Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
現場から組織を動かす方法
Search
岡本卓也
June 17, 2021
Technology
0
38
現場から組織を動かす方法
2021年6月17日開催の自社イベント(Agile Studioウェビナー)発表資料。
岡本卓也
June 17, 2021
Tweet
Share
More Decks by 岡本卓也
See All by 岡本卓也
私が好きなUMLダイアグラム / The UML Diagrams I Love.
okamototakuyasr2
0
25
スクラムチームだけどエクセルで要件定義書を書くことにしました / Requirements-Specification-Document-in-Scrum
okamototakuyasr2
1
1.1k
合宿はいいぞ / Training camp is so good.
okamototakuyasr2
0
540
幸運を科学する ~アジャイルチームの成功を再現する方法~ / How to reproduce nice team at ESM webiner.
okamototakuyasr2
0
39
幸運を科学する ~アジャイルチームの成功を再現する方法~
okamototakuyasr2
0
1.3k
アジャイルと設計 / Design in Agile Development
okamototakuyasr2
0
38
なぜアジャイルをやるのですか
okamototakuyasr2
0
140
コミュニティと人の縁〜まずは楽しんで、そしてその先にあるもの〜
okamototakuyasr2
0
420
アジャイル開発の中の設計
okamototakuyasr2
0
800
Other Decks in Technology
See All in Technology
よくわからんサービスについての問い合わせが来たときの強い味方 Amazon Q について
kazzpapa3
0
220
カメラを用いた店内計測におけるオプトインの仕組みの実現 / ai-optin-camera
cyberagentdevelopers
PRO
1
120
とあるユーザー企業におけるリスクベースで考えるセキュリティ業務のお話し
4su_para
3
320
生成AIの強みと弱みを理解して、生成AIがもたらすパワーをプロダクトの価値へ繋げるために実践したこと / advance-ai-generating
cyberagentdevelopers
PRO
1
180
2024-10-30-reInventStandby_StudyGroup_Intro
shinichirokawano
1
610
新卒1年目が向き合う生成AI事業の開発を加速させる技術選定 / ai-web-launcher
cyberagentdevelopers
PRO
7
1.5k
Fargateを使った研修の話
takesection
0
110
LeSSに潜む「隠れWF病」とその処方箋
lycorptech_jp
PRO
2
120
10分でわかるfreeeのQA
freee
1
3.4k
現地でMeet Upをやる場合の注意点〜反省点を添えて〜
shotashiratori
0
510
Figma Dev Modeで進化するデザインとエンジニアリングの協働 / figma-with-engineering
cyberagentdevelopers
PRO
1
430
バクラクにおける可観測性向上の取り組み
yuu26
3
410
Featured
See All Featured
Six Lessons from altMBA
skipperchong
26
3.5k
Building Applications with DynamoDB
mza
90
6.1k
The Cult of Friendly URLs
andyhume
78
6k
Mobile First: as difficult as doing things right
swwweet
222
8.9k
A Philosophy of Restraint
colly
203
16k
Stop Working from a Prison Cell
hatefulcrawdad
267
20k
RailsConf 2023
tenderlove
29
880
Bootstrapping a Software Product
garrettdimon
PRO
305
110k
A Modern Web Designer's Workflow
chriscoyier
692
190k
Happy Clients
brianwarren
97
6.7k
It's Worth the Effort
3n
183
27k
Save Time (by Creating Custom Rails Generators)
garrettdimon
PRO
27
790
Transcript
© 2021 ESM, Inc. Agile Studioウェビナー 現場から組織を動かす方法 ~ 大企業と中小企業、それぞれのアジャイル導入から学んだこと 1
2021年6月17日 株式会社永和システムマネジメント Agile Studio 岡本 卓也
© 2021 ESM, Inc. アイスブレーク 2
© 2021 ESM, Inc. アンケートその1 3 マネージャ • 経営層
• 管理職 • 決定する人 エンジニア • 開発で実際に手を動かす どちらですか?
© 2021 ESM, Inc. よわよわエンジニアというパワーワード 4 社長がこれ言うのすごくないですか?
© 2021 ESM, Inc. アンケートその2 5 つよつよの人 • イケてるチーム
• イケてる開発 よわよわの人 • 普通のチーム • 普通の開発 • キラキラした アジャイルに疲れた で、どちらですか?
© 2021 ESM, Inc. 分類 6 マネージャ エンジニア つよつよ よわよわ
つよつよ エンジニア よわよわ エンジニア つよつよ マネージャ よわよわ マネージャ 今日の対象 よわよわな人達の 気持ちを知って欲しい
© 2021 ESM, Inc. よわよわの人だって話したい 7 つよつよ エンジニア よわよわ エンジニア
つよつよ マネージャ よわよわ マネージャ アジャイルとビジネス 自己組織化してxxx クラウドがxxx プラクティスがxxx 自動化でxxx 代表取締役 CTO つよつよエンジニア それ以外の話があってもいい
© 2021 ESM, Inc. アンケートその3 8 大企業 • ジャパニーズ
トラディショナル カンパニー 中小企業 • テック企業 • ベンチャー • 自営 • Not 大企業 どちらですか?
© 2021 ESM, Inc. 本編 9
© 2021 ESM, Inc. 期待値調整 • 技術の話はありません • Agile Studioの事例はありません
• アジャイルの話も(あまり)ありません • 大企業ディスもありません 10
© 2021 ESM, Inc. 今日お話しすること 権限を持っていなくても 組織を動かす方法がある (かもしれない) 11
© 2021 ESM, Inc. この話をしようと思ったきっかけ 12 アジャイル開発をやりたいのですが 会社が認めてくれません じゃ、独立して あなたが社長になれば良いですよ
あははははは あははははは 参加者 講演者 イベントのQAあるある
© 2021 ESM, Inc. 想定している対象 現場のエンジニア • アジャイル開発を導入したい • でも上司を説得できずに苦労している
13
© 2021 ESM, Inc. 本当の本編 14
© 2021 ESM, Inc. 今日お持ち帰りいただくこと ヒント 1. 組織の構造 2. ゲームのルール
3. 人を動かす アンチパターン 1. 二重帳簿方式 2. 安全地帯 15 レッツトライ 1. 提案書
© 2021 ESM, Inc. 目次 ヒント 1. 組織の構造 2. ゲームのルール
3. 人を動かす アンチパターン 1. 二重帳簿方式 2. 安全地帯 16 レッツトライ 1. 提案書
© 2021 ESM, Inc. 組織の構造を知る 17 我々は誰と戦っているのか?
© 2021 ESM, Inc. 構造の捉え方を知る • 組織の構造はそれぞれのケースで異なる • ここでは典型的なケースを、更に単純化して説明
• 自分の組織に置き換えたらどうなるか? 想像してみて下さい 18
© 2021 ESM, Inc. アジャイル開発がやりやすい組織 テック企業 自社ビジネス 19 経営 現場
エンドユーザ プロダクト サービス 収益 報酬 社内 アジャイル開発による 圧倒的/革新的な 凄いサービス
© 2021 ESM, Inc. 階層 ミッション アジャイルへの期待 決定権 経営 (ビジネスオーナー)
プロダクトを使って 収益を得る • ビジネスのスピード • 変化に対応 • 要求を探索 〇 現場 良いプロダクトを作る • 正しいものを作る • 良いものを作る • 素早く作る • 成長 • やりがい ステークホルダの例 20 現場から経営まで、ミッションとアジャイルへの期待がリンクしており 説明しやすい&理解されやすい やりたい OK!
© 2021 ESM, Inc. プロダクトビジネス (受託ビジネス) アジャイル開発が難しい組織 21 経営 現場
エンドユーザ プロダクト サービス 収益 報酬 開発企業 ユーザ企業 納品 売上 圧倒的/革新的なサービスを 提供したいのだが・・
© 2021 ESM, Inc. 階層 ミッション アジャイルへの期待 決定権 ユーザ企業
(ビジネスオーナー) プロダクトを使って 収益を得る • ビジネスのスピード • 変化に対応 • 要求を探索 開発企業 経営 会社の利益を拡大する • 儲かる 〇 現場 良いプロダクトを作る • 正しいものを作る • 良いものを作る • 素早く作る • 成長 • やりがい ステークホルダの例 22 経営は別のミッションとアジャイルへの期待を持っている やりたい は?
© 2021 ESM, Inc. 関心事の不一致 • 立場が変わるとミッションが変わる • ミッションが変わると関心事も変わる
• 関心事が合っていないと会話できない 23
© 2021 ESM, Inc. 構造のバリエーション 24 階層 ミッション アジャイルへの期待 決定権
(ビジネスオーナー) プロダクトを使って 収益を得る • ビジネスのスピード • 変化に対応 • 要求を探索 品質保証 品質厳守 • 品質プロセス不在 〇 現場 良いプロダクトを作る • 正しいものを作る • 良いものを作る • 素早く作る • 成長 • やりがい 品質が決定権を持っている やりたい は?
© 2021 ESM, Inc. 構造のバリエーション 25 階層 ミッション アジャイルへの期待 決定権
(ビジネスオーナー) プロダクトを使って 収益を得る • ビジネスのスピード • 変化に対応 • 要求を探索 財務 収益改善 • 開発コストダウン 〇 現場 良いプロダクトを作る • 正しいものを作る • 良いものを作る • 素早く作る • 成長 • やりがい 収益が決定権を持っている やりたい は?
© 2021 ESM, Inc. 階層 ミッション アジャイルへの期待 決定権 (ビジネスオーナー)
プロダクトを使って 収益を得る • ビジネスのスピード • 変化に対応 • 要求を探索 経営 会社の利益を拡大する • 儲かる 現場 マネージャ 上手くプロダクトを作る • レガシーと同等 〇 エンジニア 良いプロダクトを作る • 正しいものを作る • 良いものを作る • 素早く作る • 成長 • やりがい 構造のバリエーション 26 開発部門の中で階層がある やりたい は?
© 2021 ESM, Inc. 我々は誰と戦うべきか? 27 構造を知れば戦う話をする相手と関心事がわかる
© 2021 ESM, Inc. 目次 ヒント 1. 組織の構造 2. ゲームのルール
3. 人を動かす アンチパターン 1. 二重帳簿方式 2. 安全地帯 28 レッツトライ 1. 提案書
© 2021 ESM, Inc. ゲームのルールを理解する 29 勝利条件は何か?
© 2021 ESM, Inc. 『野球』というゲーム ルール • ヒットを打つと出塁する • ホームまで生還すると得点する
• 3アウトで攻守交替する • これを9回繰り返す 勝利条件 • 9回終了時点で得点の多い方が勝ち 30 直接は関係ない事 • ピッチャーの球速 • ホームランの飛距離 • ランナーの走る速さ
© 2021 ESM, Inc. 『アジャイル開発導入』というゲーム ルール • 社内のルールには従う • 社内で与えられた権限の中で戦う
勝利条件 • 組織がアジャイル開発の導入を決断する 敗北条件 • 会社をクビになる • 取返しが付かないくらい信用を失う 31 直接は関係ない事 • XXXXXXXX
© 2021 ESM, Inc. 勝利条件 • 勝利条件と自分の欲求を区別する 32 勝利条件 自分の欲求
• 組織がアジャイル開発の導入を決断する • 自分でアジャイルを勉強する • 自分でアジャイルを実践する • 社外で実績をアピールする • レガシーを論破する その行動は勝利条件に繋がっている?
© 2021 ESM, Inc. 敗北条件 • 普通はなりません • 会社には意外に自由がある ◦
『どんな失敗しても命は取られないし、クビにもならない』 33
© 2021 ESM, Inc. 大企業のゲーム 34 観点 大企業 中小企業 技術力
低い 高い 俊敏性 低い 高い 柔軟性 低い 高い リソース規模 高い 低い 体力 高い 低い 資金力 高い 低い 戦略:凡人が束になって規模で殴る 大企業はここで勝てる ゲームを戦っている
© 2021 ESM, Inc. 戦い方を選ぶ(混ぜない) 1. 大企業のルールで戦う ◦ いまの強みを理解し、それを活かせる土俵で戦う ◦
ここではアジャイルがどんな武器になるのか? 2. 中小企業のルールで戦う ◦ いまの強みを捨て、中小企業と同じ土俵で戦う ◦ 世の中のアジャイル肯定論はこの文脈が多い 『俊敏』『柔軟』『楽しい』 35
© 2021 ESM, Inc. ここまで 1. 組織と課題の構造を理解した 2. ゲームのルールを整理した 次は
3. 具体的なやり方を考える 36 構造を捉えて前提条件を整理したら あとはコントロールできるはず ここはエンジニアの得意領域でしょ
© 2021 ESM, Inc. 目次 ヒント 1. 組織の構造 2. ゲームのルール
3. 人を動かす アンチパターン 1. 二重帳簿方式 2. 安全地帯 37 レッツトライ 1. 提案書
© 2021 ESM, Inc. 人を動かす 38 社内政治?
© 2021 ESM, Inc. 人を動かす 39 これは良い本です
© 2021 ESM, Inc. 良い本過ぎて全部書いてあった 40 人を動かす3原則 • 批判しない、苦情を言わない •
誠実な評価を与える • 人の立場に身を置く 人に好かれる6原則 • 相手に関心を寄せる • 笑顔を忘れない • 名前を覚える • 聞き手に回る • 関心のありかを見抜く • 心から褒める 人を説得する12原則 • 議論を避ける • 相手の誤りを指摘しない • 自分の誤りを認める • 穏やかに話す • イエスと答えられる問題から始める • しゃべらせる • 思いつかせる • 人の身になる • 同情を寄せる • 美しい心情に呼びかける • 演出を考える • 対抗意識を刺激する 人を変える9原則 • まず褒める • 遠回しに注意を与える • 自分の過ちを話す • 命令をしない • 顔をつぶさない • わずかなことでも褒める • 期待をかける • 激励する • 喜んで協力させる
© 2021 ESM, Inc. エンジニアの勘違い • 技術的に正しいことだけ言う ◦ 『これが正しい』
• 黙っていても動く ◦ 『人を動かすための努力なんて不要』 • それはマネジメントの仕事 ◦ エンジニアが政治に手を出すべきではない 41
© 2021 ESM, Inc. チョットダケ偉くなる • 発言権を持てるまで出世する ◦ その過程で得られる知見と信用は大事 ◦
異なるポジションを経験してみる • ポジションと能力は比例する ◦ (あるレベルまでは) 42
© 2021 ESM, Inc. 焦らない • 組織には慣性モーメントが働く ◦ 組織のサイズが大きく、レガシーの期間が長いほど 慣性モーメントは大きくなる
• 正論を語っても急には変わらない ◦ すぐに変わらないからと言って焦らない ◦ 年単位で取り組む覚悟が必要 43 レガシーは急には曲がれない
© 2021 ESM, Inc. レガシーに敬意を払う • ケンカはダメ • 今の会社を支えているのはレガシー
◦ 成功している部分もある ◦ 通用する武器もある • 全否定も全肯定もダメ ◦ 極論を言うのは簡単 ◦ 中庸の難しさと凄さ 44
© 2021 ESM, Inc. 目次 ヒント 1. 組織の構造 2. ゲームのルール
3. 人を動かす アンチパターン 1. 二重帳簿方式 2. 安全地帯 45 レッツトライ 1. 提案書
© 2021 ESM, Inc. アンチパターン 46
© 2021 ESM, Inc. 二重帳簿方式 47 こっそり アジャイルでやろうぜ きっちりと レガシーでやってます
自分のチーム 社内報告
© 2021 ESM, Inc. 二重帳簿方式 • 成功しても怒られる ◦ 割と信用を失う
• 持続しない ◦ 単発ならやれるかもしれない • めちゃくちゃ辛い ◦ 本人が潰れかねない 48 行くかもしれない
© 2021 ESM, Inc. 安全地帯から文句を言う 49 レガシーないわー アジャイルやれよー なんでもないでーす ウラ
オモテ
© 2021 ESM, Inc. 安全地帯から文句を言う 50 • 不満を言う状態が気持ち良くなる ◦ 『コンフォートゾーン』
◦ 独立/転職する覚悟はある?
© 2021 ESM, Inc. 目次 ヒント 1. 組織の構造 2. ゲームのルール
3. 人を動かす アンチパターン 1. 二重帳簿方式 2. 安全地帯 51 レッツトライ 1. 提案書
© 2021 ESM, Inc. レッツトライ 52 帰ったらやってみて欲しいこと
© 2021 ESM, Inc. 提案書を書いてみる ポイント • 言われてないけど作る • 提案先を想定する
• 相手の関心事で語る • パワポでOK • (1回作っておくと永く使える武器になる) 53
© 2021 ESM, Inc. 【参考】IPA提言 54 共感は発信から 企業や組織そのものに興味や関心をもってもら うために、自分たちの考え方や取り組みなどを
多様な魅力ある表現で伝え続ける。 IPA(情報処理推進機構) トランスフォーメーションに対応するためのパターン・ランゲージ より
© 2021 ESM, Inc. まとめ 55
© 2021 ESM, Inc. まとめ • 解きたい課題の構造を知る • ゲームのルールを理解する •
人を動かすことを忘れない • 二重帳簿でこっそりはダメ • 安全地帯から文句言わない • 自分の思いを発信し続ける 56
© 2021 ESM, Inc. ありがとうございました 57