Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
遺伝子発現プロファイルに基づく新しい薬物間相互作用予測法
Search
Y-h. Taguchi
November 26, 2023
Science
0
220
遺伝子発現プロファイルに基づく新しい薬物間相互作用予測法
SIGBIO76で講演
https://www.ipsj.or.jp/kenkyukai/event/bio76.html
2023/11/29
Y-h. Taguchi
November 26, 2023
Tweet
Share
More Decks by Y-h. Taguchi
See All by Y-h. Taguchi
AI(人工知能)の過去・現在・未来 —AIは人間を超えるのか—
tagtag
1
50
ゲノム解析における射影: 特徴選択ツールとしてのテンソル分解と主成分分析を合理化する理論的根拠
tagtag
0
28
知能とはなにかーヒトとAIのあいだー
tagtag
0
74
学術講演会中央大学学員会府中支部
tagtag
0
300
テンソル分解による糖尿病の組織特異的遺伝子発現の統合解析を用いた関連疾患の予測
tagtag
2
200
マウス肝炎ウイルス感染の遺伝子発現へのテンソル分解の適用によるSARS-CoV-2感染関連重要ヒト遺伝子と有効な薬剤の同定
tagtag
0
130
大学のアウトリーチ活動(中央大学学員(OB)会主催学術講演で講演して)
tagtag
1
88
AI(人工知能)の過去・現在・未来 —AIは人間を超えるのか—
tagtag
0
140
マルチオミクスデータ解析のためのカーネルテンソル分解による新しい特徴選択法
tagtag
1
130
Other Decks in Science
See All in Science
地質研究者が苦労しながら運用する情報公開システムの実例
naito2000
0
230
安心・効率的な医療現場の実現へ ~オンプレAI & ノーコードワークフローで進める業務改革~
siyoo
0
290
点群ライブラリPDALをGoogleColabにて実行する方法の紹介
kentaitakura
1
330
データベース11: 正規化(1/2) - 望ましくない関係スキーマ
trycycle
PRO
0
920
統計的因果探索: 背景知識とデータにより因果仮説を探索する
sshimizu2006
4
950
眼科AIコンテスト2024_特別賞_6位Solution
pon0matsu
0
430
baseballrによるMLBデータの抽出と階層ベイズモデルによる打率の推定 / TokyoR118
dropout009
1
530
研究って何だっけ / What is Research?
ks91
PRO
1
110
academist Prize 4期生 研究トーク延長戦!「美は世界を救う」っていうけど、どうやって?
jimpe_hitsuwari
0
150
局所保存性・相似変換対称性を満たす機械学習モデルによる数値流体力学
yellowshippo
1
290
機械学習 - 決定木からはじめる機械学習
trycycle
PRO
0
1k
データベース10: 拡張実体関連モデル
trycycle
PRO
0
960
Featured
See All Featured
Side Projects
sachag
455
43k
Embracing the Ebb and Flow
colly
86
4.8k
XXLCSS - How to scale CSS and keep your sanity
sugarenia
248
1.3M
We Have a Design System, Now What?
morganepeng
53
7.7k
The World Runs on Bad Software
bkeepers
PRO
70
11k
Keith and Marios Guide to Fast Websites
keithpitt
411
22k
How to Ace a Technical Interview
jacobian
278
23k
Understanding Cognitive Biases in Performance Measurement
bluesmoon
29
1.8k
The Success of Rails: Ensuring Growth for the Next 100 Years
eileencodes
45
7.5k
Why Our Code Smells
bkeepers
PRO
337
57k
The Web Performance Landscape in 2024 [PerfNow 2024]
tammyeverts
8
730
How to Create Impact in a Changing Tech Landscape [PerfNow 2023]
tammyeverts
53
2.9k
Transcript
SIGBIO76 1 遺伝子発現プロファイルに基づく新しい薬物間相互作用予測法 田口 善弘(中央大学) ターキー ターキー(キング・アブドゥルアズィーズ大学)
SIGBIO76 2
SIGBIO76 3 動機: 2剤同時に作用させた場 合の遺伝子発現プロファ イルを主成分分析すると CONVEXなプロファイル になるがこれが2剤相互 作用の効果であるという 論文が結構IFの高い雑
誌(IF=9.3)に出た (2019 2019年11月13日)→ → 大嘘 大嘘 反論論文を書いた
SIGBIO76 4 Taguchi, Yh. Drug candidate identification based on gene
expression of treated cells using tensor decomposition-based unsupervised feature extraction for large-scale data. BMC Bioinformatics 19 (Suppl 13), 388 (2019 2019) 2月4日. 1剤処理でもテンソル分 解するとCONVEX依存は 出る。
SIGBIO76 5 Cell Systemsの論文がでてすぐBMC Bioinfomaticsの論文 を引用して間違いを指摘したが無視されて、European Journal of Pharmaceutical SciencesにCell
Systemsの データを再解析した論文(今回発表)を載せて再度間違いを 指摘したがそのままになっている。 ただし、Cell Systemsの論文の引用は16回しかされてない (BMC Bioinformaticsの方は19回引用)。でもCVに書いて あったらCell Systemsの方が評価高いんでしょうね、きっと(不 公平!)。
SIGBIO76 6 Cell Systems の論文データ:GSE138256 出芽酵母 4剤から全ペアで6ペア。Doseはペアによって 異なるが共通の16Doseを選択
SIGBIO76 7 遺伝子数 Dose ペア 発現量 正規化
SIGBIO76 8 HOSVD(テンソル分解) 遺伝子 依存性 Dose 依存性 ペア 依存性 3
SIGBIO76 9
SIGBIO76 10 HOSVD(PCAも同じだが)は基底の直交性を要求するので 一定値→直線→2次→3次..... となっていくのは数学的に自然で完全にArtifactであり、2剤の 相互作用でCONVEXがでているというのは戯言である
SIGBIO76 11 比較: GSE138256 単剤処理
SIGBIO76 12 x ijk ∈ℝN×14×4 遺伝子数 Dose 薬物 発現量 正規化
SIGBIO76 13 遺伝子 依存性 Dose 依存性 ペア 依存性 3
SIGBIO76 14
SIGBIO76 15 単剤でもCONVEXはでるがなぜか第5,6主成分にしか出な い。単剤処理を扱った我々のBMC Bioinformatics論文では もっと上の成分で出ていた。この結果、Cell Systems論文の 解析では「単剤処理ではCONVEXは出ない」と誤認してし まった可能性がある。 主成分分析ではあまり下の成分までは見ない、あるいは、無
視するというのはありがちである。 うがった見方をするとCell Systemsという高IF誌に通すため にわざと嘘をついたのかもしれない。
SIGBIO76 16 おまけ:テンソル分解する前は単剤処理だとCONVEXじゃな いのか?左:BDH1 右:SSA1 →各遺伝子でもCONVEX
SIGBIO76 17 テンソル分解する前は2剤処理でもCONVEX 左:BDH1 右:SSA1
SIGBIO76 18 結論: Dose依存性がCONVEXであることは2剤相互作用とかでは なく、解析方法が作り出したArtifactであり、単剤処理でも CONVEXは出現する →じゃあCONVEXであることは無意味なのか? →NO。CONVEXである遺伝子を選んで解析することには 当然、意味があるはず。遺伝子の機能的な観点から議論さ れなくてはいけない。
SIGBIO76 19 CONVEX Dose依存性: 2剤処理:l1 =3,4 単剤処理:l1 =5,6 単剤、ペア依存性:l1 =1 (一定値=依存性なし)
2剤処理:l1 =3,4 単剤処理:l1 =5,6
SIGBIO76 20 2剤処理:l3 =4,5,6 単剤処理:l3 =4
SIGBIO76 21 P値をBenjamini-Hochbergで補正し て0.01以下の遺伝子を選ぶとかな りかぶっている。 したがってCONVEX Dose依存性 を示す遺伝子は単剤、2剤処理で かなり共通だと思われる(2剤処 理では2つの薬剤の値を一方を減
らし、他方を増やすように動かす のだから、ある意味当たり前)。
SIGBIO76 22 157遺伝子(2剤処理)をMetascapeにアップロードした結果
SIGBIO76 23 77遺伝子(単剤処理)をMetascapeにアップロードした結果
SIGBIO76 24 まとめ CONVEX Dose依存性は2剤相互作用ではなく、遺伝子の性質 であり、なんからのバイオロジカルなプロセスに関係していると思 われる。