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20231209_初島会議_高須

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TAKASU Masakazu

December 11, 2023
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  1. 日本と深圳の「製造業」という概念の違い ムーアの法則以前と以後 Source:[Guerilla Production Tactics] by ‘bunnie’ Huang 深圳では、川上・川下や系列という考えがなく、大企業でも下請けや、社員5人でも最終製品という企 業が多く存在する。

    同じビデオ録画機を開発するのでも、「フルスタックな大企業」が1社系列ですべてを賄った時代から、 設計・ツール・量産・OS・開発ボードを別々のプレイヤーが担う時代へ。 ムーアの法則下では、個別の分野に特化して開発を高速化しないと、半導体の進化速度に置いて 行かれる
  2. Engineering的な工夫 イヤホンのなかみは 左右でまったく同じPCB, まったく同じBOM(部品) 唯一、2つセットの 充電端子部分を 入れ替えることで 左右の違いを出している。 (ファームウェアも別) 部品調達や製造をラクに

    する工夫 ちゃんと、値段と性能を織り合わせる 設計ができている 「人件費が安いから安い」ではない! 2つセットの部品を、AB/BAで入れ替える
  3. 資金調達が大きいOSS企業/ソフトウェア Company Project Founder Round Date Amount クラウドDB LinuxカーネルのOS 組み込みOS

    クラウドDB Chrome OSフォークのOS K8Sフォークなどを活用して いるクラウド企業 Apache Kylin OLAPエンジン (データ可視化) Apache APISIX APIゲート ウェイ AI用クラウドネイティブDB
  4. オープンソース投資を得意とするファンド 云启资本 投資実績はPingCAP, Zilliz, Jina AI, TigerGraph, Graviti, Cloudchef, 数睿数据、德风科技、智齿科技、擎朗智能、元戎启行、新石器、一起な

    ど、 プラットフォーム機能を中心に様々なオープンソース企業へ 「OSSはシェア拡大を加速するので、VCにとっても良い」
  5. 今はオープンソースビジネス4.0というべき時代 (OSS=オープンソースソフトウェア) 解説 ビジネスモデル ユーザの要求 代表的なプロジェクト スケーラブルでクラウドネイティブのシ ステムは、OSSベースのもの以外を見 つけるのが難しくなる スケーラブルで

    コストパフォー マンス クラウドネイティ ブ,OSS前提 MongoDB ,Datablicks等 のPaaS OSS4.0 2015-Now OSSのほうが巨大な開発チームとして 優れたSaaSが適用できるケースが増 えはじめる OSSが直接ソ リューションを 提供する ソフトウェアから開 発エコシステムに Cloudera ,Confluent ,Kaf ka 等のSaaS OSS3.0 2005-2015 LAMP(Linux ,Apache ,MySQL , PHP)に よるwebシステム時代 OSSだけでシステムが構築できる(棲 み分け) 技術情報をサ ポートとして有 償提供 Enterpriseなエンジ ニア(大規模なソ フトウェア) RedHat , MySQL OSS2.0 1995-2005 オープンソース黎明期 プロプラエタリソフトウェアへの対抗と してのOSS 開発者が増加し始める なし パーソナルなエン ジニア GNU/Linux OSS1.0 ~1995 ※COSCON21での陈昱(云启资本)などの資料をもとに筆者作成
  6. オープンソースファウンデーションの役割: Open Source Initiative Free Software Foundation Apache Software Foundation

    Linux Foundation などなど オープンソースソフトウェアライセンスの認証、イベントの開催、普及活動 「こうしたドキュメントを整理すべきだ」などのガバナンスの整備 権威あるFoundationは、予算や理事の選挙、議事録などもオープンになって いる必要がある 近年はCNCF(Cloud Native Foundation)など、新しいFoundationが多く誕生して いる。ソフトウェアが「それぞれクラウドネイティブのシンプルなサービスの集 合体」になるにつれて、複数のソフトウェアをまたいで企業と開発者を繋ぎ、 エコシステムを大きくしていくのがFoundationの役割
  7. Open Atom Foundation 中国政府工信部が設立 Linux FoundationやApache Software Foundationなどと同様の機能 -ちゃんとしたオープンソースを褒める(ニセモノをとりしまる) -プロジェクトの進め方、ドキュメントの品質などを指導、インキュベート

    -法律家を雇ってライセンスを整備し、普及させる(裁判所がGPLやApacheなどのライセ ンスをちゃんと使えるように -公的機関や学校でOSSの活用を促進する (ただし、実際のサイトはまだガタガタ。たぶんサービスよりも「声がけしたこと」に 意味がある)
  8. 中国発のオープンソースライセンス Mulan Permissive Software License v2 (MulanPSL - 2.0) Apache,

    MITなどに似たPermissiveと呼ばれるゆるい形のライセンス アメリカOpen Source Initiativeの認可済みの国際ライセンス 特徴 1.英語/中国語併記、同一の内容を持つ(国際取引で使える) 2.Apacheライセンスにある「特許取ろうとしたら無効」に加えて、行政手続きについて 記載がある(中国は三権分立が甘く、行政は裁判抜きで執行できる)
  9. 中国ビジネスへのオープンソースの浸透 OSSの浸透と言うよりも、世界のクラウドネイティブの流れに中国の大企業は乗ってきている また、ハードウェア含めた規格標準化/透明化とオープンソースソフトウェア/ハードウェアは歩調 を合わせている 企業 とても多くの中国企業が、スタートアップ・大企業といった規模を問わず、 製造・サービス・金融といった分野を問わず、企業戦略としてオープンソースに注力 アリババ等は社内に「オープンソース推進室」を設置 オープンソース技術を核にしたユニコーンも 政府/公的機関

    オープンソースのライセンスを中国の法的機関で使えるようにする 中国発のOSSライセンスが米OSIの承認を取得、世界的なライセンスに オープンソース運動を支援する公的な財団を設立 コミュニティ もともと活発だったコミュニティが、オープンソースが商売になったことで進化 フルタイムでOSSのコードを書くプロが増加 学生のうちからOSSの文化に触れる若者が増えている
  10. 開源社(KaiYuanShe China Open Source Alliance) 中国最大のオープンソースアライアンス 中国オープンソース年度報告 中国語と日本語で発行中 米Apache software

    Foundationと共催 中国オープンソース大会COSCON`20(China Open Source CONference 2020)and Apache Roadshow -1億5700万ビュー(オンライン) - 542 職種1,173 組織
  11. 開源社の正式メンバーは現在100名程度 アリババ、テンセント、Huawei等の大テック企業、政府関係、大学 関係者などによる互選 高須は現在唯一の国際メンバー 高須正和氏は、中国のオープンソースコミュニティに深く関 わる国際的な友人であり、开源社の最初の、そして現在で も唯一の外国人正会員となっています。 毎年開催される「オープンソース・ハードウェア・フォーラム COSCON」に参加して以来、オープンソース協会が発行する 「中国オープンソース年度報告」の日本語版を翻訳するな

    ど、オープンソースコミュニティの普及に積極的に取り組ん でいます。 様々な国際的なオープンソースイベントで、开源社をア ピール。 また、オープンソースのコミュニティグループや毎 年開催されるオープンソースカンファレンスでは、積極的に 中国語を学び、中国語でコミュニケーションをとっています。 开源社の国際協力大使とも言えるでしょう。
  12. 高須正和 事業/研究/コミュニティの、3つの役割 深圳ほか世界各地のパートナーを開拓し、先進的な開発ツールを輸出入・共同開発、投資,企業間 提携などを行う。 事業:スイッチサイエンス グローバルビジネスデベロップメント 研究/布教:早稲田ビジネススクール招聘研究員/非常勤講師 「深圳の産業集積とマスイノベーション」 ニコ技深圳コミュニティ Co-founder,開源社ほか、様々なコミュニティ

    事業=仕組みになっていて利益を生むもの 事業開発=事業を作ること 研究や布教=講演や執筆などで少しはお金になるけど、 基本的には仕組みになりづらいもの 2008~11年間で39都市107回のメイカーイベント参加 ほか、浜野製作所のガレージスミダ研究所 主任研究員、 中国の投資会社iMakerBase,Heroad Fundの顧問など コミュニティ=社会的な価値が生まれる前、 事業や研究でもできないところをやる 面白ければ仲間が増えるし、熱が冷めると終わる
  13. 深圳で手掛けているプロジェクト M5Stackシリーズ ESP32シリーズを採用しているIoTプロトタイプツールキット この分野のデファクトスタンダートになる勢いで普及中 myCobot, DirectDriveTechモーターなど 深圳Elephant Robotics社のmyCobotロボットアーム、 Feetech社, DirectDriveTech社などのアクチュエータ類など

    Intelligentなアクチュエータ、センサー類の進化が激しい SpinQ社 デスクトップの量子コンピュータ NMR(磁気共鳴)方式により、常温動作が可能なオールインワンの量 子コンピュータ。日本での販売価格は118万円 世界で一般販売している量子コンピュータは同社のシリーズのみ
  14. M5Stackシリーズの大成功 ・社長ジミー・ライは、もと中国南方電網のエンジニア ・しょっちゅうスマートメーターを開発している間に、 「多くのメーターに共通する機能を製品にしよう」と思 いついて起業 ・社長室に専用の部品ボックスと作業台を起き、プロト タイプを自分で作る。いつも身の回りには試作品が転 がっている ・Arduino IDEが利用可能で、IoT開発に必要なwifi/BTをあらかじめ備えたESP32シリーズの

    CPUを採用した開発ボード。日本でもArduinoを置き換える勢いで普及が進んでいる ・画面、バッテリ、ボタン、Grove,GPIOなどを備え、安価(1500-5000円程度) ・毎週1つ以上の新ハードウェア/センサー類を発表し、拡張性が高い オープンソースハードウェア(部品リスト,ピン番号などの 開発に必要な情報があらかじめ公開されているハードウェア) 買ってくれば使える。ソリューションを開発する上でM5Stack社の取引開始稟 議書、審査や許可が要らない。必要な情報はオンラインで公開されている
  15. オープンソースの世界では Community Over Code と呼ばれている。コード(製品)そのものよりも、それを更新し続ける開 発コミュニティ(企業かもしれない)に価値がある 我々はWindowsにもMacにもAndroidにも、「この先もアップデートし続 けてくれて、使えるだろう」という見込みでお金を払っている。 ハードウェアの世界でも、特に開発用ハードウェアでは、 Community

    Over Productが成立する。 開発者は、「みんなが使っていて、支持していて、今後も安定的に売ら れて、更新され続けて、自分の物にできるHardware」にお金を払う 「なんでもぜんまい」や「SpinQ」も、お金のいくぶんかはコミュニティに 対して払われているのではないか? そういう製品が増えるのではないか?