Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

スクラムとデッドライン壊れゆくチームをつなぎとめるもの/Scrum and Deadlines

kakehashi
January 10, 2024

スクラムとデッドライン壊れゆくチームをつなぎとめるもの/Scrum and Deadlines

kakehashi

January 10, 2024
Tweet

More Decks by kakehashi

Other Decks in Business

Transcript

  1. 小田中 育生(おだなか いくお) 2009年に株式会社ナビタイムジャパン入社。研究開発部門に配 属。プロダクトや開発プロセスのカイゼンを推し進め、アジャイ ルとの出会いから社内ではスクラムを積極的に導入し、VP of Engineeringを務める。 2023年10月、エンジニアリングマネージャーとして株式会社カケ ハシにジョイン。テクノロジーとドメインに関する深い知識や経

    験をもって高速に仮設検証のサイクルを回すチームづくりとチー ムを起点にした事業価値最大化に確約・集中・公開・尊敬・勇気 している。 著書に『いちばんやさしいアジャイル開発の教本 人気講師が教え るDXを支える開発手法』(2020年、インプレス、共著)がある。 ブログ: dora_e_m|note
  2. © KAKEHASHI Inc. Jonathan Rasmusson 著/西村直人・角谷信太郎 監訳/近藤修平・角掛拓未 訳 アジャイルサムライーー達人開発者への道 オーム社 5.4

    何を諦めるのかをはっきりさせる より引用 荒ぶる四天王 遵守! 増やせない! 減らせない!
  3. © KAKEHASHI Inc. ヤツは四天王の中でも最弱 僕が犠牲になろう Jonathan Rasmusson 著/西村直人・角谷信太郎 監訳/近藤修平・角掛拓未 訳

    アジャイルサムライーー達人開発者への道 オーム社 5.4 何を諦めるのかをはっきりさせる より引用
  4. © KAKEHASHI Inc. “タイミングが適切かどうかを体 系的に知るためには、「なぜ今 か」と自問してみましょう。〜中 略〜「なぜ今か?」「もう少し 待った場合、何か違いは生まれる だろうか?」「時機を見る場合、 具体的には何を待つのか?」”

    意義を問う ガブリエル・ワインバーグ ローレン・マッキャン:著 / 小浜 杳:訳(2020) 超一流が実践する思考法を世界中から集めて一冊にまとめてみた。 SB Creative 第9章「市場支配力」を行使するための 思考法 より引用
  5. © KAKEHASHI Inc. “ソフトウェア構築は、本来シス テム的な作業ー複雑な相互関係に おける作業の遂行ーであり、コ ミュニケーションを図るための労 力は大きく、分担によってもたら された各個人の作業短縮時間をす ぐに上回ってしまう。だから、要

    員を追加することが、スケジュー ルを長引かすことはあっても、短 くすることはないのである。” なるほど完璧な作戦っスねーーーっ フレデリック・P・ブルックス,Jr.著 滝沢徹・牧野裕子・富澤昇 訳(2010) 人月の神話 新装版 丸善出版 第2章 人月の神話 より引用
  6. © KAKEHASHI Inc. トレードオフスライダーどうする? 時間 予算 品質 スコープ MAX MAX

    MAX MAX MIN MIN MIN MIN 普段チームが持つトレードオフスライダーとは異なるかもしれない デッドライン遵守が最重要なら時間がMAXになる
  7. © KAKEHASHI Inc. トレードオフスライダーこうする 時間 予算 品質 スコープ MAX MAX

    MAX MAX MIN MIN MIN MIN 品質の妥協はプロダクトの将来価値を毀損する。予算(人員)調整は慎重にしたい。 まず調整することになるのがスコープ。そのことをステークホルダーとも合意する
  8. © KAKEHASHI Inc. デッドライン前提で検査と適応を行う https://www.servantworks.co.jp/resources/scrum_overview_figures/ 実際触ってみると 使い勝手良くない。 次スプリントで カイゼンしない? 積んであるPBIと

    どっちが顧客にとって 大事だろう? どっちかしかできない 悩ましいけど 積んであるやつは リリース後でいいから カイゼンをやろう
  9. © KAKEHASHI Inc. 最優先は時間、デッドライン 時間 予算 品質 スコープ MAX MAX

    MAX MAX MIN MIN MIN MIN デッドラインまでの時間軸では、顧客の体験価値に悪影響を及ぼさない程度の 品質への妥協が発生しうる
  10. © KAKEHASHI Inc. 日頃のトレードオフスライダーに戻す 時間 予算 品質 スコープ MAX MAX

    MAX MAX MIN MIN MIN MIN デッドライン遵守のために品質に妥協したのであれば 品質の優先順位については日頃よりも高い位置につけ負債解消を急務とする
  11. © KAKEHASHI Inc. 要望は複数ステークホルダーからくる チーム ステーク ホルダーA ステーク ホルダーB ステーク

    ホルダーC ステーク ホルダーD 法改正にせよ季節要因にせよ、それぞれのステークホルダーにとっては重要な期限 タイミングによってはそれが同時にやってくる
  12. © KAKEHASHI Inc. 公平にやろうとする どれもデッドラインに間に合わない プロダクト バックログ A B C

    D デッドライン チームが1スプリントあたり 完成させられるのは2つ どうしても この日までに 必要なの!
  13. © KAKEHASHI Inc. ひとつずつやっていく? AとBは完成させられる。CとDは間に合わない プロダクト バックログ A B C

    D デッドライン チームが1スプリントあたり 完成させられるのは2つ どうしても この日までに 必要なの!
  14. © KAKEHASHI Inc. ええい分業だ チーム ステーク ホルダーA ステーク ホルダーB ステーク

    ホルダーC ステーク ホルダーD こうなったら仕方がない。普段はペアやモブでやってるけど分業しよう。 コードレビュー?動いてるならあとでいいよ。 分担すればなんとかなるはず! やってみますよ!
  15. © KAKEHASHI Inc. かんぺきなけいかく すべての時間を開発にあてる!一人ひとつ!最高速度を叩き出せ! プロダクト バックログ A B C

    D デッドライン 無理(残業、品質を犠牲に) すれば間に合うはず! どうしても この日までに 必要なの!
  16. © KAKEHASHI Inc. ここまできたらやることは一緒 https://www.servantworks.co.jp/resources/scrum_overview_figures/ 実際触ってみると 使い勝手良くない。 次スプリントで カイゼンしない? 積んであるPBIと

    どっちが顧客にとって 大事だろう? どっちかしかできない 悩ましいけど 積んであるやつは リリース後でいいから カイゼンをやろう
  17. © KAKEHASHI Inc. 僕は悩んでいた プロダクト バックログ A B C D

    チームが1スプリントあたり 完成させられるのは2つ プロダクト バックログ チームでヘルプするということはプロダクトバックログの最上 位に他チームのPBIを積むということ
  18. © KAKEHASHI Inc. チームがもつプロダクトの開発が止まる プロダクト バックログ A B C D

    デッドライン チームが1スプリントあたり 完成させられるのは2つ 4スプリント、1ヶ月は止まる。PMF前のプロダクトでそんなに 止めていいのか?
  19. © KAKEHASHI Inc. ふたつのケーススタディからの学び • 守るべきデッドラインは存在する • けれどケイパビリティを超えて開発することはできない • そういうときに個別対応への誘惑がある

    • でも、チームがいつものやり方でやれば結果的にパフォー マンスが出る。だって一番慣れているやり方だから • だから、必要なら勇気をもってステークホルダーと調整し よう。時には何かを止めることを提案する必要がある