Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
なぜfloatで丸め誤差が生じるのか ~decimalとの違いを理解しよう~
Search
Haruki Yoshida
September 08, 2023
Technology
3
1.4k
なぜfloatで丸め誤差が生じるのか ~decimalとの違いを理解しよう~
float型で誤差が生じる理由を2進数と小数の観点から解説しています。
Haruki Yoshida
September 08, 2023
Tweet
Share
More Decks by Haruki Yoshida
See All by Haruki Yoshida
Docker再入門 ~コンテナ・イメージ編~
yoshiyoshiharu
28
10k
トランザクションに歩み寄る ~はじめの第1歩編~
yoshiyoshiharu
6
2.7k
曳光弾型開発のススメ
yoshiyoshiharu
2
840
Other Decks in Technology
See All in Technology
RubyでKubernetesプログラミング
sat
PRO
4
160
CDKのコードレビューを楽にするパッケージcdk-mentorを作ってみた/cdk-mentor
tomoki10
0
210
Amazon Route 53, 待ちに待った TLSAレコードのサポート開始
kenichinakamura
0
170
Visual StudioとかIDE関連小ネタ話
kosmosebi
1
370
三菱電機で社内コミュニティを立ち上げた話
kurebayashi
1
360
comilioとCloudflare、そして未来へと向けて
oliver_diary
6
450
東京Ruby会議12 Ruby と Rust と私 / Tokyo RubyKaigi 12 Ruby, Rust and me
eagletmt
3
870
Reactフレームワークプロダクトを モバイルアプリにして、もっと便利に。 ユーザに価値を届けよう。/React Framework with Capacitor
rdlabo
0
130
月間60万ユーザーを抱える 個人開発サービス「Walica」の 技術スタック変遷
miyachin
1
140
AWSの生成AIサービス Amazon Bedrock入門!(2025年1月版)
minorun365
PRO
7
470
デジタルアイデンティティ技術 認可・ID連携・認証 応用 / 20250114-OIDF-J-EduWG-TechSWG
oidfj
2
680
re:Invent2024 KeynoteのAmazon Q Developer考察
yusukeshimizu
1
150
Featured
See All Featured
The Language of Interfaces
destraynor
155
24k
Learning to Love Humans: Emotional Interface Design
aarron
274
40k
How to Think Like a Performance Engineer
csswizardry
22
1.3k
4 Signs Your Business is Dying
shpigford
182
22k
Helping Users Find Their Own Way: Creating Modern Search Experiences
danielanewman
29
2.4k
GraphQLとの向き合い方2022年版
quramy
44
13k
Measuring & Analyzing Core Web Vitals
bluesmoon
5
210
It's Worth the Effort
3n
183
28k
Faster Mobile Websites
deanohume
305
30k
Performance Is Good for Brains [We Love Speed 2024]
tammyeverts
7
570
GitHub's CSS Performance
jonrohan
1030
460k
Responsive Adventures: Dirty Tricks From The Dark Corners of Front-End
smashingmag
251
21k
Transcript
なぜfloat で丸め誤差が生じるのか decimalとの違いを理解しよう
Agenda 2進数と小数 Float型の仕組み 丸め誤差 Decimal型の仕組み まとめ
2 進数と小数
2 進数と小数 コンピュータは2進数でデータを持つ 10 進数を2 進数で表すときは、 の足し合わせで表現 10進数に変換 2n ex)
2 進数と小数 10進数は の足し合わせで表現する 2n すべての整数は2進数で正確に表現できる
2 進数と小数 10進数は の足し合わせで表現する 2n すべての整数は2進数で正確に表現できる じゃあ小数はどうなの?
2 進数と小数 これらを足し合わせて小数点以下を表現 改めて、2 進数で10 進数を表すには の足し合わせで表現する 小数部分は、n = -1,
-2, -3... で表現 2n
2 進数と小数 2 進数で小数は正確に表現できたり、できなかったりする 正確に表現できるとき 正確に表現できないとき 無限に続く
指数表記 非常に大きい or 小さい数を表現する際に、メモリを節約できる 2進数の場合 2 進数と小数
2 進数と小数 ここまでのまとめ 10進数は の足し合わせで表現する 2n 整数は2進数で正確に表現できる 小数は2進数で正確に表現できたり、できなかったりする
float 型の仕組み
の値 符号部 指数部 仮数部 float 型の仕組み float 型(32 ビット) 符号部(1
ビット) 指数部(8 ビット) 仮数部(23 ビット)
の値 符号部 指数部 仮数部 float 型の仕組み double 型(64 ビット) 実はRuby
のFloat クラスはこっち 符号部(1 ビット) 指数部(11 ビット) 仮数部(52 ビット)
丸め誤差
丸め誤差 小数は2 進数で正確に表せないときがある 小数は有限の桁数で近似する( 丸める)
丸め誤差 double 型での例 52 ビット 四捨五入 指数表記
丸め誤差 Ruby で試す 浮動小数点数は近似されている( 丸められている) ことがわかる
丸め誤差 誤差による計算のずれ ex) 切り捨てや切り上げ 260.7100 を小数4 桁目を切り捨て ↓ 260.710 になるべきだが、260.709
になる
decimal 型の仕組み
の値 符号部 指数部 仮数部 decimal 型の仕組み 符号部(1 ビット) 指数部(7 ビット)
仮数部(96 ビット) decimal 型(128 ビット)
の値 符号部 指数部 仮数部 3 decimal 型の仕組み 整数 整数では誤差が生じないため、 decimal
型では丸め誤差は生じない 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1 0 ※ 空白部は0 123 ex)
decimal 型の仕組み decimal 型のデメリット メモリ使用量が大きい 計算のパフォーマンスが遅い
まとめ 小数を2 進数で正確に表せないことが多い float やdouble で2 進数のまま表すと、丸め誤差が生じる decimal 型は10 進数で表現するので、丸め誤差が生じない
参考文献 https://www.cc.kyoto- su.ac.jp/~yamada/programming/float.html https://learn.microsoft.com/ja-jp/dotnet/visual- basic/language-reference/data-types/decimal-data-type