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oku-slide-20220820

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非数理系研究者向けの動的ネットワークバイオマーカー解析の紹介
奥 牧人 (富山大学)
2022/08/20
第3回 合原ムーンショットプロジェクト全体会議

変更履歴:
2022/07/25 一部修正
2022/07/28 最初のページに追記

Makito Oku

July 24, 2022
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Transcript

  1. 非数理系研究者向けの 動的ネットワークバイオマーカー解析 の紹介 奥 牧人 (富山大学) 2022/08/20 第3回 合原ムーンショットプロジェクト全体会議 2022/07/28追記:

    本資料の内容は発表せず、別の話をすることになりました。 元々読むための資料として作ったため、引き続き公開します。 1 / 29
  2. 動的ネットワークバイオマーカー解析 動的ネットワークバイオマーカー解析 DNB (Dynamical Network Biomarker) 解析 疾病前状態(未病の状態)を検出するための解析手法 揺らぎに着目する点が従来法と異なる 2012年に陳先生、合原先生らにより提案された

    [1] 用語解説: 未病 健康と病気の中間にある状態。中国最古の医学書「 こう 黄 てい 帝 だい 内 けい 経」に 記載がある。予防・先制医療の観点から近年注目されている。 [1] L. Chen, et al., Sci. Rep., 2:342 (2012). doi: 10.1038/srep00342 5 / 29
  3. 従来法とDNB法の違い 従来法の発現変動遺伝子解析では平均の増加または減少に着目 DNB法では揺らぎ(分布幅)と変数間の相関強度の増加に着目 対照群 実験群 対照群 実験群 従来法 DNB法 用語解説:

    発現変動遺伝子 (DEG) コントロール条件と比べて発現量の平均が顕著に増加または減少 した遺伝子。倍率変化 (Fold Change) や仮説検定で判定する。 6 / 29
  4. イメージ動画 state transition in a double-well system state transition in

    a double-well system https://youtu.be/ZoZDxko10Nk 9 / 29
  5. 数学の用語に置き換える 臨界遷移の手前(未病)の段階は、力学系理論の用語に置き換えると サドル・ノード分岐 の手前に相当すると考えられる。 用語解説: 力学系理論 数学の理論の一つ。時間的に変化する対象を微分方程式(連続 時間)や差分方程式(離散時間)で表し、その挙動を調べる。 用語解説: 分岐

    力学系のパラメータが変化した時に、定性的な挙動(安定点への 収束、発散、振動、カオスなど)が切り替わること。 用語解説: サドル・ノード分岐 不安定点(サドル)と安定点(ノード)が衝突して消える分岐 11 / 29
  6. その他の場合 条件 適用の可否 病気から健康への回復過程の場合 ✓ 病気がさらに悪化する過程の場合 ✓ コントロールを除き 条件のみの場合 ✓

    時間分解能が高い場合 ✓ (他の手法も要検討) 各条件で の場合 非推奨 欠損値が多い場合 個別に判断 同一でないヒトのデータの場合 – 1 n = 1 ∗ 1サンプルDNB法が提案されているが、DEGと区別できないという問題がある ∗ 16 / 29