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AWS活用による現場データの収集・活用自動化のポイント

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May 22, 2025

 AWS活用による現場データの収集・活用自動化のポイント

多くの企業がIoTのビジネス利用に取り組んでいますが、収集した現場データの活用が思うように進まないケースも多いのではないでしょうか?
せっかく集めたデータも、それを活用するシステムが正しく機能して、業務の自動化やコスト削減、新規サービスの実現といった新たな価値の創出に貢献できなければ意味がありません。

本セミナーでは、AWSのリソースで何が実現可能なのかといった基礎知識から、現場のIoTデータの収集・一元化の手法、さらにAIや機械学習を活用したデータ分析の自動化に至るまで、幅広く解説いたします。

主な内容
・現場のデータ活用における課題と解決策
・AWSによるデータの一元化と自動化の仕組み  ほか

こんな方におすすめ
・現場データの活用に課題をお持ちの方
・IoTやAIの導入に関心がある方
・現場データを業務効率化や生産性向上に活用したいと考えている方

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May 22, 2025
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  1. 自己紹介 2 NCDCでは、Webアプリケーションのアーキテクチャ設計、 インフラ実装、バックエンド開発を担当。 昨年IoTデータ等現場データをクラウド環境に取り入れ 活用するためのアーキテクチャ設計・提案に携わり、現場の データ活用に興味を持つ。 経歴 NCDC入社前は、マーケティング事業会社のDX部署にて、SaaSを 利用した社内外の業務改善を担当。

    データを一元的に管理すべく、複数のSaaSを連携したシステムの構 想設計、実装を担当しつつ、プロジェクトをリードした経験を持つ。 シニアエンジニア 黒澤 葉菜子 AWS Certified Solutions Architect - Professional AWS Certified DevOps Engineer - Professional
  2. 本日のテーマ ⚫ 「AWSで自動化する現場データの収集から利活用まで」 ⚫ 現場データの活用背景 ⚫ 現場データの活用が増えている POSやeコマースによる販売記録、MtoMデータ を含む自動取得データの活用が大きく進展して おり、各企業におけるIoTの導入が加速している

    ⚫ データの活用領域は幅広い このような現場のデータは、「経営企画・組織改革」、 「製品・サービスの企画、開発」、「マーケティング」 といった領域で多く活用されている 3 出典:「令和2年版情報通信白書」(総務省) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd132110.html ※出典は令和2年時点の調査結果ですが、以降の公的な更新は確認されておらず、現時点では本資料が最新のものとなります。近年 も同様の傾向が継続・加速している印象を受けており、多くの企業がIoTや自動取得データの活用に取り組んでいると推測します。
  3. 現場データの活用で見えている課題 ⚫ 一方、データ活用までの段階・活用する際に、課題が見えてきている ⚫ 課題に対して、自動化による解決を試みることが可能 ⚫ 例1:集めたデータを基にした判断業務が熟練者による知見に依存し、属人化している ⚫ 解決案① 判断の「見える化」をダッシュボードなどで仕組み化

    ⚫ 解決案② 高度な判断プロセスをAIモデルで補助 ⚫ 例2:分析モデルの構築や運用が属人化しており、継続活用が難しい ⚫ 解決案 モデル構築〜運用を自動化し、再現性と継続性を担保(MLOpsの導入) ⚫ このように、効率的なデータ活用を実現するために、クラウドやAIによる自動化技術が大きな 助けとなる 皆さんの現場でも、同じような課題をお持ちではないでしょうか? 「AIを使って業務を効率化したいが、何から始めればいいか迷っている」 「改善アイディアはあるが、どのようにクラウドサービスを組み合わせれば いいのかイメージがつかない」 こうした課題に対して、AWSを用いたさまざまな “自動化” の仕組みを構築することが可能です。 4 ※「MLOps」:AIモデルの構築〜運用を仕組み化し、継続活用・業務組み込みを可能にする仕組み
  4. 自動化による解決アプローチ ⚫ ポイント① どの対象を自動化するか ⚫ データ取得の自動化 └ 現場データを正確に・タイムリーに収集 ⚫ AIモデルの活用と運用の自動化

    └ モデルの学習・更新を属人化せず、新しいデータに基づいて継続的に改善できる仕組み ⚫ ポイント② どのように業務へ組み込むか ⚫ 分析・AI活用の業務組み込み └ BIツール、ダッシュボードで可視化して、現場で使える形にする └ 分析ルールやAIの推論結果に基づいて、通知などで利用者に気づきを与える ⚫ 業務プロセスの自動化 └ 分析に基づいた判断や作業を、自動で実行できるプロセスに置き換える このように、自動化は単なる仕組みの話だけではなく、業務の中で “どう活かすか” までセットで 考えることが、導入効果を高めるポイントになります。 自動化を考える際のアプローチとして意識してみましょう。 それでは、現場ではどんな課題があり、どこに自動化の可能性があるのか、具体的に見ていき ます。 6
  5. データ活用のステップと課題 ⚫ データ活用には収集から活用までの明確なステップがあるが、 各ステップには、つまずきやすい課題や、進めた後の運用の壁が存在する ⚫ それらの課題を整理することで、仕組み化・自動化の方向性が見えてくる 8 収集・蓄積 準備・加工 分析

    活用 •センサー・ログなど各 データの収集 •データ形式に応じ適切 なデータベースへの保管 •データクレンジング (除外・欠損値の補完等) •変換・統合・集計処理 等 •統計分析 •BIツール等可視化 •機械学習モデル構築 •意思決定・業務改善へ の反映 •構築したモデルの業務 適用(需要予測・異常検 知等) 概要 課題 データのサイロ化 システムごとにデータが分 断されており、横断的な分 析が困難 前処理の煩雑さ ・ データのクレンジングや 変換作業に手間がかか る ・ 手作業による、属人化・ ミスのリスクがある 分析業務の属人化 ・ 経験豊富な分析担当者 による判断が必要 ・ モデル構築はされてい るが、業務知識やパター ンの読み取りは人に依存 分析結果を十分に活用 できていない 分析結果を業務システム に組み込めていない 分析結果の活用はできて いるが管理に工数がか かっている 開発したモデルを手動管 理しており非効率
  6. データ活用の課題と解決案 ⚫ 各ステップで挙げた課題に対して、現場での改善や仕組み化を実現するための解決アプローチを整理 する ⚫ それぞれのアプローチについて、「どの仕組みを自動化するか」「どのように業務へ組み込むか」といった 観点から、自動化の目的と期待される効果も明確にする 9 収集・蓄積 準備・加工

    分析 活用 課題 ※前頁のもの を省略記載 解決 アプローチ 自動化の 目的と 期待効果 ①センサ、設備からデータ を自動収集できる仕組み ② クラウドに自動集約す るデータ基盤整備 (例)複数拠点の設備デー タをクラウドに自動集約 ① データ整形・変換処理 の自動化(ETL) ② フォーマット統一や処 理ルールを仕組み化 (※) (例)製造ラインAとBの出 力データの形式を統一 ① 分析結果をダッシュ ボードで可視化 (※) ② より高度なモデル構築 (熟練者の判断を再現) (例)品質検査の判断基 準を数値化し、モデルに 反映 ① 分析結果を業務シス テム内で参照・活用でき る仕組み (※) ② モデルの運用・更新を 自動化 (例)分析結果に基づくア ラートを、作業指示システ ムに自動反映 • 各拠点のデータを一元 収集 • 手作業排除によるデー タ精度・即時性向上 • 属人化排除・作業時間 削減 • 加工ルールの標準化 による品質向上 • 分析結果を現場でも 使える形に変換 • モデル運用の省力化・ 精度向上 • 現場での意思決定の 即時化 • 継続的な改善運用の 仕組み構築 データのサイロ化 分断され横断的な分析が 困難 前処理の煩雑さ 手作業が多く、属人化・ミ スのリスク 経験依存の分析 熟練者の判断に依存し属 人化 活用未定着・運用負荷 業務への組み込みが不 十分、モデル管理が手間 (※) :自動化に加え、「業務にどう組み込むか」も含めた仕組み化のアプローチ
  7. 自動化を考える時のポイント ⚫ 自動化の目的を明確にする ⚫ 「どのような効果を得たいか?」を明確にする ⚫ 自動化は手段であり、目的と混同しないように注意する ⚫ 自動化によって得られる効果を意識する ⚫

    効果の種類を明確にすることで、自動化の目的や優先度を判断しやすくなる PoC(概念実証)における評価測定の指標となる ⚫ 効果は大きく以下の2種類に分けられる: ⚫ 定量的な効果:数値で測ることができる → 投資対効果(ROI)を示しやすく、導入判断をしやすい 例:「作業時間が◯時間削減」「コストが◯万円削減」など ⚫ 定性的な効果:数値で測りづらい → 品質や働きやすさ、ビジネス全体の改善につながる 例:「業務が簡単になった」「部門間で共通認識ができた」など ⚫ 原則として、定量的に測定できるものを指標に入れる 定性的な効果も、アンケートなどで可視化し、定量的に把握する工夫が必要 ⚫ 得られる効果が、ビジネスにどう寄与するのかを意識する ⚫ 例) 「分析結果をダッシュボードで可視化」 ⚫ 利用者が状況を直感的に把握 → 意思決定の迅速化や業務の納得感向上と言った定性的効果 ⚫ 活用の定着により、異常検知の早期化や対応時間短縮など定量的効果 10
  8. データ活用に必要な仕組み 12 収集・蓄積 準備・加工 分析 活用 IoTセンサ デバイス システム データレイク

    データウェアハウス データ マート 分析・可視化 多様な形式のデータをそのまま 蓄積 例:センサーデータ、ログ、CSV、画像 など。構造化・非構造化問わず格納 構造化したデータを格納、高速クエリ 対応のデータ基盤 データレイクから取り出したデータを整形・構 造化して蓄積 特定の部門や用途に最適化さ れた「目的別のDWH」 利用者ニーズに応じて抽出・加工さ れたデータを格納 業務活用 ⚫ データ活用までのステップを実現するには、各工程を支える基盤となる仕組みを整える必要がある ⚫ 特に、データを蓄積し、整え、分析・活用へとつなぐためには、データレイク・データウェアハウスと いった構成要素が重要な役割を担う ※ データが蓄積場所に保管されるまでの間や、分析・活用に至るまでの間、必要に応じてデータ加工等の処理を組み込みます
  9. データ活用に必要な仕組み 13 収集・蓄積 準備・加工 分析 活用 IoTセンサ デバイス システム データレイク

    データウェアハウス データ マート 分析・可視化 業務活用 ⚫ データウェアハウスを経由せず、データレイクから直接分析するケースもある ※ ⚫ データの形式や分析目的に応じて、最適な構成を選ぶことが重要 ※ (ケース例) • リアルタイム性が求められる場合 例)ストリーミングデータの即時分析や異常検知など • 機械学習モデルの構築・トレーニングに活用する場合 整形・集計前の多様な形式のデータが必要となるため • 事前に定義された集計では対応できない、柔軟な分析が必要な場合 例)新たな視点での分析や、複数のデータを横断的に分析するケース
  10. データ活用までの仕組みをAWSで実現可能 14 ⚫ AWSはデータ活用における一連の流れをカバーする豊富なサービスを提供している(以下は一例) ⚫ 目的に応じてサービスを組み合わせて、スモールスタートから本格運用まで対応可能な基盤を構築 できる 収集・蓄積 準備・加工 分析

    活用 エッジデバイス での収集・処理 データ転送・取り込み デバイス連携 ・データ受け口 データ蓄積・一時保管 データ加工・分析基盤 ETL処理や大規模な分析処理 処理・制御 (小〜中規模) 集計・構造化保存 可視化・探索 AIモデル 構築・運用 目的に応じて ツールを使い分け 分析結果を活かした 業務連携・自動化 規模やデータ特徴 に応じて加工・処理 データ形式・目的 に応じて蓄積場所 を選択 収集対象のデータ 環境に応じて、収集 手段を選択 外部システム 業務処理の自動化 イベント連携 ・通知の仕組み化 業務アプリへの 組み込み
  11. データ活用基盤を構築するポイント ⚫ 元データを保持する ⚫ 将来の分析ニーズや再利用に備えて、元データを保持 ⚫ 「あとから使えるようにしておく」 ことで柔軟な分析や再検証が可能 ⚫ データの形式や目的に応じて、柔軟に構成を選ぶ

    ⚫ ストリーミング、バッチ、構造化・非構造化など、用途ごとに最適な処理・分析方法は異なる ⚫ データレイクから直接分析するケースや、DWHに整理して使うケースもある ⚫ スケーラビリティを考慮する ⚫ データは継続的に蓄積されるため、最初から「増える前提」で設計する ⚫ S3やRedshiftなど、スケール可能なサービスを使うことで無理のない運用が可能 ⚫ マネージドサービスを活用し、変化に対応する ⚫ ビジネスニーズや分析対象は変化する。構築後も変化に追随できる設計にする ⚫ マネージドサービスを活用することで、インフラ管理の負担を減らし、本質的な業務に集中できる 目的に応じてサービスを組み合わせ、柔軟に使い分けることが重要です。 また、運用を進めながら少しずつ構成を見直していくことも、長期的に安定して活用するための ポイントとなります。 15
  12. ケース(1)データ自動収集・画像分析・異常検知 18 ② 画像分析による 異常検知・通知 異常を特定し、現場に即時 通知する仕組み ⚫ 製造現場の映像情報をリアルタイムで収集・分析 ①

    データの自動収集 エッジPCと繋げたIPカメラの 映像情報・画像処理の情報 をクラウドに連携 映像をリアルタイム 配信 前処理した画像を クラウドに連携 現場に異常を 即時通知 複数のケースを組み合わせることで、より業務で活用できるシステムを構築できます。 AIが異常を検知
  13. ケース(2)データの可視化・モデルを活用した予測 19 外部システムAPI 呼び出し ② 施工情報を分析・可視化 建設機器からの施工時のデータを 用いた、モデルの構築・現場情報 の可視化 ③

    モデルを活用した予測 構築したモデルを用いて、施工計 画の立案等を実施 ① データの自動収集 外部システムデータ取り 込み ⚫ 建設機器の施工データを用いた分析・可視化 「熟練者による予測の標準化」 や 「BIツールの活用・アプリへの組み込みによる利用者のデータ参照、業務利用」 を可能にしました。 可視化 モデル構築 モデル利用
  14. ケース(3)モデル学習・更新の自動実行 20 引用:なぜMLOpsが必要なのか?基礎から自動化の具体例までわかりやすく解説(NCDC) https://ncdc.co.jp/columns/9305/ ⚫ モデル学習・更新の自動化と、そのモデルを用いた運用の自動化 ① データの前処理 ・モデル学習 ②

    新たなデータを継続 的にモデルに反映 ③ MLパイプライン定期 実行 前処理/モデル学習・更新 ④ 新しいモデルを使用 した推論処理 モデルの更新・運用を自動化することで、属人化の解消、管理工数の削減を可能にしました。
  15. 振り返り 自動化を実現するためのポイント ⚫ 自動化による解決アプローチ ⚫ その解決が技術的な観点か、活用側の観点か ⚫ 技術と業務の両面からアプローチを設計していくことが、自動化を“使える仕組 み”にしていくポイントとなる ⚫

    自動化を考える時のポイント ⚫ 自動化の目的を明確にする ⚫ 自動化による効果として、「定量的な効果」 と 「定性的な効果」 を挙げて、 ビジネスにどう寄与するか意識する ⚫ データ活用基盤を構築するポイント ⚫ 元データを保持する ⚫ データの形式や目的に応じて、柔軟に構成を選ぶ ⚫ スケーラビリティを考慮する ⚫ マネージドサービスを活用し、変化に対応する 23