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hino citizensassembly

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October 01, 2023

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  1. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University ⾃⼰紹介 2 ⾃分で運転できないからこそ

    移動するために公共交通のことを考えています 20年間⾞の研究をしていますが ⾞の免許を持っていません  井原雄人  早稲田大学 スマート社会技術融合研究機構 電動車両研究所 客員准教授  電気バスを作る仕事(=vehicle)  東京都、奈良県、本庄市、長野市、川崎市、周南市など  合同会社ビジュアライト 共同代表  電気バスを公共交通として走らせる仕事(=mobility)  北九州市、桐生市、瀬戸市、沼津市、大井町、陸前高田市など
  2. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 絶対聞かれるので先に答えを 3 電気⾃動⾞って

    ⽕⼒発電の電気で⾛るから環境に良くないんじゃないの︖ クルマをつくる時にCO2を出してるって聞いたけど︖ YES だけど正確には「思ってたより環境に良くない」 じゃあ、やっても意味ないの︖ NO 組み合わせなきゃカーボンニュートラルは達成できない
  3. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 低炭素、脱炭素、カーボンニュートラルの違い 4 低炭素

    炭素(CO2)を以前(日野市の場合は2005年が基準)より「減らす」  これは、今までもやってきたこと 脱炭素 炭素(CO2)を0にしなければいけない 移動に関わる脱炭素は実は簡単。「移動しなければいい」 カーボンニュートラル、実質排出ゼロ、ゼロカーボン 炭素(CO2)の排出と吸収で±0にする 今までの低炭素だけでは間に合わなそう 今⽇はカーボンニュートラルの話をします
  4. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 移動、Vehicle、Mobilityの違い 5 Mobility,モビリティ

    =移動しやすさ、移動の仕組み Vehicle,ヴィークル =乗り物、移動手段、Electric Vehicle どちらも「移動」に関わるもの、今⽇は両⽅の話をします
  5. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 運輸部⾨におけるCO2排出量 7 CO

    2 総排出量 10億4,400万㌧ (2020年度) その他 1億5,500万㌧ (14.9%) 産業部門 3億5,600万㌧ (34.0%) 家庭部門 1億6,600万㌧ (15.9%) 業務その他部門 1億8,200万㌧ (17.4%) 運輸部門 (自動車、船舶等) 1億8,500万㌧ (17.7%) 自家用乗用車 8,440万㌧ (45.7%) 営業用貨物車 4,039万㌧ (21.9%) 自家用貨物車 3,210万㌧ (17.4%)  自動車全体  運輸部門の87.6%  日本全体の15.5% バス 294万㌧ (1.6%) タクシー 126万㌧ (0.7%) 二輪車 75万㌧ (0.4%) 航空 524万㌧ (2.8%) 内航海運 986万㌧ (5.3%) 鉄道 784万㌧ (4.2%) 自動車以外 国土交通省,運輸部門における二酸化炭素排出量,https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_tk_000007.html  旅客自動車(ヒトを運ぶ)  運輸部門の48.4%  日本全体の8.6%  貨物自動車(モノを運ぶ)  運輸部門の39.2%  日本全体の6.9%
  6. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 運輸部⾨のCO2排出量と削減⽬標 8 0

    50 100 150 200 250 300 1871 1990 1996 2001 2005 2013 2020 2030 2050 2050 運輸部門CO2排出量 百万t-CO2 自家用乗用車 貨物自動車 その他輸送機関 削減目標 2013年比 35%減 「脱」炭素なら 100%減 国土交通省,運輸部門における二酸化炭素排出量,https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_tk_000007.html 「CN」なら 80%減 これまでも「低」炭素は がんばっていた どちらを目指すの? 150年前は 「0」だった
  7. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 低炭素だけなら進んでいる 燃費は良くなっている 平均車速が10km/h上がれば

    燃費は23%向上 ふんわり発進(20㎞/hまで5秒) 燃費は8-9%向上 この10年でクルマの 燃費は27%良くなっている 低炭素ではなくCNを達成するには電動化と再エネ利⽤が不可⽋ 車速をあげる(渋滞をなくす) ゆっくり発進(急発進しない) 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 燃費 ㎞/L これだけではカーボンニュートラルには全然⾜りない (財)省エネルギーセンター,エコドライブ技術情報, https://www.eccj.or.jp/eco-drive/index.html#02_02 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 0 50 100 150 200 ⾞速 km/h 距離 m 急発進 通常発進 ふんわり発進 -10 0 10 20 30 40 ふんわり 急発進 燃料消費⽐率[%] 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 燃費 km/L 平均速度 km/h 10
  8. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 次世代⾃動⾞の定義と販売台数 11 販売台数

     第3世代プリウス(2009年発売)以降、国内ではハイブリッド車を中心に急速に普及が進んでいる。  PHEV.EV.FCVを合わせて2022年でようやく1.7% 日本自動車工業会,日本の自動車工業2022, https://www.jama.or.jp/library/publish/mioj/ebook/2022/MIoJ2022_j.pdf#page=17  ハイブリッド(HEV)  プラグインハイブリッド(PHEV)  電気自動車(EV)  燃料電池自動車(FCV)  クリーンディーゼル(CDV) 次世代⾃動⾞ 電「動」⾃動⾞ 0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 40.0% 50.0% 0 400 800 1,200 1,600 2,000 新車販売台数 千台 クリーンディーゼル 燃料電池自動車 電気自動車 プラグインハイブリッド ハイブリッド 販売台数比 今後も含まれるか 議論中 2022年 1.7%
  9. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 動力 ハイブリット(HEV) プラグインハイブリッ

    ト(PHEV) 燃料電池車 (FCV) 電気自動車 (EV) シリーズハイブリッド (日産 e-Power等) ストロングハイブリット (トヨタ プリウス等) 構造 モーター モーター + エンジン モーター + エンジン モーター モーター 動力源 - - 〇 - 〇 外部給電 エ ネ ル ギ ー 源 〇 〇 〇 - - 化石燃料 - - - 〇 - 水素  エンジンを発電のみに 使用  化石燃料を使用  電動車の扱いが検討中  エンジンを発電と動力 に使用  化石燃料を使用  電動車の扱いが検討中  エンジンでの発電と外 部給電により充電  化石燃料を使用  短距離は電気で走行  水素と空気中の酸素に より発電  充填は比較的短時間  水素価格が高い  充電は外部給電のみ  バッテリが重い  充電に時間がかかる 特徴 電動⾞両(EV,ECV,PHEV,HEV)の⽐較 12 プ ラ グ ( 外 部 給 電 ) バッテリ (大) モ ー タ ー ( 大 ) モ ー タ ー ( 大 ) バッテリ (小) 水 素 タ ン ク プ ラ グ ( 外 部 給 電 ) バッテリ (中) モ ー タ ー ( 小 ) エ ン ジ ン エ ン ジ ン バッテリ (小) モ ー タ ー ( 小 ) エ ン ジ ン バッテリ (小) モ ー タ ー ( 大 ) バッテリへの給電(充電) モーターへの給電
  10. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University カーボンニュートラルに向けた導⼊⽬標 13 

    乗用車:2035年までに新車販売の100%を電動化(HEVを含む)  商用車:中型以下は2040年までに新車販売の100%を電動化または合成燃料等の非化石燃料対応車へ転換 大型車は先行導入車両での技術実証を踏まえ、2030年までに目標設定  供給インフラ:EV用急速充電器15万基、水素ステーション1000か所、合成燃料の早期商品化(コスト削減) 2021年 2025年 2030年 2035年 2040年 2050年 乗用車 商用車 (8t超) 商用車 (8t以下) 電動化比率 42% 先行導入5000台・技術実証 電動化目標新車販売20~30% 新車販売電動化率100% ※非化石燃料対応車含む カ ー ボ ン ニ ュ ー ト ラ ル 新車販売電動化率**% ※非化石燃料対応車含む 次世代自動車50~70% (うちEV・PHEV20~30%) 公共用の急速充電器3万基を含む充電インフラを15万基を整備 水素ステーション1000か所を整備 新車販売電動化率 100% 合成燃料の商用化 供給インフラ 2030年までに 目標設定 数だけでは満たせない 高出力化・供給力・営業時間 現状の700円/Lでは 成り立たない ⾃分で乗り換えるのも⼤切だけど、乗り換えている事業者を選ぶことも⼤切 ハイブリッド車を含む 新車販売100%でも 置き換えに時間がかかる ※経済産業省, https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210618005/20210618005-3.pdf,2050 年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略より作成 乗り換え:11.7年 乗り換え:10.1年 乗り換え:8.5年 EV1.7%
  11. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University Mobility=移動を助けるもの 15 タイヤのない乗り物

    おじいちゃん・おばあちゃん の乗り物 赤ちゃんの乗り物 これからやってくる乗り物 身近な乗り物 MobilityがCO2を減らすのではなく Mobilityに「乗り合う」ことでCO2を削減
  12. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University バス ハイエース 自動車

    車の種類 動かすための エネルギー 乗る人数 一人運ぶための エネルギー 1⼈あたりのCO2排出量の考え⽅ 16 100 2人 50 10 需要に合わせて⼩さくする+(その中で)たくさん乗り合うことが⼤切 5人 150 200 20人 30
  13. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 乗り合う⼈が少なければ意味がない 17 2019年度

    2020年度(コロナ禍) バス・鉄道の⾛ってる距離は変わらないけど乗ってる⼈が減ったので⼤幅に悪化 国土交通省,輸送量あたりの二酸化炭素の排出量, https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_tk_000007.html
  14. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 電動化と乗り合いによるCO2排出量の⽐較 18 

    電動化した際の車両1台あたりのCO2排出量と乗り合いを促進することによるCO2排出量を比較  電気バスのCO2排出量の推計には電力のCO2排出係数の変化を考慮 環境省,温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧,https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/calc 電動化しただけではあまり減らないし、どんなに乗り合っても「脱」にはならない 0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1台あたり 2009年 原発あり 2019年 再エネ18% 2030年目標 再エネ36% 再エネ100% 5人乗車 ディーゼルバス 電気バス ディーゼルバス 電力CO2排出原単位 kg-CO2/kWh CO2排出量 kg-CO2/km CO2排出量 CO2排出係数 現在の電源構成だと 電動化しても半分くらい 乗り合えば 1人あたりの 排出量は少ない
  15. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 移動需要の分類 20 本源的需要

    派生的需要 生活の移動 余暇の移動  移動すること自体が目的  散歩、クルーズ、観光列車など  目的を果たすために必要な移動  自宅から目的地  通勤・通学(頻度高)  買い物(頻度中)  通院(頻度小)  観光  地域・文化活動  娯楽・遊び なくても困らないけど ないと愉しくない ないと⽇常⽣活で困る 最悪⽣きていけない マニアな私は減らしたくない
  16. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 年齢・男⼥・⽬的別トリップ原単位 21 0

    0.5 1 1.5 2 2.5 10代 未満 10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代 80代 以上 トリップ数/人・日 休日_男 休日_女 平日_男 平日_女 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 通勤 通学 業務 私事 トリップ数/人・日 平日 休日 70代は移動している 80代に急激に減る 休日の若者は 移動しない 50代(子育て後)の 移動も多い 定年後の 移動も多い 年齢・男女別トリップ数 目的別トリップ数 移動に困っている⼈と実際に移動する(しない)⼈は必ずしも⼀緒じゃない 愉しみの移動は むしろ増やしたい この部分はどうにかしたい 国土交通省,全国都市交通特性調査(全国PT調査), https://www.mlit.go.jp/toshi/tosiko/toshi_tosiko_tk_000033.html
  17. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 移動による脱炭素化への選択肢 22 

    徒歩や自転車での移動に変える  買い物をまとめてする  再配達を減らす  テレワークの推進  ガソリンなどの内燃機関からハイブ リッドや電気自動車に変える  用途に合わせて、小さくて軽い、燃費 の良い車に変える  バッテリ・モータなどの効率を上げる  車両を軽量化する  充電効率をあげる  再生可能エネルギーによる発電の多 い時間に充電する(夜より昼間)  使い切れない太陽光発電を優先的に 充電する  エコドライブ =運転の仕方を変える  渋滞を減らす=車速をあげる (効率の良い車速で走る)  公共交通を使う  環境対応車を使う事業者を選ぶ  カーシェアリングを使う(所有しない)  マイカーでも知り合いと一緒に乗る (クルマでの)移動を減らす クルマを変える 車両性能をあげる 充電方法を変える 走り方を変える 使い方を変える(乗り合う) 乗り物の転換 エネルギーの転換 ⽣活習慣の転換
  18. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University どこまで考えればよいの︖ 23 運輸部⾨におけるカーボンニュートラルを達成する

    ⽬標 課題 電気自動車の 導入を増やす 公共交通機関へ 転換する 徒歩・自転車を 利用しやすい街にする 取組み  内燃機関自動車の税金を上げる  電気自動車の購入に補助  充電器の整備 など  ダイヤや運行便数を見直し  公共交通の利用に補助  ノーマイカーデイを導入 など  歩道や自転車レーンを整備  中心部のマイカー進入を規制  健康ポイントなどと連動 など 目標と問題の 乖離を埋めるた めに必要なこと 課題解決する ために行う 具体的な事業 ⾃家⽤⾞の利⽤によるCO2排出が多い 問題 あるべき姿と 現実の乖離 これは主語が自治体や事業者になっている。主語を自分にしてみると・・・ 買い替え時に電気自動車を選ぶ 週に1回はバス・鉄道に乗る 短距離は徒歩・自転車で移動する
  19. Research Institute of Electric-driven Vehicles, WASEDA University 活動を続けていくために 24 やると「損」をする

     環境に悪いことをしたら罰金  損をしたくないからやる やると「得」をする  環境に良いことをしたらインセンティブ  得をするから積極的にやる 仲間を増やす 無理せず続ける 新宿や⽴川に出た⽅が便利だけど「⽇野でもいいか」 「豊⽥の⽅が⾯⽩い」を当たり前にしていこう やると「徳」が高まる  当たり前にやって徳を高める  人知れず褒められることはあるかも 「我慢」はきっと続かない  環境に良いことは自由や便利との交換  安全や健康など環境より大切なこともある 「受容」が増えるといいかも  「まぁ、これでもいいか」「しかたないなぁ」  「これも面白いかも」⇒ここまで行けたら最高 自分に「できること」をする  今できないことは、誰かにやってもらう  その代わり今できることは、できるだけやる