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First-Principles-of-Scrum

 First-Principles-of-Scrum

Scrumを支える理論 - by Kenji Hiranabe at RSGT 2026

1. Friston の変分原理(脳科学と強化学習)= 脳の神経回路は、世界のモデルを内部に構築し、その期待値を最大化するように強化される。Scrumの経験主義プロセスの理論付け。

2. Wolfram のPhysics Project(宇宙の物理)= 宇宙はシミュレーション機械である。シンプルな原理に従っていても未来が予測できるような法則は少数しか見つかっておらず、残りは「やってみないと分からない」。Scrumが経験主義に基づくことは、世界の成り立ちに関わる根本的な理由付け。

3. John Boyd の航空戦闘理論(航空力学)= OODA ループを提唱した John Boyd は戦闘機パイロットであると同時に、数学者と協力して「エネルギー機動性原理」を理論化しています。Scrumが市場にアウトカムで「勝つ」プロセスであるとこの理論付け。

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Kenji Hiranabe

January 08, 2026
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  1. 平鍋健児 (株)永和システムマネジメント社⻑ (株)チェンジビジョンCTO (株)Scrum Inc. Japan 取締役 アジャイル開発を推進し、国内外で、 モチベーション中⼼チームづくり、ア ジャイル開発の普及に努める。ソフト

    ウェアづくりの現場をより⽣産的に、 協調的に、創造的に、そしてなによ り、楽しく変えたいと考えている。 アジャイルジャパン初代実⾏委員⻑。 2 アジャイル開発宣⾔を訳した⼈
  2. First Principles "First principles" (冠詞なし、複数形)は、物事の最も基本的な真理や公理。 根本的な前提: それ以上分解できない、⾃明な真理や基礎的な事実 基本原理: ある分野や理論の⼟台となる原則 "reasoning

    from first principles" (第⼀原理思考)という表現が有名: 既存の常識や前例に頼らず、最も基本的な真理から考え直す思考法。複雑な問題 を根本的な要素に分解し、そこから再構築するアプローチ。 例 物理学で⾔えば、ニュートンの運動法則やエネルギー保存則などが "first principles" です。イーロン・マスクがよく使う⾔葉としても知られており、 「ロケットは本当に⾼価である必要があるのか?」を素材コストから考え直す、 といった使い⽅をします。 イーロンの話は、この動画がわかりやすい。 https://x.com/taishiyade/status/2009218739967791562
  3. uFriston の変分原理(脳科学と強化学習)= 脳の神経回路は、世界のモデ ルを内部に構築し、その期待値を最⼤化するように強化される。Scrumの経験主義プロセス の理論付け。 uWolfram のPhysics Project(宇宙の物理)= 宇宙はシミュレーション機 械である。シンプルな原理に従っていても未来が予測できるような法則は少数しか⾒つかっ

    ておらず、残りは「やってみないと分からない」。Scrumが経験主義に基づくことは、世界 の成り⽴ちに関わる根本的な理由付け。 uJohn Boyd の航空戦闘理論(航空⼒学)= OODA ループを提唱した John Boyd は戦闘機パイロットであると同時に、数学者と協⼒して「エネルギー機動性原理」を 理論化しています。Scrumが市場にアウトカムで「勝つ」プロセスであるとこの理論付け。 今⽇お話しする内容 ここに、3本ともブログを書いています。 https://www.agile-studio.jp/post/Scrum-and-free-energy-priciple-bayesian-surprise
  4. Successful Scrum Teams do not overload themselves. In fact, they

    plan to finish work early, sometimes using a buffer for unexpected events (85). This helps the Scrum Team to stay focused, improve quality, and satisfy Stakeholders by delivering value sooner. Chronic overload or sudden shifts can cause excessive negative stress, which Jeff Sutherland calls 'Bayesian surprise.' They can disrupt the Scrum Teamʼs psychological flow (70) and performance. Clear communication, professional handling of emergence (71), and small, regular changes help prevent this, so Scrum Teams should aim for early delivery.
  5. 成功するスクラムチームは過剰な負荷をかけない。実際、成 功するスクラムチームは作業を早めに完了できるよう計画し、 予期せぬ事態に備えてバッファを設けることもある (85)。 これによりスクラムチームは集中を維持し、品質を向上させ、 より早く価値をデリバリーすることでステークホルダーを満 ⾜させることができる。慢性的な過負荷や突然の 変化は、 Jeff Sutherland

    が「ベイジアン・サプライズ」と呼ぶ過度 なストレスを引き起こし、スクラムチームの⼼理学的フロー (70) やパフォーマンスに悪影響を及ぼす。明確な コミュニ ケーション、創発へのプロフェッショナルな対応(71)、 そして⼩さな変化を⽇ 常的に⾏うことで、こうした事態を 防ぐ事ができる。このような理由から、スクラムチームは早 期のデリバリーを⽬指すべきである。
  6. ベイズの定理(統計検定2級) Neji社が委託している工場A, Bが、1%, 0.2%の不良品率でネジを 生産している。工場A, Bの生産量の割合は1:3である。 (1) Neji社のネジの不良品率は? 𝑃 𝑋

    = 𝑃 𝑋 𝐴 𝑃 𝐴 + 𝑃 𝑋 𝐵 𝑃 𝐵 = 1% ¼ + 0.2% ¾ = 0.4% (2) Neji社のネジ1本を抽出したとき、それが工場Aで生産されていたことが分かった。その ネジが不良品である確率は?(順方向) 𝑃 𝑋 𝐴 = 1% (2) Neji社のネジ中の1本を抽出したとき、不良品でることが分かった。そのネジが、A工場 の生産である確率は?(逆方向) 𝑃 𝐴 ∩ 𝑋 = 𝑃 𝑋 𝐴 𝑃 𝐴 = 𝑃 𝐴 𝑋 𝑃 𝑋 より、 𝑃(𝐴|𝑋) = 𝑃(𝑋|𝐴)𝑃(𝐴) / 𝑃(𝑋) 𝑃(𝐴|𝑋) = 𝑃(𝑋|𝐴)𝑃(𝐴) / 𝑃(𝑋) = 1%(¼) / 0.4% = 1/1.6 = 0.625 = 62.5%
  7. 確率の2つの主義 頻度主義(Frequentist) ー 古典 • 確率を「⻑期的な試⾏の中での相対頻度」として解釈します • 例えば、コインを投げて表が出る確率が1/2というのは、無限回投げたとき に表が出る割合が50%に収束するという意味です •

    客観的で観測可能なデータに基づいており、実験や観察を重視します • パラメータ(⺟数)は固定された未知の値であり、データは変動すると考え ます ベイズ主義(Bayesian) ー 主観 • 確率を「信念の度合い」や「主観的な確信度」として解釈します • 事前の知識や信念(事前確率)を持ち、新しい証拠が得られるたびにベイズの 定理を使って信念を更新します • パラメータ(⺟数)⾃体を確率分布で表現し、不確実性を確率的に扱います • ⼀回限りの事象にも確率を割り当てることができます
  8. 驚き(Surprise) • 起こりにくことが起こると、驚く。 • 2回続けて驚くことが起こると、2倍驚く 確率︓ 驚き(Surprise) : 𝑝 =

    1 のとき、𝑠 = 0 𝑝 = 0 のとき、𝑠 = ∞ 𝑠 = log 1/𝑝 = −log 𝑝 𝑆 𝑋 ∩ 𝑌 =  𝑆 𝑋 +  𝑋 𝑌 掛け算 ⾜し算 𝑃 𝑋 ∩ 𝑌 = 𝑃 𝑋 𝑃 𝑌
  9. スクラムで⾔うと • デリバリー⽂脈 そのサプライズがソフトウェア設計、プロジェクト管理、プロ ダクト開発、UI設計の1つとして知られる「最⼩驚きの原理」 と近しいことを指摘しています。ステークホルダーの「期待値 管理」(expectation management)とも近い関係にありま す。そして、それは経験から学びます。 •

    ディスカバリー⽂脈 将来のリスクを下げる、⼤きな価値を発⾒するためには、新お どろき情報を取りに⾏く⾏動が必要。狩猟⺠族は、⼀つの場所 で安定してしまっては、死に⾄る。 両⽅の接点であるプロダクトレビューは観測・学習・⾏動の場。
  10. エネルギー機動ダイアグラム(⼣撃旅団・改 より引⽤) F-86FとMiG-15の⽐較例。⻘い線 がF-86F、⾚い線がMiG-15を表わす。F-86F のデータが⾳速(マッハ1)まであるのは急降下 状態も含んだデータであるため。グラフの右 端が直線的に落ちているのはそこが最⾼速度 でそれ以上は⾼速にならないため。両機のエ ネルギー⽐率=0の線を⽐較すると、上の⽅ にあるほど旋回率も旋回半径も⼩さくなるた

    め、MiG-15の⽅が有利なエリアが広いとい う事が理解でき、速度マッハ0.4〜0.8の時、 加速度3G〜6Gの間でF-86Fを圧倒している。 つまり実戦的なエリアでは完全にMiG-15の ⽅が有利であることが読み取れる。マッハ 0.8辺りを超えるとようやく逆転できるが、 その範囲は極めて狭いものとなっている。 ⼀ ⽅、最⼤旋回率は、マッハ0.5前後で約25度/ 秒とF-86Fが圧倒している。ただしそれ以降 の限界性能の線、マッハ0.6付近からマッハ 0.9前後の間では⾚い線の⽅が上にあるた め、ここでもF-86Fは負けている。⼤きなエ ネルギー損失を伴うはずだが、MiG-15の旋 回限界が軽く7Gを超えてしまっていることに も注⽬すべきである。 出典:wikipedia エネルギー機動性理論