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論文 Capturability-based Analysis and Control of ...

yuki
April 21, 2023

論文 Capturability-based Analysis and Control of Legged Locomotion を読む (Part 1) / Review on "Capturability-based Analysis and Control of Legged Locomotion (Part 1)"

yuki

April 21, 2023
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  1. 論文 Capturability-based Analysis and Control of Legged Locomotion を読む (Part

    1) Yuki Onishi 第 33 回ロボティクス勉強会 2023 年 2 月 17 日(金) Yuki Onishi 第 33 回ロボティクス勉強会
  2. 基本情報 Title: Capturability-based Analysis and Control of Legged Locomotion, Part

    1: Theory and Application to Three Simple Gait Models Author: Twan Koolen, Tomas de Boer, John Rebula, Ambarish Goswami, and Jerry Pratt The International Journal of Robotics Research (IJRR) 31(9), pp.1094–1113, 2012 https://doi.org/10.1177/0278364912452673 ResearchGate で著者が無料公開: https://www.researchgate.net/publication/255757664_ Capturability-based_analysis_and_control_of_legged_locomotion_ Part_1_Theory_and_application_to_three_simple_gait_models Yuki Onishi 第 33 回ロボティクス勉強会
  3. モデル 考えるモデルは非線形かつハイブリッド: ˙ x = f(x, u) if hi (x)

    = 0 (1a) x ← gi (x) if hi (x) = 0 (1b) u ∈ U(x) (1c) x:状態,u:入力, U:許容入力集合,i ∈ I ⊂ N:添字集合. hi = 0:離散状態切り替え面,gi :状態ジャンプ. 状態がジャンプ(離散的に遷移)するのは, 踏み替えをする(ステップを踏む)とき. Yuki Onishi 第 33 回ロボティクス勉強会
  4. N 歩可捕性 Def. 1: N-step capturable N ∈ N,Xfailed を系の失敗(転んだ)状態集合とする.

    状態 x0 が Xfailed に対して N-step capturable であるとは, x0 から始まり,N 回の踏み替えを伴って, Xfailed に到達しない(転ばない)軌道が, 少なくとも 1 つ存在することである. viability kernel(失敗集合に達する軌道の補集合)の研究を 一般化した定義. ある種の「有限時間内」の安定性を与える. N → ∞ を考えることも可能. 例)受動歩行器は,止まれないが転ぶこともない. ただし,∞-step capturable ではない安定限界が存在する. Yuki Onishi 第 33 回ロボティクス勉強会
  5. N 歩捕点,可捕領域 Def. 2: N-step capture point, region x0 を初期状態,Xfailed

    を失敗状態集合とする. 点 r が N-step capture point であるとは,x0 から始まり, 足の位置を現在位置 r からどこか一点に踏み替えることで, Xfailed に到達せず(転ぶことなく) , (N − 1)-step capturable な状態に到達する軌道が, 少なくとも 1 つ存在することを言う. N-step capture point の集合を N-step capture region とする. N 歩捕点は再帰的な定義になっている. 0 歩捕点は踏み替えずに転ばないでいられる点, すなわちピタッと立ち止まれる点を指す. Fig. 1, 2 参照. Yuki Onishi 第 33 回ロボティクス勉強会
  6. 3D LIPM 3D linear inverted pendulum mode / 3 次元線形倒立モード.

    重心まわりのトルク(角運動量)を無視, 重心の並進運動のみに着目 脚は点接触,脚の運動によって重心はある水平面に拘束 3D LIPM の定義では,重心がある平面上にあれば OK. 今回は簡単化のため水平面に限定している. 3D LIPM は二足歩行の低次元モデルであると同時に, 多体系力学の「固有モード」でもある. 角運動量がなく,環境との接触を伴う剛体を考えたとき, 3D LIPM は重心の運動方程式そのもの. (※ただし鉛直方向の運動には制限あり) . Fig. 3 参照. Yuki Onishi 第 33 回ロボティクス勉強会
  7. 運動方程式 重心の運動方程式: m¨ r = f + mg (2) m:系の総質量,r:重心位置,g:重力加速度,f:蹴り力.

    モーメントバランス(蹴り力はモーメントを発生させない) : −(r − rankle ) × f = 0 (3) (2) は重心の鉛直位置の拘束(z = z0 )を用いて, 3D LIPM に書き直せる: ¨ r = ω2 0 (P r − rankle ) (4) ω0 = g/z0 :固有振動数,P :x-y 平面への射影行列. (4) は線形システム! Yuki Onishi 第 33 回ロボティクス勉強会
  8. 無次元化 パラメータ不変な系の振る舞いを見るため, 無次元化したモデルを作る. r = r z0 , rankle =

    rankle z0 , t = ω0 t とおくと, ˙ r = d dt r = ˙ r ω0 z0 ¨ r = d dt ˙ r = ¨ r ω2 0 z0 = ¨ r g ここで r = x y 1 T となる. 無次元化した運動方程式: ¨ r = P r − rankle (5) Yuki Onishi 第 33 回ロボティクス勉強会
  9. 瞬間捕点 LIPM の軌道エネルギー(ハミルトニアン)を考える. ELIP,x = 1 2 ˙ x 2

    + 1 2 (x − xankle )2 (6a) 重心が足首の方向に動くとき…… 1 ELIP,x > 0:x は xankle を通過する. 2 ELIP,x < 0:x は xankle に届かない. 3 ELIP,x = 0:x はちょうど xankle で止まる. 3 番目で,逆に x が止まれるような xankle は? ⇔ 瞬間捕点 ric = P r + ˙ r (7) ric = P r + ˙ r ω0 (8) 今,瞬間捕点に足をおけば止まれる (1-step capturable)! Yuki Onishi 第 33 回ロボティクス勉強会
  10. 瞬間捕点のダイナミクス (1/2) 瞬間捕点に足をおけなかった場合,瞬間捕点はどうなるか? (5) の 1 行目から,xankle を入力とした状態方程式を得る: ˙ x

    ¨ x = 0 1 1 0 x ˙ x + 0 −1 xankle (9) 線形システムの A 行列の固有値は ±1. 固有ベクトルを用いた座標変換が可能. x1 x2 = 1 1 1 −1 x ˙ x (10) ˙ x1 ˙ x2 = 1 0 0 −1 x1 x2 + −1 1 xankle (11) 不安定固有値を持つ状態変数 x1 が瞬間捕点に一致する. Yuki Onishi 第 33 回ロボティクス勉強会
  11. 瞬間捕点のダイナミクス (2/2) x 方向と y 方向は同様に考えられるから, (11) の 1 行目を用いて瞬間捕点のダイナミクスを得る.

    ˙ ric = ric − rankle (12) Theorem 1 瞬間捕点は,自身と足の位置を結ぶ線上を動く. そして瞬間補点の速度は,それら二点間の距離に比例する. 足首位置が固定されている場合,系は線形なので, 瞬間捕点は具体的に以下の式で計算可能. ric (∆t ) = [ric (0) − rankle ] e∆t + rankle (13) Yuki Onishi 第 33 回ロボティクス勉強会
  12. 可捕性解析 (1/3) 可補領域の「幅」di を考える. 0-step capturability 足が点なので,可捕領域は広がりを持たない(d0 = 0) .

    i.e. 0-step capturable ⇔ 瞬間捕点が足首位置に一致する. Yuki Onishi 第 33 回ロボティクス勉強会
  13. 可捕性解析 (2/3) N-step capturability 定義から,1 歩で (N − 1)-step capturable

    になる必要がある. ric (∆ts ) − rankle ≤ dN−1 + lmax (14) この式のお気持ち: 「踏み替えにかかる時間 ∆ts 経過後の瞬間捕点と, 今の足の位置との距離が, (N − 1)-step capture region + 歩幅 以下であれば OK」 (13) 式(ric の解析解)を用いると ric (0) − rankle ≤ (dN−1 + lmax )e−∆ts = dN (15) 再帰表現が得られた: dN = (dN−1 + lmax )e−∆ts , d0 = 0 (16) Yuki Onishi 第 33 回ロボティクス勉強会
  14. 可捕性解析 (3/3) 再帰表現から,可捕性の距離の変化がわかる. dN+1 − dN = (dN − dN−1

    )e−∆ts (17) e−∆ts = e− g/z0∆ts が, 歩数を重ねる毎に,可捕領域の幅を増幅/減衰させる. ∞-step capturability は閉形式で書ける. d∞ = d0 + ∞ N=0 [dN+1 − dN ] (18a) = lmax · e−∆ts 1 − e−∆ts (18b) 最大歩幅 lmax が大きいほど良い! 踏み替え時間 ∆ts が小さいほど良い! と言える. Yuki Onishi 第 33 回ロボティクス勉強会
  15. まとめ まとめ 二足歩行ロボットが転ばない条件を解析的に導出した. 理論から実際のロボットの仕様に関する指針が出た. 歩幅が大きくできると嬉しい → 脚長を長く 踏み替え時間を小さくできると嬉しい → 脚の関節速度上限を上げる(減速比高すぎるとダメ)

    謝辞 神戸大学の田崎勇一先生に感謝. 本資料の作成にあたって,一部,田崎先生による ヒューマノイド・ロボティクス 2019 夏の学校の 講義資料を参考にした. Yuki Onishi 第 33 回ロボティクス勉強会