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理科教育研究のパラダイム / Paradigms in Science Education R...

理科教育研究のパラダイム / Paradigms in Science Education Research

2023年4月24日に「Science Education Book Club in Japan」で発表した資料です。「Handbook of Research on Science Education Volume III」の第1章「Paradigms in Science Education Research」を担当しました。発表者の独自解釈も含まれますので,誤りなどありましたらご指摘ください。

Unzai Hiroshi

April 24, 2023
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Transcript

  1. 【独自】4枚でわかる研究パラダイム 5 ジッショウさん カイシャクさん ヒハンさん プラグマさん Q. 研究者の使命とはなんでしょうか? この世界の真理を 追求することです

    ある人の世界の見え方を 提供することです より公正な世界を目指し, 行動することです 特定の使命を持ち合わせて いません。RQ次第です
  2. 本章の概要 8 ポスト実証主義の 調査研究 解釈主義・構成主義の 調査研究 批判理論の 調査研究 混合研究の 調査研究

    研究トピック ・効果の評価 ・介入教育プログラムの有効性 ・大規模な評価・調査 文化、言語使用、教室や学校の日常的 な交流に焦点を当てた教師と生徒の生 きられた経験 • 教育における政治的かつ歴史的側面 • 不利な立場に置かれた人々の生きら れた経験から教育の不平等を浮き彫 りにする • 現状を打破するための活動的なムー ブメント 介入型教育プログラムの効果・効率性 の評価 研究デザイン 代表的サンプリング、定量的測定、 データを複数のプロセスから検証する 説明的なデザイン(例.実験や調査研 究) 自然主義的な環境における探索的デザ イン(例:グラウンデッド・セオリー、 エスノグラフィー、現象学研究)、厚 い記述を含む進化した研究方法 社会的イデオロギーや力関係に明確な 重点を置いた解釈主義研究や参加型ア クションリサーチと類似 説明的または探索的なミックスメソッ ド研究デザイン 参加者との関係 性における研究 者の役割 客観的で、バイアスのかかっていない データ収集者、研究参加者とは密接に かかわらないデータ解釈者 研究参加者の生きられた経験を洞察的 かつ情熱的に意味づける人、ストー リーテラー 社会的に疎外された人たちを強く支持 し、現状に挑戦する人 研究参加者と何らかの関係がある客観 的なデータ収集者・解釈者 質の基準 • 構造・概念の明確な定義 • 客観的かつ包括的なデータを得るた めの厳格な研究手法 • 測定の信頼性 知識主張の内的・外 的妥当性 • 現場での長時間の有意義な交流と、 データの再解析・再反省の繰り返し • 研究者のスキル、感性、誠実さに依 存 • メンバーチェック、オーディットト レイル、ピアレビュー、トライアン ギュレーション 研究の民主的・触媒的価値 研究課題に対する包括的な回答 報告のスタイル ・伝統的な科学研究のフォーマット ・三人称で書かれる ・厚い記述 ・伝統的な実証研究として可能 ・参加者の生活体験と研究者の解釈を 織り交ぜたストーリーテリング 与えられたものや慣習を意識的に問題 化すること フィクションの物語、伝統的なエスノ グラフィーのスタイルなど 参加者のインタビューを引用したポス ト実証主義研究と同様のスタイル
  3. 結論 9 • 科学教育の研究者は、その研究において確かな知識の主張を確立することに努めてきた • 特定の研究伝統やパラダイムの中に研究を位置づけることで、説得力のある研究プロジェクトを設計・実施 するための哲学的・方法論的・実践的ガイドラインを研究者に提供することができる • これらのパラダイムの中で研究を行う風景は、長年にわたって徐々に変化してきた •

    今後、研究へのアプローチは、新しい問題やアイデアを取り入れるために、絶えず進化していくことが想像 される • このレビューが、これら4つの異なる科学教育研究パラダイムの中で、あるいは横断的に活動する科学教育 研究者の生産的な議論に貢献することを期待する
  4. なぜ研究パラダイムの議論をするのか? 11 •教育研究におけるパラダイム 研究の価値を設定する世界観として認識され,以下の問いを投げかけるもの(Guba & Lincoln, 1994) •社会的な知識,行動,意味とは何を指すのか? •教育研究の主な目的は何か? •教育研究者の役割とは何か?

    •研究をどのようにして遂行するのか? 研究パラダイムは,研究目的の設定から,データ収集方法の選択,データの分析,結果の報告に至るまで, 実証的な研究プロセス全体を通して,研究者の指針となる
  5. なぜ研究パラダイムの議論をするのか? 13 •教育界,特に科学教育界では,他の研究パラダイムの研究を無視する傾向がある(Kincheloe & Tobin, 2009) 教育の不平等を 悪化させている 政治的志向が強すぎる 表面的で限定的

    逸話的で方法論的な 厳密さに欠ける •心を開こう(Maxwell, 2004; Moss et al., 2009) •教育研究コミュニティにおける哲学的・ 実践的な多様性は ①教育におけるよりバランスのとれた知識を 構築し(St.Pierre, 2002) ②共通の目標を持ったより包括的な研究を 可能にする(Bredo, 2009) 実証主義者 実証主義者 解釈主義者 批判理論家
  6. なぜ研究パラダイムの議論をするのか? 14 実証主義 ポスト実証主義 解釈主義 批判理論 プラグマティック パラダイム 立脚する 世界観

    現実主義 相対主義,構成主義 フェミニズム, ポストモダニズムなどの批判 的世界観 特定の哲学に制約されず, 研究の哲学的裏付けを 考慮しない 立場 確かな文献的背景と「客観 的」かつ厳格な研究手法によ る「科学的」な研究を模倣し て、真実を発見しようとする ・社会現象を参加者のレンズ を通して理解しようとする ・研究者に柔軟性、開放性、 再帰性を求める より公平で民主的な社会を作 るために、一般的な前提や慣 習を疑い、現状に挑戦する 具体的な研究課題に答えるこ とに集中する •1980年から2012年までの米国大学における教育学の博士論文137,024件をレビューした結果, 解釈的研究アプローチの人気が高まっていることがわかった(Munoz-Najar Galvez et al., 2020) •さらに,パラダイム論争から離れ,教育研究の複雑性に対応する新しいアプローチの出現を検討する姿勢も 見られるようになった(Pivovarova et al., 2020) •本章では以下の4つの研究パラダイムについて説明する
  7. ポスト実証主義研究 |研究例 16 •典型的な研究 ー教育プログラムの効果を検証する(Kihyun Ryoo and Marcia Linn, 2012)

    ー特定の概念や態度の関係性を明らかにする(Sunitadevi Velayutham et al., 2011) •国家スタンダードや学習のコンピテンシーを評価する研究 ー科学知識、科学に関する知識、コミュニケーション、評価と判断を含むコンピテンシーモデルを構築し、 大規模評価のためのテストで検証した(Julia Holstenbach et al., 2011) ーPISA2015のデータを用いて、特定の探究関連学習活動が生徒の科学学習の楽しみや将来のSTEMキャリア選択意図と 関連していることを調査し、有益な探究関連学習活動が存在することを明らかにした(Hsin-Hui Wang et al., 2021)
  8. ポスト実証主義研究 |共通点 17 •ポスト実証主義パラダイムの研究 (1)介入研究(Ryoo and Linn, 2012; Fanta et

    al., 2020),教育ソフトウェア研究(van Borkulo et al., 2012) (2)大規模評価研究(Dee & Jacob, 2011, Dulfer et al, 2012),全国的な能力調査(Holstenbach et al., 2011) (3)国際数学・科学調査の動向(TIMSS)(Thomson et al., 2012; Mullis et al., 2020), 国際生徒評価プログラム(PISA)(OECD, 2010; Thomson et al., 2016) (4)二次分析などの国際比較調査(Wang et al., 2021) →さまざまな教育現象に合理的な説明を与え、教育プログラムや教育システムの効果や有効性を科学的に検証すること
  9. ポスト実証主義研究 |共通点 19 •品質基準(Moss et al., 2009) (1)研究で使用される概念や構成要素を明確に定義していること (2)文献調査から実証データの解釈、結論の導出まで、研究プロセス全体を通じて論理的な推論であること (3)教育者や政策立案者に対して有意に貢献していること

    •報告のスタイル ー伝統的な科学研究の報告書の形式(いわゆるIMRAD) ー文献レビュー → 研究仮説 → 研究デザイン → データ分析 → 考察 → 限界と教育的含意 ー受動態または三人称で書かれる
  10. 解釈主義・構成主義的研究 |哲学的基盤 21 •哲学的背景 ー解釈主義は実証主義の反動で誕生した ー実証主義者は客観的で一般化可能な世界の真理を探究するのに対し, 解釈主義者は人間の体験の局所的な意味に焦点を当てる ー解釈主義研究者は、ポスト実証主義者が研究成果を一般化するために 教育や学習の文脈の特殊性を覆い隠そうとすることを軽蔑している ー「完全であり正しいもの」とは言わず「状況に対する賢明な解釈」と主張する

    •解釈の主観性 ー読者は解釈主義者の研究結果を再解釈しなければならない。読者の経験にもとづくと、 研究報告から引き出される意味は異なってくる。厚い記述によって詳細な理解を促す ー解釈主義研究者は通常、読者に現実または認識の偏りについての証拠を提供し, 研究プロセスに関する自己反省を提供する 読者 解釈 主義者 研究 参加者 研究報告 相互作用 読者 読者
  11. 解釈主義・構成主義的研究 |研究例 22 •Treagust et al.(2001) 評価戦略がどのように使われ,授業の音の概念の学習にどのように貢献したかを, 3週間にわたる理科の授業の集中的な観察と教師と生徒とのインタビューによって明らかにした •Warren et

    al.(2001) インタビューを通して,ハイチ移民の小学生が日常の相互作用との関連で科学的言説を どのように展開するかを明らかにした •Aivelo & Anna Uitto(2019) フィンランドの高等学校の生物教師10人にオープンエンドの半構造化インタビューを行い、 これらの教師が遺伝学を教える際に内容や文脈をどう選択することを正当化しているかを調べた •Carlone(2004) エスノグラフィックなケーススタディを実施し,物理学の授業で女子生徒が 科学と良い科学者についてどのように理解しているかを調査した •Lucero et al.(2020) 質的グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて、高校生物教師のインタビューと授業観察を通して、 生徒の進化と自然選択に関する理解を調査した
  12. 解釈主義・構成主義的研究 |品質基準 25 •品質基準:研究の質は研究者のスキル、感受性、誠実さに依存する ーフレデリック・エリクソン(Moss et al., 2009)による2分類(技術的側面と教育的想像力) ー技術的側面:(a) 現場での長期的で有意義なやりとり,(b)

    繰り返しデータをふるいにかけること (c) データを反省的に分析すること,(d) 明確で豊かな報告をすること ー教育的想像力:包括的な検討と説得力のあるプレゼンテーションによって, 参加者の生きた経験の強いイメージを作り出そうと努める(cf. 結晶化(Denzin & Lincoln, 2011) ー解釈主義研究の一般的なガイドライン:Tracy (2010)の8つの基準 (a)価値あるトピック、(b)豊かな厳密性、(c)誠実さ、(d)信頼性、 (e)共鳴、(f)著しい貢献、(g)倫理、(h)意味のある一貫性 →興味深いことに、これらの基準のいくつかは、先に挙げたポスト実証主義の品質基準と非常に似ている
  13. 解釈主義・構成主義的研究 |報告スタイル 26 •報告のスタイル ー「厚い記述」 ー実証研究の形式あるいはストーリーテリング ー執筆は 「果てしなく創造的で解釈的」(Denzin & Lincoln,

    2011, p. 14) •掲載されている論文の傾向 ー雑誌のページ数によって制限され、短いエピソードしか報告できないことが多い ー多くの研究報告では、研究者がどのように参加者を選んだのか、なぜ特定の側面やデータ収集方法に 注目したのか、データ分析の質を保証するために何をしたのか、代替的な相互関係をどのように 検討したのかといった詳細な記述がない ー最近は解釈的アプローチに関連するトピックが人気を集め、結果重視のパラダイムが減少した (Galvez et al., 2020, p.612)
  14. 批判理論研究 |研究例 29 •伝統的な研究と異なる点 (1)社会的な言説や構造の批判,(2)社会的な行動や変化への志向,(3)研究者のアイデンティティや価値観, 意図に関する明示的な分析,(4)研究報告書の実験的な書き方,など(Kincheloe, 2003) •具体例(Elmesky & Tobin,

    2005) ー生徒を被験者としてではなく、共同研究者として巻き込み、研究プロセスにおける力の不均衡を変えようとした ーアメリカのインナーシティ(低所得者層、少数民族居住区)の学校における教育研究の現状に代わるものとして、 彼らの研究調査を組み立てた ー研究者は高校生を共同研究者として採用し、彼らに批判的な研究スキルを身につけさせ、研究される側としての 学生の従来の役割に挑戦するようにした ー生徒たちは、自分たちの考えや学校生活を振り返るための複数の研究機会を与えられただけでなく、自分たちの文化を 理解し、低所得者層の近隣の学校で教える方法を教育するための新しい光を当てるリソースとして機能した
  15. 批判理論研究 |研究テーマと研究デザイン 30 •研究テーマ ー教育や教育的不平等の歴史的側面を調査し、現状に挑戦しようとする研究 ー社会的に不利な立場にある人々の学校教育 ー一部の市民を他より優先し特権化する政策への挑戦 など •研究デザイン ー批判的エスノグラフィー

    自分自身の経験や生活を対象として、他者との関係性や社会的文脈を批判的に分析する(BingAIより) ー参加型アクションリサーチ 低所得者層の地域に入り、生徒や地域住民を巻き込んで、地域の問題を認識し、 状況やアイデンティティを変えるための行動を起こす
  16. 批判理論研究 |研究者の役割,品質基準 31 •研究者の役割 ー知識の体系を拡大することではなく,関係者の改善のために社会や制度に挑戦し,変革すること ー遠くにいる公平な学者ではなく,啓発された知識人や活動家 ー社会的正義のために,また社会的・政治的に力を失った人々のために働く(Fine, Weis, Weseen, &

    Wong, 2000)。 •品質基準 ー厳密な方法論による偏りのない研究には懐疑的であるため,ガイドラインを提示していない ー研究者や社会のバイアスを明示的に議論することで,より「客観的」な研究を行っていると主張する ー研究における民主的な手続き(研究参加者との平等な関係,民主的な意思決定,研究への貢献の共有など) ー研究が社会に与える影響(社会への理解の深まり,参加者のエンパワーメント,社会的・個人的な慣習の変化の促進や実現など)
  17. 批判理論研究 |報告のスタイル 32 •与えられたものや慣習的なものを意識的に問題にしているので, 研究報告の伝統的な様式には意図的に従わない •パフォーマンスを採用したり,物語をフィクションとして書いたりするなど, 研究報告のあり方を試行錯誤する(Flores-González, Rodriguez, & Rodriguez-Muniz,

    2006)。 •ソーシャルアクション志向の研究の中には,方法論的に厳密ではないとみなされ, 多くの学術雑誌の基準を満たさないものがある •この潜在的な懸念に対処するために,多くの批判的理論の研究者は,Barton(1998)やEisenhart(2000)の ような,より急進的ではなく,より伝統的な形態のエスノグラフィ研究報告を採用している
  18. 混合法の研究パラダイム 34 •本当に研究パラダイムを混ぜ合わせることができるか? ー現代の教育研究者の多くは、リサーチパラダイムを、哲学的な裏付けと実践的な意味合いを持つ複雑な信念体系とは 考えていない。むしろ、パラダイムは研究手法や設計と同じとみなされている ーデータの種類に関連して研究パラダイムを区別している研究者もいる(Cohen et al., 2017) ー多くの研究者は、パラダイムを複雑な信念体系とみなしておらず、研究において

    量的データと質的データを混合することに問題はないと考えている ー混合法の研究者は、量的データと質的データを二分することは非生産的であるだけでなく、 誤りであると信じている(Ercikan & Roth, 2006)。 ー混合研究法の研究者は、研究の設計や実施において、世界観やパラダイムよりも、研究設計や研究手法の 実践的な側面を重視する傾向があるため、研究パラダイムの実践的な価値を疑問視する研究者もいる(Morgan、2007)
  19. 混合法の研究パラダイム 35 •研究手法を組み合わせることはいまだ論争中 ー異なる研究手法を組み合わせることは、研究者の見解がまだ分かれている(Bryman,2008) ーポスト実証主義の研究者の多くは、研究結果の妥当性を高める方法として歓迎している ー構成主義の研究者はむしろ批判的である ー混合研究法は科学的証拠としての数値に依存する実証主義の遺産の名残である( Denzin and Lincoln,

    2011) •著者の立場や見解 ー明確な哲学的枠組みや指導原理を持たず、研究パラダイムを手法と結びつけた混合法アプローチは、 他の3つの研究伝統と比較して研究の枠組みが異質なものである ー著者らは当初は混合メソッドに反対していたにもかかわらず、第4のパラダイムとして混合法を含めることにした ー多くの混合研究法の議論は、先に述べたクーンの「パラダイムの不可視性」の議論に関連しており、 混合研究法の研究者は自分の現在の実践を枠付ける歴史について考慮していない
  20. 混合法の研究パラダイム |具体例 36 •具体例(Adadan, 2020) 対象者:教員養成段階の化学教師 ターゲット:気体挙動に対する理解度のメタ認知的認識の役割 方法:定量的・定性的データの収集と事前・事後テスト・アンケートを伴う準実験的対照群設計 データ: 量的データ:34人の教員養成段階のグループに実施したアンケート

    質的データ:自由形式のアンケート →量的データでは信頼性測定が報告され、質的データでは定比較法を用いてコード化した 結果: 3つのリサーチクエスチョンに対応して報告され、数値データと解釈的データ分析により、 一貫性のある統合されたエビデンスが得られた(p.271)
  21. 【再掲】本章の概要 38 ポスト実証主義の 調査研究 解釈主義・構成主義の 調査研究 批判理論の 調査研究 混合研究の 調査研究

    研究トピック ・効果の評価 ・介入教育プログラムの有効性 ・大規模な評価・調査 文化、言語使用、教室や学校の日常的 な交流に焦点を当てた教師と生徒の生 きられた経験 • 教育における政治的かつ歴史的側面 • 不利な立場に置かれた人々の生きら れた経験から教育の不平等を浮き彫 りにする • 現状を打破するための活動的なムー ブメント 介入型教育プログラムの効果・効率性 の評価 研究デザイン 代表的サンプリング、定量的測定、 データを複数のプロセスから検証する 説明的なデザイン(例.実験や調査研 究) 自然主義的な環境における探索的デザ イン(例:グラウンデッド・セオリー、 エスノグラフィー、現象学研究)、厚 い記述を含む進化した研究方法 社会的イデオロギーや力関係に明確な 重点を置いた解釈主義研究や参加型ア クションリサーチと類似 説明的または探索的なミックスメソッ ド研究デザイン 参加者との関係 性における研究 者の役割 客観的で、バイアスのかかっていない データ収集者、研究参加者とは密接に かかわらないデータ解釈者 研究参加者の生きられた経験を洞察的 かつ情熱的に意味づける人、ストー リーテラー 社会的に疎外された人たちを強く支持 し、現状に挑戦する人 研究参加者と何らかの関係がある客観 的なデータ収集者・解釈者 質の基準 • 構造・概念の明確な定義 • 客観的かつ包括的なデータを得るた めの厳格な研究手法 • 測定の信頼性 知識主張の内的・外 的妥当性 • 現場での長時間の有意義な交流と、 データの再解析・再反省の繰り返し • 研究者のスキル、感性、誠実さに依 存 • メンバーチェック、オーディットト レイル、ピアレビュー、トライアン ギュレーション 研究の民主的・触媒的価値 研究課題に対する包括的な回答 報告のスタイル ・伝統的な科学研究のフォーマット ・三人称で書かれる ・厚い記述 ・伝統的な実証研究として可能 ・参加者の生活体験と研究者の解釈を 織り交ぜたストーリーテリング 与えられたものや慣習を意識的に問題 化すること フィクションの物語、伝統的なエスノ グラフィーのスタイルなど 参加者のインタビューを引用したポス ト実証主義研究と同様のスタイル
  22. 【再掲】結論 40 • 科学教育の研究者は、その研究において確かな知識の主張を確立することに努めてきた • 特定の研究伝統やパラダイムの中に研究を位置づけることで、説得力のある研究プロジェクトを 設計・実施するための哲学的・方法論的・実践的ガイドラインを研究者に提供することができる • これらのパラダイムの中で研究を行う風景は、長年にわたって徐々に変化してきた •

    今後、研究へのアプローチは、新しい問題やアイデアを取り入れるために、絶えず進化していく ことが想像される • このレビューが、これら4つの異なる科学教育研究パラダイムの中で、あるいは横断的に活動する 科学教育研究者の生産的な議論に貢献することを期待する