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サイコロで理解する原子核崩壊と拡散現象 〜単純化されたモデルで本質を理解する〜

サイコロで理解する原子核崩壊と拡散現象 〜単純化されたモデルで本質を理解する〜

サイコロを使った単純なゲームを通して、原子核崩壊と拡散現象という複雑な物理現象をモデル化する方法を解説したプレゼンテーションです。

サイコロを振って出た目によってボールを移動させるというシンプルなルールから、指数関数的減衰や拡散方程式のガウス分布解が数学的に導出できることを示しています。テイラー展開や極限操作を用いて、複雑な物理現象の背後にある本質的な数理モデルへと繋げる過程を説明しています。

物理現象をシンプルなモデルで理解することの威力を実感できる内容になっています。

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Syota-Sasaki

May 09, 2025
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Transcript

  1. 自己紹介 さめ(мег-сск) 🧑‍💻 フリーランスのソフトウ ェアエンジニア 🧑‍🎓 社会人学生として通信制 大学在学中 得意分野: 📸

    コンピュータビジョン (画像認識/点群処理) 🌍 空間情報処理 (地理情 報/リモートセンシング) ☁️ クラウドインフラ設 計/IaC (AWS, GCP) GitHub YouTube Speaker Deck
  2. サイコロゲームの一般化 この操作を の間に 回の頻度で行うとする 時刻 とする とする 今までの例は 、 の場合と考えて

    OK 時刻 におけるボールの数は: Δt λ t = nΔt p = λΔt λ = 1 Δt = 1 t N(t) = N ​ (1 − 0 p) = n N ​ (1 − 0 λΔt)n
  3. 指数の極限 以下の公式を思いだそう この公式を使うと: ​ 1 − ​ = n→∞ lim

    ( n x ) n e−x N(t) = N ​ 1 − λΔt = 0 ( )n N ​ 1 − ​ 0 ( n λt ) n
  4. ボールの密度のテイラー展開 テイラー展開を使うと: 時間微分に対して 空間微分に対して ρ(t + Δt, x) = ρ(t,

    x) + Δt ​ + ∂t ∂ρ(t, x) O(Δt ) 2 ρ(t, x ± a) = ρ(t, x) ± a ​ + ∂x ∂ρ(t, x) ​ ​ + 2 a2 ∂x2 ∂ ρ(t, x) 2 O(a
  5. 参考文献 A. Murray and I. Hart, , DOI 10.1088/0031-9120/47/2/197 十分な試行回数があればサイコロゲームで

    原子核崩壊を再現できることを解説した論 文です 田崎晴明, ブラウン運動による拡散現象の説明がとて もわかりやすいです The 'radioactive dice' experiment: why is the 'half-life' slightly wrong? ブラウン運動と非平衡統計力学