Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
Aurora DSQL と楽観的同時実行制御(OCC)
Search
hmatsu47
PRO
December 25, 2024
Technology
0
4
Aurora DSQL と楽観的同時実行制御(OCC)
AWS re:Invent 2024 re:Cap 名古屋 2024/12/26
hmatsu47
PRO
December 25, 2024
Tweet
Share
More Decks by hmatsu47
See All by hmatsu47
Claude 3.5 で Haiku
hmatsu47
PRO
0
15
HeatWave on AWS の PrivateLink インバウンドレプリケーションで Aurora フェイルオーバーに追従する
hmatsu47
PRO
0
15
大吉祥寺.pm の LT で ChatGPT の力を借りて Next.js App Router ベースの投句箱を作って、 Lambda Web Adapter を使って公開した話
hmatsu47
PRO
0
19
ある日突然 DB の性能が 1/2(サイズのインスタンス相当)になった話
hmatsu47
PRO
0
39
pgvectorscale と pgai の話(ざっくり)
hmatsu47
PRO
0
62
pgvector 0.7.0 の新機能と、これから来る(かもしれない)pgvectorscale
hmatsu47
PRO
0
61
大人の社会科見学 ~ NTT 技術史料館に行ってみよう!
hmatsu47
PRO
0
450
pgvector 0.6.0 以降の進化についてざっくり取り上げてみる
hmatsu47
PRO
0
82
Cloudflare Workes からMySQL 系 DB への接続事情(2024/4 現在)
hmatsu47
PRO
0
160
Other Decks in Technology
See All in Technology
TypeScript開発にモジュラーモノリスを持ち込む
sansantech
PRO
2
710
GitHub Copilot のテクニック集/GitHub Copilot Techniques
rayuron
39
17k
宇宙ベンチャーにおける最近の情シス取り組みについて
axelmizu
0
120
マイクロサービスにおける容易なトランザクション管理に向けて
scalar
0
190
Opcodeを読んでいたら何故かphp-srcを読んでいた話
murashotaro
0
330
プロダクト開発を加速させるためのQA文化の築き方 / How to build QA culture to accelerate product development
mii3king
1
290
多様なメトリックとシステムの健全性維持
masaaki_k
0
120
メンタル面でもつよつよエンジニアになる/登壇資料(井田 献一朗)
hacobu
0
130
スタートアップで取り組んでいるAzureとMicrosoft 365のセキュリティ対策/How to Improve Azure and Microsoft 365 Security at Startup
yuj1osm
0
240
React Routerで実現する型安全なSPAルーティング
sansantech
PRO
2
300
怖くない!ゼロから始めるPHPソースコードコンパイル入門
colopl
0
180
生成AIのガバナンスの全体像と現実解
fnifni
1
230
Featured
See All Featured
Raft: Consensus for Rubyists
vanstee
137
6.7k
Producing Creativity
orderedlist
PRO
342
39k
Visualizing Your Data: Incorporating Mongo into Loggly Infrastructure
mongodb
44
9.3k
Building an army of robots
kneath
302
44k
Side Projects
sachag
452
42k
Gamification - CAS2011
davidbonilla
80
5.1k
Thoughts on Productivity
jonyablonski
68
4.4k
RailsConf & Balkan Ruby 2019: The Past, Present, and Future of Rails at GitHub
eileencodes
132
33k
It's Worth the Effort
3n
183
28k
Rebuilding a faster, lazier Slack
samanthasiow
79
8.7k
Into the Great Unknown - MozCon
thekraken
34
1.5k
Making the Leap to Tech Lead
cromwellryan
133
9k
Transcript
Aurora DSQL と楽観的同時実行制御(OCC) AWS re:Invent 2024 re:Cap 名古屋 2024/12/26 まつひさ(hmatsu47)
自己紹介 松久裕保(@hmatsu47) • https://qiita.com/hmatsu47 • 名古屋で Web インフラのお守り係をしています • 普段は
JAWS-UG 名古屋(・浜松)で DB ネタを中心 に話しています(主に RDS / Aurora・たまに DynamoDB) • 全国各地の JAWS(& AWSJ)イベントを巡っています ◦ DAYS(東京)→佐賀→金沢(福井開催)→山形→ Summit →ミート(豊橋)→ 岩手(滝沢)→青森(弘前) 2
12/4 に Aurora DSQL(プレビュー)発表 • シングルリージョン/マルチリージョン大規模分散 DB ◦ リレーショナルモデルと SQL
が使用可能 ▪ いわゆる NewSQL の一種 ◦ ワークロードに合わせて自動でスケール(UP / DOWN) ◦ PostgreSQL ワイヤープロトコル互換 ▪ 対応 SQL 文は PostgreSQL のサブセット ◦ アクティブ/アクティブ構成 ▪ マルチ Writer でシャーディングを使わないアーキテクチャ 3
[1] シングルリージョン構成(可用性 99.99%) 4 引用元 : https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/introducing-amazon-aurora-dsql/ Transaction log layer
がある
[2] マルチリージョン構成(可用性 99.999%) 5 引用元 : https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/introducing-amazon-aurora-dsql/ Witness Region がある
(リージョンクラスター間調停・ 障害リージョンのデータ修復)
Aurora PostgreSQL Limitless Database では? 6 引用元 : https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/amazon-aurora-postgresql-limitless-database-is-now-generally-available/ 前段のルーター層でコマンド/
クエリをシャードに振り分ける 各シャードでデータを分割管理 する (テーブルの種類によってデータの 配置は異なる) Limitless Database はシャーディング によってデータと負荷を分散するので テーブル設計が難しい
シャーディングを使わずにスケールするには? • 楽観的同時実行制御(OCC)を採用 ◦ 一般の RDBMS は悲観的同時実行制御(PCC)を採用 ▪ ロック機構を使う ◦
OCC ではロックを使わない ▪ コミット時に他のトランザクションとの更新競合を検知したらアボート ▪ アボート後必要に応じてリトライ処理(アプリケーション側で実装) ◦ ロックしないので他のトランザクションを待たせることがない ▪ ただし更新競合が頻発するとアプリケーションの性能が下がる欠点がある 7
トランザクション A トランザクション B テーブル X の id = 1
の行 (コミット済み) 開始(BEGIN) 10(初期値) 開始(BEGIN) テーブル X の id = 1 の値を +1 →id = 1 の行ロック獲得成功 (11) (別の処理を実行) テーブル X の id = 1 の値を +1 →id = 1 の行ロック獲得待ち コミット(COMMIT)→成功 (↑行ロック獲得待ち) 11 id = 1 の行ロック獲得成功 (12) (別の処理を実行) コミット(COMMIT)→成功 12 例 [1] 通常の RDBMS(PCC / READ COMMITTED) 8
トランザクション A トランザクション B テーブル X の id = 1
の行 (コミット済み) 開始(BEGIN) 10(初期値) 開始(BEGIN) テーブル X の id = 1 の値を +1 →id = 1 の行 : 11 (別の処理を実行) テーブル X の id = 1 の値を +1 →id = 1 の行 : 11 コミット(COMMIT)→成功 (別の処理を実行) 11 コミット(COMMIT) →失敗・アボート 例 [2] Aurora DSQL(OCC / SNAPSHOT ISOLATION) 9 必要ならリトライする
OCC は PCC と比べて本当に効率が良いのか? • そもそも更新競合が少ないケースで使うもの ◦ 更新競合が多い処理→別データストアを選択して実装したほうが 良い •
分散 DB ではネットワークの遅延が大きく影響 ◦ 都度ロックする場合、地理的に離れたノード・クラスターにも ロックの伝達が必要 →トランザクションコミット時にまとめて確認したほうが効率が良い 10
OCC の注意点 • 長いトランザクションには向かない ◦ あくまでも更新競合が少ないトランザクション向け ▪ トランザクションが長くなるほど更新競合が発生しやすくなる • リトライはアプリケーションで実装する必要がある
• コミット成功の順序が保証されない ◦ トランザクション A → B → C で B が競合してリトライすると、 コミット成功の順序が A → C → B(リトライ)になることも 11
まとめ • Aurora DSQL は SQL が使える大規模分散 DB ◦ シングルリージョンでもマルチリージョンでも使える
◦ OCC の採用によりシャーディングなしにスケールが可能に • 通常の RDBMS とはトランザクションの流れが異なる ◦ 更新が競合したらアボート ◦ 必要ならアプリケーション側でリトライ処理を実装する 12
宣伝 : PHP カンファレンス名古屋 2025 開催! • PHP 以外の話も(少し)あります!(私は MySQL
の話を…) ◦ https://phpcon.nagoya/2025/ 13