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“なぜか進まない” 新規事業: 『考えすぎ/走りすぎ』の罠を越え、 明確なプロダクトゴールと高...

“なぜか進まない” 新規事業: 『考えすぎ/走りすぎ』の罠を越え、 明確なプロダクトゴールと高まるスプリント価値

2025-05-20【Startup in Agile #4 】みんなの「アウトカムの射程」を語ろう!
https://startup-in-agile.connpass.com/event/349933/

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Transcript

  1. 名前 • mkitahara ( @mikity01985 ) / 北原 幹也 出⾝

    • 静岡県 - 埼⽟県 - 千葉県 ⾃⼰紹介 職能 • エンジニアリングマネージャー / テックリード / Androidアプリ開発 / プロダクトマネージャー 職歴 • FinTech会社 (2023/07〜 ) ◦ モバイルアプリチームのエンジニアリングマネージャーを中⼼にいろいろ ◦ 2024/10 より新規事業のテックリード(Next.js、Spring Boot) を中⼼にいろいろ --------------------------------- • SES会社 (3年9ヶ⽉) → 開発受託会社 2社 (1年、1年9ヶ⽉) → EdTech会社 (5年9ヶ⽉) → 現職 ◦ 2011/04 に 新卒未経験でIT業界へ。研修でAndroidアプリ開発に出会う ◦ 受託企業はそれぞれ10名以下。なんでも⾃分でやらざるをえない環境 を経験 ◦ EdTechでは出向‧業務委託のみ 30名程度の会社から 社員200⼈超えの組織の成⻑を経験 ◦ Androidアプリ開発を中⼼にサーバーサイド(PHP Ruby on Rails)、CRE、 PO、チーム責任者を経験 アイコン変えました
  2. 今回のテーマ ▪ ロジックツリー ※2 マーク‧J‧エプスタイン (著), クリスティ‧ユーザス (著), 鵜尾雅隆 (監修),

    鴨崎貴泰 (監修), 松本裕 (翻訳), 社会的インパクトとは何か ― 社会変⾰のための投資‧評価‧事業戦略ガイド (10 14, 2015) ※1 W.K.Kellogg Foundation, Logic Model Development Guide (2004) アウトカム (成果) Outcome (結果) Input (投⼊資材) Impact (社会経済的変化) (波及効果) Activity (活動) Target (⼈‧周囲) Input (投⼊資材) Input (投⼊資材) Outcome (結果) Output (結果) アウトカム (成果) Outcome (成果) プロダクトに反映 ビジネスインパクト 利益 インプット と アクティビティ が アウトプットを⽣み出し、アウトプット が ターゲット に影響を与える (アウトカム)
  3. 今回のテーマ ▪ 意識していること • インパクト:プロダクトゴール (の仮説) ‧‧‧⻑期的なアウトカム • アウトカム:スプリントゴール (の積み上げ)

    ‧‧‧短期的なアウトカム ▪ しかしながら...... • 意識して新規事業⽴ち上げをいくつか実施してきましたが、 うまく進めることができませんでした...... ▪ 今⽇の話すこと • どううまくいかなかったのか、どう変えたら(今のところ)うまくいってるのか? をお話します。
  4. どううまくいかなかったのか?:『⾛りすぎ』の罠 ▪ スプリントゴール を丁寧にやりました。 • 「⼩さく素早く対応すること」を意識しました。 • ⽬標のリリース⽇だけを決め、あとはひたすらスプリントを繰り返す⽇々でした。 ▪ 活動中に⾒えてきた問題点

    • ⽅向性の喪失: ◦ 「私たちの『北極星』はどこにあるんだろう?」 • 基準の⽋如: ◦ 「何をもって『成功』とするのか?何を指標にすべきか?」 • 価値への疑問: ◦ 「これって、本当にユーザーにとって価値があるのかな?」 • 進捗の実感なし: ◦ (アウトプットは確かに増えるものの)「事業が本当に前に進んでいる気がしない…」
  5. どううまくいかなかったのか?:『⾛りすぎ』の罠 ▪ 『⾛りすぎ』の罠(スプリントゴールのみを丁寧に) • 「⼩さく素早く対応すること」を意識しました。 • ⽬標のリリース⽇だけを決め、あとはひたすらスプリントを繰り返す⽇々でした。 ▪ 活動中に⾒えてきた問題点 •

    ⽅向性の喪失: ◦ 「私たちの『北極星』はどこにあるんだろう?」 • 基準の⽋如: ◦ 「何をもって『成功』とするのか?何を指標にすべきか?」 • 価値への疑問: ◦ 「これって、本当にユーザーにとって価値があるのかな?」 • 進捗の実感なし: ◦ (アウトプットは確かに増えるものの)「事業が本当に前に進んでいる気がしない…」 ▪ 最終的にどうなったか • チーム内では ‧「どこまでやれば終わりなんだろう?」 ‧「今やっていることは本当に正しいのだろうか?」 ‧「全然コンバージョンに繋がらないけど、どうしよう…」 といった迷いや焦りが渦巻いていました。 • そして最後の1ヶ⽉は、迫るリリース⽇に向けて場当たり的な対応に追われるようになり、 結果として当初計画していたスコープ (あるいは機能) をいくつか断念せざるを得ませんでした。
  6. どううまくいかなかったのか?:『⾛りすぎ』の罠 ▪ プロダクトゴールを⼊念に模索しました • 「⾛りすぎ」の失敗を糧に「今度こそプロダクトゴールをしっかり定義しよう!」と考えました。 • ⽬指したのは「◯ヶ⽉後のプロダクトは◯◯状態になり、顧客に〇〇という価値を提供できている」 という理想の姿です。 ▪ 活動中に⾒えてきた問題点

    • ゴールの不確定: ◦ 「理想は語れるけど、プロダクトゴールが…永遠に決まらない!」 • ⾏動不能: ◦ 「で、結局私たちは今⽇何をすればいいの?」 • 無理やりなタスク化: ◦ 「何か進めないと…でも、このタスクって何のため?」 • 進捗の完全停⽌: ◦ (議論ばかりで)「何も具体的に⽣み出せていない…」
  7. どううまくいかなかったのか?:『⾛りすぎ』の罠 ▪ 『考えすぎ』の罠(プロダクトゴールを⼊念に模索) • 「⾛りすぎ」の失敗を糧に、「今度こそプロダクトゴールをしっかり定義しよう!」と考えました。 • ⽬指したのは「◯ヶ⽉後のプロダクトは◯◯状態になり、顧客に〇〇という価値を提供できている」 という理想の姿です。 ▪ 活動中に⾒えてきた問題点

    • ゴールの不確定: ◦ 「理想は語れるけど、プロダクトゴールが…永遠に決まらない!」 • ⾏動不能: ◦ 「で、結局私たちは今⽇何をすればいいの?」 • 無理やりなタスク化: ◦ 「何か進めないと…でも、このタスクって何のため?」 • 進捗の完全停⽌: ◦ (議論ばかりで)「何も具体的に⽣み出せていない…」 ▪ 最終的にどうなったのか • 議論を重ねれば重ねるほど、プロダクトゴールは壮⼤で抽象的になり、 逆に具体的な⾔葉や⾏動計画に落とし込めなくなっていきました。 • 「じゃあ、具体的に今⽇何をするの?」という問いには誰も明確に答えられず、 無理にタスクを作ってみても、それがプロダクトゴールにどう繋がるのかが⾒えないため、 チームのモチベーションは下がる⼀⽅でした。
  8. なぜ私たちは「進めなかった」のか? 〜2つの罠と共通の課題〜 ▪ 私たちの状態 • 『⾛りすぎ』の罠:スプリントゴールだけを追いかけると...... ◦ 短期的な視点(近く)だけを⾒ていると、どこへ向かっているのか分からなくなる ◦ ⽅向性なき全⼒疾⾛

    • 『考えすぎ』の罠:プロダクトゴールだけを⼊念に模索すると… ◦ ⻑期的な視点(遠く)だけを⾒ていると、⽇々の具体的な⾏動(⾜元)が疎かになる ◦ ⾏動なき理想論 ▪ 共通していた問題点 • 「⽬指す未来(Why)」 と 「⽇々の具体的な⾏動(How)」 が、 その間を繋ぐ 「達成すべき中間⽬標(What)」 を通じて、しっかりと連携していませんでした。 • チーム全員が納得し、⾃信を持って進むための「共通の地図とコンパス」がなかったのです。 段階を追って着実に進捗し、都度、⽅向性を確認しながら、最終的な「インパクト」に繋げること
  9. こうやって乗り越えた:どうやってプロダクトゴールを設定した? ▪ よく利⽤するツール‧ワーク • キーコンセプト / キーメッセージ • バリュープロポジションキャンバス •

    エレベーターピッチ • サービス名称を命名する プロダクトの存在理由」や「提供価値」を明確にする初期段階で、 これらのツールがプロダクトゴールの輪郭を捉え、チームの⽬線を合わせるのに役にたちました
  10. こうやって乗り越えた:どうやってスプリントゴールを設定した? 導⼊期 運⽤期 活⽤期 定着期 解約期 ▪カスタマーライフサイクル • 各時間軸でのベネフィットや壁の乗り越えられる⽅法を提供する ◦

    初回起動であれば、サインアップで躓いてないか etc. • ある程度カバーできたら、解約期の体験も突き詰めてく ◦ 簡単に解約できる安⼼感と、いつでも戻ってこれる⽅法を提供する ※2 Guy Nirpaz (著), Fernando Pizarro (著) , Farm Don't Hunt: The Definitive Guide to Customer Success (English Edition) (3 21, 2016) 初回 起動 2回⽬ 起動 3回⽬ 起動 1週間後 2週間後 1ヶ⽉後 2ヶ⽉後 3ヶ⽉後 6ヶ⽉後 1年後 2年後 3年後
  11. こうやって乗り越えた:どうやってプロダクトゴールを設定した? ▪ プロダクトゴールは「なぜやるか?」を明確に⾔葉で⽰す • 完璧でなくて良いと⾔い聞かせ、 まずは 顧客への提供価値(プロダクトの存在理由)を仮説として⾔語化する ▪ スプリント価値は「顧客の⼩さな成功体験」を積み重ねる •

    顧客のライフサイクル(導⼊期、活⽤期など)を意識し、⽬の前の顧客が直⾯する具体的な「壁」を 乗り越える価値をスプリントゴールに設定する ▪「考えすぎ/⾛りすぎ」の罠を⾃覚し、常にバランスを問い続ける • 設定したプロダクトゴールと、⽇々のスプリントゴール(アクション)は本当に繋がっているか? • そのアクションは、真の「アウトカム(価値)」を⽣み出しているか? 定期的な振り返りと 軌道修正を恐れないこと ⻑期のアウトカム⽬標と短期のアウトカム⽬標をバランスよく、 常に接続を確認しながら、発信することでチームと事業を前進させます!