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新卒採用マニュアル③_自社の戦い方の言語化/スケジュール設定

 新卒採用マニュアル③_自社の戦い方の言語化/スケジュール設定

ここから実務に重きを置いた内容を記載しています。まずは具体的な動きを決めるための自社分析についての解説と、分析を通して新卒採用の全体のスケジュールをどう設定していくかをまとめています。

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袴田 優斗

January 17, 2026
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  1. 採用の4Pとは マーケティングの4P(分析) 採用の4P Philosophy (理念・目的) Profession (事業・業務) People (人・文化) Privilege

    (待遇・制度) Product (製品・サービス) Price (価格) Place (流通・提供方法) Promotion (販促活動) 4P分析とはマーケティングのフレームワークになるが、採用における4Pも存在する。 自社の強みや魅力を言語化するときに役立つので、活用したい。
  2. People(人・文化) どんな仲間と、どう働くのか? People (人・文化)  コミュニケーションスタイル・流儀  配属後一緒に働く人の具体像(わかる範囲で)  実際に新卒で入っている人の特徴

     評価の考え方(コンピテンシー・志向面)  育成制度(OJT/メンター/レビュー頻度)  活躍している人の特徴、逆に「合わない人」の特徴 Point
  3. コンセプト設定 4Pで整理・分析した自社の強みを、「採用コンセプト」まで昇華させる。 学生に響くような、そして社内の採用関係者にも浸透させられるようなコンセプトを設計する。 Philosophy (理念・目的) Profession (事業・業務) People (人・文化) Privilege

    (待遇・制度) ✓ コンセプトは平たく言うと、採用計画段階で定めたターゲット・目標や、4Pでまとめた自社の魅力や強みを一 言や短い文章にまとめたもの。 ✓ このコンセプトを最終的には学生向けにコピーライティングして、キーメッセージとして刺さる形にするのが理想。 “コンセプト化”
  4. コンセプトが採用担当だけのものになっていないか 典型的な失敗パターン 対策 コンセプトを作るだけで満足してはならず、運用までコンセプトが浸透しているかを確認する。 コンセプトが人事だけのものになっているのは避けたい。 採用担当 現場社員 ✓ 人事内ではコンセプトが固まっているが、現場社員には 浸透していない。

    ✓ 結果、学生へのコアの部分の訴求がバラバラになり、 一貫性や差別化が失われる。 ✓ 経営陣や採用担当で定めたコンセプトを、現場リクルー ターや面接官など、採用に関わるメンバーに浸透させる 機会を研修や伴走で浸透させる。 ✓ コンセプトの浸透をするためにも、採用に積極的な現場社 員をなるべくアサインする。 採用担当 Inputの機会を 意識的に作る 現場社員
  5. (補足)時には組織改革/新卒採用の必要性を再検討する 下記項目に複数該当する場合は 「新卒採用は時期尚早」もしくは「組織改革の優先度が高い」可能性がある。  4P分析をしても、自社の魅力が全くわからない、言語化できない。  そもそも、新卒を受け入れられる環境が全く整っていない。  新卒採用に意義を感じている、あるいは積極的な社員が全くいない。 

    待遇面で相場から差が離れすぎている。(給与以外で補填できるなら良いが、相場と離れている場合は覆すのが難しい。)  実態として、新卒採用が人手不足の補填策になってしまっている。  前項までに記載した内容を設計できる(設計する意思がある)担当者あるいはパートナーやコンサルが不在。
  6. 改めて優秀層の動きをインプットする 01.新卒採用の全体像でも記載したが、優秀層のおおまかな動きは下記のとおり。 スケジュールの全体感を把握できていないと、学生とのコミュニケーションがチグハグになるため注意。 企業 学生 1月 2月 3月 4月 5月

    6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 学部2年生 院進予定4年生 学部3年生 大学院1年生 学部4年生 大学院2年生 新卒採用全体設計 (採用数・ターゲット・予算…) 情報収集・選考対策 サマー応募・選考 サマー インターン期 ウィンター インターン期 本選考期 インターン参加 ウィンター応募・選考 サマー後本選考 インターン参加 本選考応募・選考 ウィンター後本選考 母集団形成・各種選考 インターンシップ準備 インターン実施 サマー後選考準備 ウィンター準備 サマー後選考実施 ウィンター母集団形成 インターン準備 インターン実施 ウィンター後選考準備 本選考母集団形成 本選考実施 ウィンター後本選考実施
  7. 業界やベンチマーク先の動きを把握する 業界やカテゴリ(例えば外資系など)によっても時期が前後するので考慮したい。 コンサルティング業界などはわかりやすく、業界/カテゴリで時期が前後する。 <サマーインターンシップの母集団形成の例> 1月 2月 3月 4月 5月 6月

    7月 8月 9月 サマー インターン期 母集団形成のメイン時期 戦略ファーム 総合ファーム 相場 母集団形成のメイン時期 母集団形成のメイン時期 業界として相場より早く、 また業界内でもカテゴリによって メイン時期が異なる。
  8. (補足)ベンチマーク先の選定について ベンチマーク先の選定には注意が必要。業界や職種等が一致しているケースはわかりやすいが、 全く違う業界で志向性も異なる企業がメジャーな併願先だったということはよくある。 <例:コンサルと商社は働き方や得られるものは大きく異なるが、メジャーな併願先> コンサル 総合商社 特徴 ✓ ジョブ型 ✓

    数年での転職が前提 ✓ ポータブルスキル習得 ✓ プロジェクト制(短サイクル) 特徴 ✓ メンバーシップ型 ✓ 長期就労が前提 ✓ (コンサルと比較すると) 専門スキル習得 ✓ 案件は長期が多め ブランド力・給与レベル・ 上流の仕事に関われそう などが学生目線で一致している
  9. 前倒し・後ろ倒しスケジュールのメリット・デメリット 相場より早いスケジュール・遅いスケジュールにはメリット・デメリット両面ある。 次項のポイントと合わせて、自社にとって最適なスケジュールを検討したい。 ✓ 超優秀層の初動を取れる:早期に動く学生ほど情報感 度・意思決定が早く、トップ層に刺さりやすい。 ✓ 全体設計に余裕が出る:選考回数増や長めのジョブ/イ ンターンなど、質を作り込みやすい。 ✓

    競合前に先行できる:比較対象が少ない時期に関係構 築でき、第一志望化しやすい。 前倒しスケジュール 後ろ倒しスケジュール メリット デメリット ✓ 見極めが難しい:志向が固まらず、配属・職種・カル チャーのミスマッチが起きやすい。 ✓ 内定保持コストが増える:承諾まで長くなり、フォロー工 数・予算が積み上がる。 ✓ 競合が強く中途半端だと負ける:他社も同じ層を狙うた め、設計の弱さが致命傷になりやすい。 ✓ 本命化した学生を狙える:比較後に「ここ」と決めた学生 に刺さり、決め切りやすい。 ✓ フォロー負荷が軽い:内定保持が短く、承諾までの設計 がシンプル。 ✓ 認知が埋もれにくい:競合密集期を外せるので、知名度 が弱くても目立ちやすい。 ✓ 優秀層の枠が埋まりがち:人気層は早期に内定を持っ ており、後出しは不利。 ✓ 母集団形成と被って運用が重い:一般層と時期が重な り、スクリーニング負荷が上がる。 ✓ インターン時期がズレやすい:休暇など学生側の都合に 合わせにくく、参加率低下や学生負担につながる。
  10. Point① - 奇策に走らない まずはスタンダードなスケジューリングを設定し、各コンテンツで勝負をする。 • 極端に時期をずらしたり、通年採用(中途採用と同一化す る)などの相場とあまりにもかけ離れた採用方法にするのは基 本的に推奨しない。 • 学生は大きな流れの中で動いており、奇を衒った方法を取っ

    ているからと言って、その企業が魅力的だと思うことはない。優 秀層なら尚更。アイデンティティを出すのはスケジュールや流れ ではなく、各工程やコンテンツで示していくことを推奨する。 • ただし、基本的に自社の採用がかなり強く、かつ明確な目的 があるのであれば別。自社がどういった立ち位置なのかを客観 視して、冷静に奇策が必要かどうかを考える。 Point 奇策に走らない
  11. Point② - 自社のポジショニングから考える ポジショニングによってスケジュールが異なるのは前述のとおり。 大切なのは、客観性と就活生視点を持って、ポジショニングを考察すること。 Point 自社のポジショニングから考える • スケジュール感は基本的に自社のポジショニング、平たく言うと 就活生視点での企業のティアを踏まえる必要がある。

    • 前述の通り、採用が強い企業でないと相場より早くしても勝つ ことはできないし、逆に採用が強いのに選考を遅くするのは大 きなメリットが得られない。 • ベンチマーク先を選定して、その中で自社がどのようなポジショ ンにいて、どのように戦っていくのが良いのかを考えていく。
  12. Point③ - 就活生への訴求内容を踏まえる 就活生の各コンテンツへの感じ方はその就活生の置かれている立場に依存する。 どのタイミングで訴求するのがベストかを検討する。 Point 就活生への訴求内容を踏まえる • スケジュール感やコンテンツの大枠を決める上で、どのような ターゲットの学生に、どのような訴求(前述のコンセプトも含

    む)をしていくのかも大切である。 • 自社が提供したいコンテンツや情報は、就職活動の初期段 階が刺さるのか、それとも様々な情報が入った状態の方が刺 さるのか、などを考える必要がある。 • 04の自社の戦い方のコンセプトがベースにあるので、そちらを しっかり詰めて、こちらに反映したい。
  13. Point④ - 各工程のボリュームから逆算する 当たり前のことだが、余裕を持ったスケジュールを設定する。 余裕のなさは随所で就活生の体験に悪影響を及ぼす。 Point 各工程のボリュームから逆算する • インターンシップやイベント、選考の内容と前後する形になって しまうが、各コンテンツがどれくらいの期間や負荷をかけるものな

    のかも考慮に入れたい。 • コンテンツが重いにもかかわらず、全体のスケジュールを遅くして しまうと、学生の事情に合わせられなかったり、短期間にコンテ ンツを詰め込んで体験や質が低くなったりするケースがある。 • 数年新卒採用を行っている場合は、工程のボリューム感はあ る程度把握できるはずなので、各コンテンツの内容が定まって いなくても、過去の状況を参考にしたい。 • 一方で、立ち上げ段階やコンテンツを大幅に修正する場合は、 あまり時期を遅くしすぎないようにすることを意識したい。