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40代以上に共有したい中年期のキャリア論

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August 14, 2025

 40代以上に共有したい中年期のキャリア論

アラフィフの自分が、同世代に共有したいと思うキャリア論について、いくらか構造立ててまとめてみたスライドです。中年期を迎えた頃合いでは、これまでの自分が無意識にそなえてきた人生観やキャリア観を、少し距離をおいて眺めてみる機会をもつと楽になれるかもなと思うところがあって、それが一人からでもやりやすいよう意識してシナリオを組んでみました。
ただ明確な聞き手を設定して、どこかで講演したスライドとかではないので、興味を覚える部分をご自身で読みほぐして、一人でちょっと考える時間をもってみるとか、社内や仲間内でキャリアについて話すときのとっかかりに使ってもらえたら、これ幸いというものです。
詳しくは、筆者ブログにて。
40代以上に共有したい中年期のキャリア論┃心のうち
https://hysmrk.cocolog-nifty.com/blog/2025/08/post-d6745c.html

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August 14, 2025
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Transcript

  1. Mariko Hayashi 自 分がどんなイメージを描いたのか、 自己 分析してみよう あなたは、どんな絵図で「 人 生 」を描きましたか?

    分析の切り 口 (例) 1. それは、何かの「モノやコト」に喩えられますか? 2. それは、「あなたの 人 生 」をイメージして描きましたか? それとも 自 分と関係ない「模範的」あるいは「 一 般的」なイメージですか? 3. それは、どこから始まっていて、どこを終わりとしていますか? 4. 「あなたの 人 生 」をイメージして描いた場合、 あなたの「これまでの 人 生 」を振り返って描きましたか? 「これからの 人 生 」を想像して描きましたか?両 方 ですか? 5. あなたの「これからの 人 生 」を想像して描いた場合、それは 「あなたが希望する」イメージですか? それとも「あなたの 見 通し・予測」を表したものですか?
  2. Mariko Hayashi 下図は、 大 学 生 に「あなたの 人生 をイメージして、 一

    枚の地図を描いて ください。説明も加えてください」と 言 って描いてもらった典型的な絵 人 生 は「坂道」や「 山 登り」のイメージ 出典:やまだようこ「 人生心 理学─ 生 涯発達のモデル(やまだようこ著作集)」P326[図13-2](新曜社) 連続的な道程で、坂道のイメージ 「 人生 は年齢を経るにつれて進歩・ 上昇する」というイメージで描いた 学 生 が、4割超(42%)に及んだ。
  3. Mariko Hayashi 「発達」という概念も、ステップアップなど進歩のイメージが 色 濃い 「階段状」に描いて発達段階を 示 すものも 非 連続的な道程で、階段のイメージ

    出典:やまだようこ「 人生心 理学─ 生 涯発達のモデル(やまだようこ著作集)」P5[図1-1](新曜社) 「上の段」と「下の段」は質的に 異なり、 非 可逆で後戻りできない 意味合いをもつ。
  4. Mariko Hayashi 「年齢とともに能 力 が上がる」進歩・上昇モデルの発達観が浸透・定着 発達 心 理学でも横軸「年齢」、縦軸「能 力 レベル」は定番

    低 0歳 10歳 20歳 30歳 能 年齢 時間の流れに沿って、 人 間の発達も「 一方 向」「 非 可逆」「前進」的に観てきた。
  5. Mariko Hayashi 生 涯全体を射程に 入 れると、後半は下降するばかりって受け 止 めがたい 青 年期を過ぎたら、その後は?

    能 年齢 低 0歳 20歳 40歳 60歳 10歳 30歳 50歳 70歳 80歳 高 齢化社会では、「 人生 の後半期」にも光を当てる解釈が重要性を増していく。
  6. Mariko Hayashi 1. 人生 の価値を「進歩・成 長 できたか」という単 一 のモノサシで評価 するように結びつけたのが、そもそも

    人 間なのであれば… 2. 「進歩・成 長 できたか」以外のモノサシ(価値基準)を新たに作り 出すことも、 人 間の仕業でできること 3. 「複数のモノサシをもつ」「 自 分 用 のモノサシを 見 極める」ことが、 とりわけ中年期以降は 大 事になる 一 次元的に上がり下がりを決めつけず、観点を増やす 複眼的・多次元的に、 人 生 の意味づけを 見 直せばいい ( 一 本の線で) (線を)
  7. Mariko Hayashi 生 涯発達 心 理学に学ぶ、 「 人 生 は

    山 登り」 一 択からの解放 Section 1
  8. Mariko Hayashi • 人生 の後半期も含めて、 生 涯いつの時期も 大 切な変化期だ •

    年齢による変化だけでなく、「個 人 差」による変化が 大 きい • 誰でも同じ発達段階をたどるのではなく、 人 によって多様な発達 方 向がある • 生 涯を通して、 人 間には柔軟に変わる可塑性がある 成 人 期から 老 年期まで含んだ、 人 間の 一生 の変化過程に射程を広げた 「 生 涯発達 心 理学」は、 人 間の発達観を 大 きく変えた 発達 心 理学 生 涯発達 心 理学 生 まれてから成 人 になるまで 受胎から死ぬまで 乳幼児期 児童期 青 年期 成 人 期 壮年期 老 年期 参考:やまだようこ「 人生心 理学─ 生 涯発達のモデル(やまだようこ著作集)」(新曜社)
  9. Mariko Hayashi • 潜在的なものを「開発」する • ゆっくり 自 然に「成 長 」する

    • 種が成 長 して「開花」する • 図 面 を「展開」する • 途上のものが「発展」する • 隠されていた原像が、外的影響によって 目 に 見 えるかたちで現像される 原語 “development” は、「達成」「到達」にかぎらず広い意味をもつ そもそも「発達」とは 原語 ”development” のニュアンス • “development” とは、発育、成 長 、発展、進展、開発、拡張の意 • 本来の意味は「包まれて(envelop)いたものが、徐々に表に現れてくること」 参考:やまだようこ「 人生心 理学─ 生 涯発達のモデル(やまだようこ著作集)」(新曜社)
  10. Mariko Hayashi 種を 見 たとき、 人 間は「その先の展開」まで内包したイメージを抱く 「砂粒」と違って「種」には抱く、 生 きものへの眼ざし

    芽 花 実 種 砂 参考:やまだようこ「 人生心 理学─ 生 涯発達のモデル(やまだようこ著作集)」(新曜社) 種は、これから芽を出し、成 長 ・変化し 生 きていく未来像を含む。
  11. Mariko Hayashi • 学習する • 設計する、デザインする • 作る、造る、創る • 構成する、構築する、形成する

    「 生 きもの」として、 人 間の発達観を捉え直す 人 間を「モノ」的に捉えて理解しようとすると、無理や不 自 然が 生 じる 「モノ」的に捉えると 「 生 きもの」として捉え直すと • 育つ • 成る • 生 まれる • やってくる 他動詞(〜を)的イメージ 自 動詞(〜が)的イメージ 意志をもって 目 的・ 目 標を 立 て、前 提や要件を整理して 足 場を組み、計 画を 立 て、実 行 し、 生 産的に 生 きる コントロールできない環境、先を 見 越 しきれない時間の流れの中で、変化に 適応しながら 自 発的・ 自生 的に 生 きる 参考:やまだようこ「 人生心 理学─ 生 涯発達のモデル(やまだようこ著作集)」P318(新曜社)
  12. Mariko Hayashi やまだようこ(1995) 生 涯発達をとらえる6つのモデル モデル名 イメージ 価値 モデルの特徴 発達のゴール

    重要な次元 おもな理論家 成 長 モデル 考える 子 どもから 大人 になるまでの獲 得、成 長 を考える。成 人 発達の 可能性を考えない おとな 均衡化 獲得 身 体 知能 行 動 ピアジェ フロイト ウェルナー ワロン 熟達 モデル 考える 以前の機能が基礎になり、 生 涯 通して発達しつづける安定性と 一 貫性を重視する 熟達 安定 有能さ 力 内的作業モデル バルテス ボウルビィ 成熟 モデル 考える 複数の機能を同時に考える。あ る機能を喪失し、別の機能が成 熟すると考える 成熟 知恵 統合 有能さ 徳 バルテス エリクソン レヴィンソン 両 行 モデル 考える 複数の機能を同時に考える。あ る観点からみるとプラスであり 別の観点からみるとマイナスと みなす 特定できない (個性化 両性具有) 両価値 変化プロセス 意味 (ユング) 過程 モデル 考えない 人生行 路(コース)や役割や経 歴(キャリア)の年齢や出来事 による変化過程を考える 考えない エイジング 社会的役割 人生 イベント ハヴィガースト エルダー 円環 モデル 考えない 回帰や折り返しを考える。もと へもどる、帰還による完成 「無」にもどる 完成 意味 回帰 やまだようこ「 人生心 理学─ 生 涯発達のモデル(やまだようこ著作集)」P43(新曜社)
  13. Mariko Hayashi やまだようこ(1995) 生 涯発達をとらえる6つのモデル モデル名 イメージ 価値 モデルの特徴 発達のゴール

    重要な次元 おもな理論家 成 長 モデル 考える 子 どもから 大人 になるまでの獲 得、成 長 を考える。成 人 発達の 可能性を考えない おとな 均衡化 獲得 身 体 知能 行 動 ピアジェ フロイト ウェルナー ワロン 熟達 モデル 考える 以前の機能が基礎になり、 生 涯 通して発達しつづける安定性と 一 貫性を重視する 熟達 安定 有能さ 力 内的作業モデル バルテス ボウルビィ 成熟 モデル 考える 複数の機能を同時に考える。あ る機能を喪失し、別の機能が成 熟すると考える 成熟 知恵 統合 有能さ 徳 バルテス エリクソン レヴィンソン 両 行 モデル 考える 複数の機能を同時に考える。あ る観点からみるとプラスであり 別の観点からみるとマイナスと みなす 特定できない (個性化 両性具有) 両価値 変化プロセス 意味 (ユング) 過程 モデル 考えない 人生行 路(コース)や役割や経 歴(キャリア)の年齢や出来事 による変化過程を考える 考えない エイジング 社会的役割 人生 イベント ハヴィガースト エルダー 円環 モデル 考えない 回帰や折り返しを考える。もと へもどる、帰還による完成 「無」にもどる 完成 意味 回帰 やまだようこ「 人生心 理学─ 生 涯発達のモデル(やまだようこ著作集)」P43(新曜社) 進歩・上昇を前提とした原型 Aを発展させた 生 涯上昇の理想型 A B BとDの中間をとった現実型 C 複眼的・多 面 的な解釈を試みる複雑型 D 価 値 接 近 価値判断を 入 れない過程記述型 E 一方 向に囚われない時間概念の多重型 F 涯 展 開
  14. Mariko Hayashi 子 どもから 大人 になるまで、 一 定の順序で、 一 般的な発達をしていく

    A. 成 長 モデル (年齢) 25歳 • 「幼少期」から「 青 年期」までに 力 点をおく • 身 体、知能、 行 動において、 一 定の順序をたどって 一 般的な進歩・上昇をしていく • 養育者・庇護者らとの信頼関係を基盤にして、基礎 を作った上に積み上げていくようにして各機能を獲 得し、「成 人 としての完成形」に向かう
  15. Mariko Hayashi え、でも、ちょっと、待って… (年齢) 25歳 70歳 (年齢) 25歳 大人 になった後は

    どうなるのよ? え、それは、まぁ、 こんな感じでは…💦 そりゃ、ないよ。 最後まで右肩上がりは無茶でも、 せめて維持、こうこなくっちゃ! (年齢) 25歳 70歳
  16. Mariko Hayashi 成 人 までに備えた機能を基礎に積み重ね、 生 涯を通して発達し続ける B. 熟達モデル •

    「 青 年期」を過ぎても、職業的活動などと結びつい た練習や発展の機会があれば、実践的知識・スキル は熟達し、向上し続ける • 人生 後半も、実 用 的能 力 の有能さは保持され、変化 し、あるいは新しく獲得しうる (年齢) 25歳 70歳
  17. Mariko Hayashi え、でも、さすがに… 「 生 涯、発達し続ける」って、 不 自 然だし、無理あるよね…😓 そりゃ例外はいるだろうけど、

    大方 の 人 は 人生 なかばで衰えたり失ったりする現実を 無視できなくなってくるんじゃないかなぁ へたに「 生 涯、発達し続ける」なんて期待されても、 それはそれで負担だし、逆にストレス増えるわ (年齢) 25歳 70歳 (年齢) 25歳 70歳 2つに分けて考えればいいんだよ! 歳をとって「衰退、喪失」するものもあれば、 「向上、獲得」するものもあるってさ 「停滞」か「維持、保持、継続」か。 ものは 言 いよう、考えようね🤭
  18. Mariko Hayashi • 個 人 が 長 年にわたる経験、教育や学習などか ら獲得していく知能 •

    20歳以降も上昇し、 高 齢になっても安定 Horn, J. L., & Cattell, R. B.(1967) 「低下しやすい知能」も「維持されやすい知能」もある 高 齢期における知能の加齢変化 │健康 長 寿ネット│公益財団法 人長 寿科学振興財団 西田 裕紀 子 (にしたゆきこ):国 立 研究開発法 人 国 立長 寿医療研究センター 老 年学・社会科学研究センター NILS-LSA 活 用 研究室研究員 https://www.tyojyu.or.jp/net/topics/tokushu/koureisha-shinri/shinri-chinouhenka.html 結晶性知能   crystallized intelligence 流動性知能  fl uid intelligence • 新しい環境に適応するために、新しい情報を 獲得し、それを処理し、操作していく知能 • 10歳代後半 ~ 20歳代前半にピークを迎えた 後、低下の 一 途 「加齢に伴い、知能は低下する」の真相(1)
  19. Mariko Hayashi Schaie, K.W.(2013) 20歳以上を対象にした「知能の加齢変化」研究では… 高 齢期における知能の加齢変化 │健康 長 寿ネット│公益財団法

    人長 寿科学振興財団 西田 裕紀 子 (にしたゆきこ):国 立 研究開発法 人 国 立長 寿医療研究センター 老 年学・社会科学研究センター NILS-LSA 活 用 研究室研究員 https://www.tyojyu.or.jp/net/topics/tokushu/koureisha-shinri/shinri-chinouhenka.html 横断系列:1956年 ~ 2005年まで7年間隔で8回にわたって複数の年齢集団(すべての調査回が新しい標本)を対象に知能検査 縦断系列:さらに各々に対して7年ごとに再検査を 行 い、複数のコホートの縦断データを得る 「 言 語理解」は 67歳頃にピーク どの知能も 60歳頃まで 高 さを維持 81歳頃までは 下降も緩やか 「加齢に伴い、知能は低下する」の真相(2)
  20. Mariko Hayashi え、でも全部「 一 般論」どまりでしょ? 2本線にして、それで済む話じゃ そもそもなくない? 中年期ともなれば、 培ってきた能 力

    も、健康状態も、 人生 の価値基準も 人 それぞれ。 「個 人 差」ありまくりでしょ? (年齢) 25歳 70歳 横軸に年齢、縦軸に何やわからん価値を 数量化して、上がり下がりを表せると 思っているグラフに無理があるわ
  21. Mariko Hayashi 成 長/ 熟達 / 成熟モデルとも、あくまで 一 般発達の「完成形」を 目

    指す A・B・Cモデル共通 (年齢) 25歳 70歳 (年齢) 25歳 70歳 (年齢) 25歳 70歳 1. 目 指すべき 一 般的な「完成形」(プラスの頂点)を 仮定する 2. 完成形を 見 据えグランドプランから各パーツの「成 長 プラン」を企てる 3. 成 長 プランを漸次的に実 行 し、均衡・安定・統合性 の 高 い「機能的統 一 体」を形づくることを 目 指す
  22. Mariko Hayashi え、でも、だからといって… はーい、じゃあ、後半戦は おのおの 自 分の個性に応じて 自 由にやってください。解散👋 とか、やめてよ…。

    いい按配の、先 人 の知恵とか教えとか なんか、あるでしょうよ? (年齢) 25歳 70歳 荘 子 がいいこと 言 ってるよ! 紀元前すぎるっ そこはうまいこと 現代チューニングしますがな
  23. Mariko Hayashi 矛 盾・対 立 するものを共存させ、複眼的・多 方 向・多次元的に併 行 させる

    D. 両 行 モデル • 「 矛 盾・対 立 するもの」を不 用 意に対決・勝負させず、両 方 を 認めて穏便に共存、併 行 させる • 加齢に伴う変化に対し、ある観点ではネガティブ(喪失・下 降・衰退)、別の観点からみるとポジティブ(獲得・向上・ 獲得)な意味の両 方 の側 面 を捉える • 「減る・なくなる・衰える」ことにも積極的な評価をし、 「ある」と「ない」に等価の価値を与える • 数量化して測れない「定性的な価値基準」も認める • 何を価値とするかに絶対的指針はなく、社会、 文 化、歴史的 文 脈とも相互作 用 するし、個 人 差もあれば、ひとりの中でも 解釈の仕 方 が多 方 向に展開しうる多様性を認める • 今の解釈、過去した意味づけが未来に変化したり、新たな意 味が作られる変化可能性、可塑性を認める • 偶発的な発達を認め、先々どう変わるか分からないとみる。 全 面 的には「 目 標設定」が機能しない前提に 立 っている (年齢) 25歳 70歳
  24. Mariko Hayashi 1 行 で 言 ってくれ (年齢) 25歳 70歳

    まずは、これまでのA〜Cモデルを踏まえた 「複眼的・多 面 的な解釈を試みる複雑型」と 置いて、6モデルを 一 通り概観した上で、 あとで改めて深掘りするとしよう💨 ちょっと、何 言 ってるかわかんない… んー、でも世の中も複雑なら、 人 間も(あなたも!)複雑な 生 き物なわけで、 1本2本の線でグラフ化して捉えられると思うことに 無理があるじゃない??
  25. Mariko Hayashi やまだようこ(1995) 生 涯発達をとらえる6つのモデル[再掲] モデル名 イメージ 価値 モデルの特徴 発達のゴール

    重要な次元 おもな理論家 成 長 モデル 考える 子 どもから 大人 になるまでの獲 得、成 長 を考える。成 人 発達の 可能性を考えない おとな 均衡化 獲得 身 体 知能 行 動 ピアジェ フロイト ウェルナー ワロン 熟達 モデル 考える 以前の機能が基礎になり、 生 涯 通して発達しつづける安定性と 一 貫性を重視する 熟達 安定 有能さ 力 内的作業モデル バルテス ボウルビィ 成熟 モデル 考える 複数の機能を同時に考える。あ る機能を喪失し、別の機能が成 熟すると考える 成熟 知恵 統合 有能さ 徳 バルテス エリクソン レヴィンソン 両 行 モデル 考える 複数の機能を同時に考える。あ る観点からみるとプラスであり 別の観点からみるとマイナスと みなす 特定できない (個性化 両性具有) 両価値 変化プロセス 意味 (ユング) 過程 モデル 考えない 人生行 路(コース)や役割や経 歴(キャリア)の年齢や出来事 による変化過程を考える 考えない エイジング 社会的役割 人生 イベント ハヴィガースト エルダー 円環 モデル 考えない 回帰や折り返しを考える。もと へもどる、帰還による完成 「無」にもどる 完成 意味 回帰 やまだようこ「 人生心 理学─ 生 涯発達のモデル(やまだようこ著作集)」P43(新曜社) 進歩・上昇を前提とした原型 Aを発展させた 生 涯上昇の理想型 A B BとDの中間をとった現実型 C 複眼的・多 面 的な解釈を試みる複雑型 D 価値判断を 入 れない過程記述型 E 一方 向に囚われない時間概念の多重型 F 価 値 接 近 涯 展 開
  26. Mariko Hayashi 完成体のイメージをもたず、年齢に伴う変化・ 生 成・移 行 の過程に着 E. 過程モデル (年齢)

    25歳 70歳 • 人生 航路や役割・経歴の、年齢や出来事による変化 を考えるモデル • 年齢に伴って変化・ 生 成・移 行 するプロセスを現象 として記述する 年齢にともなう 生 理的・ 身 体的 変化 🖋 各年齢層におけ る社会的役割の リスト 🖋 年齢別の役割と 出来事とのタイ ミング 🖋 • プラスという概念や、上昇に向かってゴールを 目 指 すことが良いといった価値観から解放された 見方
  27. Mariko Hayashi 「 大 きな 生 命サイクル」に内包して「個 人 のライフスパン」を捉える F.

    円環モデル 70歳 25歳 • 個 人 は、親・家族・共同体・ 文 化などの輪の中に 生 まれ、世代・ 生 命・ 生 態という「 大 きな 生 命サイク ル」のなかの個 人 として 生 き、継承していく存在と してとらえるモデル • 大 きな 生 命サイクルは、個 人 の死によって終わらな い。循環、周期、回帰を含んだサイクルとしてみる 円環…マンダラ、輪廻や縁の思想と関係する 循環…繰り返し、らせん状に上昇していく 回帰…もとに戻る、途中に折り返し地点がある • 多くの伝統 文 化や 民 族に 見 られる
  28. 出典: Frédéric MAGUET, « Le cours de la vie de

    l'homme », Histoire par l'image [en ligne] https://histoire-image.org/etudes/cours-vie-homme 出典: 熊野観 心十 界曼荼羅 | 西大 寺 https://www.saidaiji.jp/about/precinct-guide/kanjin-jikkai-mandara/ フランス画 日 本画 円環モデルを表す、17〜19世紀のライフサイクル図
  29. Mariko Hayashi 人 生 を前半と後半に分けると、40歳前後は「 人 生 の正午」 0 3

    6 9 正午 15 18 21 24 0才 10才 20才 30才 40才 50才 60才 70才 80才 分析 心 理学の創始者 Carl G. Jung 中年期 20世紀前半に提唱 人 の 一生 を太陽の動きに例え、正午過ぎの中年期にも意義を 見 出した 人生 の前半期 人生 の後半期 正午を境にして影の向きが逆になるように、 人 も中年期を境にして理想や価値観が 逆転する。体の衰えを覚える 一方 、まだこれからできる余地も 十二 分にある時期。
  30. Mariko Hayashi 中年期は、 青 年期から壮年期に移りゆく過渡期 分析 心 理学の創始者 Carl G.

    Jung 20世紀前半に提唱 比 較的安定した4つの段階のあいだに、過渡期(移 行 期)が挟まれている ライフ・スパン 中年期 老 年期 誕 生 乳幼児期 青 年期 壮年期 死 参考:マリー・スタイン「ユング派精神分析の四本の柱」(創元社) 引退 思春期 外界への適応課題 • 社会に根づき、社会の期待に応える • 職業に就き、社会的役割を果たす • 家庭を築く、地域活動に参加する • 社会的評価を得ることを重視する 内界への適応課題 • 自 分の内 面 的な欲求を発 見 ・発掘 • 自 分が実現したいことを形にする • 独創的な仕事を成し遂げる • 悔いを残している事をやり遂げる 外界への適応 内界への個性化 人生 の前半期 人生 の後半期
  31. Mariko Hayashi 先 人 の教えから「中年期とは、どんな時期か」俯瞰する 0 3 6 9 正午

    15 18 21 24 0才 10才 20才 30才 40才 50才 60才 70才 80才 〜14歳頃 15〜24歳頃 25〜44歳頃 45〜64歳頃 65歳頃〜 成 長 段階 探索段階 確 立 段階 維持段階 下降段階 15歳 30歳 40歳 50歳 60歳 70歳 学に志す 立 つ 惑わず 天命を知る 耳 順う し た が 心 の欲する所に従 いて矩を踰えず のり こ 〜12歳 13〜22歳頃 22〜30歳頃 30〜65歳頃 65歳頃〜 乳児期 幼児期 児童期 青 年期 アイデンティティ の形成 vs 拡散 成 人 前期 親密 vs 孤 立 成 人 期 生 成(世代)継承性 vs 停滞/ 自己 陶酔 老 年期 統合 vs 絶望 発達 心 理学者 Erik H. Erikson「 生 涯発達モデル」 東洋の思想家 孔 子 「論語」 キャリア研究の第 一人 者 Donald E. Super「5段階のライフステージ」 1950年代に提唱 1950年代に提唱 紀元前5〜3世紀頃に提唱
  32. Mariko Hayashi 1. 「いずれ、 自 分は死ぬ」というリアリティが増す 体 力 の衰えや、 人生

    の有限性に 目 覚め、 自 分の 生 き 方 を問い直す時期 中年期ともなると、「喪失」体験を避けて通れなくなる このまま終わっていいのか? いや、このままでは死ねない。 やり残したことがある。 今からでもやりたいことがある 自 分なりに充実した 人生 を歩んできた 自 負 はある。あとは悠々 自 適に過ごせばいいさ と思っていたけど、最近 なんか 手 持ち無沙汰だし、若い 人 たちもそっけない。 役職はずれて会社辞めたら、実際何する 自 分 今の延 長 線で、 支 障なく最期を 迎えられるものだろうか? いや、懸念しているあの問題がいずれ 立 ちはだかる。今から備えておかないと • 親や、お世話になった先輩、同世代や後輩に、 身 近に死別や介護・看取りを体験 • 物覚えが悪くなる、体 力 が落ちる、集中 力 がもたない、俊敏に動けない、体調回復に時間がかかるなど、体の衰えを実感 • 新しいものを取り 入 れたり変化していくことに億劫さ、モチベーションの低さをおぼえる • 勤め先での等級・年収の停滞、役職定年や早期退職、定年退職を 見 据えたシニア社員向けキャリア研修 • 大 病や中途障害を患う、事故・災害に遭う、リストラ・転勤・出向などの予期せぬイベント 2. 自 分が重 心 をかけてきた「社会的活動・役割」の 一 線からはずれる局 面 に 立 つ • 職業 人 として:専 門 的職能やリーダーシップを発揮してきた組織・産業界の第 一 線ポストを退く • 親として: 子 育てが 一 段落し、 子 どもが独 立 する 3. 残された後半の 人生 を、 自 分はどう 生 きたらいいか?という 自 問 自 答が起こる 直 面 する発達課題
  33. Mariko Hayashi 「喪失」にも機会が 見 出せるし、「獲得」にも脅威は潜む 1 2 3 加齢に伴う 変化の現象

    ある現象に直 面 する 対 立 する両者を視野に 入 れ、勝負させず共存させる 獲得する機能 • ◯◯を獲得する • ◯◯が成 長 する • ◯◯が成熟する • ◯◯の知恵がつく • ◯◯の得を積む 喪失する機能 • ◯◯を喪失する • ◯◯が衰退する • ◯◯が遅くなる • ◯◯が短くなる • ◯◯が少なくなる 否定的な意味づけ (エイジング) 肯定的な意味づけ (発達) 対 立 喪失体験にも勝負をつけず 穏便に共存・併 行 ・統合へ 強み Strength 脅威 Threat 機会 Opportunity 弱み Threat 白 老 力 る る、 目立 える くな 肪が やす 歯 歯 が広 なる 長 期間 1次意味づけ 2次意味づけ 肯定的な意味づけ 否定的な意味づけ 肯定的な意味づけ 否定的な意味づけ
  34. Mariko Hayashi 「喪失」をどう意味づけるかは、個 人 の 手 のうちにある 1. 中 立

    的にみた現象 2. 文 脈に基づく解釈 良し悪しの判断を交えない、加 齢に伴う 生 理現象や、キャリア 転換期に遭遇するイベントなど 自 分が 生 きる時代、普段暮らす 地域社会や所属コミュニティ、 文 化的 文 脈に基づいて、現象変 化を意味づけ、価値判断する。 3. 個々 人 の再解釈 周囲の価値基準に単に従うので はなく、肯定・否定の両 面 から 多様に解釈を広げ、 自 分にとっ ての意味を考え価値判断する。 ある現象に直 面 する 対 立 する両者を視野に 入 れ、勝負させず共存させる 喪失体験にも勝負をつけず 穏便に共存・統合へ