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(スライド版) ベンチャー企業のコーポレート部門に適切な「目標設定」は何なのか考えてみた話 / corporate-mission

(スライド版) ベンチャー企業のコーポレート部門に適切な「目標設定」は何なのか考えてみた話 / corporate-mission

会社のコーポレート機能における「目標設定」に悩む企業は多いです。オペレーティブな業務が多い、事業部と違って定量化できる目標が少ない、達成 or 未達成の評価が難しいなどの理由で、あまり明確な目標設定や評価制度を持っていない会社も少なくない印象です。

しかし、コーポレートにおいても"目標設定"は非常に重要ですし、その設定方法によって会社の成長速度は大きく変わると考えています。

そこで、以前に"ベンチャー企業のコーポレート部門に適切な「目標設定」"ということに焦点を当てた以下のnoteを公開したところ、ありがたいことに大変多くの反響をいただきました。
https://note.basicinc.jp/n/ne89a4de318f8

今回のスライドは、そのnoteをベースとして、より気軽にご覧いただけるよう、エッセンスを簡単にまとめたものになります。

・ベンチャー企業のコーポレート部門のマネージャーで、メンバーの目標設定や評価の仕方に課題を持っている方
・ベンチャー企業の経営者や役員で、コーポレート部門における目標設定や評価の仕方で悩んでいる方
・ベンチャー企業のコーポレート部門で働いていて、自身の目標設定や評価に疑問や関心がある方

などにとって、このスライドが少しでも参考になれば幸いです。

Takeshi Sumida

April 01, 2023
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Transcript

  1. 会社や組織の前提情報 会社名 株式会社ベーシック 従業員数 170名 ミッション 「マーケティングとテクノロジー」で世の中の問題を解決する 主要事業 BtoBマーケティングに特化。 ツールとノウハウでリード獲得支援。

    フォーム作成最短30秒。 顧客情報をチームで管理できる。 初心者からプロまで。 すべてのマーケターへ情報発信。 会社概要  ・大きくは4つの機能に分かれている  ・全ての機能をコーポレートの担当役員がまとめて管掌している  ・コーポレートの人数規模は、全社員の約1割 コーポレート部門組織図 コーポレート 部門 財務IR部 経営企画部 人事広報部 経理部 採用、労務、総務、広報 経営管理、内部統制、法務、情シス 決算、経費精算、税務申告 資本政策、資金調達、IR 目標設定の仕方はフェーズや規模により異なる、特に”ベンチャー企業”を前提にご説明します
  2. 強いコーポレート組織を作るために必要な要素 適切な「目標設定」ができるか否かで、コーポレート組織の強さは変わる 目標(ミッション)を明確 にし、あくまで目標に基 づいた適切な評価を行う コア業務とノンコア業務 を明確にし、内製にこだ わり過ぎず外部にも適切 に頼った組織作りを行う 徹底的な属人化の排除と

    業務効率化で、永続性の ある仕組みを構築する ベンチャー企業のコーポレートに属するメンバーのモチベーションを左右するものの代表は、「やることが 盛りだくさんでいつまで経っても常に忙殺されていること、そしてその割に評価されないこと」。離職の原 因ともなりやすいこの状態の回避のためには、以下要素を盛り込んだ”仕組み”が必要。
  3. 適切な「目標設定」を行うために必要なステップ 個人やマネージャー任せにせず、会社のプロセスとして体系化しておくべき 1  個人ミッションの作成 2  達成基準の作成 3  ミッションツリーの作成  ミッション設定会議の実施 4

     部としての大上段の目標を定める  部の目標から個人の目標に、  ブレークダウンする  個人ミッションの達成状態を明確化する  作成したミッションの適切さを  確定前に複眼でチェックする
  4. 2. 個人ミッションの作成 部の目標から個人の目標に、ブレークダウンする  個人ミッション策定の上でのポイント  ・ ミッションツリーで作成したカテゴリーを    各部のメンバーに抜け漏れなく割り振る    ・ すること(=ミッション)だけにとどまらず、    達成基準も必ずセットで設定する (次頁)  ・ ミッションごとに重み(比率)を設け、

       合計の評価を加重平均で算出する  ・ ミッション数は少なくとも3つ以上設ける    (これ以下だと合計の評価が大きくぶれる)    重要なのはとにかく”連動性”。個人ミッションの 達成の積み上げが、部としてのミッション達成に 確実に繋がる形に。 ※ベーシックにおける人事マネージャーの例 (一部簡素化)
  5. (参考1) コーポレートの目標における”定量”基準について コーポレートでも目標は定量化できる、特に”期限”の概念はどの職種にも存在 期限基準 達成度合いはその早さ (例) 12月末までに予実管理のためのフォーマットを再整備する  工数基準 達成度合いはその削減幅 (例)

    見込みPL作成にかかっている時間を2割短縮する  日数基準 達成度合いはその短縮幅 (例) 月次決算の締め日を1営業日短縮する  金額基準 達成度合いはその削減幅 (例) 弁護士事務所に委託している法務費用を1割削減する  数量基準 達成度合いはその数 (例) 採用応募が月間100人来る仕組み作りのため、   新規エージェントと5社以上契約する 
  6. 4. ミッション設定会議の実施 作成したミッションの適切さを、確定前に複眼でチェックする    ミッション設定会議での確認ポイント  ・ 個人ミッションと部のミッションツリーが    しっかりと連動しているものになっているか    (抜け漏れが無いかの観点も含む)  ・ 達成基準は、定量数値も盛り込まれた、    明確なものになっているか

     ・ 3の達成基準の難易度は適切か    (=50%〜70%の達成確度のものか)  ・ 4〜5の達成基準が、事業もしくは個人の    成長をより促進するものになっているか    (=単なるボーナス的な設定になっていないか) 部長 ミッション マネージャー ミッション メンバー ミッション  会議参加者  ・人事責任者  ・全役員 (社長含む)  会議参加者  ・人事責任者  ・その部門の全部長  会議参加者  ・人事責任者  ・その部門の全部長  ・直属の上司
  7. (参考3) ベーシックにおけるグレードテーブル 4つの要件の合計スコアが各グレードの水準に達しているかで決定 グレード 期待役割 職務要件定義 期待役割(一言まとめ) 難易度 組織影響度 裁量度

    対人関係 スキル 合計 給与 D1 社会人/Starter ビジネスの基本を身に着け、組織の一員となるステージ I:2 I:2 I:2 I:2 8 D2 ひとり立ち/Player 任された仕事を一つひとつやりきりながら、力を高めるステージ II:4 II:4 I:2 II:4 14 D3 II〜Ⅲ:5 II〜Ⅲ:5 Ⅰ〜Ⅱ:3 II:4 17 D4 一人前/Main Player 創意工夫を凝らしながら、自らの目標を達成するステージ Ⅲ:6 Ⅲ:6 II:4 II〜Ⅲ:5 21 D5 主力/Leading Player 組織業績と周囲のメンバーをけん引するステージ Ⅲ〜Ⅳ:7 Ⅲ:6 II:4 Ⅲ:6 23 P1 Manager ・個人と集団に働きかけて、上位方針にもとづいた組織業績を達成していくステージ Expert ・高い専門性を発揮することを通じて、組織業績と事業成長に貢献するステージ Ⅲ〜Ⅳ:7 Ⅲ〜Ⅳ:7 II〜Ⅲ:5 Ⅲ〜Ⅳ:7 26 P2 Ⅳ:8 Ⅳ:8 Ⅲ:6 Ⅲ〜Ⅳ:7 29 P3 Ⅳ〜Ⅴ:9 Ⅳ〜Ⅴ:8 Ⅲ〜Ⅳ:7 Ⅲ〜Ⅳ:7 31 P4 Ⅳ〜Ⅴ:9 Ⅳ〜Ⅴ:8 Ⅲ〜Ⅳ:8 Ⅲ〜Ⅳ:8 33 SP1 Senior Manager ・事業、組織の持続的成長に向けて、変革を推進していくステージ Senior Expert ・卓越した専門性を発揮することを通じて、組織業績と事業成長に貢献する Ⅳ〜Ⅴ:9 Ⅳ〜Ⅴ:9 Ⅳ:9 Ⅳ:8 35 SP2 Ⅴ:10 Ⅴ:10 Ⅳ〜Ⅴ:9 Ⅳ:8 37 SP3 Ⅴ〜Ⅵ:11 Ⅴ〜Ⅵ:11 Ⅳ〜Ⅴ:9 Ⅳ〜Ⅴ:9 40 M1 事業変革/Business Officer 戦略的な資源配分を通じて、自ら描いた事業構想を実現するステージ Ⅵ:12 Ⅵ:12 Ⅴ:10 Ⅴ:10 44 M2 企業変革/Corporate Officer 社会における自社の存在意義を絶えず問い直し、自社の進路を決めるステージ Ⅵ:13 Ⅵ:13 Ⅴ:10 Ⅴ:11 47 M3 Ⅵ:14 Ⅵ:14 Ⅴ:10 Ⅴ:12 50 ※コーポレートを含むビジネス職の例。エンジニアは別テーブルが存在。
  8. (補足) フェーズによって適切な評価制度は変わり得る 整い具合等によっては、専門職は個別の評価制度を設ける場合もある 企画 オペレーション コア ノンコア ・経理 ・労務 など ・経営企画

    ・財務 ・人事 ・広報 など ・入退社支援 ・採用支援 ・総務支援 など ※基本的には非正社員をアサイン 存在しない 今回ご説明した考え方は、色々整っておらず課題が山 積しているベンチャー企業のようなフェーズの会社に 特に有効な手段。 コーポレート業務は、基本的には整えば整うほど、為 すべきミッション(=課題)の数は減る。結果的には、 ハイ達成基準が無く未達基準だけがある状態、特に" 減点方式"の評価になることが多い。これでは目標設 定で成し遂げたい「成長と成果の最大化」からは遠の いてしまう。 例えば"経理"や"労務"など、初期は「企画」要素が多 いものの、整備されるに従って「オペレーション」が 主体になっていく。(※図の左上から右上へ移行) その領域の職種は、やるべき業務は明確にしつつも、 5段階での達成度評価は行わず、"専門性の高さ"に比 重を置いたグレード評価をより細かい刻みで行う運用 をとっている。(=専門性を特に評価する別テーブルを 作成している。) グレード評価のみ グレード評価および ミッション達成度評価
  9. (最後に) 定期的なフィードバックが成長と成果を最大化する マネージャーとメンバーのミッション振り返りの場は定期的に持つべき 個人ミッション作成 ミッション設定会議 月次振り返り1on1 半期振り返り1on1 (達成度すり合わせ) 査定会議  

    査定フィードバック 確定ミッション共有 メンバー & マネージャー  マネージャー & 会議メンバー メンバー & マネージャー  メンバー & マネージャー  メンバー & マネージャー  マネージャー & 会議メンバー メンバー & マネージャー  評価制度の主な流れ 関係者 評価に対するメンバーの納得度は一つの重要な観点 ではあるが、評価制度そのものは、メンバーの納得 度を高めるために行っているのではない。繰り返し になるが、あくまで「組織と個人の成長と成果を最 大化」するために行っている。 そのためには、マネージャはーメンバーと共に与え られたミッションを確実にフォローする必要があ り、またその進捗に応じて適切にフィードバックを 行い育成していく必要がある。 双方の観点から、期が締まった時に初めて評価のた めにミッションの達成度を確認するのでは手遅れで ある。最低月次で、マネージャーとメンバー間で、 ミッションに対する振り返りを行うべき。 この結果として、達成度に対するマネージャーとメ ンバーの認識の齟齬も起こりにくく、評価に対する 納得度も概して高くなる。