Case Study Report on the Use of Backlog in Vietnam

Transcript

1. ベトナムにおけるBacklog活用のリアル Nulab Inc., Service Development Division, Backlog Section Yuichi Watanabe Copyright Nulab Inc. All Rights Reserved. 〜 オフショア開発市場でのチャンス 〜
2. 渡邉 祐一 Yuichi Watanabe ・ ・ ・ ・ 福岡在住 BacklogのGitホスティング周りの開発・運用を担当 GitHub：https://github.com/vvatanabe ・https://github.com/nulab/zxcvbn4j ・https://github.com/sashabaranov/go-openai ・https://github.com/vvatanabe/dynamomq X：https://x.com/vvvatanabe ※写真は中学生にプログラミングを教える様子 Copyright Nulab Inc. All Rights Reserved. 株式会社ヌーラボ
3. アジェンダ ベトナムにおけるBacklogの「リアル」をお届け！！ 本セッションでお話すること： ・ベトナム（ハノイ）出張のモチベーション ・ベトナムのオフショア開発市場と日系企業の関係 ・ベトナムでのBacklogの使用状況 ・Backlogの機能に関する具体的なフィードバック ・ベトナムのソフトウェア産業の「現在」
4. ベトナム出張の目的と背景 Copyright Nulab Inc. All Rights Reserved.
5. ベトナム出張の目的と背景 オフショア開発で「現在」最もホットなベトナムでのBacklogを知る！ ・ベトナムは高いIT人材のポテンシャルとコストの良さからオフショア開発市場での存在感を増している。 ・この状況からベトナム市場におけるBacklogの使用状況と、そこから見えてくる課題について調査を開始した。 ・現地のIT企業やエンジニアたちがBacklogに対して持つ具体的なニーズや要望を知りたい。 ・現地のフィードバックを元に、 ・グローバル市場に向けた製品の改善や新機能の開発につなげたい。 ・グローバル市場におけるBacklogの立ち位置を確認したい。 調査隊はベトナム、ハノイの 奥地へと向かった！
6. ベトナムのオフショア開発市場と 日系企業の関係 Copyright Nulab Inc. All Rights Reserved.
7. ベトナムのオフショア開発市場と日系企業の関係 ベトナムのIT産業とオフショア開発の現状 ・ベトナムは、その経済成長と共にIT産業の発展に力を入れている。 ・日本を主な取引先としたオフショア開発市場において重要な拠点。 ・政府のIT教育への投資により育成された... ・高い語学力（英語、日本語）を持った人材 ・技術的なポテンシャルの高い人材 ・特に、ハノイやホーチミンなどの大都市での活況が見られる。
8. ベトナムのオフショア開発市場と日系企業の関係 ベトナムと日系企業の緊密な関係 ・ベトナムで特に注目すべき点は、日系企業との関係の深さ。 ・日系企業は、品質の高いソフトウェア開発サービスを求めて、2000年代前後からベトナムに注目し始めた。 ・両国は、言語の壁や文化の違いを乗り越え、ベトナムのオフショア企業と長期的な関係を築いている。 ・ベトナムのオフショア企業は、日本の品質基準に合わせたサービス提供に努めつつ、日本語教育にも力を入れている。 ・これにより、コミュニケーションのハードルを下げ、よりスムーズなプロジェクト遂行が可能になっている。 ・日本企業のベトナム進出は、単にオフショア開発に留まらず、現地でのIT教育支援などの協力関係が築かれている。 ・例. Sun Asterisk社における「ハノイ工科大学と共同でEdTech Centreを開設」 https://sun-asterisk.com/news/pressrelease/3755/ 😀 😀 😀 😀 😀 😀 😀 😀 😀
9. ベトナムでのBacklogの使用状況 Copyright Nulab Inc. All Rights Reserved.
10. ベトナムでのBacklogの使用状況 CodLuck社 ・ビジネスモデルの中核はオフショア開発。主な取引先は日系企業。 ・取引先の日系企業がプロジェクト管理ツールとして「Backlog」を使用していることが多い。 ・それに伴いBacklogを使用している。 ・Backlogは主に開発で利用されており、特にGit機能の使用が重宝されている。CI/CD機能の導入もの希望。 ・プロジェクト管理ツールとしては、BacklogとRedmineを半分ずつ使用している。 ・プロジェクトによってRedmineを使用することもあるが、使いやすさではBacklogが最も優れていると評価。 ・CodLuck社は、Backlogが過去に多言語サポートしていた頃、ベトナム語への翻訳にコントリビュートしていた。 ・その他のツールとして、エクセルを主に仕様書や設計書作成に使用している。 ・日系企業の要望でエクセルファイルでの納品が求められるため ・その際、ファイルの共有のために、Backlogのファイル共有機能を重宝すると評価。 公式サイト：https://codluck.com/ja/homepage-jp/
11. ベトナムでのBacklogの使用状況 NAL社 ・ビジネスモデルの中核はオフショア開発。主な取引先は日系企業。 ・プロジェクトの約半数で「Backlog」を使用している。 ・特に取引先とのコミュニケーションと開発で使用することが多い。 ・BacklogのGit機能を利用しており、CI/CD機能の導入への希望。 ・日本のスタートアップ企業もオフショア開発を始めている現状を認識しており、福岡の企業とも関わりがあった。 ・ベトナムのエンジニアが起業へ積極的であり、失敗してももともと所属していた会社に戻ってくる文化があり、 NAL社自身もそのようなチャレンジを後押ししている。 ・NAL社は自社のIT基盤を独自のスーパーアプリ（多機能な統合アプリ）として実現。 ・Backlogがスーパーアプリとしての役割を果たせるようになることを希望。 公式サイト：https://nal.vn/
12. ベトナムでのBacklogの使用状況 PIRAGO社 ・ビジネスモデルの中核はオフショア開発。主な取引先は日系企業。 ・ChatGPTの派生系サービス「pigpt.ai」の開発・運用に注力している。 ・Backlog APIを積極的に活用しており、開発プロセス・組織運営の効率化を図っている。 ・Backlogに足りないスクラム要素を補完するためにBacklog APIを活用した独自のツール「DevLog」を開発。 ・APIを通じたデータ取得で品質管理やレポート生成を行っている。 ・開発だけでなく、バックオフィス業務にも広く使用されている。 ・その他にも、Git機能の拡充を望んでおり、特にCI/CD機能の導入を期待。 公式サイト：https://pirago.vn/ja/
13. ベトナムでのBacklogの使用状況 Relipa社 ・ビジネスモデルの中核はオフショア開発。主な取引先は日系企業。 ・ブロックチェーン技術に強みを持っている。 ・開発業務だけでなく営業活動や経理などのバックオフィス業務にも「Backlog」を活用している。 ・これはベトナム国内での営業活動においても珍しいケース。 ・カンバンボードを用いて日々のタスクを管理。 ・Backlogプロジェクト内のタスクから、QAテスターや開発者の作業負荷を管理。 ・人員の空き状況を判断するために工数の予定と実績を集計。 公式サイト：https://relipasoft.com/
14. ベトナムでのBacklogの使用状況 Haposoft社 ・ビジネスモデルの中核はオフショア開発。主な取引先は日系企業。 ・現時点ではプロジェクト管理ツールとして「Redmine」を使用。 ・Backlogについては今後の利用を検討している段階。 ・RedmineやGitLabを利用している大きな理由は... ・これらがセルフホスト可能で無料であること。 ・エンジニアが既にこれらのツールに慣れ親しんでおり、 学習コストを抑えることができること 公式サイト：https://haposoft.com/ja
15. Backlogの機能に関する具体的な フィードバック Copyright Nulab Inc. All Rights Reserved.
16. Backlogの機能に関する具体的なフィードバック 課題 ・孫課題の追加の要望。 ・課題が多層にネストされると、プロジェクトの構造が複雑化し、管理が複雑になるという問題点は認識済。 ・ オフショア開発で孫課題が欲しくなるケース： ・まず、クライアントからの要求で大きな機能の開発を親課題として割り当てらることが多い。 ・現場ではそれに基づく具体的な作業を子課題で管理することになる。 ・必然的に自分たちで起票する課題は構造化することができなくなる。 ・その他 ・タスクに複数名をアサインする機能。 （QAテストなどのタスクで複数名が関わる場合） ・追加できる課題の状態の最大数の緩和。 （日本とベトナム側でそれぞれの状態を持つことが多い）
17. Backlogの機能に関する具体的なフィードバック ボード ・ボード上で優先度を視覚的に識別したい。カード上に優先度の項目を明示的に表示してほしい。 ・優先度の設定は極端に多すぎると管理が大変になり、少なすぎると区別がつきにくくなる。 ・適切なバランスを見つけることが課題となるのはどこの国も同じように悩む。 ・より柔軟なソート機能。 ファイル ・ファイル共有の際に、上書きのリスク関する懸念が示された。 ・同じ名前のファイルをアップロードする際の警告が欲しいなど。 ・オンラインでのファイル編集機能の要望もあった。 ・チームメンバー間でのスムーズなファイル共有と編集プロセスの実現が求められていた。
18. Backlogの機能に関する具体的なフィードバック Git ・オフショア開発でBacklogのGitホスティングを利用している企業が多かった。 ・それに伴い、開発プロセスの自動化と効率化を図るため、Backlog内で直接CI/CDを管理したいという声も多かった。 ・その他、コード検索機能やGitのタグと課題のマイルストーンのシームレスな連携が求められていた。 多言語対応 ・ベトナム市場向けにはベトナム語サポートの必要性は低いとの意見が多かった。 ・基本的に英語か日本語のどちらかを使用できる人が多いので ・ただし、課題の内容やコメントに関しては日本語からベトナム語への自動翻訳を望む意見もあった。
19. Backlog Meeup in Hanoi Copyright Nulab Inc. All Rights Reserved.
20. Backlog Meeup in Hanoi Rabiloo社の素敵なオフィスでBacklogのユーザーミートアップ！ ・ヌーラボから、モバイル、SRE，Gitホスティングに関する技術的な裏側を紹介。 ・PIRAGO社からBacklog APIで社内システムとの連携事例を紹介。
21. ベトナムのソフトウェア産業の 「現在」 Copyright Nulab Inc. All Rights Reserved.
22. ベトナムのソフトウェア産業の「現在」 国が後押しする人気の職業 ・ベトナムにおいて人気の職業を地元のIT企業に質問すると... ・多くの人が医師に次いで「ソフトウェアエンジニア」を挙げる。 ・ベトナムの平均年収と比べ、「ソフトウェアエンジニア」の年収は非常に高い魅力的な職業。 ・政府がIT教育に投資している後押しもあり、高い語学力（英語・日本語）とITスキルを持つ人材が豊富にいる。 出社文化による対面でのコミュニケーション ・ベトナムでは従来の出社文化が根強く残っており、IT業界でもほとんどの企業が全員出社の傾向にある。 ・これにより、対面でのコミュニケーションが頻繁に行われ、物事がスムーズに進むというメリットもある。 アジアのIT技術をリードする国へ ・ポテンシャル豊かな人材を活用した迅速な開発能力を武器 ・ベトナムがアジアのIT技術をリードする国の一つになることが期待される。
23. まとめ Copyright Nulab Inc. All Rights Reserved.
24. まとめ ベトナムと日本の架け橋としてのBacklog ・ベトナムにおける「Backlog」の使用状況を通じて感じたこと。 ・ベトナムのオフショア開発市場における主要なプロジェクト管理ツールになりえる。 ・両国間の異なるカルチャーや開発プロセスをオールインワンでサポートする架け橋としての役割にある。 ・「Backlog」が目指す先： 国際的な「チームワークマネジメント」も対応できるようなプラットフォーム