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続・やっぱり余白が大切だった話

 続・やっぱり余白が大切だった話

D-Plus トウキョウ1周年大感謝祭
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での登壇資料です

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KAKEHASHI

May 08, 2025
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  1. ©KAKEHASHI inc. 木こりのジレンマ 13 ある日の朝、旅人は山の中を歩いていました。 奥深い森の中、汗を流しながら一生懸命に木を伐っているきこりを見かけました。 そして夕方、同じ道を戻ってみると・・・、朝と同じ場所で、玉の汗をかきながら一生懸 命木を伐り続けているきこりがいました。 でも、あんまり作業は進んでいないようでした。 旅人は足を止めてよくよく見ると、きこりが使っている斧の刃は、ボロボロでした。

    そこで、きこりに声をかけました。 旅人:「きこりさん、精がでますなぁ。でもあんまり作業は進んでないみたいですね、一 旦手を止めて、斧の刃を研いだらどうですか?」 きこり:「旅人さんよ、なに言ってるんだよ、刃を研ぐ時間なんておいらには無いんだ よ、木を伐るのが忙しくてさ・・・。」 “ http://www.keieicoach.jp/news/418/ 引用: と 生産性向上には余白が必要 のジレンマ 忙しいので余白なんか取れない
  2. ©KAKEHASHI inc. • 中規模以上の開発テーマは開発ロードマップ(全体マップ)を作成し、変化を前 提に開発ロードマップを使ってゆるいプロジェクトマネジメントを行う • 開発ロードマップを使い、コミュニケーションを高頻度に、内容の確認や仮説含 めた提案を行う。その中で、ターゲット、見積もり、コミットメントを区別しなが ら優先度を決めて計画を立てる •

    このときに、不確実性(事業的側面、技術的側面の両方を含む)が高いアイテム ほど優先度を上げる • ターゲットの達成をゴールにしながら、開発者目線で必要なアイテムも並べて優 先度を決める。ターゲットの達成のために何が後回しになったかを明確にして おく • スクラムイベントで開発ロードマップを見ながら状況や優先度の変化、進捗をそ の場で更新しながら認識合わせをすることでロールをまたがった情報対称性を 高める 本日話すこと 余白を上手にコントロールできるチームになるために実践していること 17
  3. ©KAKEHASHI inc. 木こりのジレンマ 18 ある日の朝、旅人は山の中を歩いていました。 奥深い森の中、汗を流しながら一生懸命に木を伐っているきこりを見かけました。 そして夕方、同じ道を戻ってみると・・・、朝と同じ場所で、玉の汗をかきながら一生懸 命木を伐り続けているきこりがいました。 でも、あんまり作業は進んでいないようでした。 旅人は足を止めてよくよく見ると、きこりが使っている斧の刃は、ボロボロでした。

    そこで、きこりに声をかけました。 旅人:「きこりさん、精がでますなぁ。でもあんまり作業は進んでないみたいですね、一 旦手を止めて、斧の刃を研いだらどうですか?」 きこり:「旅人さんよ、なに言ってるんだよ、刃を研ぐ時間なんておいらには無いんだ よ、木を伐るのが忙しくてさ・・・。」 “ http://www.keieicoach.jp/news/418/ 引用: と 生産性向上には余白が必要 のジレンマ 忙しいので余白なんか取れない
  4. ©KAKEHASHI inc. ターゲット、見積もり、コミットメント、計画 25 本来の意味 よくある誤認 誤認による悪影響 見積もり • 実装に必要な作業量や期

    間の予測 • 幅があることが多い • 分析的・仮説的であるべき もの • 勝手にコミットメントに される • 勝手に計画にされる • 正確なもの、精度が高い ほど良い • 余裕がなくなる • 遅れると「失敗」と見なされる不安 から過剰バッファを取るようにな る ターゲット • 事業上の理由から達成し たい希望的な期日やス コープの目標 • すでにコミットメントさ れた必達命令 • 実現性があるもの • 現実的な調整や健全な遅延が許さ れなくなる • どうすればゴールに近づけるか? という工夫・調整がなくなり、事業 上の効果の最大化ができなくなる コミットメ ント • チームが達成を約束した 期日やスコープ • 納期 • 絶対に調整が不可能な もの • やらされ感やモチベーション低下、 心理的安全性の低下 計画 • 見積もり、ターゲット、コ ミットメントから立てた現 実的に実行可能な道筋 • 守るべき進行表 • リスク対応ができない • 柔軟な判断や学習が止まる • 形骸化した「予定表」になる
  5. ©KAKEHASHI inc. こんなことありませんか?(2/4) 27 そろそろ2週間だよね? リリースどうなってる? 今週で終わると思っていましたが、 もう少しかかりそうです そして2週間後… え、それなら、早めにできないって

    言ってくれればよかったのに。 顧客にも約束しているので遅れるとまずいですよ。 計画だと 思っている これも 見積もり ラフな見積もりのまま 開発スタートし、ゆるい 開発だと思っていたの で、不信感 計画だと思ってコ ミットメントまでし た、不信感
  6. ©KAKEHASHI inc. (実際には2週間くらいだと思うけど、 また怒られたくないから) ちょっと難しいところがあるので 1ヶ月くらいかかると思います。 分かりました、ありがとうございます (結構かかるな… この前の機能と似たような感じなのにな) こんなことありませんか?(3/4)

    28 つぎの機能Yの開発、どのくらいでできそう? (2週間くらいでできると展示会に間に合って嬉しい んだけど) 今度は見積もりのつもり (暗黙的なターゲットの 存在) 不健全な 見積もり サボっているよう に感じて不信感 前回と同じこ とになるだろ う不信感
  7. ©KAKEHASHI inc. こんなことありませんか?(4/4) 29 (余裕ある感じするし、まずは軽くやっていくか) そして2週間後… (ずっと順調そうだったのに結局ギリギリまでかかった な。本当に1ヶ月必要だったのかな) (ちょうど半分くらいだし今のペースでちょうどだよな。 ちょっと仕様が曖昧なところあるけど、来週でいいか)

    さらに1週間後… (うわ、テストまだ残ってた。 まぁあと2日くらいで終わらせよう) 本来得られた事業 上の価値の最大 化のチャンスを逃 してしまう 余裕があると「まだ大 丈夫」と思い、緊張感 が失われてダラダラ 進む
  8. ©KAKEHASHI inc. 開発ロードマップを一緒に作りながらコミュニケーション(1/3) 33 このステークホルダーに対して 機能1、機能2、機能3を 段階的に12月までにリリースしたいです ちょっと全部を12月は難しそうですね… この順番でリリースしたい理由はありますか? 本当は機能3を先に出して効果検証したいんだけど、

    機能1と機能2はその前提になる気がして 確かに前提になる部分ありそうですね。 ただ機能1と機能2の共通部分だけ先に開発して、 機能3だけミニマムで使える状態にはできそうな気 がします 本当のターゲッ トのスコープ 見積もりと ターゲットの確認 ターゲットの 説明
  9. ©KAKEHASHI inc. 開発ロードマップを一緒に作りながらコミュニケーション(2/3) 34 全部を100%スコープだと機能3のリリースが2 月くらいまでかかりそうですけど、機能3の効果 検証できるミニマムな範囲であれば10月くらい にはできる気がします その進め方で不確実性がありそうところはあります か?

    機能1と機能2に想定外の事情の変化があった場 合、一気に100%スコープを開発するよりも、 トータルの時間がかかることになると思います。 機能3の結果によって、他の機能の優先度上げたくな る可能性もあるので、その方針で詳細の見積もりをお 願いします。 見積もり 見積もりの 幅の確認 見積もりの 幅 計画につな がる
  10. ©KAKEHASHI inc. 開発ロードマップを一緒に作りながらコミュニケーション(3/3) 35 設計した結果、パフォーマンス問題が発生する可 能性がありそうです。 10月にはできそうと話していましたが、性能検 証を先にしたいです。もともと12月という話も あったので多少の余裕はあるかなと思っていま すが大丈夫ですか?

    もちろん早めが嬉しいですが、重要なステークホル ダーなので、できるだけ事前に懸念も減らしましょう ありがとうございます。 現時点では10月目標で進めますが、何か問題を 発見した場合はまた相談させてください。 ターゲットを考 慮した計画変 更の提案 ターゲットの 追加情報 確率的な コミットメント