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効果的なふりかえりは 仮説設定が9割
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Masatomo Sakagami
January 28, 2025
Business
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効果的なふりかえりは 仮説設定が9割
Masatomo Sakagami
January 28, 2025
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Transcript
効果的なふりかえりは 仮説設定が9割 〜良い仮説を作る3つのポイント〜 2025年1月28日 坂上 真大@無所属
はじめに 課題設定や施策の検討段階での仮説の活用の仕方、 振り返りで仮説からの学びを最大化するための方法などを記述しています。 お時間あるときにご笑覧しフィードバックのコメントもらえると嬉しいです。 現状把握 課題設定 施策の 検討 施策実施 振り返り
次の 改善へ もうすでに今回のLTをベースにしたnoteの記事をアップしています。 noteの記事はこちら →
自己紹介(坂上 真大) LIFULL・じげんでエンジニア・EMとして活動したのちに独立しフリーラ ンスのエンジニア・プロダクトマネージャーとして約10年間活動した後に ラクスルに入社。 ラクスルでは印刷事業部のプロダクト開発部長としてプロダクトマネー ジャーのマネジメントを実施。 その後、障害者を中心とした「就労困難者」という社会課題の解決に取り 組むスタートアップで取締役CPO /
CHROを務め、プロダクトの立ち上 げをやりながら、採用・組織開発・法務・労務・経理・情シスと管理部門全般 の立ち上げと強化を実施。 現在は立派な無職。 元々エンジニアでした プロダクトマネージャーのマネジメントやってました バックオフィスもやってました ここ笑うところです🤣
今日話すこと・話さないこと 話すこと • なぜ仮説が大事なのか • 良い仮説の特徴 • 良い仮説を作るために必要なこと 話さないこと •
KPT、YWT、Fun-Done-Learnなどの振り返り手法 • 課題設定のやり方や施策アイディアの出し方 • 改善サイクルを回すために仮説を使い倒す方法 個人的な目標 • 時間内にLTを終わらせること(過去5分のところを15分話すという実績解除済み)
はじめに 〜なぜ仮説が大事なのか〜
現状把握 課題設定 施策の 検討 施策実施 振り返り 次の 改善へ なぜ仮説が大事なのか プロダクトの改善プロセス
仮説 課題設定 施策の 検討 効果測定 振り返り 仮説はプロダクトの改善プロセスほぼ全てに関係する
良い仮説とは何か どのように作っていくのか
良い仮説の特徴 1. 解決すべき「本質的な課題」に繋がっていて検証可能であること 良い仮説はプロダクトビジョンなど中長期目線を元にした「何のためのものか」が明確になっています。 例:「CVRが下がっているので上げる」 →「欲しい商品を提供できておらず、「ここでしか買えないものがある」というビジョンが実現できていない」 2. 「言い切りの形」で表現されていること 仮説を曖昧にすると検証が難しくなりますし、都合の良い解釈をしてしまう余地が生まれます。 例:「CVRが低いからもっと訴求強くしたほうが良いかも」
→「CVRを上げるために訴求内容が競合製品に比べて弱いので価格訴求を強化する」 3. 検証結果に基づく「次の意思決定が明確」であること 検証の結果がYES/NOどちらに転んでも、「この結果なら次にXXをする」と行動につながる設計になっているべきで、 そうなっていない仮説は、仮説ではなく「単なる推測」に過ぎないと言えます。 例:「CVRが悪いから広告のクリエイティブを変更する」 →「ターゲットユーザーが多く滞在している媒体に広告を出稿する。それでも足りなかったら訴求方法を変える。」
良い仮説を作る3つのポイント 1. 複数の仮説を立て、仮説構造を明確にする 2. 仮説を小さく分割し、実行速度を速める 3. 「表面的な指標」ではなく「根本的な指標」を追う
1. 複数の仮説を立て、仮説構造を明確にする 1つの課題に対して1つの仮説ではなく複数の仮説を考え、全体を俯瞰して捉えるよ うにしましょう。これにより「何が本質的な課題なのか?」を見極め、効果的な検証順 序を決める ことができます。 ここでのポイントは並列と垂直に考えることです。 並列(Horizontal):1つのテーマに関連する要素を元に仮説を考える 1つの課題に対して職種・性別・年齢・競合他社など様々な異なる視点から複数の仮 説を立てることで、関連事項が可視化され全体像を把握しやすくなります。
垂直(Vertical):仮説の正誤や時間的変化を考慮する 仮説が正しい場合と間違っていた場合に、どのような仮説が生まれるかを考えます。 また、時間的変化を加えることで長期的なリスクにも目を向けることができます。
2. 仮説を小さく分割し、実行速度を速める 仮説に必要なのは「精度の高さ」ではなく、「学びを最大化すること」です。 仮説を小さくすることで「すぐに試せる → 学びを得る → 次の仮説に活かす」とい うサイクルを素早く回せるようになり、学びの速度が上がります。 このサイクルのスピードが最終的に事業の成長速度を決めると言っても過言ではな
いでしょう。 仮説を分割するためのポイントは以下の3つに集約されます。 • いつ、誰に、どのタイミングで、何を明らかにするのか?を定義して分割する • 仮説の検証にかかる時間やリソースを最小限に抑える • 「次の意思決定に必要な情報が得られるか」を忘れない
3. 「表面的な指標」ではなく「根本的な指標」を追う 仮説を検証する際、どの指標を追うかを間違えると短期的な成果に振り回され、長 期的な成長を損なう可能性があります。 例えば、広告経由のCTRを上げる施策を実行し、CV数が一時的に改善したとして も、エンゲージメントやプロダクトイメージが低下しては本当に事業の成長につなが るとは限りません。 ここでのポイントは1点だけ。 プロダクトビジョンの実現に基づいた「根本的な指標」にフォーカスすることが重要 になります。
良い仮説を作るために不要なこと • 仮説の正確性を高めることにこだわる 仮説の正確性は実行しないとわかりません。 仮説は 「正しいかどうか」 ではなく、「学びを最大化できるか」 が重要で、仮説の精度を上げることに時間をかけるより、 その仮説を素早く検証できる設計に時間を割きましょう。 •
検証要素を全て定量にすることにこだわる 定量データは確かに重要ですが「なぜその結果になったのか?」 という定性データも同じくらい重要です。むしろユー ザーインタビューや市場観察を通じた定性分析のほうが、仮説の本質を見抜くことも多いでしょう。 • How(施策)を固定したりHowから考える 施策を実施することが目的になり、仮説が曖昧になりやすく学びが得られません。 また、他にもっと良い手段があるかもしれないのに、最適解を探さなくなる恐れもあります。
まとめ ▪なぜ仮説が大事なのか 仮説はプロダクトの改善プロセスほぼ全てに関係するから ▪良い仮説の特徴 1. 解決すべき「本質的な課題」に繋がっていて検証可能である 2. 言い切りの形で表現されている 3. 検証結果に基づく「次の意思決定」が明確であること
▪良い仮説を作る3つのポイント 1. 複数の仮説を立て、仮説構造を明確にする 2. 仮説を小さく分割し、実行速度を速める 3. 「表面的な指標」ではなく「根本的な指標」を追う
プロダクトビジョン 現在の状況 ?
プロダクトビジョン 現在の状況 課題 課題 仮説 仮説 仮説 仮説 仮説 仮説
仮説 仮説 仮説 仮説 仮説 仮説 仮説 定量・定性・通説 仮説 仮説 仮説 仮説 仮説 仮説 仮説 仮説 仮説 仮説 仮説 仮説 課題 多角的に見る 正 誤 ・ 時 間 的 変 化 ・ 分 割
参考資料:仮説の全体像(仮説マップ)を描いてみる 馬田隆明さん:仮説のマップ・ループ・リープ ~仮説思考のプロセスについて~より
One more thing...
仮説を立てるときの心がけ 仮説はコミットメントじゃない 失敗を恐れずに大胆に仮説を立てましょう 仮説は正誤どちらでも学びが得られる
ご清聴ありがとうございました