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一次情報を武器にする - pmconf2025

一次情報を武器にする - pmconf2025

2025/12/4に開催されたpmconf2025東京会場のセッション資料です。

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Hiroyasu Yoneyama PRO

December 03, 2025
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Transcript

  1. インタビュー分析SaaS 
 事業責任者 & プロダクトマネジメント 
 人間中心設計(HCD)認定専門家 
 趣味はベースと育児 


    米 山 弘 恭
 @yone_yama0312 三度見る - 浮(buoy) LOVE SONG - 田中ヤコブ ただようだけ - 田中ヤコブ Hiroyasu Yoneyama ト イ ッ タ コンテンツ本部 副本部長 / 第一グループ プロデューサー Copyright © Hatena Co., Ltd.
  2. POINT 01 POINT 02 Copyright © Hatena Co., Ltd. デリバリーの変化

    … 均質化と不確実性 • コーディングエージェントの⼒を借りれば誰でも"それなりには"作れてしまう • 作るスピード‧量‧質が持つ競争⼒は、相当⾶び抜けていない限りは団⼦ "作れること"のコモディティ AI搭載の要請で不確実性は爆増 • ⽣成AI搭載機能を備えるプロダクトは当然増えていくが • 出⼒が不安定、精度評価が難しい、意図通り作りおおせる難易度はむしろ増加
  3. POINT 01 POINT 02 Copyright © Hatena Co., Ltd. ディスカバリーの変化

    … 強⼤な競合、そして不確実性 • なんでもできる(ように⾒える)汎⽤チャット / エージェントとの競合はどこ⾒渡しても不可避 • 必死に作った機能が来週には(Gemini|Claude|GPT)によって陳腐化する世界 BigTechとの競争はこれまでよりずっと難化 向き合う不確実性は(デリバリーよりさらに)増加 • どの課題を解く?どう解決する? + 「それにおいてAIはどう振る舞うべき?」が乗っかる • 妥当な解が世間に出揃っていない / 正解誰も知らない度合いがさらに⾼い
  4. Copyright © Hatena Co., Ltd. 競争⼒ある価値をし続けるために、時代にかかわらず普遍といえる、 我々PdMがやるべき仕事とはなにか 変わらないこと = 仕事のゴール

    まとめると • 競争⼒のある価値提供をゴールとしてデリバリーとディスカバリーを両⽅うまくいかせる 変わった = ゴール以外のだいたいすべて • 競争⼒獲得の難易度(優位獲得の難化、強⼤なライバル) • 機能を考え、提供するにおいての不確実性(AIネイティブ機能のデリバリー, ディスカバリー)
  5. Copyright © Hatena Co., Ltd. ≒ 顧客‧ユーザー‧ステークホルダー本⼈に実際に会うなどして得た情報 • ※「実際に」対⾯しているかは別として、対話から得られた情報という定義で進めます "ビルを出よ

    (Get out of the building)" • from Steve Blank: Teaching Entrepreneurship • 顧客との対話で得られる⼀次情報は古今を問わずプロダクトマネジメントの中核 ◦ "顧客と話さないPMは危険" — INSPIRED ◦ "毎週顧客と会え" — Continuous Discovery "⼀次情報"
  6. POINT 01 POINT 02 Copyright © Hatena Co., Ltd. なぜ今(もしくは今更)、⼀次情報に着⽬するか

    • ⼀次情報を探すのは得意でも、⾃ら作り出すことは性質上不可能に近い • ⽣⾝の顧客に会って話すのは2025年現在、まだあなたにしかできない仕事 LLMには作れない情報だから 模倣困難な資産であることがめちゃくちゃ価値だから • 競争相⼿が、あなたが話した相⼿と全く同じ話をしている可能性はかなり低い • LLMにも競合にも知られてない"Founder's Secret" あるいは "Insight"
  7. Copyright © Hatena Co., Ltd. 対話機会を徹底して最⼤化 • 事業リリースまで200件+ • リリースから現在まで1,300件+

    ◦ 累計 1,500件強の対話 量をやる、ビル出まくる • 尊敬をこめて引⽤ from 4000の顧客要望からプロダクトの未来を描いた話 - Speaker Deck↑ • 質を問う営みも並⾏した(後述)が、まずは対話機会の量的最⼤化を⽬指した ◦ まずは「ビルを出まくる」が初⼿と信じた "量は質に転化する"
  8. Copyright © Hatena Co., Ltd. • 聞きたいことができてから聞きに⾏く、では遅すぎる • 対話の複数回設定を事業のルールとして置き、随所でディスカバリーの機会を得る •

    ⼀次情報を「取りに⾏く」のではなく、暮らしの中で「集まってくる」を⽬指す 聞きたくなって聞くではなく、集まる仕組みにする
  9. Copyright © Hatena Co., Ltd. • ⼀次情報を得て扱うための体系知として実践できる教えとして再注⽬に値する ◦ UXデザイン(あるいは質的研究)の歴史は⻑い、それだけ時代の⾵雪に磨かれている ◦

    ISO規格としても定義されている ◦ 質的研究を源流に汲み、研究機関での活⽤も当然ながら旺盛 ▪ 素⼿でやるより圧倒的に話が早い UXデザイン / ⼈間中⼼設計 / デザイン思考 ...の領域におけるリサーチ "デザインリサーチ"
  10. Copyright © Hatena Co., Ltd. • 定型質問(構造化) + アドリブの掘り下げ質問群(⾮構造化)を台本化して進⾏ •

    抑えるべきポイントは構造化された質問 + タイムキープで堅持 • 構造化された設問に紐づく、単なる⼀問⼀答にならない深堀りが真⾻頂 "半構造化インタビュー"
  11. Copyright © Hatena Co., Ltd. 活⽤(できる‧すべき)機会は "だいたい全部" バックログの内側 • 解くべき課題は誰のなにで、未解消の要因はどこか

    • 課題をどのような価値や機能で解決するか、解消状態は何であるか • 機能に求められる重点、落とせるスコープはどこか、どう設計‧抽象化するか • その課題の優先度、順序‧時期、影響の⼤⼩、経済価値はいかほどか バックログの外側 • マーケット認識、競争戦略、ロードマップのFIT&REFINE • Go To Marketやクリエイティブの起案&検証 • セールスのキラーフレーズ、顧客⽀援の個社カスタマイズ
  12. POINT 03 POINT 02 POINT 01 Copyright © Hatena Co.,

    Ltd. • 論外 • PdM以外のメンバーや、ともすればAIにも読ませたいわけである 多⽤途に活⽤するためにどう情報を持っておく? 定性情報版のデータウェアハウスではないか? 誰かの脳内にあればよい? 議事録‧レポート‧図にしたためる? • 有効に運⽤「し続ける」のは⾄難の業。⼀度アウトプットしたら内容は固定されがち • (例: 解約理由のヒアリング結果をから契約初期の接点の情報は失われる) • ローデータ(発話)だけ持ち、アウトプットは必要な時に必要なカットで作る • いままでは量‧構造上、実現難易度が⾼いアプローチ だった
  13. Copyright © Hatena Co., Ltd. 対話はご承諾を得て録画。 toittaで⽂字起こし & "切⽚化" 対話という⾮構造的な定性情報を、

    分析可能な構造化データにして保管 発話を、分析⽤データ「切⽚」に toittaチームでの実践
  14. Copyright © Hatena Co., Ltd. 得られた成果 バックログの内側 • ⽂脈‧課題‧要因の特定は「やる前に終わっている」 •

    豊富なヒント‧根拠でソリューションの磨き込みが捗る • 優先度、順序‧時期、影響の⼤⼩、経済価値もスコアリング可能 バックログの外側 • 事業戦略‧マーケティング戦略をとある発話をきっかけに転換 • ステークホルダーマネジメントの円滑化 • セールススクリプト改善による成約率の最⼤化 • 顧客⽀援プログラムの商品化によるクロスセル
  15. POINT 01 POINT 02 Copyright © Hatena Co., Ltd. 再掲:

    今⽇のテーマ 競争⼒獲得の難易度(優位獲得の難化、強⼤なライバル) 、機能を考え提供するにおいての不確実性 「競争⼒のある価値提供」を⽬指すための戦い⽅にLLMが変化を起こした Q:時代にかかわらず普遍といえる、我々PdMがやるべき仕事とはなにか あるとしたらそれは何で、どのように向き合うべきだろうか?
  16. POINT 03 POINT 02 POINT 01 Copyright © Hatena Co.,

    Ltd. • ルールにするでもなんでもして、お客様と接する時間を⼀秒でも増やす A: "⼀次情報を武器にする" 3. 持ち帰る ... 定性情報のデータウェアハウスを作りマルチユース 1. ビルを出る ... ⼀次情報を得る機会をまずは増やす 2. よく歩く ... デザインリサーチの知恵で⾼密度な情報を得る • 半構造化インタビューのような、⾵雪に磨かれた体系知を使う • 発話をデータとしてウェアハウスを作り構造的に保持、必要なタイミング‧⽤途で都度アウ トプットを作る