Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
コード再利用のしくみ ライブラリ
Search
Satoru Takeuchi
PRO
September 29, 2024
Technology
3
31
コード再利用のしくみ ライブラリ
以下動画のテキストです。
https://youtu.be/Su6LnDaJOxM
Satoru Takeuchi
PRO
September 29, 2024
Tweet
Share
More Decks by Satoru Takeuchi
See All by Satoru Takeuchi
AWKへの愛を語る
sat
PRO
3
490
syncコマンドのデータ同期 完了待ちやエラー検出
sat
PRO
0
37
動作中のLinux環境の全メモリを見る
sat
PRO
1
59
Linuxの時間を10秒止める
sat
PRO
2
180
プロセスへのメモリ割り当て4 - 実際に使うときにメモリを獲得するデマンドページング(実践編)
sat
PRO
1
87
プロセスへのメモリ割り当て(3) 実際に使うときにメモリを獲得するデマンドページング
sat
PRO
1
57
プロセスへのメモリ割り当て(1) mmap
sat
PRO
2
100
プロセスへのメモリ割り当て2-Pythonのようなナウい言語ではどうやってメモリ獲得するのか
sat
PRO
1
96
サイボウズのOSPO
sat
PRO
3
280
Other Decks in Technology
See All in Technology
VS CodeでF1〜12キーつかってますか? / Do you use the F1-12 keys in VS Code?
74th
2
270
成果のためのコミュニケーション - 語彙を育てよう -/communication-for-good-outcome-developing-vocabulary
hassaku63
4
150
Webセキュリティのあるきかた
akiym
10
3k
MLOpsの「あるある」課題の解決と、そのためのライブラリgokart
mski_iksm
1
150
【shownet.conf_】コンピューティング資源を統合した分散コンテナ基盤の進化
shownet
PRO
0
300
Renovate ではじめる運用レスなライブラリ更新 / 令和最新版 他人に自慢したいヤバいCI/CD LT会 @ yabaibuki.dev #2
ponkio_o
PRO
1
130
【shownet.conf_】持続可能な次世代Wi-Fi運用に向けて
shownet
PRO
0
260
トークナイザー入門
payanotty
2
410
ITエンジニアとして知っておいてほしい、電子メールという大きな穴
logica0419
2
310
【shownet.conf_】ShowNet 2024 ~ Inter * Network ~
shownet
PRO
0
380
【shownet.conf_】革新と伝統を融合したファシリティ
shownet
PRO
0
240
エムスリーマネジメントチーム紹介資料 / Introduction of M3 Management Team
m3_engineering
0
250
Featured
See All Featured
Helping Users Find Their Own Way: Creating Modern Search Experiences
danielanewman
29
2.2k
The Psychology of Web Performance [Beyond Tellerrand 2023]
tammyeverts
38
2.1k
Atom: Resistance is Futile
akmur
261
25k
Embracing the Ebb and Flow
colly
83
4.4k
How GitHub Uses GitHub to Build GitHub
holman
473
290k
I Don’t Have Time: Getting Over the Fear to Launch Your Podcast
jcasabona
26
1.9k
Raft: Consensus for Rubyists
vanstee
136
6.6k
Visualizing Your Data: Incorporating Mongo into Loggly Infrastructure
mongodb
41
9.2k
Learning to Love Humans: Emotional Interface Design
aarron
271
40k
YesSQL, Process and Tooling at Scale
rocio
167
14k
XXLCSS - How to scale CSS and keep your sanity
sugarenia
246
1.3M
The MySQL Ecosystem @ GitHub 2015
samlambert
250
12k
Transcript
コード再利用のしくみ ライブラリ Sep. 29th, 2024 Satoru Takeuchi X: satoru_takeuchi 1
はじめに • 「ライブラリ」という、プログラムのコードをまとめて再利用可能にした塊について説 明 • 注意 ◦ ライブラリには実行ファイルと同様、コードとデータ両方が入っているが、説明を簡略化するため コードをどう扱うかのみ説明する 2
ライブラリとは • 多くの人が使うコードを一つにまとめてファイル化したもの • 有名どころ: GNUのCライブラリ、glibc ◦ 標準Cライブラリ+その他山盛りの便利コード • 実行ファイルとの違い
◦ ライブラリファイルを直接実行するわけではない ◦ 実行ファイル内のコードから何らかの形でライブラリのコードを呼ぶ • 「静的ライブラリ」と「動的ライブラリ」の2種類がある 3
静的ライブラリと共有(動的)ライブラリ • 静的ライブラリ ◦ 実行ファイルにライブラリのコードを組み込む ◦ ライブラリが提供する関数の中から、実行ファイルが使うものだけ組み込む ◦ 拡張子は”.a” •
共有(動的)ライブラリ ◦ 実行ファイルには「ライブラリ内の関数を呼び出す」という情報だけ記憶 ◦ 実行ファイルから作ったプロセスのメモリにライブラリのコードを「動的」にマップしてから呼び出す ◦ 同じライブラリを複数の実行ファイルから実行時に「共有」できる ◦ 拡張子は”.so” 4
こういうソースファイルがあった場合… 5 main() { foo() } main.c foo() { …
} bar() { … } foo.c 呼ぶ
静的ライブラリの場合 6 main() { foo() } main.c foo() { …
} bar() { } foo.c main()のコード main.o foo()のコード libfoo.a main()のコード main (実行ファイル) リンク コンパイル コンパイル&静的ライブラリ化 mainプロセスのメモリ空間 bar()のコード foo()のコード main()のコード foo()のコード map 呼ぶ 呼ぶ • 実行前にリンク(静的リンク) • 使用する関数だけをリンク可能
共有(動的)ライブラリの場合 7 main() { foo() } main.c foo() { …
} bar() { } foo.c main()のコード main.o foo()のコード libfoo.so main()のコード main (実行ファイル) リンク コンパイル コンパイル&共有ライブラリ化 mainプロセスのメモリ空間 bar()のコード main()のコード foo()のコード map 呼ぶ 呼ぶ bar()のコード libfoo.soを動的 リンクしていると いう情報 実行開始後にリンク(動的リンク)
実行ファイルのサイズ • 静的ライブラリ ◦ ライブラリ内のコード (の一部)をコピーするので、一般に大きくなる • 共有(動的)ライブラリ ◦ 「実行時にライブラリを動的リンクすべし」というメタデータだけを持ち、ライブラリ内のコードそのも
のは持たないので、一般に小さくなる 8 main()のコード main (実行ファイル) foo()のコード main()のコード main (実行ファイル) libfoo.soを動的 リンクしていると いう情報 静的ライブラリの場合 共有ライブラリの場合 一般に大きい 一般に小さい
ライブラリ変更の実行ファイルへの影響 • 静的ライブラリ ◦ ライブラリ修正後に再リンクした際に実行ファイルに影響が出る • 共有(動的)ライブラリ ◦ ライブラリ変更後、即座に実行ファイルに影響が出る ◦
変更の影響がライブラリを使用する全実行ファイルに及ぶので管理が大変 9 静的ライブラリの場合 共有ライブラリの場合 main()のコード main (実行ファイル) foo()のコード (バグ未修正) foo()のコード (バグ修正済) libfoo.a bar()のコード main()のコード main (実行ファイル) libfoo.soを動的 リンクしていると いう情報 foo()のコード (バグ修正済) libfoo.so bar()のコード
ライブラリファイル破損時の実行ファイルへの影響 • 静的ライブラリ ◦ 無い • 共有(動的)ライブラリ ◦ プロセスを起動してもライブラリの関数が使えないため、機能しない 10
main()のコード main (実行ファイル) foo()のコード foo()のコード libfoo.a bar()のコード あっそ 静的ライブラリの場合 共有ライブラリの場合 foo()のコード libfoo.so bar()のコード main()のコード main (実行ファイル) libfoo.soを動的 リンクしていると いう情報 死んだ! 死んだ! 俺も死んだ! リンク後はlibfoo.aに関係ない
ライセンスの観点 • ライブラリを動的リンクするか静的リンクするかで扱いが異なるライセンスがある ◦ 例: LGPL • とても難しい話なので詳しいことは省略 • 興味があればLGPLの全文を読んでください
◦ https://www.gnu.org/licenses/lgpl-3.0.html.en 11
使い分けは? • 長短あるので、どっちも使われている • 好きなのを使えばいい • 全体的には共有ライブラリのほうが広く使われている(主観) ◦ 静的ライブラリを使うよりサイズが圧倒的に小さくて済む ◦
ただし、実行ファイルが特定バージョンのライブラリでしか動かないケースを避けるために、実行 ファイルと共有ライブラリを同梱して提供する、本末転倒なケースもある • コンテナ環境では静的ライブラリによって作られたシングルバイナリが人気 ◦ アプリケーションコンテナでは共有ライブラリの利点を活かしにくい 12
まとめ • ライブラリはプログラムのコードをまとめて再利用可能にした塊 • 静的ライブラリ、共有(動的)ライブラリの二種類がある • 長短あるので好きなのを使えばよい 13