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「モンスターストライク」の運営を支えるデータ分析基盤の歴史と進化 / History and ...

「モンスターストライク」の運営を支えるデータ分析基盤の歴史と進化 / History and evolution of the data analysis infrastructure supporting “Monster Strike” operations

本資料は、2024年12月10日に開催された以下イベントでのMIXIデータエンジニア渡辺の発表資料です。

Data Engineering Study #27 - データ基盤振り返りLT会
https://forkwell.connpass.com/event/335254/

MIXI ENGINEERS

December 10, 2024
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Transcript

  1. 2 ©MIXI 1. データ分析基盤の歴史と進化 a. データ分析基盤の変遷 b. 2024年の課題とアップデート 2. 2024年の取り組み

    データ品質担保プロジェクト a. データ品質⼊⾨ b. Dataplex ⼊⾨編 c. Dataplex データ品質 運⽤編 Agenda
  2. 6 ©MIXI 1. 「モンスターストライク」の運営をデータで⽀える組織 a. 「コトダマン」のデータ分析基盤、「モンソニ! 」の分析基盤構築‧分析も担当 2. 解析チーム(データエンジニアチーム) a.

    データ分析基盤の構築‧運⽤(BigQuery、内製ワークフローエンジンなど) b. 新規施策分析のためのデータ取得、データマート構築、Looker保守運⽤ 3. 分析チーム(データアナリストチーム) a. 施策の振り返り、KPI分析、次期施策の意思決定⽀援 b. 分析のためのデータマート構築、Looker保守運⽤ 解析グループについて
  3. 8 ©MIXI リリース当初(2013年〜2014年)   最初は⼀⼈。スクリプトで集計。 データレイク時代(2014年〜)   ⼈⼒では限界になりデータ分析基盤が必要に。   Amazon EMR Hiveによるデータ加⼯パイプライン、内製ワークフローエンジンの導⼊。 AWS

    データウェアハウス時代(2015年〜2021年)   よりアジリティが⾼い集計‧分析へ向けて。   Amazon Redshiftの導⼊。 Google BigQuery移⾏(2020年〜)   インフラ管理コストの削減、データガバナンス(権限管理など)の強化など。   データウェアハウスをRedshiftからBigQueryへ移⾏。 データ分析基盤の歴史
  4. 9 ©MIXI 「モンスターストライク」のデータ分析基盤(2014〜2020) Amazon Web Services オンプレ App Server Load

    Balancer ログ収集 エージェント Database ログデータ S3 スナップショット S3 データ加工 EMR, Athena データレイク S3 1. Hiveで⽣データの加⼯、データマート構築 2. データのクエリはRedshiftが中⼼ 3. BIツールは適材適所で併⽤ データマート Redshift BI tools Redash Metabase Zeppelin 内製
  5. 10 ©MIXI Google Cloud 「モンスターストライク」のデータ分析基盤(2021年) Amazon Web Services ログデータ S3

    スナップショット S3 データ加工 EMR, Athena データレイク S3 1. データのクエリはBigQuery中⼼ 2. ⽣データの加⼯や⼀部データマートの構築はまだHive 3. BIツールはLookerで統⼀ a. 参考 : 【MIXI TECH CONFERENCE 2023】データ⺠主化を推進するモンストでのLooker導⼊ データレイク Cloud Storage データマート BigQuery データマート BigQuery BI tools ダッシュボード Looker Storage Transfer Service オンプレ App Server Load Balancer ログ収集 エージェント Database
  6. 11 ©MIXI Google Cloud 「モンスターストライク」のデータ分析基盤(2024年) スナップショット S3 Amazon Web Services

    ログデータ S3 データ加工 EMR, Athena データレイク S3 1. Hiveで構築していたデータマート、ログデータELTのBigQuery移⾏が完全完了 2. スナップショットの加⼯(カラムナフォーマットへの変換)のみがAWSへ残る形へ データレイク Cloud Storage データマート BigQuery データマート BigQuery BI tools ダッシュボード Looker オンプレ App Server Storage Transfer Service Load Balancer ログ収集 エージェント Database ログデータ Cloud Storage スナップショット S3
  7. 12 ©MIXI Google Cloud 「モンスターストライク」のデータ分析基盤(未来?) 1. 2024年現在スナップショットELT基盤のBigQuery移⾏は並⾏稼働段階へ 2. 管理コストを下げつつ必要なデータを素早く提供できるデータ基盤を⽬指して データマート

    BigQuery データマート BigQuery BI tools ダッシュボード Looker オンプレ App Server Load Balancer ログ収集 エージェント Database Pub/Sub? Dataflow? 2024年 BigQueryを中⼼としたスナップショットELT基盤 (並⾏稼働段階) 2024年 ログ収集エージェントのクラウド移⾏(設計段階)
  8. 13 ©MIXI 1. スナップショットデータの加⼯基盤がまだAWS EMR Hive   データとインフラをAWS/Google Cloudで2重管理している   データ転送待ち時間によるラグ、データ転送コストの発⽣ 2.

    内製ワークフローエンジンの⽼朽化   2014年(?)当時から動いているRuby製内製ワークフローエンジンを保守‧改修しながら運⽤   DAGに含まれるタスク数は1000+   安定して稼働はできているものの保守コストは年々増加 3. データ品質周りの課題   次のスライドへ データ分析基盤の課題 2024年
  9. 17 ©MIXI 正確性 Accuracy   収集したデータは事実として正しいか? 重複した数値はないか? 数値は正確か? 完全性 Completeness   レコードは完全か?

    すべての必須項⽬に有効な値が得られているか? 適時性 Timeliness   レコードは期限内に得られたか? データ品質の定義 by 『Data Governance: The Definitive Guide』 データが⽋損なく、誤りなく、最新である Excerpt From データエンジニアリングの基礎 2.2.2.5 データ品質
  10. 23 ©MIXI 1. テーブルの統計情報をプロファイリングしてくれるサービス a. 各カラムのmin/max/avg等の統計情報 b. NULLが含まれる割合、ユニークかどうか 2. BigQueryに統合されている

    Dataplexとは Data Profiling Data Quality 1. データ品質をテスト‧可視化してくれるサービス a. Auto data quality(マネージド)とData Quality Task(OSSベース)の2種が存在 b. 後者はレガシー。元々前者は機能不⾜だったらしいが2024年末現在はだいぶやれることが増えてきた c. OSS: GoogleCloudPlatform/cloud-data-quality ; Python+dbt 2. Data Profilingの結果を元にテストを⾃動⽣成してくれる機能も存在 3. こちらもBigQueryに統合されている
  11. 26 ©MIXI Dataplex Data Profiling 分析例: LONG TERMに移⾏ したパーティション は全体の91%

    カラム名(例:storage_tier) Null percentage Unique percentage Min/Max/Avg
  12. 29 ©MIXI Dataplex Data Qualityで扱えるテストの種類 組み込みルール   列(カラム)の⼀意性、NULL チェック、正規表現‧セット(IN演算⼦)によるチェック   条件を満たす⾏(レコード)がn%でpass カスタムSQL

    ⾏の条件   任意のWHERE句に書ける   条件を満たす⾏(レコード)がn%でpass カスタムSQL テーブルの条件   集計関数を実⾏した結果をテスト   サブクエリで他テーブルへのアクセス可能 SQLアサーション   SQL⽂全体を書ける BigQuery MLモデルを呼び出すことで異常値検知テストも可能 ¡POINT!
  13. 30 ©MIXI Why Dataplex? その他選択肢 1. dbt unit test 2.

    内製ワークフローエンジンでのテスト Dataplexを選んだ理由 1. フルマネージドサービスである a. Schedulerも内包しており管理するインフラがない 2. エコシステムとドキュメントが充実している a. テストをデプロイするためのTerraform Moduleが存在している b. テストの書き⽅がGoogle Cloudの公式ドキュメントに載っている 3. APIが充実している 4. BigQueryコンソールと統合されている a. BigQueryコンソールをデータカタログとして使うためにスキーマ情報(description)を充実化していた b. データ品質の結果もコンソールから⾒れると必要な情報が⼀箇所にまとまって良さそう 決め⼿
  14. 32 ©MIXI 実装 1. 毎⽇正午にデータ品質テストを実⾏ 2. もしテストが落ちていたらSlack通知 3. そのままLookerダッシュボードで落ちたテスト の詳細確認

    運⽤フロー テストが落ちたときのSlack通知 1. テストの定期実⾏は内包のスケジューラーで 2. テスト実⾏結果はBigQueryテーブルへ書き出し 3. BigQueryテーブルをLookerで可視化 4. Lookerダッシュボードのアラート機能でしきい値 を決めてアラート failedしたテストの詳細
  15. 33 ©MIXI 運⽤フロー 1. テストの結果を⾒てデータに異常があれば調査‧修正 2. テストが悪ければテストを修正 3. ⼿動運⽤を促すテストを書いたりもする a.

    新しい商品が追加されたからレポートにも反映してね、みたいな ルールに違反している レコードを洗い出す クエリ(SQL) テスト対象 テストの中⾝ 結果
  16. 35 ©MIXI 1. <table_name>.<dataset_name>.yamlでPRすると、そのテーブルを対象に毎⽇テストが 実⾏されるように 2. Terraformでテストをデプロイ。CIとしてPRすると terraform plan、マージでデプロイ 3.

    https://github.com/GoogleCloudPlatform/terraform-google-dataplex-auto-data-quality を参考に独⾃カスタマイズ。 a. テストのデプロイ⾃体はTerraform Google Providerにリソース定義がある b. 上記ModuleではYAMLで書かれたテストをTerraformのリソース定義へ変換するロジックを持つ c. 独⾃でSchedulingやSampling, Incrementalの設定もYAMLでできるように拡張 d. 独⾃で対象データセットとテーブル名をファイル名へ埋め込むロジックも実装 e. 詳しくは、Terraform を使⽤してデータ品質ルールをコードとして管理する | Dataplex | Google Cloud 開発フロー②
  17. 36 ©MIXI 1. テーブルの存在チェック‧最新パーティションにレコードが0件以上存在するか a. INFORMATION_SCHEMA.PARTITIONSメタデータを利⽤ b. 直接テーブルをスキャンしないので低コストでのテストが実⾏可能 c. 200件以上のテーブルの適時性

    Timelinessを担保 2. 各カラムがNULLではない、UNIQUEである a. Data Profilingの結果から100テーブルほどのテーブルに対するテストを⾃動⽣成 b. GitHub Copilotで⽣成されたルールを命名。⼈⼒で不要なテストを削除してPR c. 完全性 Completenessを担保 実装済みのテスト TODO 1. ドメインに寄り添ったデータの正確性 Accuracyの担保する 2. 眠っているデータの闇 “data downtime” を洗い出して修正する 3. データ品質テストの結果をBigQueryコンソールから⾒れるようにする a. API経由で実⾏した場合そのままではコンソールから⾒れない。結果のPublishが必要
  18. 37 ©MIXI 1. Data Profiling / Data Quality どちらも同じ料⾦体系 2.

    $0.114 per DCU-hr ※2024年12⽉10⽇時点. asia-northeast1 a. > DCU 時間の使⽤量は、データのプロファイリングとデータ品質指標の計算に必要な処理に⽐例します。こ れは 1 秒ごとに課⾦されます。 3. しっかりSampling/Incremental scanすれば$10/dayはいかないくらい a. 料⾦はデータ量に依存するため でもお⾼いんでしょう?
  19. 39 ©MIXI でもお⾼いんでしょう? ⻘: GCS ストレージ料⾦ ⾚: BQ ストレージ料⾦ ⻩:

    Dataplex ?!????????? その他コンピュート等 (BigQueryを除く)
  20. 40 ©MIXI 1. Dataplexの1⽇あたりの料⾦がヤバいことに 2. 原因はData Profilingを激重テーブルも含めてフルスキャンしてしまったこと 3. なぜおきたか: サンプリングされていると勘違い

    & 料⾦を勘違い a. コンソールではデフォルトで10%サンプリング。API, gcloudコマンド経由の操作ではデフォルトでフルス キャン。 b. 2024年末時点において、DSUを知る術がない(実⾏時間はログからわかるが、裏側で消費されたDSUがわか らない。Google CloudのCEさんへフィードバック済み) 4. ※激重Data Profilingの結果は漏れなくData Qualityテストの⾃動⽣成に活⽤しました 2024年のやらかし
  21. 41 ©MIXI 1. 「いつの間にかデータが壊れていた」に気が付きたい 2. 分析時のデータ確認⼯数を削減したい データ品質担保の取り組み まとめ 解析Tの課題 1.

    Dataplex Data Qualityで定期テストする仕組みを導⼊ 2. テーブル200+件の適時性 Timelinessとテーブル27件の完全性 Completenessを テスト‧可視化‧アラート 2024年の取り組み 1. データの鮮度‧⽋損に気がつけるようになり、誤った古いデータで意思決定するリスクは減った 2. まだ分析業務の⼯数削減にはつながっていない点が今後の課題 創出した価値と今後の課題
  22. 42 ©MIXI 1. 「モンスターストライク」の運営を⽀えるデータ分析基盤の歴史と進化を紹介 セッションまとめ 概要 1. データの流れを最適化するための脱クロスクラウド化を進⾏中 2. データ基盤移⾏に伴うデータ品質の低下を防ぐための仕組みを導⼊した

    2024年の取り組み 1. Data ingestionも含めたデータの流れの最適化 2. ワークフローエンジン移⾏(Dagster, Composer3 etc) 3. データ品質テスト充実化も含めたデータ‧インフラ監視周りの強化 今後の課題