧΪʔফඅྔ͕ਖ਼ຯθϩ·ͨ͸ϚΠφεͷݐ෺ɻ ハードとソフトの両面で工夫 限りあるエネルギーを 有効に使う ैདྷͷݐ෺ ͰඞཁͳΤωϧΪʔ 100% ZEB Ready 50% লΤω 50% Net ZEB লΤω 50% ૑Τω 50% 0% ҎԼ Regenerative Action Report 2026 28 Chapter 1
  22. 国産木材の 使用率を高める これまで SANU 建築は、 木造建築にこだわってき ました。 その理由は3つあります。 1つ目は木造が鉄 骨造や

    RC 造と比較してエンボディ ードカーボン* などの環境負荷が低いこと。 2つ目は価格の低い外 国産材が優先され、 豊富にある国産材が有効活用 されていないこ とが、 日本の林業における課題となっ ていること。 3つ目に、 室内や外壁など主要な部分 に木材を使用することが、 ユーザーにとってその生 産地である森林に思いをはせるきっかけになるか らです。 また、 脈々 と引き継がれてきた木材の特性を生かす 技術は、 これまで培われてきた木との付き合い方そ のものです。 そうした技術へ敬意を払い、 実践する ことが人と自然がうまく関わってきた文化の維持や 発展につながると考えています。 例えばMOSSでは、 古くからの茶室文化とも関係 の深く、 床の間での利用が有名な京都の北山杉を、 同じく床柱として室内で使用しています。 また、 油 分が多く耐久性に優れた宮崎県の飫肥杉をデッキ に使用するなど、 特性に合わせて活用しています。 人と自然が関わってきた 文化をつなぐ * ΤϯϘσΟ ʔ υΧʔϘϯ ɿ ݐங෺ͷϥΠ ϑαΠ Ϋϧͷ͏ͪɺ ӡӦஈ֊Ҏ֎Ͱഉग़͞Ε ΔԹࣨޮՌΨεͷ૯শɻ ۩ମతʹ͸ɺ ݪࡐྉͷ࠾۷ɺ ༌ૹɺ ੡଄ɺ ݐઃɺ ҡ࣋؅ཧ ΍मસɺ ͦ ͯ͠࠷ऴతͳղମ ɾ ഇغʹ͍ͨΔ·Ͱͷ֤޻ఔͰഉग़͞ΕΔCO2Λࢦ͢ɻ Regenerative Action Report 2026 29 Chapter 1
  23. これまでも樹種の選定や施工方法など、 自然環境に 配慮したランドスケープデザインを心がけてきました。 そこから発展し、 それぞれの土地が持つ多様な環境 を活かすための工夫を続けています。 2024年8月に開業した北軽井沢2ndでは、 浅間山麗 という土地柄、 多くの浅間石が掘り出されました。

    こ れらの石は、 通常は産業廃棄物と して場外搬出されて しまいますが、 本拠点では景観を彩る石や砂利と して 活用し、 一切場外へ搬出しませんでした。 起伏のある 土地に浅間石を配置し、 オシダなどによって苔むす 森をイメージした環境をつく りだすことができました。 また、 2024年11月に開業した河口湖2nd は、 もとも と耕作放棄地や雑木林で構成され、 部分的に残され たススキ原が特徴となっている土地でした。 このよう な背景を活かし、 新たな植栽を抑えススキ原を再生。 今後も適切な手入れを続けることによって、 日本にお いては貴重な自然環境といえる草原を維持、 再生して いく ことを目指しています。 土地に根差した ラン ドスケープ 人にとっての 心地よさと 土地への謙虚さ Regenerative Action Report 2026 31 Chapter 1
  24. SANU Regenerative Clubの発足 事業でリジェネラティ ブな状態を目指すだけでなく、 この 地球で健やかに暮らしつづけていくための知恵と視点を、 ユーザーと学び合う場がつくれないだろうか。 その想い から立ち上げたのが、

    SANU Regenerative Clubです。 サステナブルを超え、 リジェネラティ ブを体現する各地の ナビゲーターと ともに、 イベントを開催しました。 第一回は世界的登山家で、 登山道整備の活動をする北杜 山守隊の花谷泰広さんと、 荒れてしまった登山道の観察 と整備を実施。 第二回はパーマカルチャーデザイナーの四井真治さんと 農家の石毛康高さんを迎え、 「地球再生型」 の暮らしを学 び、 夏野菜の収穫を体験。 第三回は 「生物多様性の保全を社会の当然に」 を掲げる 株式会社バイオームの杉山実優さんと、 那須の森でいき もの探しと記録を行いました。 自らが主体的に自然と関わる体験を通して、 参加者からは 「人も自然の一部として、 プラスの影響を与えられる可能 性を実感した」 という前向きな希望が語られました。 都市と 自然を行き来する、 その先へ l z いのちの仕組みの延長線上に暮ら しをつ く る こ と によ って、 人が生き る こ と が環境を 「壊す」 ことではなく 、 「再生する」 ことに つながる と 考えています。 四井 真治氏 パーマカルチャーデザイナー ........... *2 Logo design: Tomomi Maezawa *1 *2 *1 vol.2 Soil Cycle ɿ ฻Β͠ʹ໋Λ॓ΒͤΔ Πϕϯ τ Ϩϙʔ τ Α Γ https://www.2ndhome-articles.sa-nu.com/articles/src-report-2 Regenerative Action Report 2026 32 Chapter 1
  25. 障がいや病気がある方とご家族の旅や余暇の 選択肢を増やすことを目指して活動する団体 「HAJIMARI」 。代表を務める梅守さんの姉は 後天性の重度の精神疾患を患っており、 外出先 でもその時の機嫌次第で大声を出したり騒いだ りすることがしばしばありました。 「周囲への遠慮もあり、 家族での旅や余暇の時間

    をなかなか持つこ とができなかった過去の自分が、 安心して楽しめる場所や機会をつく りたい」 そんな梅守さんの想いに私たちSANUも賛同し、 一人でも多くの人にSANU 2nd Homeの体験を 届けるために、 この活動に参画しました。 参 画 初 年 度 と な る 2025 年 は、宿 泊 招 待 HAJIMARI dayを通して、 合計5組の方をご招 待することができました。 参加者からは、 「宿泊を 受け入れる姿勢が見えるだけで、 行く側のハー ド ルが下がります。 今後も選択肢が増えていく こと を願っています」 と期待の声が寄せられました。 l z 自分でも気づかないう ちに、 社会の中でひっそ り と存在しているような、 少し疎外されているよう な感覚を感じていたのかも しれません。 今回の 宿泊を通して、 大人も子どもも、 も っ と 自由にやり たいこ とをやっていいんだと 、 背中を押してもら えたよ うな気持ちになれま した。 HAJIMARI day 参加者の一人 HAJIMARI ެࣜαΠ τ https://hajimari-project.com/ 「HAJIMARI」 への参画 一人でも 多く の人に 体験を届ける Regenerative Action Report 2026 33 Chapter 1
  26. COLUMN 01 消えゆく 子どもの自然体験と、 その社会的影響 COLUMN 01 野原を走り回り、 虫を追い、 川や森で遊

    ぶ──かつて当たり前だったこうした自然 体験が、 いまでは多くの子どもたちの生活 から姿を消しつつある。 実際、 日本を含む 高所得国では、 登山や昆虫採集、 野鳥観 察といった体験を一度も経験したことがな い若者の割合が年々増えている*¹。 この 背景には、 都市化の進展、 身近な動植物 の減少、 そして子どもを取り巻く生活環境 の変化 (安全面に対する過度な配慮、 自由 時間の減少等) など、 さまざまな要因が複 雑に絡み合うと考えられている*²。 こうした、 人々が日常の中で自然とふれ あう機会を失っていく現象は 「経験の消失 (extinction of experience) 」 と呼ばれ る*²。 人類史を振り返れば、 時代の変化と ともに多くの経験が失われてきた──狩 猟や火起こ し、 星を頼りに方角を知る といっ た営みのように。 しかし、 それらの多くは 技術や文明の発展とともに不要となった 経験であり、 失われても大きな問題とはな らなかった。 だが、 自然とのかかわりの喪 失はそれらと異なる。 自然にふれる機会 を失うことは、 心身の健康やウェルビーイ ングに影響するだけでなく、 生物多様性 保全への関心や行動にも悪影響を及ぼす からだ*³。 最近の研究によれば、 自然に親しむ機 会が少ない人は、 精神的な健康状態が良 好でない傾向があり、 鬱症状や循環器 ・ 免 疫系への影響も報告されている。 この現 象は 「自然欠乏症候群」 とも呼ばれる。 ま た、 自然にふれる機会の少ない人は、 自然 に対する肯定的な感情や行動が減る一方 で、 過剰な恐怖や嫌悪感といったネガティ ブな態度を抱きやすく、 生態系の保全活 動に消極的になることも知られている。 つ まり、 経験の消失は個人の問題に留まら ず、 社会や地球規模の環境課題にもつな がる重要な問題なのである。 こうした影響が学術的に明らかになる につれ、 経験の消失をどう防ぐかが社会 的 ・ 学術的に大きな関心事となっている。 自然体験を増やすためには、 自然とふれ あう 「機会」 と 「意欲」 の両方を高めること が不可欠であり、 どのようにしてそれを実 現するかが課題となる。 この観点から見 れば、 SANU 2nd Home には大きな可 能性がある。 大自然に身を置くことが難し い現代人でも、 魅力的な場所で手軽に自 然にふれる体験を提供することで、 滞在 そのもののモチベーションを高め、 自然と の関わりを取り戻す助けになるからだ。 *1 Soga, M. & Gaston, K. J. (2023) Nature benefit hypothesis: Direct experiences of nature predict selfʖreported proʖbiodiversity behaviors. Conservation Letters, 16, e12945. *2 Soga, M. & Gaston, K. J. (2016) Extinction of experience: the loss of human–nature interactions. Frontiers in Ecology and the Environment, 14, 94-101. *3 Soga, M. & Gaston, K. J. (2022) Towards a unified understanding of human–nature interactions. Nature Sustainability, 5, 374-383. •寄稿 東京大学大学院 農学生命科学研究科/准教授 曽我昌史 2019年11月より現職。 専門は生態学だ が、 その他に環境心理学や都市計画学、 公衆衛生学にも精通し、 人と自然の相互 作用に関する学際的な研究に従事。 Regenerative Action Report 2026 34 Chapter 1
  27. 思考を広げる実践者との対話 SANU 2nd Homeのすべての部屋にか ならず置く一冊の本があります。 それは、 レイチェル ・ カーソンの 『センス

    ・ オブ ・ ワ ンダー』 。 自然へのまなざしを問い直すこ の一冊の新訳版を出版したのが、 京都在 住の独立研究者 ・ 森田真生さんです。 数学を出発点に、 生命や哲学、 テクノロ ジーとあらゆる分野へと探究の射程を広 げる森田さん。 同時に、 京都の土地に根 差した暮らしや子育ての日々で、 庭の手 入れや松の剪定を通じて人と自然の関係 に向き合い続ける実践者の顔も持ってい ます。 「SANU の営みは、 本当に自然を豊かに するのか? 」 。 この大きな問いへのヒント を求め、 森田さんが持つ多様なスケール 感から人と自然の関係性をどのようにと らえ直せるのかを尋ねました。 1985 ʢত࿨60ʣ ೥౦ژ౎ੜ·Εɻ ژ౎ʹڌ఺Λߏ͑ͯ ݚڀ׆ಈͷ͔ͨΘΒɺ ࠃ಺֎Ͱ ʮ਺ֶͷԋ૗ձʯ ͳͲ ͷϥΠϒ׆ಈΛߦ͍ͬͯΔɻ 2015೥ʹൃදͨ͠ॳͷ ஶॻ ʰ਺ֶ͢Δ਎ମʱ Ͱখྛल༤৆Λड৆ɻ 2022೥ɺ ʰܭࢉ͢Δੜ໋ʱ ͰՏ߹൏༤ֶܳ৆ड৆ɻ ΄͔ͷ࡞඼ ʹɺ ʰ਺ֶͷଃΓ෺ʱ ʰۮવͷࢄาʱ ʢڞʹϛγϚࣾʣ ɺ ʰ๻ ͨͪ͸Ͳ͏ੜ͖Δ͔ʱ ʢूӳࣾʣ ɺ ʰ͔ͣΛ͸͙͘Ήʱ ʢ੢ ॔ֆɺ ෱Իؗॻళʣ ɺ ༁ͱ ʮͦͷ͖ͭͮʯ Λख͕͚ͨ ʰη ϯε ɾ Φϒ ɾ ϫϯμʔʱ ʢϨΠνΣϧ ɾ Χʔιϯஶɺ ੢ଜ πνΧֆɺ ஜຎॻ๪ʣ ɺ ֆຊ ʰΞϦʹͳͬͨ਺ֶऀʱ ʢ࿬ ࡕࠀೋֆɺ ෱Իؗॻళʣ ͳͲ͕͋Δɻ •独立研究者 森田真生 多様なスケールから、 人と 自然の関係性を どのようにと らえ直せるか ? Regenerative Action Report 2026 36 Chapter 2
  28. —— 著書を読むと、 現在最も重要な環境課題と言える 気候変動に対しても悲観的ではない印象を持ち ました。 ネガティブなトーンで語られがちな話題 ですが、 森田さんはどのようにとらえているか直 接お聞きしたいです。 人間の活動が引き起こしている地球環境の変化

    については、 僕もとても心配しています。 生き方 を根本的に変えていく必要があるというのは、 僕 が書いてきた本の大きな主題の一つです。 一方 で、 地球の気候に関していえば、 過去数万年をさ かのぼるだけでも、 かなり激しく暴れてきたという 事実があります。 いま私たちは 「完新世」 と呼ばれ る、 気候が比較的温暖で安定した時代を生きてい ますが、 完新世に先立つ最終氷期末期には、 数℃ にもおよぶ大きな幅の気温の上下が、 人間の一生 く らいの短い時間幅のなかでも複数回起こってい たことがわかってきています。      『人類と気候の1 0万年史』 の著者で、 古気候学 の研究者の中川毅さんは、 気候には 「安定したモー ド」 と 「暴れるモード」 が存在して、 地球の歴史の なかでは後者が普通だったと指摘しています。 完 新世はすでに1万年以上も続いているので、 遅か れ早かれ気候はまた暴れるモードに戻ります。 い ずれにしても気候の安定が常態ではないことは、 肝に銘じておく必要があります。 —— 同じように次の年が続くことを前提に社会が組み 立てられているが、 そのこと自体を考え直さないと いけないと。 人間の思考は、 地球という場所の性質に制約され てきました。 特に、 気候が例外的に安定した時代 を生きている私たちは、 現在の延長線上に未来 を想定することに慣れてしまっています。 たとえば 「契約」 という近代社会を支える概念も、 「今日と 同じような明日が続く」 という前提の上に成り立っ ています。 でも未来とは本来、 現在から断絶した ものです。 気候が暴れる時代には、 本当の意味で の 「未来」 が来てしまう ということです。      とはいえ、 人間の身体や脳はそもそも 「明日な どわからない」 という環境のなかで形作られてき たものなので、 「未来」 にもきっと耐えられると思 います。 みんなで美味しいものを食べるのが幸 せだとか、 誰かの役に立つこ とに喜びを感じるとか、 そういう根源的なところは、 時代が変わってもきっ とほとんど不変だろうと思います。 「安定」 こそがイレギュラー。 暴れる気候と 未来の考え方 Regenerative Action Report 2026 37 Chapter 2
  29. —— 自然環境が変化するものとして、 私たちは世界 との関わり方をどのように構築していくべきだ と考えていますか ? 昨晩月がすごく綺麗でしたね。 月は万人に分け 隔てなく公開されています。 最も素晴らしいも

    のは、 いつも公開されている。 そのことに僕は 感動します。 ただ、 これが意味を持つためには、 「読み手」 の存在が不可欠です。 DNA の塩基 配列だって、 細胞質という読み取り側の読解力 があって初めて、 意味を持つテキストになるわ けです。 —— 自然は、 別の読み手が存在してはじめて意味を 持つということですね。 現代を生きる私たちは、 自然というとまず植物 (緑) を思い浮かべる傾向が強いと思います。 たしかに植物が光合成によって自分で有機物を 作れるのに対して、 動物である私たちは、 他の 生き物を食べないと生きていけない従属栄養生 物です。 ただ、 動物にとって植物が必要なのと 同じように、 多くの植物にとっては動物の存在 が不可欠です。 花粉や種子を運ぶことはもちろ ん、 動物がものを食べ、 排泄することによって地 球の隅々にまで窒素やリンなど、 大切な栄養素 が運ばれます。 生命は互いに支え合っているの で、 植物も動物も菌類も、 みんななくてはなら ない存在です。 —— では、 人間はどのような 「読み手」 でいられるで しょうか。 例えば、 海を泳ぐクジラと、 山に生えるブナの木 が物理的に出会うことはありませんが、 人間の 想像力はそこをつなぐことができます。 この地 球上で別々に展開してきた生命が、 人間の思考 を通して新しいつながりを持てるのはすごいこ とだと思います。 人間にしかできないこの世界 の読み解き方があるはずです。 人間が自然から 一方的に奪っているだけだとする見方は、 一面 的すぎると思います。 この世界は 「読み手」 を待つ オープンテキス トである Regenerative Action Report 2026 Chapter 2 38
  30. —— そうした姿勢で向き合うための ポイントは、 どこにあるのでしょ うか。 先日、 遠野の 「クイーンズメドウ」 に行ってきたのですが、 そこでは

    人と馬がともに暮らす生活のなか で、 互いに 「リスペクト」 し合う関 係を大切にされていました。 リス ペク ト (respect) の語源は 「re (再 び) +specere (見る) 」 で、 よく見 る、 注意を向ける、 という意味の 言葉です。 クイーンズメドウの徳 吉英一郎さんは、 「意識という資 源を相手に持っていくこと」 と表 現されていました。     人間の意識は他人に乗っ取ら れることのない不可侵のもので、 それをどう使うかは自分で決めら れます。 馬をブラッシングしたり、 子どもを見守ったりするとき、 僕 たちはただ行為しているだけで はなく、 自分の意識を相手に持っ ていっている。 すると相手はその 意識を感じるわけです。 行為の 結果だけではなくて、 意識を持っ ていく ことそれ自体に価値がある。      人と自然の関係も同じで、 樹木 の数や、 二酸化炭素の排出量な どの数字を見るだけではなくて、 まずは自然とのあいだに 「リスペ クトの関係を持つ」 ことが重要だ と思います。 —— 企業や組織だと、 どうしても数値 目標をつくることが先行しがちで すよね。 そこにどれほど善意や合理性が あったとしても、 数字だけを見て 相手を感じないまま介入するの は暴力的です。 カーボンフッ トプ リントだけを見て自然との関係を 制御しようとする姿勢は、 人間の リズムを一方的に強要している 点でリスペクトに欠けています。 自然は、 結果を求めてコントロー ルできるものではない。 でも大事 にすること、 自分の意識を持って いく ことはできるんです。 相手に 「意識という資源」 を 持っていく こ と Regenerative Action Report 2026 39 Chapter 2
  31. 落ち葉を掃く 。 何も生まない 「手入れ」 が 幸福の基盤になる —— 現代において 「他者や自然に意識を持っていく」 ことっ

    て、 実はとても難しいことのように感じます。 私たちが その感覚を掴むための 「コツ」 はあるんでしょうか ? 例えば、 落ち葉を掃く とか、 食器を洗うとか、 なにも生 まない行為が人間にとってはすごく大切だと思いま す。 落ち葉を掃いて綺麗になっても翌日には元に戻り ますが、 落ち葉を拾いながら、 僕たちの意識は外側に 向かっています。     現代は生産性を追求して、 なにも生まない行為を 機械や他人に任せがちですが、 「元に戻る」 という非 生産的な活動こそ、 人間の幸福の基盤にあると思い ます。 体温や血糖値を一定に保つホメオスタシス (恒 常性) が生命の喜びのベースにあるように、 元に戻る 活動はとても重要なんですよね。 —— 意識を変えるきっかけは 「手入れ」 のような非生産的 だったり、 無目的的だと思われている行為から始まると。 「手入れ」 はすごく鍵となる言葉です。 人間の手はし なやかに動く 「モーター」 であると同時に、 感じるため の 「センサー」 でもあります。 葉っぱを一枚取るにして も、 そのとき指先のスケールで世界を感じている。 感 じるこ と と動く こ とが連動しながら、 世界も自分も変わっ ていく。     近代以降、 都市と農村が分離して、 「自分が食べて いるお惣菜が、 誰のどんな火で炊かれたのかわから ない」 という状況が生まれました。 生産と消費の場が 離れ、 自分で環境を手入れしなくても生きていけるよ うになりましたが、 その代償として環境と対話する機 会が減り、 自分が世界から切り離されたような不安を 抱えることになった。 住むということは、 本来、 手入れ を伴うものですよね。 —— 古い家なんかは、 マンションに比べても圧倒的に手 間がかかりますもんね。     SANU自身が手入れの思想を体現する場所になっ たら素晴らしいと思います。 たとえば地元の職人さん たちが心を込めてSANUの施設を手入れしている風 景や、 廃材が美しいカトラ リーに生まれ変わっていくよ うな。 そうした空間に滲み出ている 「場所を大事にし ている」 というメッセージこそが、 訪れる人の感性に感 染していくのではないでしょうか。 Regenerative Action Report 2026 40 Chapter 2
  32. —— 今回のレポートで起点となった問いに ついて聞かせてください。 経済活動と 生態系の再生は本当に両立できると思 いますか。 企業が生き生き している状態というのは、 「流れがいい」 状態だと思います。

    これ は哲学者の山内志郎さんが、 『流れるこ とへの哲学』 という本のなかで書かれ ていることですが、 流れは落差がない と生まれないけれど、 流れは、 落差を 解消していく動きでもある。 この矛盾が 「流れ」 の面白さです。流れが流れ続 けるためには、 落差を解消しながら、 新 しい落差を作り続けなければいけない。     企業の中に葛藤や矛盾を抱えている 状態は、 落差の生成という観点からは 健全だと思うんです。 細胞の呼吸も、 ナ ノスケールで電位の落差を作っては解 消するということを繰り返していて、 そ のおかげで私たちは生きている。 生き ているというのは、 あっちに行ったりこっ ちに来たり、 どっちつかずの 「あいだ」 を探り続けることなんですよね。 —— 矛盾を抱えながら進むこと自体が 「流 れている証拠」 なんですね。 絶対によくなるという決まった答えはな いので 「もっとこうできたんじゃないか」 と反省したり傷ついたりしながら、 問い 続けていく ことしかできません。     理想や現実があり 「これでいいんだろ うか ? 」 と傷つき、 立ち直り、 うまくいって いるような気がしたと思ったら、 うまく いっていないような気もする。 問い続け、 感じ合えていること自体が、 素晴らしい ことなんじゃないでしょうか。 矛盾を抱えながら 「流れ続ける」 こ とが、 生きている証拠 औࡐڠྗ ɿ Com-ion Regenerative Action Report 2026 41 Chapter 2
  33. 事業の拡大と 自然の豊かさを どのような関係に再構築するか ? この2年間の歩みを振り返り、 探索を重ね るなかで、 SANUがこれから果たすべき役 割が見えてきました。 地球環境や、

    私たちの心身の健康。 課題 の背景には、 人が自然の一部であることを 忘れ、 心身ともに自然とのつながりを失い つつあるという根本的な問題があります。 そのなかで SANU が果たす役割は 「自然 そのもの」 を再生することではなく 「人と自 然の関係性」 を再生すること。 SANU 2nd Home の体験を起点に人と自然の距離を 近づけることが、 事業の成長と自然の再生 の両立につながる。 この考えを 「SANUイ ンパク トモデル」 と して構造化しました。 長期的な理想である 「SANU が広がるほ ど地球が豊かになる」 ことを実現するため に、 取り組むべき課題は多くあります。 自然 に対する意識の変化を、 ライフスタイルの 変容や自然の再生へつなげる道筋を描く こ と。 また、 後述するマテリアリティへの取り 組みを軸に、 事業拡大が与える環境負荷を 最小限にすること。 個別の取り組みにとど まらず、 事業全体を通じてポジティブなイ ンパク トを生み出していく こ とを目指します。 SANUΠϯύΫ τϞσϧ ੜ੒ ɾ੒௕ Generative / Growth ࠶ੜ ɾճ෮ Regenerative ਓͱࣗવͷ ڑ཭͕ ۙ͘ ͳΔ Ϣʔβʔ਺ͷ ૿Ճ ࣗવʹର͢Δ ҙࣝͷมԽ ऩӹͷ૿Ճ ࣗવͷ࠶ੜ ڌ఺ͷ૿Ճ ϥΠϑελΠϧ ͷม༰ SANU͕޿͕Δ΄Ͳɺ ஍ٿ͕๛͔ʹͳΔ͜ͱΛ໨ࢦ͢ Regenerative Action Report 2026 44 Chapter 3
  34. 「自然の中で過ごす時間」 を計測し、 最大化する *NSM ɿ North Star Metricɻ ސ٬΁ͷఏڙՁ஋ͱࣄۀͷ௕ ظతͳ੒௕Λܨ͙

    ʮͨͬͨҰͭͷࢦඪ ʢ๺ۃ੕ࢦඪʣ ʯ Λࢦ͢ɻ インパクトモデルを経営の意思決定や日々 のアクショ ンに落と し込むための最重要指標 (NSM*) を設定しました。 「人と自然の関係性の再生」 を正確に測るこ とは難しい前提に立ちつつ、 客観的かつ定 量的に測れる指標で、 SANU 2nd Home を通じて生まれた 「自然の中での総滞在時 間」 を計測していきます。 都市で生活する 人々の時間の使い方そのものを変えていく、 SANUにとってのチャレンジです。 ˠ4"/6OE)PNFΛ௨ͯ͡ ʮࣗવͷதͰͷ૯଺ࡏ࣌ؒʯ ͕૿͑Δʹ ਓͱࣗવͷڑ཭͕ۙͮ͘ ޿͕Γ ʢ਺ʣ ਂ͞ ʢස౓ʣ ࣗવͷதͰͷ૯଺ࡏ࣌ؒ Total Nature Hours SANUΛ௨ͯࣗ͡વʹ৮ΕΔස౓ ೥ؒ1ճʙ365ճ SANUΛ௨ͯ͡ ࣗવʹ৮ΕΔϢʔβʔͷ૯਺ Regenerative Action Report 2026 45 Chapter 3
  35. 「自然の中で過ごす時間」 が 増えるこ とによる変化とは ? 自然を 「レジャー」 から、 「生活に必要なもの」 へ

    *ௐࠪ֓ཁ ௐ໊ࠪ ʛ 2026೥Ո଒ͷϥΠ ϑελΠϧʹؔ͢Δҙࣝௐࠪ ظؒ ʛ 2025೥12݄18೔ʙ2026೥1݄10೔ ํ๏ ʛ Π ϯλʔωο τௐࠪ ओମ ʛ גࣜձࣾSANU ༗ޮճ౴਺ ʛ ʲҰൠʳ ؔ౦ݍࡏॅͷࢠҭͯੈଳ627໊ ɾ ʲSANUϢʔβʔʳ Ո଒ར༻ऀ188໊ 33% ࣗવ Ͱաͨ͝͠ޙɺ ͋ͳͨࣗ਎΍Ո଒શମͷؔ܎ੑʹͲΜͳมԽ͕͋Γ·͔ͨ͠ʁ 2 ʮར༻͍ͯ͠ͳ͍Ұൠͷํʯ ͱ ʮSANU 2nd HomeϢʔβʔʯ ͷൺֱ ύʔτφʔ΍ࢠͲ΋ʹ༏͘͠ ͳΕΔ ʮ࣍͸͍ͭߦ͘ ʁ ʯ ͱ͍͏ձ࿩͕ࣗવʹग़Δ SANUϢʔβʔͷ৔߹͸SANU 2nd Home 16% 35% 34% 69% SANU 2nd HomeͰաͨ͋͝͠ͱɺ ͲΜͳมԽΛײ͡·͔͢ʁ 2 Α͘຾ΕΔ ϲ݄ະຬ ೥Ҏ্ ඇϢʔβʔ Ϣʔβʔ ඇϢʔβʔ Ϣʔβʔ ϲ݄ະຬ ࢓ࣄ΍೔ৗ΁ͷूதྗ͕໭Δ 6% 44% 28% SANU 2nd HomeϢʔβʔྺ ʮ6ϲ݄ະຬʯ ͱ ʮ2೥Ҏ্ʯ ͷํͷൺֱ ೥Ҏ্ 2026年1月に実施した、 SANU 2nd Home ユー ザー ・ 非ユーザーそれぞれを対象とした調査*から、 継続的な自然体験がもたらす変化が見えてきました。 SANU 2nd Home利用歴 「6ヶ月未満」 と 「2年以上」 のユーザーを比較すると、 「2年以上」 において睡眠 や集中力の回復を実感する割合が大幅に上昇。 サー ビスを継続的に利用し、 自然の中で過ごす時間が増 えることで、 生活の質を向上させていることがわかり ます。 また、 自然の中に繰り返し通う生活は、 ユーザー自身 に留まらず、 家族との関係にも良い効果を及ぼして いる傾向も確認できました。 ライフスタイルの中に 「自 然の中で過ごすこと」 が定着し、 それをきっかけとし た会話が生まれ、 また自然の中に訪れる。 ポジティ ブなサイクルが定着していると言えます。 今後、 「SANU Lifestyle Partners」 の日鉄興和不 動産および東大発のスタートアップJDSCと共同で、 より本格的な調査を実施し、 2026年内に結果を発 表する予定です。 Regenerative Action Report 2026 46 Chapter 3
  36. なによ り も、 自然の中で過ごす時間は この世界のと きめきに気づかせてく れる SANU 2nd Home

    には、 BOOKS+コトバノイエの 加藤博久さんによって選ばれた本が置かれています。 それぞれの部屋に様々な本が並ぶ中で、 1冊だけす べての部屋に置いているのがレイチェル ・ カーソンの 『センス ・ オブ ・ ワンダー』 です。 すべての子どもが生 まれながらに持っている 「驚きと不思議に開かれた 感受性」 を、 いつまでも失わないでほしいという願い が込められています。 自然の中に身を置いたとき、 頭で考えるよりも先に、 心と身体がふと動いてしまう瞬間があります。 朝霧に 包まれた森の静寂に思わず息をのむ。 見上げた星空 の輝きに声が漏れる。 あるいは雪原に差す光のあた たかさに、 わけもなく胸がいっぱいになる。 私たちが 「ワンダー 〈この世界のときめき〉 」 と呼ぶ瞬間は、 都 市生活の中ですこし閉じてしまっていた感性の扉を 開き、 本来あったはずの 「人と自然のつながり」 を呼 び覚ます大切な入り口です。 そして、 自然の中で受け取った世界のときめきは、 都 市に戻ったあとの日常の景色さえも変える力を持っ ています。 通勤途中の街路樹の変化に目がとまり、 スーパーに並ぶ野菜の旬や産地が気になりはじめる。 義務感からではなく、 ごく自然な感情から生活に変 化が生まれていく。 この小さな心の動きや行動の変 化こそが、 やがて 「ライフスタイルの変容」 につなが ります。 今後、 SANU 2nd Homeの体験の根幹にある 「ワン ダー 〈この世界のときめき〉 」 を、 より多くの人に、 深く 届けるための活動を本格的に展開していきます。 小さな心の動きがライフスタイルの変容につながる Regenerative Action Report 2026 47 Chapter 3
  37. COLUMN 02 COLUMN 02 経験の消失スパイ ラルから 脱却するには—— SANUの挑戦から考える 人と自然が良好な関係を築くために、 私た

    ちはいったいどれくらい自然とふれあえばよ いのだろうか。 問い自体はシンプルだが、 そ の答えは意外に難しい。 なぜなら 「自然との ふれあい」 と一口に言っても、 そのあり方は 実に多様だからだ。 自然体験の 「程度」 は、 大きく二つの軸で 捉えることができる。 どれく らいの時間 ・ 頻度 で自然にふれるかという量と、 どれほど深く 関わるかという質である。SANU が掲げる Total Nature Hoursという指標は、 このう ち前者、 すなわち 「量」 に焦点を当てた試み だ。 これまで曖昧に語られがちだった自然体 験を、 「時間」 というシンプルな尺度で定量化 する。 その発想自体が、 特に民間企業の取り 組みとしては画期的だと言える。 そして、 この 「量」 が重要であることは科学 的にも示されている。 たとえば英国エクセター 大学の研究では、 緑地によるメンタルヘルス 効果を得るためには、 週に合計120分自然に ふれる必要があることが報告されている*¹。 また我々の研究では、 幼少期に週1回程度、 森や林を訪れる経験が、 成人後の環境配慮 行動と関連していることも分かっている*²。 自 然と過ごす 「時間」 は、 確かに人の意識や行 動を形づくるのだ。 一方で、 量が軌道に乗ったその先に、 ぜひ 目を向けてほしいのが 「質」 である。 自然体 験を重ねてきた立場からすれば、 体験の質が もたらす影響は決して小さくない。 見たこと のない生き物に出会ったときの驚き。 深い森 に足を踏み入れた瞬間に湧き上がる畏敬の 念。 匂いや音、 手触りを通して自然の営みを 感じる経験。 こうした瞬間は、 自然から得ら れる喜びや気づきを何倍にも増幅させる。 質の向上は、 決して特別なことをしなけれ ば実現できないわけではない。 たとえば、 滞 在先の周囲にどんな生き物が暮らしている のかに目が向く仕掛けを用意する。 アプリを 使って生き物を記録することは、 楽しさと同 時に生物多様性保全への貢献にもつながる。 あるいは、 野生動植物に配慮した森を整備し、 安全に歩ける散策路や最低限のガイドを設 ける。 それだけでも、 人と自然との関係性は 一段深まるはずだ。 質の高い体験は、 その場限りの満足で終 わらない。 「また来たい」 「もっと知りたい」 と いう気持ちを生み、 結果として自然と過ごす 時間そのものを増やしていく。 量と質が相互 に高め合う、 前向きな循環が生まれる。 経験 の消失スパイラルから脱却するために必要 なのは、 こうした好循環をいかにつく り出す かという視点なのだ。 *1 ɿ White, M. P ., et al. (2019) Spending at least 120 minutes a week in nature is associated with good health and wellbeing. Scientific Reports, 9, 7730. *2 ɿ Soga, M., & Gaston, K. J. (2023) Nature benefit hypothesis: Direct experiences of nature predict selfʖreported proʖbiodiversity behaviors. Conservation Letters, 16, e12945. •寄稿 東京大学大学院 農学生命科学研究科/准教授 曽我昌史 2019年11月より現職。 専門は生態学だが、 その他に環境心理学や都市計画学、 公衆衛 生学にも精通し、 人と自然の相互作用に関 する学際的な研究に従事。 Regenerative Action Report 2026 48 Chapter 3
  38. 15 万人のユーザー規模へ 日本国外への拠点展開 SANUは2028年までに、 累計ユニークユーザー数15万人以上の到達を 目指します。 また、 30年という長い時間軸でSANUと関わり続ける 「Co- Owners」

    を約5,000名規模へ拡大し、 自然との関係性を共有する緩や かなコミ ュニティの形成を進めます。 SANU 2nd Homeを2028年までに国内80拠点 ・ 600室以上へ拡大す ることを目指します。 さらに、 ハワイ、 台湾、 ニュージーランド*など、 世界 有数の自然豊かな地域への海外展開を段階的に始動。 ボーダレスに自 然と暮らす選択肢を広げていきます。 「自然と共に生きる」 ライフスタイルを、 より多くの人へ 自然との出会いを、 場所や国境の制約から解放する 1 2 *Ұྫͱ ͯ͠هࡌɻ ۩ମతͳީิ஍͸ݕ౼தɻ Regenerative Action Report 2026 50 Chapter 3
  39. 体験進化の本格始動 第二の収益の柱をつく る 繰り返し通うSANU 2nd Homeだからこそ提供できる唯一無二な自然 体験を通じて、 自然の中で過ごす時間のみならず、 都市生活、 ひいては

    人生に 「ワンダー 〈この世界のときめき〉 」 があるライフスタイルを提案し ていきます。 「Nature for all.」 という ミ ッショ ンを実現するための方法はSANU 2nd Home事業だけに留まりません。 自然と共にある暮らしを支える新たな 事業に挑戦します。 高いスケーラ ビリティ を持つビジネスモデルを構築し、 第二の収益の柱と して育成していきます。 自然の中で過ごす時間を深め、 ライフスタイルを提案していく 事業領域を拡大し、 自然と共にある暮らしをより多くの人へ 3 4 Regenerative Action Report 2026 51 Chapter 3
  40. • SANUが広がるほど、 地球が豊かになる • 人と 自然の関係性を再生する • 現在地 山の登り方に こだわる

    • 自然の豊かさを守り育てる、 生物多様性への配慮 • 環境負荷を減らし、 未来につなぐ建築 • 自然災害に強い、 レジリエントな滞在の提供 • 地域と ともに描く、 豊かさの循環 • 一人でも多くの人にひらかれた、 心地よい自然の滞在 SANUは 「Nature for all.」 という高くそびえる山の頂きを目指していま す。 この山を登ることで、 人と自然の関係性を再生することや、 その先に ある人と地球が共に豊かになるという変化を生み出したい。 ただ、 登っている最中に山そのものを傷つけたり、 仲間に無理をさせては、 山に登る意義そのものを見失ってしまいます。 だからこそSANUは山の 「登 り方」 にこだわりたい。 それが5つの重要課題 (マテリアリティ) です。 これ らは長期的な事業成長に向けた土台であり、 頂上に到達するための必 須要件です。 Regenerative Action Report 2026 53 Chapter 3
  41. 「ネイチャ ーポジティ ブ」 に向けた 拠点づく りを当たり前に 最終的に 「SANUが広がるほど地球が豊かになる」 ことを目 指す上で特に重要なこのテーマにおいて、

    2028年時点では 土地の選定から建築、 維持管理まで、 ネイチャーポジティ ブ *¹に向けた拠点づく りが全拠点*²で機能している状態を目 指します。 その第一歩と して、 TNFD*³のLEAPアプローチ*4を踏まえ、 私たちの拠点が生物多様性の観点でどのような特徴やリスク、 ポテンシャルを持つ場所なのか、 外部専門家の協力を得な がら科学的な分析 ・ 評価を進めています。 最終的には土地 の選定から維持管理までをカバーしたガイ ドラインに落とし 込むことで、 長期的なネイチャーポジティ ブを目指す開発を 自社の標準にしていきます。 2026年 • 全拠点の生物多様性定量評価を完了 • モデル3拠点のランドスケープ改善開始 • ネイチャーポジティ ブに向けたガイ ドラインの導入 2027年 • モデル10拠点の取り組み進行 • ガイ ドラインの定着 • TNFDレポー トを通じた詳細情報の開示 2028年 • ネイチャーポジティ ブに向けた拠点づく りが全拠点で機能 自然の豊かさを守り育てる、 生物多様性への配慮 *1 ੜ෺ଟ༷ੑ͕ٸ଎ʹݮগ͍ͯ͠Δத Ͱɺ 2030೥·ͰʹͦͷྲྀΕΛ൓స ͤ͞ɺ 2050೥ʹ͸ճ෮͍ͯ͠Δঢ়ଶ Λ໨ࢦ͢ࠃࡍతͳ໨ඪɻ *2 ։ ൃ ߦ ҝ ͕ ݶ ఆ త ͳ Selection SeriesΛআ͘ɻ *3 Taskforce on Nature-related Financial Disclosures ɿ 2021೥ʹ ൃ଍ͨࣗ͠વؔ࿈ͷґଘ ɾ Π ϯύΫ τ ɺ ϦεΫͱػձΛద੾ʹධՁ͠ɺ ։ࣔ ͢Δ͜ͱΛཁ੥͢ΔࠃࡍతͳλεΫ ϑΥ ʔεɻ *4 Locate (ൃݟ )ɺ Evaluate (਍அ )ɺ Assess (ධՁ)ɺ Prepare (४උ)ͱ ͍͏4ͭͷϑΣʔζ͔Βߏ੒͞ΕΔΞ ϓϩʔνɻ Regenerative Action Report 2026 54 Chapter 3
  42. 2026年1月より、 SANU 2nd Home 運営中 の拠点と開発予定地 *¹ がどのような自然環 境に置かれているかについて、 定量的な評価

    を進めています。 生物多様性の保全 ・ 管理方 針に関連する指標である 「完全性」 *²と 「重 要度」 *³の二軸で拠点間の相対比較を行なっ たのが左の図です。 この評価から読み取れる のは、 展開エリアの多くが人の手が一定入っ ていた場所でありながら、 国立公園に近い生 物多様性のポテンシャルを持っていること。 つまり、 拠点内のランドスケープづく りや周辺 での自然再生アクションなどによって、 より豊 かな自然にしていける可能性があるというこ とです。 ここから、 各エリアにおける森林消失速度 ・ 外 来動植物種数 ・ シカ生息密度などの状況も踏 まえながら優先拠点を絞り込み、 まずは優先 拠点におけるネイチャーポジティ ブの軌道に 乗せるための具体的なアクションを検討、 実 行、 モニタ リングしていく予定です。 *1 ։ൃߦҝ͕ݶఆతͳSelection SeriesΛআ͘ɻ *2 ੜଶܥͷ׬શੑ ɿ ࣗવঢ়ଶΛ1ͱ ͯ͠౔஍ͷվมʹԠͨ͡ଛࣦ౓ ߹͍Λࣔͨ͠΋ͷͰɺ ࣗવճ෮΁޲͚ͨݕ౼ࡐྉʹ΋ܨ͕Δࢦඪɻ ਓͷख͕ೖ͍ͬͯΔ஍Ҭ΄Ͳߴ͘ ͳΔɻ *3 ੜ෺ଟ༷ੑͷॏཁ౓ ɿ ౔஍։ൃͳͲʹΑΔੜ෺ͷઈ໓ϦεΫΛ஍ ҬͰϥ ϯΩϯάԽͨ͠΋ͷͰɺ ༏ઌڌ఺ͷબఆʹ͋ͨΓɺ ༷ʑͳέʔ εͰ༻͍ΒΕ͍ͯΔࢦඪɻ ੜ෺ͷੜଉछ਺͕ଟ͘ɺ ةٸछ͕ଟ͍ ஍Ҭ΄Ͳߴ͘ ͳΔɻ Regenerative Action Report 2026 55 Chapter 3
  43. 2026年 • 単位面積あたりの 「エンボ ディードカーボン」 と 「一次エネ ルギー消費量」 について、 2030

    年までの達成を目指す定量的な 目標設定を完了 2027年 • 2030年目標の達成に向けた 運用の試行 2028年 • 運用が定着し、 2030年目標の 達成に向けた目処が立っている *1 ΤϯϘσΟ ʔ υΧʔϘϯ ɿ ݐங෺ ͷϥΠ ϑαΠ Ϋϧͷ͏ͪɺ ӡӦஈ ֊Ҏ֎Ͱഉग़͞ΕΔԹࣨޮՌΨ εͷ૯শɻ ۩ମతʹ͸ɺ ݪࡐྉ ͷ࠾۷ɺ ༌ૹɺ ੡଄ɺ ݐઃɺ ҡ ࣋؅ཧ΍मસɺ ͦͯ͠࠷ऴతͳ ղମ ɾ ഇغʹ͍ͨΔ·Ͱͷ֤޻ ఔͰഉग़͞ΕΔCO2Λࢦ͠·͢ɻ *2 Ұ࣍ΤωϧΪʔফඅྔ ɿ ݐஙͰ ࢖ΘΕ͍ͯΔઃඋػثͷফඅ ΤωϧΪʔ ʢిؾɺ Ψε౳ʣ Λ೤ ྔʹ׵ࢉͨ͠஋ͷ͜ ͱɻ 1. 建築~解体の視点 (エンボディ ー ドカーボン*¹) : 新築と リ ノベーショ ン、 RC建築と木造建築。 それぞれの 工法が持つ環境負荷の特性を理解し、 ポー トフォ リオ全 体での排出量の上限を意識することで、 過度な負荷増 大を未然に防ぎ、 継続的にモニタ リングを行います。 2. 運営中の視点 (一次エネルギー消費量*²) : 断熱性能の向上やエネルギー管理の仕組みを導入す ることで、 消費量の低減に取り組みます。 SANUらしい建築のあり方を 模索する 環境負荷を減らし、 未来につなぐ建築 どんなに素晴らしい体験を提供する建築であっても、 環境には一定の負荷がかかります。 私たちは 売上や利益目標を設定するのと同じように、 まずは環境に与える負荷について目標を設定し、 それ を達成するための仕組みをつくる必要があると考えました。 具体的には、 2030年までの達成という 長期的な時間軸で、 2つの視点からの目標を2026年中に定めます。 これらの目標はビジネスの観点で足枷となる 「制約」 ではなく、 SANUらしい 「個性」 となり、 長期的 には事業成長へとつながると考えています。 今後も、 私たちが大切にしている3つの要素、 ビジネス ・ クリエイティブ ・ リジェネラティブのバランスを大切にしながら、 SANUらしい建築のあり方を模索 していきます。 Regenerative Action Report 2026 56 Chapter 3
  44. 災害が多いこの国で、 自然の中に拠点を持つSANUにと って、 ユーザー ・ スタッフの安全確保は最優先事項です。 「Live with nature. /

    自然と共 に生きる。 」 を掲げる私たちは、 自然の美しさだけでなくその厳しさを理 解し、 対策を重ねていく必要があります。 現在講じている主な対策は以下の通りですが、 ここから2028年までに 「自 然立地の宿泊事業者における、 レジリエンスへの取り組みのロールモデル」 となることを目指し、 ハー ド ・ ソフ ト両面でのアップデー トします。 • 災害時対応フローの構築 • ユーザー向け情報提供 (避難場所 ・ 避難ルー ト ・ 緊急連絡先の明示) • 備品の設置 (食料 ・ 保存水 ・ 非常灯 ・ 救急セッ ト等) • 火災報知器鳴動時の自動検知システムの構築 2026年 • 「レジリエントな滞在」 の定義再考 • 現状とのギャップ洗い出し • 一部拠点でアップデー トを実施 2027年 • 全拠点で運用開始 2028年 • 「自然立地の宿泊事業者における、 レジリエンスへの   取り組みのロールモデル」 と して、 業界内で参照される   存在へ 災害に備えて、 安心して過ごせる環境をつく る 自然災害に強い、 レジリエントな滞在の提供 Regenerative Action Report 2026 57 Chapter 3
  45. SANU は2028年までに全国80拠点 ・ 600室への展開を目 指しています。 この拡大を持続可能なものにするためには、 拠点を展開する 「地域」 の方々 との共創が不可欠です。

    私たちは、 単に拠点を増やすのではなく、 地域の方々にも 豊かさが循環する未来を描きたい。 そのためにまず、 拠点 の清掃や管理業務を通して運営を日々支えるスタッフが、 働 きやすい環境づく りに注力します。 地域の住人でもあるスタ ッ フが、 誇りとやりがいを持って働ける環境こそが、 ユーザー への良質な自然体験、 ひいては地域からの信頼の第一歩に つながると考えるからです。 「SANUが出来てよかった」 。 地域の方々にそう心から思っ ていただけるような経済と 自然の循環をつく り出していき ます。 2026年 • スタッフがいきいきと働ける理想状態定義 • 理想状態に向けた進捗を測るための指標検討 ・ 測定開始 2027年 • 50%以上の拠点で指標達成 • 未達成拠点における改善パターン確立 2028年 • 全拠点で指標達成 • スタッフがいきいきと働ける状態構築により、   地域との共創モデルの基盤確立 「SANUが出来てよかった」 と 思ってもらうために 地域と ともに描く、 豊かさの循環 Regenerative Action Report 2026 58 Chapter 3
  46. 「Nature for all.」 を掲げる SANU に とって、 一人でも多くの方に体験を届 けるための取り組みは重要です。 自然は人間に対してフラ

    ッ トな存在です。 そこに 「障害」 をつくっているのは、 私 たち社会の方であると考えて、 SANU は 「障がい」 ではなく漢字で 「障害」 と 表記しています。 これは、 個人が障害 を持っているのではなく、 SANU を含 む社会の側に障害が存在するという認 識に基づき、 自らそのハードルを取り除 いていく意志を表しています。 2025 年 から参 画したプロジェクト 「HAJIMARI」 * などを通じて受 け 入 れ体制を少しずつ磨いていき、 2028年 までに精神的 ・ 身体的なハードルがあっ ても、 安心して滞在できる拠点が選べ る状態を目指します。 これは支援、 チャ リティではありません。 社会に存在する 「障害」 を取り除くこと は、 私たち自身がこの先何十年も安心 して自然の中で過ごすための重要なア クションと捉えています。 2026年 • 精神的なハー ドルがあっても 安心して滞在できる拠点を増やす 2027年 • 身体的なハー ドルがあっても 安心して滞在できる拠点を増やす 2028年 • 精神的 ・ 身体的なハー ドルがあっても、 安心して滞在できる拠点が選択できる 状態の構築 自然にアクセスするための 様々な 「障害」 を取り除いていく 一人でも多くの人にひらかれた、 心地よい自然の滞在 * HAJIMARI ɿ ʮো͕͍΍පؾ͕ ͋Δํͱͦͷ͝Ո଒ͷཱྀ΍༨Ջ ͷબ୒ʯ Λ૿΍͢͜ͱΛ໨ࢦ͠ɺ ॓ധট଴ ɾ ॓ധࣄۀऀ޲͚઀٬ ݚमͳͲΛల։ɻ Regenerative Action Report 2026 59 Chapter 3
  47. 改めて、 このレポー トで最初に立てた問いに戻ります。 「SANUの営みは、 本当に自然を豊かにするのか ? 」 胸を張ってYESと言うにはほど遠い。 事業の拡大が自然の再 生につながっているとは、

    現時点ではまだ言えません。 建築や 開発が自然に与えるネガティ ブな影響を減らし、 ポジティ ブな ものに転換していけるかどうかは、 まだ道半ばです。 一方で、 独自のビジネスモデルによる事業基盤の構築、 マテリ アリティを元にした実効性のある仕組みへの落とし込み、 人と 自然の関係性を再生するインパク トの最重要指標化など、 土台 は着実にできてきました。 ここに希望があります。 「SANUが広がるほど地球が豊かになる」 というゴールは果て しなく遠い。 ただ、 そこに向かうための具体的な一歩がどこに あるのか、 ようやく見えてきました。 これがSANUの現在地です。 やっと、 スター トラインに立つことができました。 やっ とスタ ー ト ライ ンに立てた おわりに Regenerative Action Report 2026 60 Chapter 3
  48. 発行ŠŠגࣜձࣾSANU 企画 ・ 制作ŠŠEat, Play, Sleep inc. 原稿執筆ŠŠShuko Iwata /

    Sumito Ueno / Gen Fukushima / Hazuki Sakai / Daiki Tsutsumi ʢEat, Play, Sleep inc.ʣ 編集 ・ ディ レクションŠŠShinya Watanabe / Daiki Tsutsumi ʢEat, Play, Sleep inc.ʣ アー トディ レクションŠŠPeter Chang ʢνϟϯ ɾ ϓʔϑΠʣ デサインŠŠPeter Chang ʢνϟϯ ɾ ϓʔϑΠʣ / Leo Hsieh ʢϨΦ ɾ γΤʣ ダイアローグパー トナーŠŠMasao Morita コラム寄稿ŠŠMasashi Soga Regenerative Action Report 2026 61